横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

今回日本編ですが、堅苦しい事この上ない話です。
飛ばしてもいい感じです。
前回までのギャグとのギャップが激しすぎます。

まさしく、GSから魔法高校の世界に戻ってきた感じです。


117話 日本政府が動く

横浜事変から約1か月半が経った12月中頃

 

日本政府はとある緊急事案について会議を設けた。

出席者は、官房長官、外務省長官、防衛省長官、内閣府情報管理局局長と各省の部長クラスと、日本国の政治の中心を担う錚々たるメンバーだ。そして、参考人として国防陸軍第101佐伯広海少将と風間玄信少佐が参加しているがこの二人は急な呼び出しで会議の詳しい内容は聞かされていない。

 

 

官房長官がこの場を取り仕切り発言する。

「佐伯少将、その横島忠夫という少年が本当に横浜で見せたあの『救済の女神』の使い手なのだな」

 

「はい、私共はそう確信しております」

 

「氷室家は何と言っている?」

 

「その件については黙秘しておりますが、14代当主氷室恭子殿は横島少年の事を家族だと言っておりました」

 

「ふむ、信憑性は高まるという事か……情報管理局の方ではそのことは?」

 

「情報管理局としても、横島少年が氷室家の人間であることは確認しております。但し、『救済の女神』であることは判明できません」

情報管理局局長は官房長官の質問に答える。

 

「横島少年は横浜事変以降行方不明だという事はこちらも報告を受けている。『救済の女神』の使い手が所在不明であることは、こちらとしても憂慮すべき問題である。さらに防衛省からの報告では、11月1日の戦略級魔法による済州島攻撃の際に、現れ、阻止したとあるが、その後、死亡となっている。この件についての見解を求める」

 

防衛省長官がその件について答える。

「我が軍所属の戦略級魔法師によるマテリアル・バーストを敢行したのですが、失敗に終わりました。直後の映像から、マテリアル・バーストを阻止したと思われる人物が映し出されておりました。しかし、その人物は力尽き、海に落ちていったことを確認しています。画像の乱れが酷くその人物を確定するのは困難ではありますが、状況、その他要因から我々は横島少年だと判断しております。そしてその人物は死亡したと当方は結論付けております」

 

「なぜ横島少年が敵国である済州島に現れ、作戦を阻止したのかね」

 

佐伯少将が答える。

「理由は分かりかねますが、氷室家14代当主氷室恭子殿も、この映像を確認し横島少年だと考えているようです」

 

風間少佐が挙手し、続けて答える。

「理由になるかどうかは分かりませんが、横島少年という人物は、私ども独立魔法大隊と何度か接触しており、我々の作戦を妨害するような行為も行っておりました。情けない話ですが、彼一人に翻弄され、我々の作戦自体は失敗に終わっておりました。しかし彼の行動により結果的には日本国にとって当初予定していたよりも有益な結果を得ております。

今回も同様です。彼があの済州島攻撃を阻止したおかげで、結果的に大亜連合の北東方面防衛網は崩壊せずに済み、新ソビエトの介入も防ぎ、さらに我が国と停戦協定を結び、我が国と大亜連合、新ソビエトの軍事的緊張状態は緩和されました。

彼がなぜそのような行動をとるのかは全く持って不明ですが、彼がどこかの組織のものであるとは思っておりません。彼、本人の思惑、いえ個人的感情により行動しているようですが、結果的にわが国にとって有益なものとなっております」

 

「少佐……我々はある意味、彼に救われたという事か……マテリアル・バースト……あれを阻止できる人間がいるとは…………少佐、佐伯少将……もし、彼が敵に回っていたならば、止められたか?」

 

風間少佐は、佐伯少将に目配せしてから答える。

「…………彼亡き今だから正直に申し上げます。彼と敵対すべきではありませんでした。彼が敵となり現れ我々と対峙するならば全力をもって対処いたしますが、こちらの被害は多大なものとなるでしょう。それこそ我が国の防衛ラインが崩壊するぐらいに。彼の能力は『救済の女神』ばかり目が行っておりますが……それは彼の能力の一部だと考えております。本気を出し手の内を見せた彼がどれだけの能力を持っていたのかは今は知りようがありませんが……この場では不謹慎ではありますが彼が死亡したことにホッとしている次第です」

 

会場は風間少佐の言葉にざわめきが起きる。

 

官房長官もその言葉に驚きを隠せない。

「………うむ、それほどなのか」

 

そして、官房長官は次の言葉を出した。

「では、本題に入ろう………横島忠夫少年と思わしき人物の情報が相次いで入ってきた。彼が生きている可能性が高い」

 

「なっ!!」

「………!!」

風間少佐と佐伯少将は驚きの顔を隠せないでいた。

 

外務省の部長が挙手をし語りだした。

「その件については私から報告いたします。さる10日前にUSNAで起こった人間主義者たちによる大規模なテロ事件についてです。ダラス近郊にある『魔法と剣の世界』というテーマパークがテロリスト集団『普通の人々』に一時的に占拠する事件が起きた事はご存知でしょう」

 

佐伯少将が相づちを打つ。

「あのヨーロッパの魔王ドクター・カオスと魔女マリアの介入によって、解決した事件でしたね。あれほどの破壊を起こして、死亡者が出ないなど、私共もメディアの映像解析を行ったのですが……普通に考えてあり得ない。情報操作を行ったと判断いたしましたが……」

佐伯少将麾下でも数十年ぶりに表舞台に現れたドクター・カオスの戦闘シーンが映し出されたとあって、どのような魔法が使われているのかなど、興味をもって解析していたのだ。

通常では考えられないような魔法などの数々写しだされていたため、解析班は興奮しながら、徹夜で解析を進めていた。

 

外務省の部長は続けて

「我が国の邦人も、当時あのテーマパークにツアー等で40名ほど訪れていたのですが、幸い全員、無傷でして……その中の幾人かの証言で、日本人らしき少年を見たと言う者がありました。渡航記録などから、その少年について情報はありませんでしたので、当初は現地の日系人だと思っておりました。

しかし、何やら大声で奇声を上げながら、テロリストから客を守っていたというものでした。しかも日本語で時折関西弁も混ざっていたとか……」

 

情報管理局局長がその後、挙手をし発言する。

「当時現場にテロリストの人質になっていた際、助けに入った少年は、連れの女性から、ヨコシマと呼ばれていたとの事です。さらに詳しくメディアの画像解析を行ったのですが、確かに少年らしき人影が連れの女性と共に、ドクター・カオス氏の攻撃を回避しているような映像が映っておりました」

 

「「…………」」

佐伯少将と風間少佐はその情報を聞き、驚きと共に背中に冷たいものを感じた。

風間少佐は関西弁で叫びながら、ドクター・カオスの攻撃をかわす少年……それを横島の姿とかさねるとしっくりくるのだ。しかし、マテリアル・バーストをまともに喰らって生きている人間など………

 

続けて外務省部長は発言する。

「外務省から人を派遣し、現地の調査を行っておりますが……今のところ、その少年の行方は分かっておりません、引き続き調査をしたいのですが、テーマパークテロリスト事件についてUSNAも相当重要視しているようで、現地は緊張状態で調査もままならないとの事です」

 

 

官房長官はこれらをまとめて宣言する。

「横島少年は生きていると判断する。しかも彼は何故か今USNAにいる様だ。しかしそのような事はどうでもいい。彼一人で我が国が誇る国防軍の軍事力に匹敵し、さらにあの世界最強の防御魔法『救済の女神』の使い手だ。USNAに亡命などされたら、我が国とUSNAの関係も崩れるやもしれん。現在USNAとは同盟関係であるが、物資ではUSNAが勝り、魔法技術は我が国が先んじているおかげで、対等な同盟関係を維持している状態だ。

すでに、彼がUSNAに亡命している可能性もあるが、そのような情報は今のところ入っていない上、彼に関する情報は一切USNAから入ってこない事から、USNAは、彼の存在を知らないと見た方がいい。『救済の女神』の使い手の情報は他国にわたっていないはずだ。

速やかに、彼と接触し、我が国に戻ってもらわなければならない。

しかし、彼はどうも我が国の国防軍には、良い印象を持っていない様だ。

彼を軍属にしなくとも、彼が日本にとどまっているだけでも、十分な価値がある。

 

なんとしても、我が国に戻ってもらう様に各人、手を尽くしてくれ!!

そのために総理大臣からはこの件についての権限を官房長官である私に一任された。情報操作は許可するメディアの排除または、風聞の助長は、それ相応の力を使い最大限に利用してよい。

ありとあらゆる手段を用いることを許可する。

我々の国の国防と同盟関係に関する危機的事案である」

 

官房長官がそう宣言した後、会議室は一時静まり返った。

 

静寂の中、内閣情報管理局局長が次のステージへとこの事案を進めて行った

「それでは……実際の動きと権限について今から打ち合わせを開始します。……各人この資料を見てください…………………」

 

大きくは二つの事案である。

一つは横島忠夫の所在確定と現状の情報収集。

一つは横島忠夫を日本国に戻すための交渉材料を手に入れる事。

 

 

外務省部長などから横島の性格等、彼との交渉材料を得るための情報提供を風間少佐は求められたが、実際にわからない事が多い。

横島の能力ばかり目が行き、普段どのような生活をしているのかや心情などを詳しく考察していなかったのだ。

改めて、達也と響子から得た情報からまとめていく。

普段はスケベでバカでクラスのムードメーカー、友人も多い。第一高校の風潮により、二科生は下に見られ不遇を得ることが多いが、本人は全く気にしていないとの事だ。一部の一科生からは目の敵にされている一方、十師族の子息をはじめ、学内有力な生徒との親交は極めて優良、二科生からも人気があるそうだが、女生徒からは不人気な上、嫌われている様だということだ。

勉学については魔法以外の科目は極めて優秀。魔法も徐々にできる様になったとの事だ。

妹以外他人に興味がない達也からもかなり信頼を得ていることも感じている。

さらに、九島烈とも友人関係を持つ。また、九重八雲とはナンパ仲間だと言う。

何とも、可笑しな人間関係を築いており、それが逆に魅力的にさえ写る。

 

それだけでは、彼がどんな考えを持っているのか、何を欲しているのかは分からない。

今、欲しい情報は横島忠夫という少年が、何を欲していて、何の条件を出せば日本に戻るだけの理由が出来るのかである。

達也の報告では、彼の行動について報告を受けているが、当然ながら心情や考え方などは受けていない。

その事について、今さら達也に尋ねるわけにも行かない状況だ。

四葉家から、達也の軍への協力と接触を凍結させられたからだ。理由は四葉家当主に断りなく、マテリアル・バーストを使用した事によるペナルティーだそうだ。特に横島の顛末を聞いた当主四葉真夜は、凍るような視線を101旅団制服組担当者に向けたとの事だ。ここは素直に従うしかないのである。

現在、風間少佐達では現状これ以上の情報を取得するすべはない。

また、横島捜索チームに独立魔装大隊から藤林響子を派遣することになった。

 

結局現状では横島忠夫についての情報が少なく、交渉材料に何を持って行けばよいのかも見当がつかないため、本人について情報収集を行う事になる。

まずは、氷室家、次に横島の友人関係からである。

 

警察省公安庁部長からの提案で、行方不明者の情報提供を願い出る形で、第一高校に入り、横島の友人関係から、情報を得るというものだ。幸いにも第一高校には公安庁の秘密捜査官が中に入っている。1年E組のカウンセラーを行っている小野遥である。彼女の協力を元に実施することが決定された。

 

 




次回、久々に何時もの面々登場

何気に小野先生初登場?
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