横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

続けてリーナの回です。
設定とかはいじっています。




113話 アンジェリーナ・シリウス

 

 

横島は今、絶世の美少女でUSNAが誇る精鋭部隊スターズの総隊長、アンジェリーナ・シリウス少佐と行動を共にしている。

「アンジェリーナちゃん!あそこの喫茶店で休憩とかどう?」

 

「横島さん、あなたは、殺人犯に狙われているのかもしれないのよ?」

アンジェリーナ・シリウス少佐は呆れたように横島を見る。

 

「どうせ現れるのが夜なんだから、大丈夫だって、一日中緊張しっぱなしだといざという時に力を発揮できないぞ」

 

「……それも一理あるわ。それと私の事はリーナでいいわ」

 

「俺の事も横島で、年近いし。そんじゃ、リーナ、喫茶店にレッツゴー!」

 

昨日、ダラスの郊外にある公園で、巷に噂される殺人鬼がその凶刃をふるい殺害した直後と思われる男女の亡骸に出くわしてしまった横島は、殺人鬼に顔を見られている可能性が高く、今まで目撃情報すら見当たらない犯人の用意周到さから、横島が付け根らわれる可能性が高いと想定された。ドクターカオスとマリアが、USNA某研究所の実験調査を行っている間、勘違いで横島を殺しそうになったアンジェリーナ・シリウス少佐がお詫びも兼ね直接護衛することになったのだ。

 

護衛のリーナとスターズ二等星級のニコラスという30代半ばの男と2名は、廊下での巡回監視又はホテル前に止めている車の中から監視カメラでの監視が主であった。

しかし、ホテルで大人しくしていればいいものの、護衛のリーナ達の目をまんまと盗んで街に繰り出し、成果の出ないナンパを繰り返す横島。いつの間にホテルからいなくなった横島を探すために右往左往させられ、結局街のど真ん中で、下手くそなナンパを見つけ連れ帰る。そんな事を3日続けていたのだ。

そこで、ホテルで大人しくしてもらう事を諦め、あらかじめ年近いリーナが行動を共にすることになったのだ。

横島は絶世の美少女が直接護衛に付くとあって、リーナとうきうき気分で早速街へと繰り出したのだ。

 

リーナはリーナで、どうせなら、横島が街をうろつく事で犯人をおびき寄せ、捕まえてしまおうと考えていた。

 

(神が与えてくれたチャンスなんや~~、美神さん以上の絶世の美女が文句ひとつ言わずについて来てくれるこのシチエーション。逃したら次いつチャンスが舞い降りてくるか……しかもリーナちゃんは、どうやら世間知らずのお嬢様!!………生まれてこの方、これほどのおいしいチャンスはあっただろうか?あんなの事や、こんな事、そして、キッスーーー!!やってやる!!やってやるでーーー!!)

 

今の横島の頭の中はいかがわしい事でいっぱいであった。

そんな横島の思惑なぞ知るわけもなく、横島について行き喫茶店に入るリーナだが、なぜかそわそわとしていた。

 

横島はリーナに席に付くようにいい。たどたどしい英語で二人分の飲み物を買って来る。

 

「横島は、なぜドクターカオスの助手を?」

 

「あ?あ~、き、記憶喪失らしいんだが……なんかの実験の影響らしい、そんでなんやかんやでひろってもらった」

カオスは記憶喪失だという事にしておけば、この世界の世事に疎い横島が怪しまれることは無いだろううという事で、対外的にそう言う事にしている。

 

「ご、ごめんなさい。悲壮感とかそう言うものに無縁そうにみえたから、そんな理由が……」

 

「あはっあははははっ、いいって、いいって。そんだから、俺は最近の流行りとか、この辺の事よくわからんから、この街で遊べるところってある?」

横島は携帯端末で何やら調べながらリーナに軽く聞いたのだが

 

「その……、よくわからないわ」

 

「ん?」

 

「その、私、友人がその……少なくて……仕事もあるから、どこか出かけることがあまりないの」

リーナは俯き加減で寂しそうにそう言う。

幼少の頃から軍で訓練をし、12才ですでにスターズ入りしているリーナは同世代の友人は居ない。また、友人と遊ぶなどの行為をした事が無かった。

 

「……こっちこそ、ごめん…………じゃあ、折角だし今から、行くか!」

横島はさっきまでしていたワザとらしくカッコつけたような表情は曇り、何やら考え事をする仕草をする。

そして、明るい笑顔をリーナに向けた。

この時既に横島の頭の中に最初のスケベな企みは消えていた。

 

「え?どこに、なに?」

 

「まずは、その堅苦しい服から何とかしないと……」

横島はリーナの格好を下から上へと見る。軍から支給されているだろう上下黒色のスーツを着込んでいる。

 

そう言って、喫茶店からリーナを引っ張り連れ出し、しばらく中心街を歩き、高級そうなお洒落な洋服店に入る。

「店員さん!!この子に似合う動きやすい服チョイスして!!」

横島はカオスからもらったブラックカードを片手に、手振り身振りと片言の英語でリーナの服を用意してもらう様に言う。

 

「かしこまりました!!」

店員全員が、リーナに集まってくる

 

「え?ええ?……ちょっと横島?」

意気揚々とした店員さん達に囲まれ、メジャーなどで測られ、連れられて行かれるリーナ

 

 

そして、しばらくして……恥ずかしそうに店員に連れられ横島の前に現れるリーナ

 

「……いい!!」

 

淡い紺に白の花柄、短めのスカートに、上は白に近いグレーのニット、そして、黒色のブーツのリーナは少し顔赤らめて抗議の顔を横島に向ける。

「横島……これはどういう事?」

 

「店員さーーーん!!次よろしく!!」

 

「「「喜んで!!」」」

何故か日本の居酒屋のような返事が帰ってくるダラスの最高級店……どうも横島側の世界に引き込まれている様だ。

 

「え?また?」

 

次は、チェックの短めのスカートに上は黒のトップスに白のハーフコート、そして、薄い黒のストッキング

 

「……フトモモが素晴らしい」

 

リーナは店員がなすがままに次々と着せ替えられる。

 

 

そして……

「横島!どういう事って聞いているの!?」

リーナはとうとう横島に詰め寄って、思いっきり抗議をする。

 

「リーナ、どれが良かった?」

しかし、横島はそんなリーナの怒った顔など意にも返さず、ニコッとしそんな事を聞く。

 

「え?えーっと、うん、どれも素敵でわからないわ」

 

「じゃあ、店員さーん、最初ので!!」

 

「ええ?ちょっと、横島……え?」

店員さんにまたしても連れていかれるリーナ

 

 

 

そして、着替え終わったリーナと一緒に店から出てくる横島は元気よく声を上げる。

「うん、似合ってる!!やっぱりこうでないと!!ではレッツゴー!!」

 

「ちょっと、横島、だから何なのよ!」

リーナは困惑しながらも、横島に引っ張られるまま、連れていかれる。

どうやらリーナ、悪意のない押しに弱い様だ。

 

 

そして……

テーマパークの前に到着。

 

リーナはその大きなアーチ状の門の前に立ち、少し顔を赤らめ口を開けたまま、その門を目をキラキラさせながらジッと見ていた。

どうやら、来てみたかったらしい。

 

ここはUSNA屈指のテーマパーク『魔法と剣の世界』、某キャラクターや映画の街のテーマパークに負けない集客力を持つ。そのテーマとは、中世の魔法のおとぎ話の国を再現、そして最大の魅力は、魔法を使った数々のアトラクションだ。実際に魔法師が何人もここで働いている。

 

そんなリーナを横目に横島はチケットを渡し。

「そんじゃあ、レッツゴー!!」

 

「……ダメよ横島、任務中なの……」

 

「うん?これ任務~~、俺がここに来たかったからで、それにリーナが護衛としてついてきているだけ~~、その服も、一般の人に偽装するための服装だし~~、あんな服(軍配給のスーツ)では目立つだけだし、何より俺が嫌~~」

 

「そ、そうなんだけど……あなたがジッとホテルに居てればいい話でしょ!!」

 

「嫌だーーー!!一日中お姉ちゃんも居ないようなところに引きこもるなど、もっての外!!しかもこんな美少女がついて来てくれるのに、出かけない訳があるかーーーー!!USNAに俺を束縛する権利もなーーい!!」

屁理屈を横島に言わせたら、リーナに勝てるわけが無い。

 

「でも…わ、わたし、こういうところに来たことが無いの……どうしたら」

 

「まかせなさーーーい!!遊ぶ事に関してだけはこの横島!!最強だ!!」

何処からその自信が来るのかわからないが、胸を張って言う横島。

 

「でも、横島は英語がまともに……」

 

「何とかなるって!!心配性だなリーナは」

横島は英語をまともに話せないが、身振り手振りで何とかしている。

まあ、コミュニケーションも難しい人外などを相手にしてきたのだ。言葉の壁など、どうってことないのだろう。

 

そして、横島先導でアトラクションを回って行く。

「魔法と剣」と名を打っているだけあって、全体的に中性のヨーロッパを思わす町並みが形成され、アトラクションもそれに習って、その当時の雰囲気が出ている。また、巨大なドラゴンが空中に現れたりなとド派手なものまである。

魔法を使うアトラクションと言っても、攻撃魔法がドカドカ降ってくるわけでもない。そう言うのも一部あるが、簡単な視覚制御や加速魔法、重力制御魔法などを使い、高度の術式を必要としない。ほぼ大型CADを介して制御しているため、魔法師もそれ程の技量はいらないである。

 

リーナは横島の横で終始し楽しそうにはしゃいでいた。普段大人びた彼女だが本来の少女の顔を見せていた。

 

「横島!早く次行こ!!」

 

「ちょっ、リーナまって、休憩、休憩だ……昼ごはんも食べてないし」

 

「……いいわ、昼食が終わったらあれに行きましょう!」

 

「わかったって、はぁ~」

この頃、横島は既にリーナを妹のような扱いし始めていた、彼女の行動は見た目や言葉遣いと違い、明らかに幼いからだ。お絹よりも下、ヘタをすると、中学生上がった程度の見た目のシロと同じ位の扱いになるかもしれない。

 

終始楽しそうなリーナと疲れ気味の横島は近くのレストランで遅めの昼食を取る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃このテーマパークの地下では、不審な人影が幾つも蠢めき出していた……





しばらくUSNA編が続きます。

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