夜の校舎に火花が散る。
目まぐるしく攻防を入れ替えながらセイバーとライダーの刃が交わされる。
「まったく、驚いたよ。まさかなんの隠蔽工作もしないマスターが同じクラスに居るなんてね」
ライダーが上段を放ちながら言う。
「マスターの育った環境ではマスターであることを隠す必要なんて無かったからね、大体そのアドバンテージを無視して決闘なんて仕掛ける君達も大概だよ、不意打ちでも闇討ちでも好きにすればいいのに」
重い一撃を受け止めながらセイバーが返す。
「ハハッ、馬鹿を言うなよセイバー。君達如きにそんなかっこ悪い真似する訳ないだろ」
返す刀で横薙ぎに振るわれるセイバーの一撃を受け止めながらライダーは笑う。
「────そうかい」
さらに三連撃を叩き込みながらセイバーが攻勢に転じる。
「ならばその誇りを抱いて散れライダー!」
戦闘がさらに加速する。
(・・・・・・目で追えなくなって来た。これが英霊の本気か。ベオ兄や金時兄はやっぱりあれで手加減してくれてたんだなぁ)
秋人カルデアでの日々を思い出しながら二つの嵐のぶつかり合いを眺める。
その激しさはとあるインド系の弓兵と槍兵の激突にも等しい。
(うーん、これは俺が直接入る隙はないな、かと言ってライダーのマスターは女の子だし流石に手は出せない)
そんなことを考えてる間に戦況は徐々に不利になって言っている。
そう秋人が気付いたのはセイバーが仕切り直しの為に大きく距離を取った時である。
その視線の先にはライダーのマスターがあった。
「どうしたセイバー、ウチのマスターが麗しいからとあまり見つめないでくれるかな?」
二人の英霊は互角である。
身体能力に置いては若干ライダーに軍配が上がるが、セイバーの技巧の高さはそれを補って余りある。
その筈なのに、ライダーは徐々にこちらのセイバーの動きを先読みしているかの様な攻め手が増えてくる。
その正体は白野本人も知らぬ所で磨き抜かれた戦局眼。
一合毎にセイバーの癖を読み取り、的確な解答をライダーへと伝達する。
「どうやら、どちらのマスターが格上かハッキリしたようだなセイバー! 」
勢いを止めぬまま開いた距離を詰め直しライダーが猛攻を仕掛ける。
その目は勝利を確信した獣の如くに煌めいていた。
「あぁ、そうだなライダー。この勝負こちらの勝ちだ」
しかしその瞬間ライダーの動きがピタリと止まる。
その隙をセイバーが見逃す筈もなく渾身の一撃を叩き込む。
吹き飛ばされたライダーが白野の足元に転がる。
「ッライダー!!」
ガンド。
北欧に伝わる人差し指を向けた相手に病を与えると言われる呪い。
何処ぞのツインテールの様な物理的破壊力は持たないが、特注の魔術礼装により特化された呪いはAランクの対魔力すら突破する。
弱い者なら心臓すら一時的に止める事が可能だが、サーヴァント相手となると一瞬動きを止めるだけで精一杯名程度の魔術。
「クソ、油断した。心配するなマスター、かすり傷ですらない」
セイバーの攻撃をまともに受けたというのに平気で立ち上がったライダーが悪態を着いた。
「驚いたよライダー。その鎧は飾りか?」
「否定はしないよ、俺にとっては飾り見たいなもんだ」
互いに剣を構え直しながら軽口を交わす。
やたら装飾のついた両刃の剣を八相に構えるライダー。
左手の盾に身を隠すようにして、自身の背後に剣を構えるセイバー。
「────ッ」
一歩目は同時。
音速を超えた必殺が互いに迫る。
二歩目はライダーが先行した、身長の暴力によって威力を増した上段。
対するセイバーは少し遅れて二歩目を踏み出す。
但し、前にではなく下に。
(あの体勢ならば、ライダーの剣が届くよりも早く相手を切れる!)
そう秋人は判断したがその予想は外れる。
『二人の間に割って入った三メートル級の鬼によって』。
「おもしれぇ、セイバーと遊ぶつもりだったが、二人纏めて相手してやるよ」
二人の必殺を二刀で受け止めながら、バーサーカーは笑った。
もっと書きたいネタがあっても書ききれない。