笑顔は太陽のごとく… 《用務員・長門編 完結済》 作:バスクランサー
今までどうもありがとうございました、
そしてこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m
では本編どうぞー。
いつもより結構短いです。
いつの間に増えたのか、たくさんの人たちがエースを見上げていた。全員が、この戦いを見守っていた町の人たちだ。
「エース…」
戦いが終わった後こそ、歓喜し、雄叫びをあげていた彼らは、不思議な静けさに包まれていた。そんな彼らの方へ向き直り、エースは言葉を紡いでいく。
「町のみなさん。そして、鎮守府の艦隊のみなさん。
あなたたちの声援、そして頼もしい援護のおかげで、私は勝利を掴むことができた。この勝利は、私1人ではなく、みなさんと共に得た大きな勝利だ。本当にありがとう。」
その言葉一言一言に、貫禄、重みが感じられる。
「しかし今回のことがあったからには、おそらくこれから同様のことがいつ起こるかも分からない。」
警告するエース。それに返したのは、いつの間にかここに来ていた提督だった。
「大丈夫です。我々全員、全力でこの町を守っていく覚悟です。」
力強い声。他の仲間達も頷き返している。
「提督よ、よろしく頼むぞ。」
エースはそう提督に告げると、今度は戦いを見守って、声援を送ってくれた町の人たちの方を向く。
「この町のみなさん。
きっと今、事態が急速に展開し、おそらく戸惑っていることだと思う。不安や恐怖に怯えている者も、決して少なくはないだろう。
しかし、それでも、そしてこんな時だからこそ、私はあなた方に、伝えたいことがあります。」
エースはそう前置きし、ゆっくりと自分のメッセージを伝え始めたーーー
ーーー「優しさを失わないでくれ。
弱いものをいたわり、
互いに助け合い、
どこの国の人たちとも
友達になろうとする気持ちを
失わないでくれ。
たとえその気持ちが、
何百回裏切られようと。
それが私の…変わらぬ願いだ。」
かつて最強超獣ジャンボキングに打ち勝ち、地球の子供たちへと伝えた言葉。
卑劣極まりない人間によって、自信を、優しさを失いかけていた弟にかけた言葉。
そして私・長門、吹雪の心を今も支え続けている言葉。
そのまっすぐな言葉は、レイの心にも、そして町の人たちの心にもしっかりと響いた。そう断言できた。
それを聞いた町の人たちが、涙を流し、エースに惜しみない拍手を送っているのだから。と、
「少し、いいですか」
人混みをかき分け、一人の男がやって来た。彼の姿を見た人たちは、素直にその呼びかけに応じ、男に道を通した。
「町長…?」
そう、この町の町長である。彼はウルトラマンエースの前に出て来ると、エースを見上げながら話し始めた。
「…ウルトラマンエース…覚えていますか?
1973年、私がまだ幼く小さな子供だった頃、あなたと、最強超獣ジャンボキングの戦いを、近くで見ていたことを」
…え…!?
「その時私は、初めてあなたのその言葉を聞きました。忘れかけていた優しさを、私の心にずっと留めさせてくれたのは、他でもない、あなただったのです」
町長…まさか…
「あなたには、本当に感謝しています。あの日から、私にも色々なことがありましたが、優しさを忘れずにここまで生きてこられたのは、あなたのおかげです。
だからこそ、あなたに、あなたの目の前で、誓いたいと思います。
この前、危険を冒してまでここに来てくれた存在…確か、レイさんと名付けられたそうですね、こちらに来てくれますか?」
「私、ですか?」
レイは目を丸くしている。
「レイ。一緒に、行こう」
私は驚きから抜け出せきれていないレイの手を取り、町長の方へと歩いた。
「町長、さん…」
「レイさん。
私は、この町の町長、ひいては1人の人として、君をこの町に歓迎する」
レイの顔が、一気に明るくなった。
「君の返事を、聞いてもいいかな?」
「はい…!」
レイの見せた、これまで一番の太陽のごとき笑顔、その口からの返事は…
「町長さん、町の皆さん、これからよろしくお願いします!」
ハッキリとした大きな声、レイの決意が響いた。
「ありがとう、本当にありがとう…!」
「こちらこそです…!」
固い握手を交わす2人。周りの町の人、そして艦娘たち、提督、全員が祝福の拍手を送った。
そして、町長はウルトラマンエースを見上げる。
「私たちは優しさを忘れず、これからも彼女たちに接していくことを誓います。」
それを聞いたエース。顔の表情こそ変わらないものの、ゆっくりと1つ、その決意を見届けたかのように頷いた。
「とてもいいものを見せてもらった、町長よ。
私はこれから光の国にこの事態を報告しに行くが、私の心は、いつも君たちと共にある。
光の国から、ずっとこの町を、この星を見守っていくことをここに誓おう!では諸君、さらばだ!」
エースの言葉に、再び拍手が起こる。
「トァァッ!!」
エースは天を向き、遠き空の果て、光の国へと旅立った。我々は見えなくなるまで、彼を見送った。
「エース!ありがとうー!」
彼が飛び去り、見えなくなったころ、夕焼け空の同じ方向に、一番星が輝くのが見えたーーー
ーーーあの後。
レイは正式に鎮守府に迎えられ、町の、鎮守府の一員となった。
私の仕事を手伝ってくれたり、色々とこなしてくれるとてもいい仲間となったのだ。
町の人たちも、相変わらずの優しい接し方をしてくれている。本当に、胸が熱いな…。
時々、レイを狙ってだろうか、鎮守府に敵襲が来ることもある。しかし、仲間も増え、さらに強くなった我々は決して負けない。
私も、エレキングとの戦いから使い始めた新兵器ーーーあの小型端末がある。ちなみに、あれはスマホのようにあるアプリを起動させ、過去の防衛チームの大小様々な銃火器を即座にその場に転送してくれるという機能があるスグレモノだ。Mydoのテレポーテーション技術が採用されているとかなんとかだが、詳しくは知らん。
ただ、私もこれで少しだけ、守る力を得られた、というのは嬉しかった。
これからも、用務員として、そして1人の艦娘として、この星を守り抜いて行こうと思うーーー
ーーー光の国
「久しぶりね、エース…いえ、星司さん」
「夕子…光の国に来ていたとは…」
「ふふ、ゾフィー隊長さんから、そろそろエースが戻ってくる頃だろうって連絡を頂いたの」
「そうか。あとで兄さんにも、感謝せねばな…ところで、なぜ光の国へ?」
「私は月の人。これでも、潮の満ち干きを通じて、地球の海のことは少しは知っているつもりよ。それで今回、エレキングが地球に現れたのよね…それも、いわゆる深海棲艦と融合した、悪魔のような個体が」
「ああ。艦娘たちの援護がなければ、私も危なかったかもな…」
「お疲れ様、星司さん。それでね、まだ敵の…黒幕の正体は分からないけど、敵そのもののことについてなら、分かったことがあるの。」
「なに…!?」
「あなたももしかしたら、少し想像してたかもしれない、そこの所は申し訳ないけど…
まず、恐らく今回の一連の事件の敵は…ヤプールではないわ」
「…怪獣と生物の融合は、ヤプールの得意分野のはずでは…?」
「確かにそれもそうなのだけれど、地球はメビウス…ミライ君のときの技術によって、異次元からの侵略はシャットアウトされているわ。それに今回、ヤプール独特のエネルギー波長は出なかったの」
「そうか…」
「敵が何にしろ、組織的行動を取っていることは明らかね…」
「うむ…ありがとう、夕子。
一体、地球に何が起きているんだ…?」
笑顔は太陽のごとく…
用務員長門編 終
つづく
というわけで、改めて本当にありがとうございました!
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また少し休んでから、続きを書き始めたいと思います、その時はまたよろしくお願いしますm(_ _)m
ではまたいつか!