ある物語があった。
或いは、燃え盛る町の蒼き魔術師と黒き暴君の物語。
或いは、死しても信仰失わぬ聖女と竜の魔女の物語。
或いは、麗しく咲く薔薇の皇帝と破壊の大王の物語。
或いは、不可能を可能にする女海賊と大英雄の物語。
或いは、霧の街を守護する騎士と若き魔術師の物語。
或いは、愛を探す理想王と愛に狂わされた王の物語。
或いは、負い目の消えぬ忠臣と心の無い獅子の物語。
或いは、民を守護する賢王と子を求める母親の物語。

そして
或いは、平凡でしかない少年と理想を謳う魔の物語。

何れも三日三晩では語りきれぬ物語だ。
幾多もの絆と奇跡が織り成す夢物語だ。

だが、今から語る物語はそれらには全く関係がない。
むしろ、小さな小さな実験に過ぎない。
当然、悪性こそを良しとする都市の話でも、女性こそを王とする地下の話でもない。快楽こそを極楽浄土とする海の話でも、剣こそを極めんとする女剣士の話でもない。

そう、これは。
藤丸立夏とマシュ・キリエライトの間に生まれ落ちた1人の少年の物語だ。
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