ヒーローショーは無事終了したが、俺は終了後もミラにお叱りを受けた。役に没頭していたという言い訳が通じなかったら、俺は殺されていたかもしれない。
遊園地の周回を再開した俺たちは、予定していた『ウォーターダイブ』に向かった。名前からしてミラの濡れ透け姿が拝めると胸の高鳴りが止まらない。
しかしその期待は裏切られた。『ウォーターダイブ』は水に濡れることを考慮してレインコートを売っていたのだ。
しかもこのアトラクション、先のジェットコースター同様にスリル満点で、情けない姿を晒したのは言うまでもない。
やはり今回はエロは望んではいけないかと思いながら、次のアトラクションへと向かう。
目を付けたのは定番のコーヒーカップ。これなら前のアトラクションとは違い、余裕を持って楽しむことができるだろう。
特に不安もなくコーヒーカップに乗り込み、回転が始まった。床の回転とともにコーヒーカップもゆるやかに回る。本当に回るだけで拍子抜けもいいところだが、対面のミラの笑顔が見れるだけ良しとしよう。
そんな平穏な時間も長くは続かなかった。
しばらくしてミラは中央のハンドルを高速で回し始めたのである。コーヒーカップも高速回転し、ミラは大はしゃぎだが、俺の方は酔いで楽しむどころではない。
アトラクションの稼働が終わり、解放された俺は休憩を所望した。ミラも俺の酔い具合を見て了承し、近くのベンチに腰掛けた。
「ごめんなさい。楽しくてつい回しすぎちゃったわ」
「謝ることはない。俺が貧弱なだけ……うぷ」
ジェットコースターは平気だったのにコーヒーカップで酔ってしまうとは不覚だった。今だけナツになった気分だ。
酔いが治るまでベンチで休憩していると、ガラの悪い2人組の男が絡んできた。彼らが言うに俺のような冴えない男じゃなくて自分たちと遊ばないかといった旨のことを言ってきた。2人の男はミラのファンらしく、俺みたいなのと一緒にいるなら自分たちにもチャンスがあると思ったらしい。
失礼な奴らだと内心怒っていたら、ミラが代弁して彼らに怒ってくれた。温厚なミラにしては珍しく、強い口調で俺を悪く言ったことを非難している。
だが2人の男はミラの言ったことを無視して、ナンパを続ける。
ミラの怒りがどんどん溜まっていることが目に見えてわかる。これはサタンソウルで制裁ついでに遊園地破壊なんてことにもなりかねない。
「お前たち、自分の身が惜しければ身を引け」
「ああん?なーに言ってんだ、優男さんよお」
親切心で忠告したものの、男は俺の言葉を意に介さない。
しかしもう一方の男は何かに気付いたかのか焦燥の表情を浮かべる。
「……いや、言う通りにした方がいい。こいつ、あの『異端者』だ」
相方の男の言葉を聞き、調子に乗っていた男の顔が青ざめていく。
そのまま2人は叫び声をあげて逃げていった。
「K、脅すのも程々にね?」
なんか俺が悪いみたいになった。
ハプニングを交えながら俺たちは色々なアトラクションを遊び倒した。
そして閉園が近付き、最後に定番の観覧車に乗った。恋人関係ではないが、こうして2人で観覧車に乗れることに俺は感動を覚える。
「いやー、楽しかったな。1ヶ月分くらい遊んだ気分だ」
「私も楽しかったわ。ヒーローショーではKに辱められたけど」
「マジですみませんでした」
「あんなことされたらお嫁にいけないかも」
お嫁にいけないようなことは他の人にも散々してるんだよなあと思いながらミラの方を見る。
夕陽をバックに俺の目に映るミラの姿は美しかった。茜色の陽光が彼女を鮮明に映し出している。
観覧車という特殊な空間に惑わされているだけだと思いたいが、今この一瞬一瞬ミラのことが愛おしくてたまらない。
そんな感じで見惚れていると、ミラはきょとんとした顔で首をかしげる。ミラの様子に慌てて俺は別の話題を振った。
「そういえばこの前はすまなかった。俺を気遣った言葉を無下にしてしまって」
何振ってんだと俺は心の中で地団駄を踏む。ミラと関係が擦れた件については一応謝っていたのに、なぜ改めてほじくり返してしまうのか。
後悔の念に押されてる俺に対し、ミラは優しく声をかける。
「私の方こそごめんなさい。もっとはっきりと自分の気持ちを示すべきだったわ」
「いやいやミラは謝ることはな……はっきりと自分の気持ちを?」
俺はミラの言葉に変な予感を感じた。この先に大事なことが待っているような気がしてならない。
ミラの面持ちが真剣なものへと変わる。若干硬い表情から少し緊張していることがわかる。
ミラは大きく深呼吸して、続く言葉を述べた。
「K好きよ。愛してるわ」
俺の耳が壊れてしまったかと思った。
それほどまでにミラの告白は衝撃だった。
あの目はドッキリではない。本気の目をしている。
思えば伏線はいくつもあった。一緒に修行をしたり、買い物に付き合ったり、おっぱいを揉ませてくれたり、俺の部屋に1泊したり……。
そして今日デートと言っても過言ではないことをしている。
ミラの行動は実にわかりやすいものだった。直接このようにミラに告白されなくても十分察せられただろう。
だが疑り深くなっていた俺はその事実を認めなかった。気付かない振りをして突き放していた。
俺は自分の愚かさに落ち込むと同時に、どう返事をしたものかと考える。ここまでしてくれて断る理由はない。ミラのことは嫌いではないし、むしろ好ましく思っている。
しかし俺のような奴とミラで釣り合いが取れるとは思えない。どうしても後ろめたさが頭に突っかかる。
俺はどうすればいいのか、どうしたいのか。頭をフル回転させ、答えを探す。これまでで最大の難問が俺を苦しめる。
その時、ふと最初にこの世界に来た時のことを思い出した。『妖精の尻尾』にやってきたかと思えば、使いにくそうな特典の魔法の数々。これでは無双出来ないと意気消沈している中で、決意したことを。
そうだ、俺は下衆野郎だ。何を気にしているんだ。自分の思うままに行動に移せばいいじゃないか。
俺はミラの告白から重く閉ざしていた口を開いた。
「俺もミラのことが大好きだ」
ミラは俺の言葉に目を見開いて驚くも、すぐにいつもの笑顔になって答える。
「ありがとう。これからもよろしくね」
ミラの顔が徐々に近づいてくる。
戸惑う俺の唇にミラの唇が重なった。
観覧車から降りた後に待ち受けていたのは『妖精の尻尾』のメンバーからの祝福だった。
『妖精の尻尾』以外の一般の客や従業員も祝ってくれて、柄にもなく泣きそうになったのは秘密だ。
ギルドに戻り、大方予想通り俺とミラを祝う宴会が行われた。宴会中はビックスローなどにからかわれたり、カナの絡み酒に付き合わされたりしたが、楽しい時間だった。エルフマンに「やっぱり姉ちゃんは渡さねえ!」と勝負を仕掛けられた時は大変だったがな!
いつも以上に騒がしい様相を見せたギルドも今は皆疲れからか眠ってしまい、一変して静かになっている。大半は酒も入っているから当然だろう。俺はなるべく飲まないようにしていたので、意識を保っている。
男女構わず眠っている中、やることは1つだ。ミラと恋仲になっても俺のスタンスは変わらない。大丈夫、俺が恋愛感情を持っているのはミラだけだ。
周りを見る限り、皆深い眠りについているから早々起きることはないだろう。リスクは大きいが、それ以上にこのスリルから生まれる快感を味わいたい。
俺は初めに目に付いたレビィへと魔の手を向ける。レビィは俺の癒しだったからか、直接手を出すのは初めてだ。
「これは新しい……」
巨乳が多い『FAIRY TAIL』の貧乳枠レビィ。他の女の子に比べれば揉み応えはないが、これまでとは違った感触に新境地を開拓した感覚を覚えた。
俺は揉み揉みしながらレビィのテクニカルポイントを探る。それを見つけ出すと、服の上から指で円を描くように刺激していく。
「ん……あ……」
眠っていても感じるくらい敏感なようだ。同じ攻め方だけでなく、摘み潰すなどして俺はレビィの敏感な二ヶ所を刺激していった。
「あっ、あぁん……やぁ」
喘ぎ声とともに小さな山のてっぺんは固くなり、自己主張が激しくなった。あまりやりすぎると起きるかもしれないので、次の女の子に行くとしよう。今回は人数も多いから軽くいかねばな。
続いて近くにいたビスカに目を向ける。
ビスカ・ムーラン。西部劇を匂わせる格好つながりか、使う魔法は銃の換装魔法。同じく銃の魔法を使うアルザックに惚れており、またアルザックもビスカに惚れている模様。今はお互いを意識しているだけだが、いずれ結ばれる日が来るのだろうか。S級試験までしか原作は知らないからなあ。
とにかくビスカには明確な想い人がいる。
つまりこれはNTRシチュエーションだ。とても燃える展開である。
俺は鼻息を荒くしながらビスカの胸を揉む。先ほどとは打って変わり、確かな感触が俺の興奮を高めていく。
辛抱たまらなくなった俺はビスカの胸に顔を埋めた。顔全体を覆う柔らかな胸、肌の露出が多いおかげで直に感じることが出来る。
「ダメよ、アルザック……そんなことしちゃあ」
夢でアルザックにナニされているのだろうか。残念ながらビスカの胸をぱふぱふしているのは俺だ。こんなことまだアルザックもしてないだろう。
満足するまでビスカの胸に包まれていた俺は次のターゲットを決める。エルザは前の例があるし、ラキあたりにするかな。癖のある喋り方をする変わった女の子だが、貴重な眼鏡っ娘だ。手を出さないわけがない。
ラキを探しているとミラの姿が目に入った。ミラとは恋人になったのだから、わざわざこっそりする必要はないだろう。
しかし俺は今、激しくミラをお触りしたい衝動に駆られてしまった。
欲望の赴くままミラに手を伸ばした時、ミラの目がゆっくりと開かれた。思わぬことに固まる俺。ミラも俺がやろうしたことに気づいているのか、妖しげな笑みを浮かべている。
焦った俺はなんとか弁明しようとするも、ミラから出たのは予想外の言葉だった。
「あらKったら、自分だけ楽しむつもりだったの?」
そう言ってミラは俺の手を掴む。酔いで確かな意識がないにも関わらず、握り締めた手を振りほどくことが出来ない。
そのまま俺はギルドの空き部屋へと連行され、そこで淫欲の一夜を過ごすこととなった。
起きてから俺はダルさと恥ずかしさに襲われていた。酒が入っていたせいなのかもしれないが、ミラのSっ気が身に染みた一夜だった。俺の大佐を攻められたり、やりたい放題されてしまった。
ミラも昨夜のことを思い出して悶えていたが、小さな声で「あんなKもありかも……」と呟いたことを俺は聞き逃さなかった。次は全力で主導権を握らねばならない。
俺たちのピンクな雰囲気でナニがあったかギルドのメンバーでわかる人はわかったようで、「昨晩はお楽しみでしたね」に対して「一方的にやられてしまったよ」と返したらそれ以上何も言われなかった。
とにかく晴れてミラと仲直りを超えて恋人になったが、ますますボロが出せなくなった。これからもうまくやっていけるか不安ではある。
だが俺は好き勝手すると決めたんだ。この先どんな苦難があっても乗り越えてやろうじゃないか。