横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

122 / 192
感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


投稿遅くなりすみません。
色々と順番を考えていたら時がたってました。
一応3話一括りで順番を考えていたので、連続投稿の予定です。
夜にかけて3話分投稿できると思います。

と言うか、また、シリアス展開です><


122話 ダラスの殺人犯

 

 

12月24日ダラス郊外にある公園、日が落ち公園の外灯に光がともる。

 

 

リーナは、対抗魔法『パレ―ド』により、仮面をかぶったアンジー・シリウス少佐の姿で、男と対峙していた。出くわした当初、男は逃走を図っていたが今は、リーナ以外のスターズの魔法師5人が男を囲み逃げる事が出来ない様にしていた。

 

「……フレディ…一体どうしたと言うのですか?一等星のコードを持つあなたが脱走など……」

リーナは同僚であったアルフレッド・フォーマルハウト中尉にそう声を掛ける。

彼は11月初旬、ダラスの研究所で実施したマイクロブラックホール実験に居合わせたスターズのメンバーの一人だったのだが、その直後から行方が分からなくなっていたのだ。

 

「………」

しかし答えは返ってこない。

 

「この街で起こっている連続殺傷事件……炎で焼かれた被害者もいました。まさかあなたではないですよね」

リーナはフォーマルハウト中尉に声を若干震わせながら問いかける。

フォーマルハウト中尉は、パイロキネシス……炎を自由に操る超能力者、いわゆるBS魔法師であった。軍はフォーマルハウト中尉を連続殺傷事件の容疑者の一人ではないかと睨んでいたのだ。

 

「………」

 

「フレディ!答えて下さい!」

 

フォーマルハウト中尉はリーナに視線を集中させ目に力を入れ大きく見開く。

 

リーナは咄嗟に首に巻いていたストールを残し後ろに飛び、その空間に残ったストールは火種が無いのに激しく燃え上がる。フォーマルハウト中尉のパイロキネシスの攻撃、それが、リーナの問いに対する答えだった。

 

 

リーナは、横島が珍しくカオスに研究所へ連れて行かれてしまい、護衛の任の必要が無くなったため、スターズの他のメンバーが行っていた連続殺人犯の捜索に参加していたのだ。

リーナは夕飯の約束だけはちゃっかり取り付けていたのだが………運がいいのか悪いのか、このフォーマルハウト中尉を発見し、追い詰めていたのだ。

すでに横島と約束した時間はとうに過ぎていた。

 

 

リーナは再度放たれる炎の攻撃を避けると、フォーマルハウト中尉は身動きが取れなくなっていた。

囲んでいたスターズ魔法師が、光を遮断し闇を作る魔法、空間に疑似的な牢獄を作り身動きがとれなくなる魔法、特定のBS魔法を封殺する魔法と次々に発動させていたのだ。

 

リーナは身動き取れなくなったフォーマルハウト中尉に銃を構える。

 

「フォーマルハウト中尉、連邦軍刑法特別条例に基づきスターズ総隊長権限により、あなたを処断します!」

リーナは悲痛に満ちた声で、そう宣言した。

 

そして、強力な情報強化により、一切の魔法干渉が無効化された銃弾が放たれる……

リーナは魔法『パレード』で表面上は冷静な顔に見えていたが、悲しみに満ちた顔をしていた。

 

 

しかし……弾丸は、フォーマルハウト中尉には届かなかった。

リーナと中尉との間に人影が割って入り、弾丸を止めたのだ。その左手には六角形の半透明な盾が見える。

「リーナ!やめろって!お前の仲間なんだろ?!」

 

「…………タ…タダオ…邪魔しないで!!私は!!彼を処断しなければならないの!!彼は殺人犯!!一般市民を恐怖に陥れた犯人の一人よ!!」

リーナは驚きはしたが、横島に邪魔しない様に叫ぶ。

 

「リーナ……つらいんだろ?」

 

「……私は軍人なの!!だからやらなけらればならないの!!どいてタダオ!!」

 

そんな中、フォーマルハウト中尉は魔法で拘束されていたが暴れだす。

 

「そいつは自分の意思でやっていない!……何かが憑いている」

 

「何を……」

 

「俺がやる……」

横島は暴れるフォーマルハウト中尉に向かい、右手を突き出し、手の平にビー玉サイズの玉『文珠』を浮かび上がらせる。以前生成し体内にストックしていたものだ。

 

「悪霊退散……吸引!!」

文珠に意思を込め、吸の字が刻まれ、文珠は光り、フォーマルハウト中尉を吸い込むかの勢いで空気が文珠に吸い込まれて行く。

 

すると、フォーマルハウト中尉から何やらサイオンの塊らしきものが飛び出し、文珠に吸い込まれる。

横島が言う彼に憑いている何かを文珠で吸い取ったのだ。

それと同時にフォーマルハウト中尉は糸が切れた操り人形の様に倒れた。

 

 

そして……横島は

「ぐわーーッ、くッ、くぅうううううううッ!」

文珠使用による何時もの発作なのだが、今までになく、苦しみ、のたうち回る。

 

横島の術を驚きの表情で見ていたリーナだったのだが、横島が苦しみだしたのを見て駆け寄る。

『パレード』を解き何時ものリーナの姿で……

「……タダオ!!しっかりして!タダオ!タダオ!!」

 

 

 

横島が次に目を覚ましたのはホテルのベッドの上だった。

ベッドの横にはマリアそして、リーナが椅子に座っていた。

「……俺はどうなった?」

 

「大丈夫ですか?・横島さん・ミス・アンジェリーナと・軍の人が・気を失った横島さんを・ここまで運びました」

 

「……タダオが不思議な術で彼をフレディを気絶させたの、その直後、タダオが苦しみだして、気を失って………タダオ、もう術を使わないで……タダオ前も術を使って発作を……、この前は何もないところで急に発作に……それもどんどんひどくなってる……一度病院に行った方が……」

リーナは心配そうに横島を見つめる。

実際に横島は文珠を生成を回を重ねる毎に、頭痛や吐き気等が酷くなっていたのだ。

 

「ノー・ミス・アンジェリーナ・ドクター・カオスの家の方が・施設が整っています」

 

「まあ、今は何ともないし、きっと大丈夫だって」

能天気に答える横島。

 

「横島さん・安静が・必要」

「そうよ、タダオ」

 

「もう、大丈夫だって、あー、あのリーナのお仲間の男はどうなった?」

 

「……今は医療施設のある鑑別所に拘束しているわ。…なんであんな無茶をしたの?」

 

「リーナ……処断って、お仲間だろ?それにリーナ泣いてたし」

 

「泣いてなんていないわ!軍務だから、それが私の責務だから!!」

 

「あと、あの男、たぶん自分の意思で殺人したんじゃない、操られていた……」

 

「タダオ……それどういう事?」

 

「まあ、何にしろ、もうあの男は多分大丈夫だよ」

横島はこの世界の人間に幽霊やら悪霊やらの話は混乱するだけだと思いそう言うにとどめた。

横島は文珠で吸引したものの正体は悪霊の類だと判断している。

 

「……まあ、いいわ、……あのタダオ、明日空いてる?」

 

「横島さん・明日、ドクター・カオスと・マリアと・ダラスの研究所に行きます」

何故かマリアが代わりに答える。

 

「マリア、今日と同じぐらいの時間で終わるかな?」

 

「イエス・横島さん」

 

「夕方だったら大丈夫だな。というか、何の用事?今からでも良くない?」

 

「今もう深夜よ……それに心の準備が………」

リーナの声は最後は聞こえないぐらいの小声になる。

 

「おお?もうそんな時間か………」

 

「私、行くね。今日の事、報告に行かないと……一度、軍の屯所に戻らないといけないの」

 

「大変だな。じゃあホテルの入口まで送る」

 

リーナはホテルの入口に向かう途中で、

「タダオ……今日ありがとね。私の為にあんな事をしてくれたんでしょ」

 

「あはっあははっ、まあ、女の子が泣いていたらと思ったらつい、男だったら絶対やらん」

 

「……うれしかった、ありがと」

そう言ってリーナは立ち止まり背伸びをして、不意に横島の右頬にキスをする。

 

「!!!!……リリリリリーーーナ!?」

 

「また明日ね、タダオ」

そう言ってリーナは横島を残し、恥じらう様なしぐさで足早にこの場を去って行った。







ごめんね。雫ちゃんに要ちゃんに真由美さん
なんかこうなっちゃいました。

次は、喪失編のメイン、横島の過去が少々出てきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。