横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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ご無沙汰しております。
一応再開目途が立ちまして……徐々に書いて行くつもりです。

別のタイトルで立ち上げるか、続きにするか迷ったのですが……一応続きで出してみました。
横島自体しばらく出ないんで><ご了承ください。

その辺の事ご意見あればよろしくお願いします。



横島喪失編(前)
103話 横浜事変その後 その1


横浜事変と各メディアに呼称される今回の大亜連合による横浜市の大々的な襲撃事件から5日が経ち、ようやく魔法大学付属第一高校も学校再開の目途が付き、本日から生徒は登校となった。

 

横浜は、大亜連合による強力な艦砲射撃により街は半壊し復旧のめどはまだ立たない。そして犠牲者は大凡1万人に及び、市民の多くは家族や親しい人、そして住む場所や職場を失い、何かしらの傷を負ったであろう。

横浜事変について、日本だけでなく世界中で注目され、各メディアは連日のように報道を行っている。大亜連合の新兵器や目的についての憶測や、日本の被害状況や防衛能力などなど……

しかし、この事件にはもう一つ大きな話題が付いて回る。今やそちらの方が日本国民の関心が高いと言っていいだろう。

 

『救済の女神』再び現れる!!

 

連日の報道では、究極の戦略級精神魔法と言われている『救済の女神』が発動していなければ、犠牲者は数倍に膨れ上がり、横浜は壊滅していただろう事……、そして、その『救済の女神』の担い手は誰なのか……など、50年前氷室絹が東京で発動した『救済の女神』の記録や映像、当時と今回を体験した人のコメントや、当時との比較など、各局争う様に色々な企画番組を作りメディアに流している。

氷室神社にも多くの報道陣が詰めかけていたが、氷室家からは今の所コメントは一切無い。

 

 

 

午前の1、2時間目は横浜事変について全校集会があった。当時、全国高校生魔法学論文コンペティションに参加するために、第一高校からも多くの生徒が横浜の国際会議場に足を運び、あの事変に巻き込まれてしまったからだ。

あれ程の中、第一高校から犠牲者は出なかったことだけは不幸中の幸いだった。

 

3、4時間目は構内の清掃に充てられた。横浜事変の2日後の夜半に富士山が一時的に何の予兆もなく噴火をしたのだ。しかも一時間程度で収まったのだ。それでも、噴火による火山灰は風に乗って各地に散らばり、ここ八王子でもわずかだが薄っすらと積もるぐらい降って来たのだ。

しかも、富士山だけでなく、同じような時間帯で予兆もなく日本各地の山々が噴火し、富士山同様一時間程度で収まったのだ。それ以降は、全くと言っていい程鎮静化し、静かなものらしい。専門家も前代未聞の状況だと言っている。

一部メディアでは、大亜連合の秘密兵器だとか、日本の大々的な魔法実験の失敗などなどと取り上げられているが、真相は分からず仕舞い。

 

そして午後から、ホームルームが各教室で開かれる。

 

横浜事変から、学校開始までの5日の間に日本列島の謎の火山噴火だけではない。

横浜事件の後、大亜連合高麗地区鎮海軍港が軍艦20隻と共に消滅、その威力は鎮海港湾の地形がクレーター状に大きく抉り取られ、陸だった場所は海になるほど。後に灼熱のハロウィンと呼ばれる事件だ。メディアは日本による何らかの戦略兵器による報復攻撃との見方が主流だが、この事について日本国は正式会見を行っていない。

 

その翌日には、メディアにも大々的に取り上げられていないが、大亜連合済州島軍事拠点が一部損壊被害が起きていた。他の事件などに比べると人的被害などが殆ど無かったため、メディアの反応も薄いものだ。ただその際、上空で謎の発光現象があったとかないとか……小隕石や軍事衛星の墜落、日本の報復攻撃の失敗などいろいろと噂されるが、両国から正式な発表は無い。

済州島は一大軍事都市ではあると同時に観光地でもあり、多くの市民も生活している。そんな市民などからのネット書き込みなどで漏れ聞こえる噂は、信憑性に欠けるような怪奇現象的な物ばかりだった。

 

そして、その二日後に大亜連合から日本へ停戦宣言がなされたのだ。

 

この5日間の時系列は……

10月30日横浜事変、大亜連合による横浜攻撃

10月31日大亜連合高麗地区鎮海軍港消滅、日本国による戦略兵器による報復攻撃か?

11月1日大亜連合済州島軍事拠点が一部損壊被害、真相は謎のまま。

11月1日深夜、日本列島で相次いで富士山を含む火山が一時的に噴火。

11月2日大亜連合から停戦宣言が発表される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「横島の奴、今日学校に来なかったわね」

 

「ああ、……そう言えばあいつ、今まで学校サボった事なかったよな」

 

「氷室家に呼び戻されているのかも」

 

「…まあ、こんなに報道されてれば有り得るかもね」

 

エリカ、レオ、美月、幹比古は学校再開の放課後に何時もの喫茶店で集まっていた。

因みに、他の面子は深雪とほのかは生徒会、達也は風紀委員会。雫はいそいそと学校を後にしていた。

 

 

 

「横島……また軍に捕まっていたりして」

幹比古は横島が学校に来ない理由として軍が関与しているのではと言う。

 

「幹比古……それを言うなよ、一番有り得るんだからよ」

「幹は相変わらず空気が読めないわね」

レオとエリカは幹比古にそう突っ込んだが、どうやら二人も同じことを思っていた様だが、あえて口にはしなかった様だ。

 

「だったら、達也さんに聞いてみては?」

美月は皆にそう提案する。

横浜事変の際、達也が軍属であることを知る事になったのだが、軍からは口止めはされている。

 

「それは、気まずいわね。ただでさえ、軍に所属している事は秘密だし……しかも達也くんなんだか元気ないように見えるし……」

 

「おう、お前もそう思ったのか?そうなんだよ、達也の奴いつも通り見えるんだが、何となくだがそんな感じがする」

 

「そうですね。達也さんの霊気の波動が微妙に揺れてました」

 

「そこまでは思わなかったけど確かに僕もちょっと違和感あったかな」

 

達也は何時もの通り喜怒哀楽の無い表情やスマートな言動や行動だったのだが、友人連中からは少し元気がないように見えたようだ。

 

 

 

この喫茶店でも連日の報道の様子がモニターに映し出されていた。

 

「……でよ、横島、スゲー奴だったんだな。テレビとか見て改めて思ったぜ」

 

「はぁ?あんた本気で言ってんの?あの横島見て、尋常じゃないことぐらい分かりなさいよ!!」

レオのボケた発言につい声を荒げるエリカ。

 

「でもよ、横島だぜ?あいつ見ているとスゴイとかいうイメージが無いというか……ああっ!!よくわからんが、横島は横島に見えるんだよ!!」

レオはどうやら、自分でもよくわかっていない様だが、いつも一緒にバカやっている横島のイメージと報道されている第三者的な目線でいう『救済の女神』(報道では横島とはばれていない)とのギャップの激しさを消化しきれていない様だ。

 

「横島があの『救済の女神』の後継者だよ!!まあ、知っているのは僕たちだけだし、この感動は誰にも言わないけどね!!でもアレは凄かった!!」

幹比古もその話題になると興奮気味になる。

 

「………『救済の女神』はいいわよ……横島は氷室だし、出来るかも、って思うじゃない………そ・れ・よ・り・も!その前のアレの方がとんでもないわよ!!」

エリカがそう言ったのは、報道されていない部分についてだ。

大亜連合の艦船から放たれる艦砲攻撃を次々に迎撃していた事を指している。

実際の目撃者は横島の友人達と一部の軍の人間だけだろうが………

 

「うーん、でも、横島さんの『救済の女神』発動も物凄かったけど……」

美月は他の3人と違い比較的近い位置で横島の一部始終を見ていた。横島が砲弾を迎撃する様は動きが速すぎて何をやっているのか正確には分からなかったのだが、『救済の女神』発動時の横島が多数の術式を瞬時に組上げて行く様子が全てではないが見えていたのだ。

 

「美月!あれよ!!手からビームみたいのが出てたのよ!!しかも一発じゃないわよ無数によ!!もう何あれ!?映画でみる宇宙大戦の戦艦やロボットアニメみたいじゃない!!」

 

「エリカ、声大きいよ」

興奮し声が大きくなって行くエリカを幹比古が諫める。

 

「……だって、達也くんと深雪も人間離れした魔法師だなって思っていたけど、横島のアレは人間離れとか魔法師とか言うレベルじゃないわよ。報道でも新型の兵器だとか言ってるマッハ7とかで飛んでくる砲弾を片っ端から迎撃できるのよ?そんなの普通じゃ有り得ないし……一人で小さな国ぐらいだったら滅ぼせるレベルよ!?」

エリカは声を小声にして、テーブルに体を乗り出し皆に顔を突き出し話す。

 

「まあ、そりゃそうだけどよ、横島だぜ。そんな事するわけないだろ?」

「そうだよ、横島がその気だったらとっくにそうしているし、もしそんな事になったら、変態の王様誕生だよ」

レオと幹比古がそんな事をするわけないだろうと呆れた目でエリカを見る。

 

「例えよ、私だって本気でそんな事するとは思ってないわよ……普段のあいつ見ればわかるわよ……そうじゃなくって……人間じゃなくて、何もんなのって?」

 

「何者ってなーー、横島だろ?」

「うん、横島だよ。でエリカが言う何者ってなんなのさ」

 

「うう……神様とか?悪魔とか?」

エリカは躊躇しながらも答える。

 

「お前流石にそれは……プクククククッ横島が神だ?あんなスケベな神いるか?クククククッ、よしんばスケベな悪魔だぜ」

レオはエリカの言に笑いを堪えるのに精いっぱいだ。

 

「私だって自分で言ってて変だって分かっているわよ。でもアレを間近で見ちゃったら、どう表現するのよ」

 

「……うん、戦っている横島さんの霊気、ものすごく綺麗だった。人間が……あんなに清らかな霊気を纏えるんだって思っちゃいました………もしかしたら私たちをあの場で助けてくれるために使わせた神の使いなのかも?」

 

「へ?柴田さんも何言ってるの?横島、自分で昔は霊気を見る事が出来なかったって言ってたし、なんだかんだと修行をたくさん積んでるような話しぶりだったじゃない。だから、人間離れした修行をしてたんじゃないのかな?」

 

 

「「…………」」

 

 

「まあ、横島の奴、その内ひょっこり学校に顔を出すだろ。そん時聞けばいい、あいつも京都に戻る際に話してくれるって言ってたしな」

 

「そうなんだけど……」

エリカはまだ何かを言いたそうにする。

 

横島は『救済の女神』を解除し、真由美と摩利に合流した後に京都に戻る事を伝え、横島が行った数々の術や『救済の女神』について黙っていてほしいと頭を下げ、時期が来たら話せることは話すと言って、走り去ったのだ。

 

 

 

しかし……横島は学校が再開して一週間経っても学校には現れなかった。

 




ついに再開しちゃいました。
投稿ペースは前に比べ落ちるとは思いますのでご了承ください。

しばらく横島くん登場しない予定ですので……よろしくお願いします。

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