苦手な人は読み飛ばしてもOKです。
「……ここには様々な戦士共がやって来たが、生まれながらに此処に居るやつは貴様だけだ」
妖艶な雰囲気を全身から発する真紅の美女が笑う
「それもよもや齢十二で秘技の数々を習得してしまうとわな」
「やめてくれよ、俺はアンタにまだ最後の秘技を教わっていないぜ。親父に授けた最高の槍技ってやつをな」
それに対して不服そうに文句を垂れる■■■。
「ククッ、知りたいか? 因果逆転必中必滅の槍技を、良いだろうならば授けよう」
とその手に握っていた朱槍を■■■に向かって投げ放つ。
眉間を突き破るその手間ギリギリで掴み取った。
「ざっけんな、殺す気か!」
「それぐらいで死ぬ様なら、貴様は今迄に二百は死んでおるわ」
真紅の美女は悪びれもせずに空いた手を腰に当て胸を張る。
「持ってゆけ、もっともそれはただの槍だが」
槍を受け取った■■■は、調子を確かめるようにグルグルと廻しながら応える。
「はぁ? 槍だけ貰ってどうしろってんだ?」
「私が教えても構わないんだがな、ソレに関してはもっと適任がいる。地図は書いておいたからそこへ迎え、三つの誓いは覚えているな?」
ピタッと廻していた槍を止める。
「自ら進む道を変更しない、自ら名前を名乗らない、自ら戦いを降りないだろ?」
「あぁ、それを守り続ける限りキサマの加護は消えることは無い」
■■■の髪を束ねる指輪に嵌め込まれた宝石が一瞬だけ光る。
「ならばゆけ、ソレが貴様の最後の試練だ。乗り越えられたならその秘技は貴様のモノになるだろうさ」
乗り越えられたなら、と少しだけトーンを落として繰り返した。
「分かった。行ってくるよ、……あのさ」
「なんだ?」
鼻の頭を擦りながら■■■は女に背を向ける。
「師匠は俺が殺してやるからそれまで死ぬんじゃねーぞ」
「ふふ、楽しみにしておこうバカ弟子」
■■■はその言葉を聞いて走り出す。
その先にある高みを勝ち取るために。
こうして彼の物語は始まる。
その先にある残酷な運命を知りもせず。
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(アレがランサーの師匠。ということは影の国の女王か)
ベンジャミンは覚醒と同時にいましたがた垣間見た夢を振り返る。
横を見るとランサーが寝ていた。
(こうしてみるとただの子供なんですがね)
本来サーヴァントに睡眠は必要の無い行為ではあるが、寝ようと思えば寝れる。
彼女と同じベットで寝たがることは予想外であったが、どうやら生前は例の師匠とこうして眠ることも少なくなかったのだろう。
そんなことを考えながら起き上がろうとした彼女のシャツをランサーが掴んでいた。
「………………仕方ないですね」
もともと計画が全て台無しになってからの不貞寝である、二度寝した所で責める相手も居ないだろ。
ランサーの頭を一度撫でてからベンジャミンはまた微睡みへと落ちていった。
ランサーは勿論、ベンジャミンさんも三日は寝なくても行動は可能ですけど。
寝溜め食い溜めはしていて損はないって感じの性格なんですね。
まぁ時計塔には脳を交互に休ませて半永久的に活動できたりする奴がいても可笑しくはないんだろうけど。