誤字脱字報告ありがとうございます。
ようやく今回で横浜事変その後が終了いたします。
正直今回は飛ばしてもいいレベルの話しです。
まったく話が進んでいません。
次回からようやく、少しづつ事態が分かってくる感じです。
横浜事変後、第一高校が再開して既に1週間経過している。
しかし、横島は一向に学校に現れなかった。それどころか連絡すらつかない状況である。
美月の提案で、何時ものメンバーは放課後、横島が住まうマンションに行ってみる事になった。
「……たく、横島の奴どこ行ったのかしら、連絡くらい寄越しなさいよね」
「ホントだぜ。でもよー、達也誘わなくてよかったのか?」
「風紀委員会とかで達也さん忙しそうだし……それと、なんかこの頃……様子がおかしいですよね」
「確かにそうだね。達也が実技の授業で失敗するなんてこと今まで無かったし、体育の時間もどこか心ここにあらずって感じだった」
「「「「うーん」」」」
エリカ、レオ、美月、幹比古は横島が学校に来なくなったと同時に達也の様子もおかしい事に疑問を持ちながらも、横島が住まうマンションの近くまで来ていた。
「やっぱ、軍で何かあったのかな、横島が軍に捕まっているとか……それが僕たちに軍規で話せないから、あんな感じに」
「……うーん、なんか聞きにくいのよね。深雪も達也くんの事心配そうに見つめているし」
「でもよー、ちょろっと話してもいいんじゃないか?達也の奴」
実はレオは既にそんな静止も聞かずに、3日前に堂々と達也に聞いていたのだが、本人は知らない趣旨の話をしていたのだ。その話しぶりはどうもレオには引っかかっていた。
「達也さん本当に知らないのかもしれませんよ」
そして一行は横島の住まうマンションの前まで来る。
「ここだよ」
「へーーー、古そうだけど意外とまともなところに住んでるじゃない」
「そう言えば、俺は初めて来るな。柴田と幹比古は何回か来たことがあったよな」
エリカとレオは横島のマンションに来るのは初めての様だ。
「はい、3回ほど吉田君といっしょに、霊力について聞きたかったので……」
「はぁ、私も横島に習おうかなー、美月なんて凄い成長してるし。今は本人いないけどね」
エリカはそう言いながらエレベータのボタンを押す。
エレベータから降り、美月を先頭に横島の部屋の方へ向かうと部屋の前に見知った顔の人物が俯き加減で座り込んでいた。
「雫……あんた何やってるのよ」
「……横島さんを待ってる」
雫は座ったまま顔を上げ無表情でそう答えるが、どこか寂しそうだ。
「雫さんもしかして……授業終わって直ぐに帰るのはここに来るために?」
「……うん」
雫は毎日放課後ここに通って、こうして横島の部屋の扉の前に座り込んでいたのだ。
「横島やっぱり帰ってないのか?」
そんな雫にレオはぶっきら棒に聞く。
「……うん」
「あいつ、ホントどこ行ったのよ!!みんな心配しているのに!!」
エリカはそんな雫を見て、ここに居ない横島に憤る。
「あれ?忠夫ちゃんのお友達かな?」
「あら、あなた達……」
「あ、眼鏡のお姉ちゃんと小さなお姉ちゃんだ、ひさしぶり」
「あっ……」
雫はその声に反応し、現れた40~50代の女性と見知った顔の二人の少女の顔を見る。
「「誰?」」
レオとエリカは全く知らない顔である。
「久しぶり」
幹比古は気軽に挨拶を二人の少女にする。
「あっ、こんにちは、要さんに彩芽ちゃんお久しぶりですね………!!!?ま…まま?」
美月も二人の少女、氷室要と彩芽に挨拶をするが……二人の前に居る女性を見て急に驚いた顔をして固まっている。
「その様子だと、横島くんは居ないみたいね」
要はそこにいた第一高校の制服を着ている横島の友人達を見てそう言った。
「こんなところでなんだから、部屋に入りましょ」
40~50代の女性はにこやかな笑顔でそう言って横島の部屋のカギを開け、扉を開き部屋の中に入るように促す。
全員部屋に入ったところで、その40~50代の女性は少し考えるそぶりをしながら
「氷室恭子です。忠夫ちゃんの……うーん……お母さん?おばあちゃんかな?をやってま~す」
茶目っ気一杯の自己紹介をする。
その自己紹介を聞き当然の如く。
「えーーーーーーーー!!氷室家14代目当主っ!!きき、救済の女神、最後の直弟子!!」
幹比古はまたしても叫ぶ。本人の目の前で失礼極まりない。
「幹うるさい!」
「ままさ、まさか……きょきょっ恭子様!!」
美月は既に気絶寸前だ!
顔を見た時からわかっていたのだが、改めて憧れの氷室家当主が目の前で自己紹介をしているのだ、こうなって当然だろう。
「おお!?おい、大丈夫かよ」
今にも倒れそうな勢いの美月の背中を手の平で支えるレオ。
「相変わらずねあなた達、始めての人もいるみたいだから自己紹介するわ……氷室要、14代目の孫になるわ」
要は呆れた顔をそんな二人に向け、初顔のレオとエリカに自己紹介をする。
「私も孫の彩芽でーす!」
それに続いて、要の隣で元気よく彩芽も自己紹介。
何時ものメンバーもそれに習って自己紹介を始める。
「俺は横島……横島くん?の友達で西城レオンハルト……この子がフェイ弟を一人で倒したのかよ」
レオは横島をくん付けにするのにかなり違和感を持ったようだが何とか自己紹介をするも、要の挨拶を聞いて、まじまじとその立ち振る舞いを見て感心した様にそう言った。
「私も同じく横島くんのクラスメイトで、千葉エリカです」
エリカはネコを被りきちんとした自己紹介をする。
「……北山雫です」
雫は元気なく自己紹介をする。
「吉田幹比古です!!お会いできて光栄です!!」
幹比古は興奮したまんま自己紹介をする。前よりは随分ましな対応だ。
「あ、あのあの、私、横島さんの友人で柴田美月です……あのその」
美月は何とか気絶を免れ、気力を振り絞って、恭子に挨拶をし、何故か手を出して握手を求めた。
すると恭子はその手を笑顔と共に握り返した。
「!?きゅぅぅぅう~」
「あら、あら~、大丈夫?」
その様子に流石に心配する恭子。
美月は恭子の握手に悶えながら、意味不明な言葉を吐きその場でノックアウト。レオが倒れそうになった美月を支え、恭子とエリカがリビングとなっている部屋の絨毯の上に取り合えず寝かせる。
「あの……横島さんはその後、氷室家に帰っていないの…ですか?」
雫は自己紹介が終わったと見て、恭子をじっと見据え、恐る恐るそう質問した。
先ほど、横島の部屋の前での要の言動と、ここに氷室の重鎮が来た事から、横島が氷室にも帰っていないのではないかと思ったのだ。
「そうなの、忠夫ちゃんは元々そんなに頻繁に連絡をする人じゃないのだけど、あんなことがあったし、連絡してもつながらないし、学校に行っても居ないみたいだったから、私は大丈夫って言ったのだけど、家のみんなが心配してね。それでこの子たちと様子を見に来たのよ。……どこに行ったのかしらね~こんなにみんな心配しているのに~」
「そう…そうですか」
雫は俯き眉を顰める。
「私たち、横浜のあの襲撃に巻き込まれて、その時まで一緒に居たんです」
「ああ、俺たちは横島が来てくれたおかげで助かったんだ。あいつわざわざ横浜まで助けに来てくれたんだが……」
エリカとレオは横浜のあの事件の時には横島と一緒に居た事を伝える。
「あなた達、横浜で……やっぱり横浜に居たんだ横島くん。その後はどうしたのかしら?」
要は『救済の女神』発動は横島が行った術式だと知り、横浜に居たのだと理解したが、それでも半信半疑であった。
「京都に戻る……そう言って別れてから連絡が……つかない」
雫はそう言って涙ぐんでいた。
「お兄ちゃん……どこに行ったのかな~」
それにつられて彩芽も俯き涙をこらえる。
「大丈夫!!君たち、忠夫ちゃんと横浜にいたんでしょ?それだったら、忠夫ちゃんの強さが分かるよね?まあ、そのうちにひょっこり帰ってくるわ~」
恭子はそんな暗い雰囲気を払拭すべく元気よくそう言った。
「うーん、でも、横島、いえ、横島くん、軍に目を付けられてるみたいだし、何らかの理由で監禁されているのかもしれない。以前もそんな事有ったし」
幹比古は横島が戻っていない理由を自分なりに推測し簡単に説明する。
「そうなの?」
恭子にとってそれは初耳であった。
「それはあり得るかもしれません」
「有り得るな」
猫をかぶったままのエリカとレオも幹比古と同じ意見だった。
「監禁!?横島くんを!!」
どうやから要は怒りがふつふつと沸いている様だ。
「忠夫ちゃんここにも帰ってないみたいだし……あんまり本人居ないのに長居しちゃうのも悪いから、どこか休憩できるところでお話しましょ」
恭子は一通り横島の部屋を見回り、皆にそう言って、一同部屋を後にする。
勿論、ダウンしている美月を起こし連れ出すのだが、美月のテンションはおかしい状態が当分続く。
この後、恭子達と横島の友人達は、近くの喫茶店で横島が行きそうな場所や姿を消した直前の状況を詳しく検証し話し合いをしたのだが、結局、横島がどこに消えたのか結論は出なかった。
恭子は横島の友人達に氷室の連絡先を教え、何かわかったら知らせてくれるようにお願いし、その場は解散しそれぞれ帰路につく。
ただ、横島の友人達は漠然と軍(防衛軍)が関わっているのではと疑っている事が気になり、恭子もその線で横島の行方を捜すことになるのだが……
恭子達はこの後、九重八雲に会うために九重寺へ、そして、六道家本家に向かい横浜事変の件と横島の行方について聞くために訪ねるのだった。
ようやく、その後タイトルが終了。
本格的に次回から2章に突入です。