横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。


前回の続きになります。




124話 魔神ネビロス

「ががっああああああっーーーーうわーーーーーーーーーー!!」

マリアに顔面を掴まれたままの横島は発狂したかのように叫ぶ。

横島の失われた辛くて苦しい記憶が激流の様に流れ込んでいるのだ。

 

ルシオラが施した封印が解かれた横島を中心に莫大な霊力が漏れ、霊気の嵐となり吹き荒れる。

 

叫び声が止み。

 

そして、横島は顔面を掴んでいたマリアの腕を握り、強引に外し地面に着地し、マリアに憑りついている何者かに怒りの形相で睨み付ける。

「……ネビロス……冗談にしては笑えないな…俺を怒らせるために来たのか?」

 

「まさか、横島殿と敵対するなど、多少の無礼は許してもらいたい」

ネビロスと呼ばれた存在はマリアの声でそう答えた。

 

「なぜ、マリアに憑依し、蛍を…ルシオラを消滅させた……」

しかし横島は怒りを発したままだった。

 

「我の器に耐えられそうなのはこの仮初の肉体を持った者、ルシオラについては……今も尚横島殿の魂に深く癒着したままであろう。我が滅したのは、横島殿の霊気を使って顕現した皮を消滅させたに過ぎぬ」

 

「…………理由は分かったが気分がいいものじゃないな、で何をしに来た?」

横島は自分の胸に手を置き、ルシオラを感じようとする。

 

「我は未来を予知する悪魔、そして元この大陸の監視者にして、魔を統べる将軍、元が付くが、横島殿に会うチャンスだと思ってな、未来予知でこのタイミングしかないと判断したまで……厄介な事にこの世界は、神の最高指導者とサタン殿が結界を張って迂闊に入れん、中から偶然こじ開けられた小さな穴を利用させてもらったまで……外からは硬いが中からは想定してなかった様だな」

 

「……神の最高指導者とさっちゃん(サタン)がか……だが、それは理由になってないぞ」

 

「率直に言うぞ。横島殿、我の主となれ……、三大悪魔である魔神アシュタロス殿を人間の身でありながら倒し、そのアシュタロス殿が成し遂げられなかった世界改変を別の形でお主が成し遂げた。有史以来、神や魔が誰もが無しえなかった事をな……しかも誰もが損をしない形でだ。お主以外はな………」

 

「それは100年前にも断ったはずだが………お前、元はアシュタロスの部下だったのだろ?倒した俺を敵討ちとか思わないのか?」

 

「部下であって、主従の関係ではない。さらに言うとアシュタロス殿がデタント派(神と魔の緊張緩和状態を意図的に作り、戦争を回避する)筆頭である三大悪魔の席から外れ、独自行動をとった時点から、我は部下でも何でもない。我は逆に迷惑したぐらいだ。この大陸の悪魔の統率など面倒でたまらない。我は軍団をまとめるだけで良いのに……」

このネビロスという悪魔、魔界の軍団を統べる権限まで持っている強力な力を持った魔神である。ただ、穏健派とも知られ、人間世界には全く興味を示さず。魔界の軍団をまとめ上げる事に奔走し、それに喜びを感じているのだ。本人曰く実際に戦闘を行う事よりも、軍団を築く事がいいらしい。さらに、アシュタロスを討伐した横島に興味を持ち、数度接触を図り、先ほどのように主従を結べというのだが、横島はその申し出はすべて断るが、無下に追い返すことも出来なかった。ルシオラの妹であるベスパを魔界の軍団に組み込む形で引き取ってくれたためだ。

 

「で、それだけの事で、神と魔のトップに睨まれるかもしれないのにわざわざ来たのか?」

 

「本題はここから、横島殿、我と共に来い。主が世界分離で作った今我が居る可能性の世界の王となれ」

 

「ちょっと待て、お前、魔界にいないのか?」

 

「ああ、魔界は退屈だからな、お主が世界分離の余波で偶然出来てしまった世界が確認されているだけで、3つある。そのうちの一つは我ら魔界の者が自由に使ってよい事になっておる。まあ、人も妖怪もおらんしな、ただ、魔力もタップリある、そこで、暴れたい悪魔が自由気儘に戦っておる。我はその世界で最低限の秩序を保つために軍団を率いて滞在している。軍団を作る事こそ我の本望だ。戦闘狂の魔神どもはこの世界を手放しで喜んでおる。しかし、やはり、秩序は必要だ。我は軍団を作るが統べるのはお主がやってほしい」

 

「なんだそれ?俺は聞いていないが……」

 

「まあ、100年も囚われていたのだろうからな、ちなみにそのうちの一つは神の娯楽として、存在しておる。とある神が面白きものを作ったからの……そこには亜人や特殊能力を持った亜人に近い人間が少人数いるが……、神々はこぞって、その娯楽に興じておる。結果的にお主が世界分離を行った結果、神と魔は闘争を持って決着はつけることはせず、若干の緊張をもって、お互いの区分を保っている状態である。まあ、言うならば、神も魔も平和状態だ」

 

「…………なにそれ…お前らめちゃ楽しそうだな」

 

「クククク、せっかくお主が命をとして守ったこの世界を人間は愚かな理由で戦争を起こし同族を討つ。これは魔の者と何もかわらん。魔は闘争こそすべてのような連中ばかりだ、闘争の中に喜びを感じておろう。それに比べ人間はどうだ?闘争などまっぴらだと口にしながらお互いを傷つける。お主も報われん……こんな下らん世界から出で、我と共に行き、闘争の……可能性の世界の王にならんか?」

 

「俺はいちおう人間なんだけど」

 

「そんなのはどうでもよい、我はお主を気に入っておる。魔界の連中もそうじゃ、まあ、お主の事を殺してやりたいとか、戦ってみたいとか思っている魔神も山ほどおるが、大したことない」

 

「あほかーーーーーー!!誰がそんなところに行くかーーーーーー!!」

横島は何時もの調子が戻てきたみたいだ。

この魔神、言葉は固いが中身はなかなか柔軟な思考を持っている様だ。

 

「ふむ、今回は残念だが、また誘いに来るぞ………この仮初の体の小娘、今も我に抵抗している。なかなかどうして見どころがあるではないか」

 

「もういい、来ないでいいぞ。……それと、お前の口ぶりからお前じゃないのがわかるが……1ヶ月前に同じ手口で悪霊か何か送り込んだ奴を知らないか?」

 

「ああ、その事か、我はそ奴を参考にして今回こっちに来たのだがな、まあ、我も100分の1の分身体ではあるが……送り込んだのはダンタリオンだ。奴はただその知識欲ゆえこの世界の情報を知りたかっただけだろうが、その裏には何者かがいるぞ、そ奴が何をしたいのかまでは知らんが……まあ、お主が居るし大丈夫だろ。ではさらばだ」

そうしてマリアに憑いていたネビロスの分身体は消滅した。

 

「二度とくんな!!」

横島は消滅したネビロスに向かって叫ぶが届いていないだろう。

 

マリアは崩れる様に倒れるが、横島がその前に200㎏あるマリア体を抱き留める。

「………精神干渉過多、精神一部損傷、記憶バックアップ完了……8次元空間バックアップ自動起動」

 

「カオス、マリアが!!」

 

「お……お主……何者じゃ?」

ドクター・カオスは驚きの表情を隠せないでいる。

横島の凄まじい霊圧はさることながら、先ほどの横島とネビロスの超絶した世界の会話を全部聞いていたのだから……

 

「そんな事よりも、マリアの方が先だ!」

 

「大丈夫じゃ、精神の一部が損傷したようじゃが、わしが100年前に作った8次元空間記録と記憶が保存できる機能が起動した。しばらくすると元にもどるじゃろ……それよりもお主……」

 

「俺はさっきまで記憶が一時的に喪失…封印されていただけ……この世界の人間だ。平行世界の過去から来たわけじゃない。………100年前、カオスのじいさんとマリアの仲間だった人間だ」

横島はホッとした表情をしてから、一度躊躇しそう言った。

 

「なんじゃと!?わしの記憶にはお主は居ない……100年とな一体お主は……」

 

「後でちゃんと話す………それよりもこれどうしよう?」

研究施設はマリア(ネビロス)の攻撃でボロボロになっていた。

しかし、よく見ると、ネビロスが攻撃していたのは、カメラや記録装置の様だ。

どうやら、ネビロスと横島の会話の記録されない様、あらかじめ破壊したようだ。流石は未来を予見する魔神といったところか。

 

「うむ、わしの方で誤魔化そう、というよりも、1か月前の事件も、あのようなとんでもない魔神とやらの仲間が関わっている様じゃのう、その悪霊やらがこちらに来て、殺人をしているという事じゃな」

 

「大体あっているが、ダンタリオンはネビロス程の強い意思を持った魔神ではない……」

 

「魔神か、わしの想像を軽く超えておる話じゃな………それも含めてお主には後でじーーーーっくり、全て話してもらうからの!!」

 

「たはったははははっ!カオスのじいさん、お手柔らかに頼むよ~」

 

 

 




さて、次で喪失編ラストです。
ちょい休憩期間を挟み、来訪者編始まります。


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