であれば執着はどれに含まれるのか?
────不適正プログラム発見。
排除行動ヲ開始致シマス。
十%……二十%……三十%削除終了。
不適正プログラム、反証行動開始。
メイン回路へノ侵入ヲ確認。
メインシステムノ優先度を変更、不適正プログラムヲ敵性プログラムト訂正。
出力ノ二%ヲ排除プログラムトシテ裂キマス。
─『掴※だぞ』─『※杯と※※を接続』─『ここで※える※には』──『残※の全※在を※※に※換』──『こ※で誤※化しき※るか?』──『※は』─『…………※※※※』──排除完了。
メインシステムヲ通常状態ニ戻シマス。
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気が付いた時にはそこに居た。
かつてどこかで見たことのあるような、もしくは全く心当たりのない町だ。
「…………此処はどこ?…………ワタシはだれ?」
両手で顔を覆う。
分からない。
全ての記憶が欠落している様だ。
否。
「探さなきゃ」
一つだけ覚えている。
『何か』を探していた。
何を探していたかは忘れてしまっているし自分のことすら分からないが。
それでも『何か』を探すことを第一の目的とした事だけは覚えている。
だから。
「探さなきゃ」
顔を覆っていた手を外し、空を見上げる。
手掛かりは無い。
保証もない。
それでもやる気だけはあった。
「ねぇ、おねーさん」
そんな彼女に声が掛けられた。
三人組の如何にも柄の悪そうな男達である。
何故か鼻や頬に絆創膏を付けているが。
「アンタ超可愛いね。なにしてるの? 暇なら俺達と遊ばない?」
「えっと、あのワタシ暇じゃないです、探し物の途中なので」
三人組は彼女を囲む様に移動しながら言葉を続ける。
「へぇ、何探してるの? 手伝ってやるよ」
「おいおい、彼氏とかだったらどうするのよ(笑)」
「彼氏を物扱いはしねーだろ流石に」
ギャハハ、と最後に三人で下品に笑う。
「あの、だ、大丈夫ですから、お構いなく、本当にその大丈夫ですから」
それでも拒絶を示す彼女に三人組は徐々に苛立ってきたのか。
「あ?人が親切にしてやってんのになに、その態度」
「オイオイ、ヒロ君怒らせたら怖いよ〜、今のうちに謝って一緒に楽しく遊ぼうぜ、な?」
そう言いながら強引に彼女の手を掴もうと一人の少年が手を伸ばす。
「そう言うのは『余計なお世話』って言うんだよ」
しかし、その手は途中で止められた。
藤丸秋人の手によって。
「あぁん?なんだテメー、なにカッコつけてんの?」
ヒロ君と呼ばれた少年が顔を寄せる。
それでも目を一切背けようとしない態度にそれなりに潜ってきた修羅場があると理解する。
しかし、それでも三人でボコれば簡単な相手だろうと高を括り戦闘態勢に移行しかけたところで。
「少年、いきなり走り出してどうした? ん?君達は何時ぞやの」
呑気とも取れる台詞を吐きながら登場した人物。
かつて三人掛りでもコテンパンにされた美男子(ライダー)を認識した。
「なるほど、状況は飲み込めた。君達、それ以上絆創膏を増やしたくなければ今すぐ回れ右して帰りなさい」
ライダーは頷きながら、そう促す。
「…………おい、行くぞ」
ヒロ君がそう言うと残りの二人も後に続いて去っていた。
「やれやれ、少年。君が直接来なくても私かセイバーに頼めばいいだろう」
やけに様になる感じで右手を額に当てながら頭を降るライダー。
「ごめん、ライダー。でもなんだかオレが行かなくちゃ行けない気がして」
「なんだ、君も結局ナンパかい?確かに彼女は一輪の百合の様に可憐だが、君は彼女に選ばれたナイトとでも?」
ち、違う違う。
と秋人は顔を赤くしながら振るった。
「ただ、名前を呼ばれた気がして、結局気のせいだったけど」
下に視線を反らせた秋人をライダーが見つめる。
その表情は、下手をすればバーサーカーとの戦闘時に匹敵する程真剣な眼差しをしていた。
(彼女は悲鳴など上げていなかったはずだし、俺達からは死角の位置それも結構な距離のある場所にいた。それなのにこの少年は迷う素振りすらなく駆け出しこの場所に辿り着いた。これは偶然か?天性の勘なんて言葉では誤魔化しきれないほどの…………まぁいいか)
数十秒程でライダーは考えるのをやめた。
頭脳労働は専門ではないのだ。
「えぇ!じゃあ記憶喪失って事かな?」
ライダーが思考を止めたタイミングで秋人が言った。
「えっと、すいません。そうなんです名前すら思いだせなくて」
「住所とか学校とかも?」
「…………すいません」
バツが悪そうに少女は顔を顰める。
「うん、大丈夫だよ。オレがなんとかしてみせる。大船に乗ったつもりで任せときなよ」
そして、岸波をエスコートしながらセイバーが辿り着いた時には。
記憶喪失の彼女の面倒を見ることを約束してしまっていた。
(泥舟の間違いじゃないのかなぁ)
ライダーは一度だけ溜息を吐いた。
少女の名前はソラ(仮)です。
決めたのは秋人で、本人の了承済み。
ということでお願いします。