横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

この横島喪失編(後)は、かなりGS色が高い感じになっております。
一応、横浜騒乱編と来訪者編と間で原作ではあまり書かれていないの間のストーリーです。

一応、劣等生の過去編と掛けているつもりで、横島の過去やらをちょろっと出す予定です。
現在ダメな横島全開中のギャグパートになっております。



111話 記憶喪失、過去の横島少年、煩悩と文珠

横島が落ち着いたところで、ドクター・カオスは軽い食事を行った後、話し合いを始めた。

先に横島の世界(正確には過去の世界)について語りだす。

 

「なんと!!幽霊に妖怪とな!!そんなものが存在しているのか!!それの退治を生業にしていたと!!実に面白い!!………それで、お主の世界のわしも天才だが、ボケて落ちぶれていたとは!!くーーー、わしの癖に情けない奴じゃ!!」

カオスは横島の話を食い入るように聞いていた。実に楽しそうである。

マリアもその横でジッと横島を見つめている。

 

「な……なんと!!神と悪魔が存在していたとは!!伝承とほぼ一致するではないか!!……わしも行ってみたいなお主の世界、実に楽しそうじゃ!!」

カオスは横島の話に興奮しっぱなしである。

 

次にカオスが今のこの世界の状況を説明した。

「妖怪や幽霊、神や悪魔がいない世界か……ピンと来ないな、でも、危険は少なそう………そうか、霊能力はあるけど、ゴーストスイーパーは必要ないし、そんで魔法が発達したのかー」

横島は落ち着いてカオスの話を聞き、感慨深そうにしていた。

 

「え?第三次世界大戦?世界の冷却化?終わらない戦争?……魔法による殺し合い……」

横島はそんな世界の在りように顔をしかめる。

 

続けて横島はカオスに質問をする。

「じーさん。俺の過去の世界にもマリアやじーさんが居たんなら、俺の知り合いもこっちにいたのか?」

 

「おお、それじゃ、お主の世界とこの世界はかなり共通点が多い、わしが知っているだけで、お主の知り合いでは、美神令子と氷室絹は有名じゃ、その他もちょっと調べれば出てくるかもしれんな」

 

「美神さんとおキヌちゃん!!今どこに?」

 

「焦るな、ここは100年先の未来じゃぞ、すでに死んでおるわ……美神令子は辣腕魔法師として有名じゃったな、富豪の旦那と結婚してUSNAに住んでおったな、結婚後は魔法師というよりはビジネスに傾倒し、その辣腕をふるっておったわい。

それと氷室絹、あの者はわしほどでは無いが、世界でも有名人じゃ、世界唯一の防御系戦略級魔法師、『救済の女神』の氷室絹、わしもあの魔法の事が知りたくて、45年前かの、会ったことがあるのじゃ、あの魔法は知れば知るほど凄まじい。理論は現代魔法とはかけ離れていた事を覚えておるわい」

カオスは美神と絹の事を思い出すように語りだす。

 

「美神さんは相変わらずやなーーー、しかし結婚って、くそっどこのどいつじゃ!!あのチチ・シリ・フトモモは俺のものじゃーーー!!で…………おキヌちゃんそんなことに……すごいな、結婚は?」

 

「いや、一生独身じゃったはずじゃ、今も、氷室家は日本でも有名な魔法師の大家じゃよ……そういえば、マリアよ、お主、やたらと氷室絹を気に入っていたようじゃな」

 

「イエス・ミス・キヌ、横島さんと・同じ感覚」

マリアもカオスと一緒に絹に会っていた様だ。

 

「そうかぁ……おキヌちゃん、あんなにいい子だったのに世の男どもは何をやってたんじゃ!!………アレ?そう言えば俺は?……俺だけ、有名じゃない?ただの一般人……まさかの犯罪者に?」

いくら記憶が無いとはいえ、横島は言ってはいけない事を口走る。絹に大変失礼な話だ。誰かが聞いたら噴飯ものである。ある意味犯罪者扱いされても仕方なかろう。

 

「いや、わしはお主が目覚めた後、すぐに検索を掛けた。過去の記録をさかのぼってな、しかしどこにも存在しなかった。横島忠夫という人物は居なかった」

 

「はぁ?なんじゃそりゃ?俺だけいない?」

 

「そうじゃ、お主の父と母と言っていた横島大樹と百合子という人物は存在した。しかしその夫婦には子供がおらんかった…………フフフフフッ、ハーッハハハハハッ、お主のいた平行世界とこの世界は余りにも共通点が多すぎる。さらにお主じゃ、なぜお主だけおらん。フハハハハハッ、楽しげなことが起きる予感がするぞ!!面白い!!フハハハハハハハッ!!」

 

「ちっとも楽しくないわーーーーーーー!!帰らせてくれーーーーーー!!」

実に楽しそうにしているカオスに横島は涙を飛ばしながら叫ぶ。

 

「クククククフフフフハハハハッ、心配するな、きっと帰してやるぞ!!こんな楽しいことを他の連中にやらせてなるものか!!フハハハハハハハッ!!」

カオスは実に楽しそうだ。

 

「本当だな!!帰してくれるんだな!!嘘だったら泣くぞ!!」

既に泣きが入っている横島はそんなカオスを見やり、失敗するかもと思わずに入られない。

 

「まあ、それまではお主はわしの助手扱いじゃ、どうせこの世界ではお主の身元はないのじゃからの、気長に待て」

 

「早くしてくれよーー、ううう、仕方ないか、知り合いがいただけでもマシか……」

 

こうして、アシュタロス戦前までの記憶しか残っていない横島は、ドクター・カオスの助手として、行動を共にすることになった。

 

 

 

 

 

その晩、横島は、カオスの自宅で与えられたかなり豪華な部屋で

「そう言えば……文殊を使えれば、過去に戻れるかも……文珠!!出ろ!!…、オエー、ゲホッ、頭がッ割れる~!!」

文珠を生成しようとした横島は強烈な頭痛と吐き気に見舞われる。

 

「ゲホッ、な?なんで?」

 

横島は、続けて、ハンズ・オブ・グローリーとサイキック・ソーサーを発動させるが、普通に現れる。

 

再び

「文珠!!……うわっ、ぐっ、オエ~………なぜだ?、くそっぉぉぉぉぉぉ、エロビデの返却期限がーーーー!!、頭痛がなんだ!!吐き気がなんだ!!おキヌちゃんに返してもらうほど気まずいものはなーーーい!!」

文珠を生成しようとすると、激しい頭痛と吐き気がどうしても起こり、生成できない。

生成できる気配は十分にある。さらに霊力も高まっている気もする。だが、横島の魂に刻まれたトラウマは、そんな記憶を消失している今の横島にも顕著に影響している様だ………

 

しかし、この時の横島は、世界の事とか世の中の事と人類の未来とか妖魔と人間の戦争とか、そんな事は一切考えていない、真に自分の生きたいように生きていた横島なのだ!!

 

「文珠!!……頭がッ!!くーーーこういう時は!!煩悩全開!!!!!!!!

【いやっ、でも~横島くん~ちょっとだけだったら~♡(冥子)】

【この頃横島くん、シャワー覗きに来ないわね~(令子)】

【ちょっとぐらい触ってもいいわけ///(エミ)】

【帯を解くの手伝ってもらえませんか♡(小竜姫)】

あはっあははははっ!!みなさん!!ごっつぁんでーす!!」

 

横島の真の力、煩悩パワー復活である。妄想100パーセントのお姉さま方の脳殺シーンにショートストーリー足した自家発電!!

 

そうして、手のひらに輝く珠が生成された!!しかし霊力はそれほど内包されていない様だ。

 

「はーっ、はーっ、はーっ こ……これは、キツイ、まあ、使える程度のものが出来たが、この分だと3日で一個を出来ればいい方か、予定では過去に戻るには20個必要だから2ヶ月くらいはかかるかな~、でも文珠の頭痛の時に頭によぎる映像はなんだったんだ?まあ、煩悩で上書き出来たけど……しかしあの映像は……」

どうやら文珠生成時、過去のトラウマの映像が頭によぎるようだが、悲しいかな、17才の横島の煩悩パワーで相殺された様だ……………しかし、横島は疑問に思うあの映像は……なんだったのだろうかと………

 

 

 

 

 

 

数日後、

ドクター・カオス、マリアと横島はUSNAの依頼を受けるべく、ダラスにある某研究所へと行くために、自家用ジェットで近くの空港まで行き、しばらく滞在するためUSNAが手配したホテルに荷物を置きに行った。

 

「ドクター・カオス、お迎えにお伺いいたしました」

ホテルに着いて早々、ドクター・カオスに依頼者であるUSNAから使いの者が来たのだ。

 

「なんじゃ、忙しないのー」

 

「ベンジャミン・カノープスと申します。貴方の道中の護衛を私共が仰せつかりました。以後お見知りおきを」

そう言って、USNA海軍風の服装をした偉丈夫が握手を求めた。

 

「フン、護衛などいらんわ。にしても、USNAが誇る精鋭部隊スターズがお出迎えとは、きな臭いのう」

 

「ご存じでしたか、流石はヨーロッパの魔王ドクター・カオス、無礼をお許しください」

 

「世辞はいい、早速案内せい、マリア行くぞ……小僧は残っておれ」

 

「え?置いてけぼり?」

 

「小僧、とりあえずは様子見じゃが、場合によっては時間がかかるかもしれん。小遣いを渡してやる。観光でもしてこい」

そう言って、カオスは横島にブラックカードを渡す。

 

「横島さんと・いっしょがいい」

 

「マリア、聞き分けてくれ。次はそうする」

 

「……イエス」

マリアは無表情ではあるがどこか残念そうだ。

 

「ま……まじ?」

横島は不安で仕方が無かった。高級ホテルとは言え来たこともない異国の地で置いてけぼりにされるのだ。

 

「いや……これは、これで……OKじーさん、気をつけてな~」

しかし……横島は一瞬何か考えそう返事をした。

 

 

カオスとマリアが、スターズの護衛と共に高級車でホテルを後にした後、横島はホテルの部屋に戻り、カオスから渡された情報端末を不器用に操作し、何やら調べていた。

 

しばらくし、何故かスキップをしながら部屋を出、ホテルから出て行く横島。

中心街の方へ向かって歩き出す。そして……

 

 

 

「Im Yokoshima. Do you want to have some coffee? There’s a cafe over there.」

(僕、横島 コーヒーでもどう?あそこの喫茶店で!!)

 

「Im Yokoshima. Can I have your e-mail address?」

(僕、横島 メールアドレスを教えて!!)

 

やっぱりと言うか、当然というか、下手くそな英語でナンパをする横島……やっている事はアメリカだろうが、日本だろうが、過去でも、未来だろうと一緒なのだ。

そして、当然のことながら成果はゼロ、ここでもゼロの横島を更新中だった。

 

 

「……なんでじゃーーーー!!このサイト『海外でも絶対成功するナンパ最強マニュアル』通りにやってるのにーーーーー!!未来でもイケメン基準は一緒なのかーーーーー!!」

横島は街中でいつも通りの雄たけびをあげる。どこに行っても横島は横島だった。

 

 

 

 

 

一方カオスはダラスのUSNAの研究所に着き、主任研究員からマイクロブラックホール生成、蒸発実験の結果やその工程について説明を受けていたのだが、急に立ち上がり、研究者たちに珍しく大声で一喝していた。

 

「お主ら、それでも研究者か!!結果をも想定せずに実験を敢行するなどもっての外じゃ!!お主らは何がしたくて、このような大それた実験を行ったのじゃ!!」

 

この実験は、元をたどれば、『灼熱のハロウィン』で起こった大爆発を解明するため、もっと言うと、同規模のエネルギーを再現するために行った実験なのだ。要するにUSNAではまだ確認されていない未知の魔法に恐怖し、達也のマテリアル・バーストに対抗するために同規模のエネルギー反応をこの実験で確認し、それを解明し、あわよくば同じ規模の魔法を開発しようという事なのだが………あまりにも、希望的観測過ぎる理論の解釈の元行われており、偶然の産物に期待するようなお粗末極まりない実験だったのだ。あわよくばマテリアル・バーストと同じような現象が起きればいいな程度の話で、このような大規模実験を行ったのだ。さらに失敗した時にリスクを考えていない様なとんでもない話だった。

しかし、カオスが怒っているのはそこではない。

研究者として、こういうものが出来ると計算しつくし、信念と確証を持って行った実験で失敗するのはいい。そんな信念も持たずに、ただの偶然を期待するだけの実験は失敗して当たり前だと言っているのだ。そんな実験失敗のケツ拭きをカオスに押し付けようとしたからなのだ。

 

「……お主らに言っても無駄じゃ……で、どのような副次的現象が起きたんじゃ?」

カオスは座りなおし、そう言って、本題のこの実験による副次的現象、要するに想定外の事象について何が起きたのかを聞いた。

 

「その、次元に穴が開いたことが分かったのですが……」

 

「ほう、それは面白いではないか……データを見せてみよ」

カオスはタブレット端末に送られたデータを確認しだし、しばらく沈黙が続く。

 

「む……確かに次元に穴が開いたようじゃが、この実験ではこのような現象は起きんじゃろう……確かに不可解だ。確かにエネルギー的には可能なようには見えるようじゃが……ふむ………その時の映像やらはあるか?」

 

「はい」

 

「………なんじゃ?この嫌な感覚は……以前にも感じたような……でこの穴は閉じたのだな?」

ドクターカオスは画像処理が施され、視覚化された次元の穴の映像を見て、何故かこのように感じていた。

 

「……はい、開いたのは一瞬でして……それはそうなんですが」

 

「なんじゃ、はっきり言え!」

 

「それだけでは無く、この実験に関わったもの、護衛やまたは職員などが、相次いで失踪しまして………」

 

「職員へのメンタルケアはしていないのか?」

 

「はぁ、この施設には居ただけで、直接実験に関わっていないものまでおりまして」

そんな曖昧な言い方をする主任研究者

 

「関連性がわからんと……失踪だけではわしを呼ばんじゃろ、他にあるのだろ?」

 

「はい。失踪者には軍人も含まれており……その、失踪者が出た後、街で相次いで不可解な殺人事件が頻繁に起こるようになり……もしや、実験が人に悪影響を与え、その失踪者は何らかの理由で殺人行為をしているのではないかと……」

主任研究者は言いにくそうに話す。

確かに、この研究所に関わった人物が失踪して殺人鬼になっていたなんてことが公になれば、とんでもない事になるだろう。

 

「ふむ、根拠は?」

 

「状況判断だけです」

 

「まあよい、次元の穴はワシもお目にかかりたいしの。そっちのデータは頂くとして、要するにわしへの依頼は、この実験が人間に如何なる悪影響を与えるかを検証すればよいのだな。ならば、再度実験を行う可能性があるがよいか?失踪者に対してはお主らで何とかせい」

 

「受けて下さるのですか?」

 

「よかろう、報酬はたんまり頂くがな」

 

主任研究者は今まで緊張した面持ちで話していたが、ようやくホッとした顔をした。

 

 

 

 

一方横島は

「アレ?……ここどこ?」

……絶賛迷子中だった。




一応ここでは文珠復活したように見えますが、真の意味では復活してません。
過去の横島が生成したものであって、全盛期の横島が生成したものとは比べものにならない設定です。

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