笑顔は太陽のごとく… 《用務員・長門編 完結済》   作:バスクランサー

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UAが結構伸びていてありがたいです。
これからもよろしくお願いします。

ではでは少し長めですが
本編どうぞ。


迫る影の正体

 ーーー「本日はお忙しい中ご来場頂き、誠にありがとうございます。第35鎮守府の提督です」

 ホールの中に、提督の声が響く。

 今日は説明会だ。何の説明会と言うまでもない、そう、レイのことに関してだ。

「本日説明致しますのはーーー」

 街の公民館の、小さなホールのステージ上で話す提督の脇に置かれた椅子には、提督側から順に、レイ、私、雷、電。ホールはこの町の住民で既に満席、さらには最後尾の席の後ろに立ち見の者達までいるほどだ。この様子は街のケーブルテレビ局によって、町民向けにテレビ中継もされている。幸いこの局は、我々、そしてレイを保護することに対しては賛成のようだし、あくまで中継番組上では中立の立場で放送すると言ってくれた。助かる。

「ーーー以上の出来事の上、我々はこの存在に、我々のほうでレイと名付け、保護をすることにしました。では次に、今回レイがここに来た経緯を、レイ本人が申し上げます」

 提督は礼をして、ステージの自身の待機席へと移る。入れ替わりに、レイがステージの中央へ移動し、提督によって既にその丈に合わせられたマイクに、自身の言葉を流す。

「本日はこのような機械をいただき、ありがとうございます。

 私が、何故ここに来たかということを語りたいと思いますーーー」

 緊張しながらも、丁寧に、そしてしっかりと自分の経緯を伝えていくレイ。ホールを埋め尽くす町の人たちも、真剣にその話に聞き入っている。

 途中から、レイは辛くなっていたのだろう、涙ながらに語っていた。それでもなんとか全てを語り終えると、会場の町民たちは拍手を送ってくれた。

 ちなみにその後、私も少しだけ話をしたが…緊張しすぎて覚えていない。ご了承くださいすみません。

 それから、提督が連れてきた雷、電も話をした。艦時代、大戦中に敵国の兵士達を救助したことからだろう。彼女たちは小さい体ながら、いつかレイの仲間達と人間が手を取り合えるような世界という大きな夢を語ってくれた。

 その甲斐あってかーーー

 

 ーーー帰り道のジオアトス車内

「どうだったか?提督」

 助手席から、私はハンドルを握る提督に話しかける。

「大丈夫、どうやらかなりの支持を得られたようだ。」

「はぁー…」

 思わず安堵のため息が出てしまった。後部座席では、雷、電、レイが3人であっち向いてホイをしている。

「とにかくよかった…」

「ああ、そうだな。」

「でも、反対派とかも絶対中にはいるだろうが…大丈夫なのだろうか」

「そこについては大丈夫さ。」

「なぜそう言いきれる?」

「さっきも実は、そのことについて町民のおじいさんと話をしたんだ。したら、このおじいさん、なんて言ったと思う?」

「え?」

「『反対派のいないことは絶対にないだろうが、そいつらだって、あんた方にいつも守ってもらってることは十分に分かっている。反対であろうとそれを理由にあんたら相手に暴動起こしたりすることは、絶対にいけないと理解しているからな。ちゃんと周りに迷惑をかけないよう、心の中や身近な人との議論で留めておくだろうよ、きっと』ってな。」

「そうか…この町にはいつも助けられているな、提督」

「ああ、全くだ…俺達もその気持ちに答えないとだな。」

「もちろんだ。これからも、我々に出来ることを、この町のため、この星のためにしていこう」

「おお」ーーー

 

 ーーーそれから。

 町の方に、私はレイと買い物にも行った。店の人は、普段と変わらず丁寧に接してくれた。胸が…温かいな。

 日を追うごとに、鎮守府の仲間達とも打ち解けて、笑顔を見せる回数もかなり増えてきた。

 ちなみに、北斗さんはしばらくこの鎮守府にいることになった。どうやら彼なりに何か不安要素があるからとか。大本営も、元TAC隊員だということで、スムーズに許可を出したらしい。

 …というか。

 北斗星司、彼の名にどこか聞き覚えがあるのは何故だろう…ーーー

 

 ーーーその一方で。

 北斗さん曰く、レイが迫害からの助けを求めに来たのなら、絶対に迫害した側…つまり深海棲艦がこっちに来るはずだ、と。用務員としての仕事の合間に、彼は自らの不安要素の由来を、そう話してくれた。その時の彼の顔は、とても真剣だった。

 そして、そんなある日ーーー

 

 ーーー北斗さんの言っていた不安要素、その証拠になるかもしれない事態が起こった。

 この鎮守府からそれなりに離れた無人島に設置されている、大本営の無人簡易観測施設の観測カメラが、一時的に麻痺したということが、大本営からの通信で明らかになったのだ。ただ、麻痺する直前と復帰直後の映像はしっかり残って記録されていた。さらに不幸中の幸いか、第35鎮守府はその場所から一番近いところにある鎮守府ということで、優先的に映像データが渡されることになった。

 

 夕方。

 この事態を受けて会議室には、今いる全ての艦娘、更にレイ、北斗さんが集まった。

 提督だけは、大本営から受け取った段階で大方確認しているらしい。彼はパソコンを操り、会議室のプロジェクターにその映像が映し出される。

「じゃあ、まずデータの途切れる一分前から、再生しよう」

 スイッチが押され、流れ始める映像。そこには…

 

「なんだこれは…!?」

 

 青空の下、カメラは穏やかな海を捉えていた。が、途切れる数秒前になって、突如海面に黒い大きな影が写りこんでいたのだ。そして、それが海面に姿を現そうとした所で、カメラはダウンしてしまったようで、映像は止まってしまった。

「あぁ、いいところで…」

「テレビ番組の未確認生物特集みたいだね、すんでのところで、とは…」

「で、カメラが復活した後、だ。」

 映像が切り替わる。画面に表示されるテロップによると、止まっていたのは数十秒程だったようだ。

 その映像にも、止まる直前と同じような影が写りこんでいた。しかし、ここでもその姿が海面に出ることは無かった。しかし、なんだこいつは…。

「さて、映像は以上だ。」

 全員が静かに提督を見つめる。

「正体はもちろん全くわからない。だがそれ以上に、この映像から計算して出した数値によると、こいつの体長は…おそらく怪獣クラスだ。それにこいつが向かっている方向は、ちょうどこの鎮守府がある方面だ。まだ予想到達時刻は分からんが…」

 ざわつく会議室。すると、提督はその中で響、大淀、さらに私を呼んだ。

「持ってきておいて正解だったな…響、長門、大淀。このタブレット端末を皆に配ってくれ。過去に出現した宇宙人や怪獣のデータが全て詰まっている。」

 そう言って提督は、我々にたくさんのタブレット端末を預けた。

「分かった、司令官」

「すぐに配ろう」

「響ちゃんはこの付近、長門さんはあっちを。私はあちらの方々に配ってきます」

 配られるタブレット端末。提督が簡単にその使い方を説明する。

「それでは各自、話し合ってくれ」

 仲間達が一斉に話し合いを始める。私は主に、北斗さんを含めた、レイ漂着の時のメンバーで話し合いをすることになったーーー

 

 ーーー「見る限りは海、水の中で活動できる怪獣の類か…」

 私は端末で、水中活動可能な怪獣や宇宙人に限って検索したが、以外にもそれなりに多かった。影しか見えないあたり、個体の特定も難しい。

「前に出現した、アーストロンやバラックシップなどとも関連性があるのかい?」

 響が全員に問いかける。

「いや、おそらく違うだろう…。」

 提督は首を横に振った。

「アーストロンは火山活動の影響で眠りから覚めただけだ。バラックシップの方は、レイからの話から関連性があるようにも思えるが…あれは大井のマイナスエネルギーから生み出された、言わば偶然要素が高いからな…」

 再び考える一同。と、ここで口を開いたのは明石だった。

「提督、なんでカメラの映像は途切れてしまったのでしょう…」

「それな…こっちもまだ分からないからな…」

「何かカメラ…電子機器を落とすほどの要素というと…色々考えられますが…」

「確かに、そこから探るか…」

 しかし、その要素も、熱の変化、磁力の影響、さらには霊力など色々な意見が出すぎてしまった。結局、三十分間話し合ったが、全体を含めて何も進展は無かった。

 しかし、こっちにその影が向かってきている以上、猶予はない。とりあえず、レイ発見時のメンバーは、早めの夕食のあとに話し合いを続行することにした。

 

 ーーー夕食後。

 再び会議室に例のメンバーが集まる。

「とりあえず映像を見て、詳しく分析しよう。」

 提督や明石、夕張に大淀は映像の分析へ。残る私や響、レイに北斗さんは、出来るだけの怪獣知識集めをすることに。

 そして十数分後。

 提督たちがこっちに向き直った。映像の分析が完了したらしい。

 映像が途切れた原因として、提督たちが出した結論、それは…

 

「異常磁力によるもの」

 

 異常なほどの磁力があの影から発せられていて、それがカメラを一時的にダウンさせたという。

「磁力?」

「どういう、ことですか?」

 わからないという顔をする響、レイ。すると、夕張がちょっと待ってて、と部屋を出て…数分後、あるものを持って戻ってきた。

「ニ〇テンドーDSぅ〜!」

 どこぞの青狸…いや、猫型ロボットのように言う夕張が掲げたのは、有名なあのゲーム機。夕張は早速電源を入れる。

「これを使って解説します!まずこのゲーム機は開閉可能で、閉じて折りたたむと電力消費を抑えられるスリープモードになるんです。皆さんは知ってますよね?」

 響が簡単にレイにゲーム機について説明する。幸い、スグに理解してくれたようだ。

「これがなぜ起こるかというと…」

 夕張がポケットから取り出したのは、磁石。といっても、どこにでもあるような、普通の磁力の棒磁石だ。

「これを、下半分…ボタンの上あたりに近づけると…?」

 するとなんと、明るく光っていたゲーム機の画面が、一瞬で暗くなったのだ!響もレイも驚いている。

「これがスリープモードの仕組み。普通に閉じた時は、ちょうど重なる部分である、スピーカーの磁石を使って、これを起こしているんです。」

「「なるほど…」」

 どうやら納得したようだ。しかし、わかりやすいな…さすが夕張。

「このように、磁石は少なからず電気機器に影響を及ぼします。今みたいに丁度いいならそれでいいのですが、あまりにも強い磁力は、計器類に以上をきたすんです。病院などではそれを防ぐため、携帯や通信系電子機器の利用はほとんどの場所で許可されていません。磁石の他、電気や電波などでも電磁力などで、それと同じことを起こしてしまうこともあります。なので、これらの影響で精密機器が止まってしまうことを防ぐためです。」

「おぉ…」

 ん?ということはつまり…

「こいつが怪獣だとしたら…磁力もしくは電気能力を使えるやつ、ということになるのか…!?」

「それですよ長門さん!可能性は高いです!」

 一気に議論が活性化する会議室。

「水の中で活動でき、なおかつ、磁力もしくは電気能力を持つ怪獣というと…」ーーー

 

 ーーー翌日。

 そいつが、この町に来る可能性が高いのは間違いない。私達は大本営へ状況を報告し、厳戒態勢で時を過ごした。

 町民たちには町役場を通じてこのことを知らせ、すぐ避難できるように準備させた。

 空軍にも大本営経由で通達がいき、いつでもスクランブル発進できるようになっているようだ。

 そんな中でも、私が用務員としての仕事や、買い出しを行わないわけにもいかず(むしろ楽しいが)、今日は吹雪と町の商店街へ買い物に出かけた。レイも、町を体験したいという思いから、今日も一緒に来ている。

「えーと、これを一つ、それから…」

「ゆっくり選んでいいですよ〜」

 町も、基本的には通常と変わらない日々だった。がーーー

「…ん?」

 私は通信機が鳴っている事に気づいた。ん、提督からか。私は店の人に了承を得て、応答した。

「こちら長門、提督、どうした?」

 通信機の向こうから、差し迫った提督の声が響いてきた。

「長門!すぐに避難指示を出せ!」

「な!?な、何があった!?」

「たった今、警備任務にあたっていた飛鷹のハマーから、奴を見つけたと連絡があった!」

「何だって!?」

 その時。

 

「うわっ!?」

「きゃああっ!?」

 突如地面が大きく揺れ始めた。混乱に包まれる町。その時。

「あ、あれはなんだー!?」

 1人の町民が指さしたその先には、海からその身を現す巨大な影。海からやや離れた位置にある商店街からも、その大きさはかなり大きいものだとわかった。

 怪獣だ。

 そして、その怪獣は威嚇するかのように、独特な咆哮をあげた。

 

 キィィィイイッッッ!

 

「あいつは…!?いや、しかし…!」

 私は、その姿を見て、一瞬脳がフリーズした。通信機から響く、提督の私の名を呼ぶ声を聞き流していたほどに。

「長門、長門!?」

「…あ、あぁ、私は大丈夫だ!しかし、こいつはやばいぞ!」

「やはりやつか、エレキングだったか!?」

「ああ。…ん、いや違う!?」

「ど、どういう事だ!?

 …いや…なるほど、理解した!とにかく長門、吹雪とすぐに避難誘導を!すぐに鎮守府から応援を向かわせる!それから、奴はレイを狙っている可能性が高い、絶対にレイから目を離すな!」

「わ、わかった!」ーーー

 

 ーーー我々が予想した怪獣の個体、それ自体は当たっていた。

 宇宙怪獣エレキング。

 かつて地球にも数度出現が確認されており、幾多のウルトラ戦士と戦いを繰り広げてきた。

 しかし、その基本的な外見とは、そいつは明らかに異なっていた。

 長い尻尾や頭のレーダーになっている角はそのまま。しかし、胴回りになんといくつもの砲塔が装備され、手先にも同様に確認できる。

 さらに注目すべきは、なんと黄色を帯びた白の体に、黒い模様が入っているはずの姿、そこところどころは漆黒の装甲に覆われていたのだ。

 通常ではまずありえない。そして一番の特徴は…

「フフフ…フハハハハハ!」

 なんと、本来目のないはずのその頭部は、不気味な程に白い顔が。目はらんらんと輝き、しっかりとこちらを見ている。口はエレキングの影響か、口裂け女の如く広がって、恐ろしい笑い声で人々の恐怖を煽る。

 この特徴から見るに思い浮かべるやつと言えば…深海棲艦。

 そう、こいつを一言で表すなら、

「エレキングと深海棲艦を融合させたような巨大怪獣」

 というのが妥当だろう。

 それは段々とこちらに近づき、そして陸との一定の距離になると叫んだ。

 

「逃ゲタ奴ハドコダ…!

 ソイツヲ今スグ、コチラニ渡スノダァ!」

 その大きな叫びと共に、町はパニックに包まれたーーー




というわけで今回も読んでいただきありがとうございます!

評価や感想貰えると励みになります、よろしくお願いしますm(_ _)m
また次回です!
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