横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

横島出ません><

今回は氷室家での話です。



105話 横浜事変その後 その3

横浜事変当日、氷室村奥氷室神社

 

14代目当主氷室恭子、15代目当主氷室蓮の娘、要と彩芽は奥氷室神社の恭子が住まう母屋に集まり横浜事変の速報をTVとネットを確認していた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫だよね……」

彩芽はTVで流れてくる速報を聞き心配そうにする。

TVの情報では現場の映像こそ規制がかかり中継されていないが、アナウンサーや文字放送では横浜では大規模なテロ事件に発展している事が伝えられ、さらに横島が通っている魔法科高校の生徒が横浜国際会議場に取り残されていると報道されていたからだ。

 

「大丈夫よ。忠夫ちゃんは横浜に行ってないわ、一週間くらい前に自分は京都に行くことになったから土産は何が良いかってわざわざ電話を掛けてくれたもの」

恭子は二人の孫にそう言って落ち着かせる。

横島は論文コンペの1週間前に恭子の家と蓮の家にそれぞれ電話をし、論文コンペ当日京都に行くことになった事と、11月の3連休には氷室村に帰る事を伝えていた。

当然彩芽も要もその事を知っているのだが……

 

「おばあちゃん……でも、横島くん電話がつながらない……」

要は電話を何度もかけているが繋がらないため、横浜に居ないと分かっていても心配そうである。

 

「要ちゃん、彩芽ちゃん、もし忠夫ちゃんが横浜に居たとしても、あの忠夫ちゃんよ、何があっても大丈夫。知っているでしょ?すごく強いんだから、ね」

恭子は片腕を上げ、ガッツポーズを作る様な仕草をし二人の孫に笑顔を見せる。

内心では横島が横浜に向かっているのではないかと思っている。あの優しい横島がクラスメイトのピンチに駆けつけないはずがないと……

 

 

TVやネットでは色々と情報が流れるが、詳しい状況は入ってこない。

しかし、その間、15代目氷室蓮、敦信夫婦は関東地方にいる氷室家の家人や、東京に拠点を置く六道家本家と情報のやり取りをし、情報を集めていた。

六道家は、横浜から近いこともあって、大規模な遠見の術と式神を飛ばし、横浜の状況をかなり正確に把握していた。

直前の情報では、遠距離砲撃のような物が行われ、横浜市街は壊滅状態との情報が入っていたのだ。

 

 

「!!」

恭子は急に立ち上がり、急いで奥氷室神社の本殿裏にある道場に行く。

今まで感じた事も無いとてつもない巨大な霊気が横浜の方角で現れた事を感知したのだ。

しかも、恭子は確信している……巨大ではあるが淀みなく澄み切った霊気、どこか懐かしさも感じるその霊気は間違いなく横島のものだと……

 

道場では、蓮と敦信夫婦以外にも氷室家家人が忙しなく、電話やネットなどを利用して、情報を収集していた。

 

「お母さん……この巨大な霊気は…………」

道場に入ってくる恭子を視界に入れた蓮は、恭子を見据える。

 

「蓮………」

その蓮の反応に恭子は大きくうなずく。

蓮もこの巨大な霊気が横島の物だと感知したのだ。

 

 

そして……

横島の霊気が一気に膨れ上がるのを感じる。

横浜では今まさに『救済の女神』が発動したのだった……

「ああ………忠夫ちゃん、やはり、あなたは………」

 

 

 

 

 

 

 

翌日

下氷室神社では沢山の報道陣が詰めかけていた。

 

報道陣に対し氷室家当主として、蓮は一言そうコメントしたのみであった。

「ただ、ただ、遠方より傷ついた方々にお祈りを捧げるばかりです」

 

『救済の女神』の発動及び発動者についてのコメントが欲しい報道陣はそのまま下氷室神社の境内の周りに居座ったままである。

 

 

今だに連絡がつかない横島に、要と彩芽は心配ではあるが、学校は普通に授業があるため登校している。

 

恭子は今朝、六道家当主と画像通信で最終的な情報交換を行っていた。

横浜の被害状況そして、巨大な霊気の主について……

六道家当主は自らの強力な式神で近づけるギリギリの範囲からその様子を一部始終見ていたとの事だった。

第一高校の制服を着た少年が巨大な霊気を纏い、その霊気を自在に操り、敵艦砲射撃を感知できないほどのスピードで次々と迎撃していた事。そして、失われた太古の術式を発動させた事。

そして、『救済の女神』を霊脈を使い発動させた事を……

 

六道家当主は代々12体の強力な式神を操る事が出来る。それは現代魔法では考えられない様な代物だ。その強大な力もさることながら、その式神は自らの意思を持っているからだ。

そんな式神を擁している当主の話だ。

通常では考えられない事象だが、まず間違いないと判断できるのだ。

 

 

恭子は一人、絹の墓の前で祈りをささげている。

 

恭子はずっと考えていた。

13代目の遺言通りこの氷室神社に現れた横島忠夫という少年。

霊力を自由自在に操り、古文書にも残っていない様な術式をも平然と使いこなすことが出来る。

 

氷室独自の術式をかの少年は知っていた。しかも、その性質まで知っているかのようだった。

氷室村を覆っているこの強力な結界は、彼の霊気となぜ同じなのか………

 

そして今回の件……ついには自分では使いこなすことが出来なかった『救済の女神』と呼ばれる最高難度の術式。実際には13代目独自の術で名前も無いものであった。

それを、発動させた。

 

氷室家中興の祖と言われる13代目氷室絹。その在位も長く大凡60年、しかしそれ以前の氷室神社は境内こそ広かったものの、さびれた地方神社と同じであったとも言われている。

それを一代で政府も無視できない程の日本屈指の名家までのしあげた。

本人はそのつもりは無かったようだが、絹の行いが自然とそうしていったのだ。

 

その氷室絹は晩年には最後の弟子である恭子によく昔の話をしていた。

特に恋人の話になると顔を赤らめ、恥ずかしそうにしながらも、楽しそうに語ってくれたのだ。

 

それが横島忠夫であると恭子は確信する。

 

どうして、当時の絹の前から消え、今、氷室家に若い姿のまま現れたのかは分からない。

もし絹の恋人で、少なくとも同い年で有ったならば、120才である。どう考えてもあり得ない話だ。

さらに、横島忠夫の記録は氷室だけでなくこの日本の何処を探しても一切無いのだ。

他の人が聞いたら誇大妄想だろうと言われるかもしれない。

しかし、そこさえ目を瞑れば、全て辻褄が合うのだ。

 

そう考えると、この氷室の術式や今の氷室の基盤も、絹と共に横島が作ったものかもしれない。

結界の件や氷室独自の術式を知っていた件もそれで説明がつく。

 

 

「忠夫ちゃん……いえ、横島忠夫さんはあなた様の思い人だったのですね」

 

 

 

 

 

 

 

しかし、当の横島はその後も連絡がつかないままであった。




うーん、次の次位で事態が動く予定です。
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