fate/grandafter   作:遊 人

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プリズマ☆イリヤの映画見てきました。
大変良き出来だったので未視聴の方は是非見てみてください。


極天の誓

 

 比較的都心とは言え、深夜ともなるとこの町自体が眠ってしまったかのように人工の明かりは影を潜め、空を彩る星たちは自分が主役と言わんばかりに煌めき出す。

 (……何故でしょう。無限に広がる星空を見ていると、凄く懐かしい様な気がしてきます。まるであの星一つ一つが嘗てのワタシの記憶の様な)

 未だ定まらぬ自身の記憶を手繰るように瞳を閉じる。

 瞼に遮られている筈なのに星達は、むしろ輝きを増し、その全てが流星群の様にソラへと殺到する。

 両の腕を広げそれを受け入れようとした時、ソラへと声が掛けられた。

 「眠れないのかい?」

 「あ、秋人さん!?」

 予想外の声にソラは閉じてた瞳をハッと開き叫んだ。

 「あっと、ごめん。驚かせるつもりは無かったんだ。……ほら、カルデア程じゃ無いとしてもこの町の夜は冷えるから」

 秋人は手にしていた赤い外套をソラへと掛けた。

 それは実際に肌が密着した場所以外にも冷気を遮る効果でもあるの礼装なのか、見た目以上の温かみを少女へと与える。

 「暖かい、ありがとうございます。秋人さん!」

 「お礼なら家の母親以上のオカンに言ってあげて、カルデアを出る時あれこれと用意してくれたのは彼だから」

 「?」

 秋人の台詞に疑問符を浮かべながら首を傾けるソラ。

 「い、いや、何でもない忘れて忘れて」

 両の手を開いてブンブンと振り誤魔化そうとする秋人に。

 「どうてですか?」

 と、ソラが問い詰める。

 これは困ったという顔で「ど、どうしてって」と頭を掻きながら上手い説明を考えていた秋人に更に予想外の言葉が重なる。

 「どうして、秋人さんはそんなに優しいのですか? どうして見ず知らずのワタシなんかの為にここまでしてくれるのですか?」

 頭を掻いていた手が止まる。

 秋人を見つめる少女の目はまるで自身の価値を見いだせない日のような迷いを孕んでいた。

 そう秋人にそんなことをする理由はないのだ。

 フラットから受けた説明の通りなら、ソラがどこの誰であれこの実験が終われば露と消える電子データに過ぎない。

 「うん、そうだね」

 秋人は優しい声音でそう言いながらソラの頭に触れる。

 「昔さ、親に内緒でレイシフトを勝手にやってさ死にかけたことがあるんだ俺」

 親に対する反抗と好奇心による行動はワイバーンの群れという天罰を秋人に与えた。

 「そん時さ助けてくれたサーヴァントが居たんだよ、まだカルデアには来てないサーヴァントなんだけど」

 今でも瞳を閉じればワイバーンの群れをなぎ倒す黒き騎士の姿を思い出す。

 「その時、ソラと同じ様なことを俺も聞いたんだ。そしたらさ仏頂面でなんて言ったと思う?」

 秋人の手の温かみを感じながらソラは答えた。

 「……英雄(サーヴァント)だから?」

 その答えに秋人はゆっくりと首を横に振る。

 「『今はまだ意味など無い、しかき貴公が誰かを救えるのならそこに意味は生まれる。故に励が良いカルデアの新しき光よ』だってさ」

 訳わかんないだろ、と秋人は笑う。

 「だからさ、好意や助けに疑問を感じる必要なんて無いんだよ。多分その事自体に深い理由や裏付けなんて要らない、ただ俺は俺のやりたい事をやってるだけさ、もしそれでソラが誰かを大切に思えるのなら万々歳だね」

 ハニカミながらそう言った秋人に、ソラは暫くの間その意味を噛み締めるかのように瞳を閉じて頭に触れる手に身を委ねた。

 「……そうですね、秋人さん。だったらここに誓いを立てましょう」

 瞳を開けたソラは強い意志を宿して言った。

 「ずっと凄く寒かった。不安で不安てで堪らなかった記憶を無くしてからも、記憶を無くす前からもきっと。ワタシはこの温もりこそを求めていた」

 そして秋人の右手に両の手を重ねた。

 そのまま頭から外し、自分の胸に当てる。

 「えっ、ちょ」

 と、動揺する秋人を無視して彼女は更に続けた。

 「この極天の星達と貴方に誓います。ワタシはこの温かみを決して忘れず、この優しさを無駄にせず。この命を無意味にしないことを」

 そう言うと、その決意を更に深くするかの様に少しだけ両手の力を増す。

 「だったら、俺も誓うよソラ。俺の持てる全てを君に捧ぐ、迷惑と言われようと最後までお節介を焼き続ける。何があろうと君の助けを呼ぶ声を逃さない」

 そう言って、秋人は左腕でソラを抱きしめる。

 1分ほど無言が続き、互いの温もりを分け合った。

 「さぁ、もう寝ようソラ。先に戻ってて」

 ソラはコクンと頷くとそのまま部屋へと帰っていった。

 「……もう出てきてもいいよ。セイバー」

 「気付いてたのですか、マスター」

 バツが悪そうに実態化したセイバーが頬を掻く。

 「俺達に危険がないよう見守っててくれたんだろ、ありがとう」

 さっきの一部始終を見られた気恥しさを誤魔化す様に秋人は笑いながら感謝の言葉を口にする。

 「サーヴァントととして当然の事です。ところで先程の話に出た騎士は」

 「あぁ、セイバーの方が詳しいんじゃないかな彼については」

 その言葉だけで納得した様にセイバーが頷く。

 「では、マスターもご休息を聖杯戦争はまだまだ続きます」

 「そうだね、寝るとしよう」

 欠伸を噛み殺しながら応える秋人はまだ知らない。

 この時、起こっている争いのことも。明日訪れる少女のことも。

 そして、この結末に訪れる悲しき別れの事すらも。

 

 




クライマックスは出来てるんですが。
そこに辿り着くまでにはまだまだかかりそうですね。

誤字脱字、その他指摘がありましたらよろしくお願いします。
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