誤字脱字報告ありがとうございます。
すみません。またやっちゃいました><
かなり長くなっちゃいそうなので、二つに分けて投稿します。
現在で来ている分を先に投稿します。
次の最終投稿は今日深夜か明日には……
達也はレールガンの一射目をしのいだ後、独立魔装大隊からの帰還命令が下っていた。帰還後艦砲射撃を行っている艦に対して、サード・アイによる戦略級魔法マテリアル・バーストでの攻撃準備に取り掛かれとの事だったのだが、深雪の事が心配なため、葛藤しながらも命令を無視し、深雪の元へと向かったのだ。
しかし、深雪の元に行く手前で、二射目の艦砲射撃により阻まれる。
達也は迎撃しながらも深雪の元へと急いだのだが、京都にいるはずの横島が深雪たちの前に現れ、とてつもなく巨大な力で次々と砲弾を消滅させていったのだ。達也の目にはその光景はまさに鬼神が大地に降り立ったかのように見えた。
達也も深雪と同様その様子を唖然と見る事しかできなかったのだ。
それは恐怖故なのか、極度の驚きのためなのかはわからない。
横島は横浜に降り注ぐレールガンによる超音速の艦砲射撃に対して、右手に巨大なハンズ・オブ・グローリーを振るい近距離を、左手で霊波・霊弾で近中距離の砲弾を次々と消滅、そして、42枚の高出力サイキックソーサーで、横島の攻撃範囲外の砲撃を防御していった、まさに神魔の如し獅子奮迅の応戦をしていた。
しかし、それでもこの横浜全域広範囲にわたって降り注ぐ砲弾を全ては捌ききれず、幾つかの砲弾は地上に降り注いだ。
横島は達也が直ぐそばにいる事を感じ、テレパスで達也に呼びかける。
『達也!!ボケっとするな、手伝え!!……いや、お前、遠距離攻撃でこれを撃ってきている大元を叩けるか?』
達也は急に横島の声が頭に直接響いてきたため驚くが、今の横島の鬼神の様な力に比べればどうってことが無いという思いに至り、先ほどまで、唖然と見ていただけだったのが却って冷静になることが出来た。
「……横島か……可能だ」
『流石だな、そっちは任せる。だったら俺はそれまで、ここを死守するだけの話だ』
「俺を信じるのか?」
『ここまできて、それかよ。俺が勝手に信じているだけだ。ここには深雪ちゃんも居るしな』
「そうか、横島……深雪を頼む」
そう言って達也は、先ほどまで居た独立魔装大隊の兵器受け取り場所まで行く。こんなとんでもない状況なのだが、達也は口角が自然と上がり、ニヤついたような顔になっていた。
達也自身はその事に気が付いていないのだが。
『任せておけ』
横島はこの艦砲射撃を厄介に感じていた。横浜という広い地域をそもそも一人でカバーすること自体無茶なのだが、そこは置いておこう。
弾数の問題でない。撃ってくる方角と角度そして、その数種類ある砲弾の超音速スピードだ。それを効率よく、防御が困難なタイミングと場所、必ず同じ場所には同じ砲弾は飛んでこないのだ。これを考えた奴は相当切れる奴だと。過去にもこのような戦術を立ててくる人間とも横島は対峙したことがあった。
横島は、遠見の術で、艦砲射撃元を確認した。
海に展開している4隻の艦……一番近い艦で大凡230キロ、それ以外は300キロと離れていた。
今の横島に打つ手はなかった。
全力での超加速は霊力消費が激しいため、たどり着く前に横島の霊力が切れる。
時間を掛ければ、通常加速、もしくは超加速を抑え気味に使えば、容易く撃破出来るだろうが、その間守りが薄くなってしまう。此方のこの広大な横浜を守りながらという条件がそれを困難にしていた。
横島には達也の攻撃手段はどのようなものかわからなかったが、達也が出来ると豪語したのだ。きっと成し遂げるのだろうと横島はその言葉を疑わなかった。艦砲射撃を行っている艦の攻撃は達也に任せることにし、この横浜の防御を厚くすることを念頭に次なる術を展開する。
「四神結界、青龍!!」
横島はそう唱えると同時に、横浜港湾岸200m先で、海が盛り上がり、高さ大凡100m横総長5㎞の氷の壁が出来る!!
「……そして玄武!!」
続けざまに唱え。横浜の南側に、地面から土が盛り上がり、高さ大凡100m、横総延長2㎞の土と瓦礫でできた巨大な壁が出来たのだ!!
これで、南東、南、南西から飛んでくる砲撃をある程度防ぐことが出来、横島自身の負担は軽減できたのだが、しばらくすると青龍・玄武両結界の上をかいくぐって、砲弾が飛んでくるようになった。
「やはり、厄介な相手だな、ならば、あれをやるしか……」
横島は横浜上空でハンズ・オブ・グローリーと霊波による迎撃の手を休めずにそう言った。
そして、艦砲射撃2射目の3分間が終わる。
大型潜水艦に乗艦しているチョウ大佐は、送られてくるデータを次々と確認していく。
「ほぼ、全て、着弾していない、横浜上空で防がれている……なんだあの光は?新手のレーザー兵器か?榴弾はすべて、あの巨大な光の球にかき消されている。新たな防御魔法?それらはすべて、ある一点から放たれたように見えるな。それ以外にも横浜全域に不可視な防御の痕跡も見える。あらたな防衛兵器か?あの氷と土の壁どうやら、太古の仙人が使用したと言われる四神結界に似ている様だが、あの巨大さはなんだ?日本は太古の術式すらも再現できる技術をもっているのか?」
驚きながらも、冷静に判断していくが、四神結界以外、どのように防がれたのかが不明だった。
「しかし、これはこれで興味深いデータだ。3射目以降も継続だ」
そう言って、レールガンによる艦砲射撃3射目以降の開始続行を宣言した。
横島は艦砲射撃が一時的に収まったのを見計らい、地面に降り立ちそれと同時に周囲に纏っていた淡く青白い光がスッと消える。
すると雫が涙しながら飛びついてきた。
「横島さん!!」
横島は振り向きざまに両手で受け止める、4人の顔をそれぞれ見てから
「ごめん。遅くなった」
美月は祈るように両手を組みそれに答える。
「ううん」
ほのかも地面に座った状態で横島を見上げ嬉しそうにそう言った。
「横島さん来てくれたんですね」
深雪は……
固まったかのようにその場で怯えた目で横島を見ていた。
明らかに恐怖していたのだ!!
大概の人間はそうなるだろう。もはや横島が起こした現象は人間の範疇をはるかに超えているのだ。
達也もすさまじい能力を持っているが、飽く迄も達也は尊敬する兄であり身内だから受け入れることが出来ていだけなのだ。他人である横島の人間とは思えないような力を見て、かつてない恐怖が深雪に降りかかったとしても仕方がない事ではないだろうか。
その反応に横島はこう答えた。
「ごめん、でもこれですべて終わらせるから……」
100年前においても、守るべき相手からもそのような目で見られることは横島にとって日常であった。
横島は雫の両肩をポンと優しく叩いてから、
「たぶんまた攻撃がくる。でも、後は任せて」
そう言って広場の中央に一飛びする。
比較的近くのビル影でその様子を見ていたエリカ、レオ、幹比古は、深雪たちがいる場所の上空で砲弾を消滅させていた人物が誰かがわからなかったが、ただ、その人物が光を明滅させて、砲弾を次々と消滅させていった事だけは理解できた。
そして、艦砲射撃が収まり、その人物が空中から下りてきて、ようやく横島だと分かったのだ。
「おいおい、まじかよあいつ!!」
レオは単純に横島が助けに来てくれたことに喜んでいた。
「え?よこしま?なんで横島がここに?って氷室スゴ!!どうやってやるんだ!!」
幹比古は最初は横島がここにいるのを不思議に思っていたのだが、氷室だったらそれぐらいできるんじゃないかという思いに至ったのだ。散々氷室家の人間の非常識な凄さを感じていたため、感覚がかなり麻痺している様だ。
「……なにアレ、なによアレ!!まるで、伝承やおとぎ話にでる武神や魔神じゃない!!有り得ない!!」
エリカは信じられないものを見たかのような驚愕の表情をし、かなり狼狽していた。
「おい、お前それは酷いんじゃないか?横島だぜアレってよ」
レオはエリカに『何言ってんだこいつ』みたいな顔をしてそう言った。
「そうだよエリカ、氷室だったらできるんじゃない?しかも横島だよ、武神とか魔神とかマンガやアニメの見過ぎじゃない?」
幹比古はどこかずれていたが、エリカに注意的な何かをしていた。
「あ……あんたたち、こ、こ、怖くないの?だって、ビルを破壊するような砲弾を消滅させるのよ?動きがほとんど見えないし、手からなんかビームみたいなのが出てたわよ?」
エリカは逆になんでこの2人が平然としているのかがわからない様子だった。
「はぁ?どう見たって横島だろ!!お前らしくないな」
「うん、横島だね。なんかちょっと大人っぽい感じするけど、横島は横島」
レオと幹比古はそんなエリカに、当然だろうと言わんばかりに返答する。
そんなレオと幹比古の様子に、
「……アレは横島、アレは横島、アレは横島………!!ああ!!なんか腹立ってきた!!なんで私が横島を怖がらないといけないのよ!!アレは間違いなく横島ね!!」
エリカは目を一度瞑ってなにかブツブツと言だし、しばらくしカッと目を見開き、何故か怒りだしたのだ。
ようやく何時ものエリカらしくなり、何か吹っ切れたような表情をしていた。
そして、3人は広場の中央に降り立った横島の元に走って行こうとしたが……
横島を中心に霊気の嵐が吹き荒れ進むことが出来なかった。
広場の中央に降り立った横島はスッと大きく息を吸い込む。
(太い霊脈が通っているここならば……今こそ……)
すみません。結局後1話延長しちゃいました。