横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

徐々に来訪者編らしくなって行きます。


131話 横島、友人達と留学生!!

 

リーナは留学二日目にして、すでに校内の有名人となっていた。

その美貌は深雪に匹敵し、今や、第一高校内で深雪と双璧をなす美少女として認知されている。

また、魔法技術の高さも注目されている。第一高校内では今まで深雪に対抗できる人間は、同学年だけでなく、上級生でもいなかったのだが、リーナは魔法授業でそんな深雪の相手を務め、対抗しうる力を示したのだ。

 

放課後リーナは深雪とほのかに学内のクラブ活動の案内をしてもらっていた。

その後、何時もの面々と何時もの喫茶店で待ち合わせをしていた。

 

「へ~、リーナって優秀なのね。校内敵無しの深雪と対等に渡り合えるなんて」

エリカはリーナと深雪との魔法授業での話題を話していた。

 

「そんなことはないわ、結局深雪には負け越しているし、ほのかには知覚系魔法は完全に負けてるし」

リーナは苦笑気味に答える。

 

「今まで、深雪さんに対抗できる人はいなかったのだから……」

美月もリーナを素直に感嘆していた。

 

「さすがは、USNAを代表して留学してきただけはあるな、深雪も、やりがいがあっていいんじゃないか?」

達也もリーナを褒めつつ深雪に話題を振る。

 

「お兄様、リーナ、授業は競技じゃないわ、あくまでもお互いの魔法力を高めるためのものだから、勝ち負けにこだわる事はないわ」

深雪はそう言いながらも、内心今までに無い手ごたえのある相手に出会い、うれしくも思っていた。

 

「競い合ってこそ、成長するものよ深雪、だから勝ち負けは大切よ」

リーナは少し悔しそうな表情を作りそう言う。

 

「勝ち負けか……まっ魔法授業はあくまでも、授業だし、実戦じゃないんだし、そんなに気にすることないんじゃない」

エリカはそんなリーナにフォローを入れる。

 

「確かにな……しかし、実戦だったら達也かあいつだろうな」

レオも頷きエリカの意見に賛同しつつ、こんなことを言う。

 

「達也は実戦だっら強いの?深雪よりも?」

リーナは驚いた顔をしながら深雪に聞く。

 

「当然です。お兄様は私よりもずっと強くてかっこいいのですから」

何時ものブラコンぶりを発揮する深雪。

 

「達也は魔法の力はそれほどじゃないかもしれないけど、豊富な知識と、技術と応用力がそれを余りあるぐらい補っているしね。体術もすごいしね」

幹比古はリーナの前で自分事の様に達也を持ち上げる。

 

「………」

達也は余計な事をと思いながらも沈黙を守る。

 

「……そうなんですね。深雪よりもなんて、すごい魔法師なのね達也は」

リーナは一瞬目つきが鋭くなるが、すぐに戻る。

 

「そうなの!お兄様は凄くて素敵なの!」

ブラコン無双をまだ継続中の深雪

 

「はぁ~、そういえばレオが言っていた『あいつ』とは私と交換留学している雫の事なのですか?」

リーナはそんな深雪を見て、呆れた表情をしつつ、レオがさっき言っていた『あいつ』の事を聞く。

 

「違うの、西城君が言っているのは雫の事じゃなくて……」

ほのかは言いずらそうにする。

 

「あんたが余計なこと言うから、まっ、いずれ分かる事だし、学校中噂になっているからいっか……本当はもう一人何時もつるんでいる奴がいるんだけどそういつの事よ」

 

「今はいないってことは転校したの?」

 

「……リーナも知ってると思うのだけど、あの横浜事変以降行方不明になっているの」

 

「ごめんなさい、余計な事を聞いて……」

リーナはそれを聞いて、もはやその友人は死んでしまっているのではと考えていた。

あの事件では、死者・行方不明者が1万人弱にも及んでいる。当然リーナもそのことを知っていて、第一高校の生徒が巻き込まれたことも知っていた。

 

しかし、周りを見渡すと彼らに、悲しみの色はない、逆に楽しげでもあった。

それに疑問を覚えるリーナ。

 

「いや、いい多分奴は何処かで生きている。そんな情報もちらほら出ている。別にリーナが謝る必要はない」

達也はリーナにそう言う。

 

「リーナ、昨日雫の写真見せてって言っていたし、彼もいっしょに写っているのもあるよ」

ほのかはそう言って、リーナの真横にくっ付いて座り、自分の携帯端末をリーナの目の前に掲げ、一緒に画面を見ながら操作する。

 

「是非、見たいわ」

 

すると一枚目の写真はほのかと第一高校の制服を着た小柄でどこか眠そうな目をした少女が写っていた。

「この子が北山雫、私の幼馴染」

 

 

そして次の写真を見た瞬間リーナは驚愕のあまり、目を大きく開きかたまってしまった。

そこには全くの予想外の人物が……リーナが今一番会いたくて仕方がない、よく知っている人物が写っていたからだ。

ほのかと雫に両腕を取られ、困ったような笑顔を向ける少年が……第一高校の制服を着、頭には彼が好んでつけていたバンダナをして……

 

次の写真は、ここにいるメンバー全員が写っている写真だ。その少年はレオに首に腕を回され、強引に写真の中に入れさせられたような姿だった。

 

その次はなぜか廊下で正座をさせられて涙を滝の様に流しているその少年の写真が写っていた。

 

リーナはその少年から目が離せない。

 

「ふふふふふっ、横島さんって言うの、いつもおちゃらけてるんだけど、いざとなったら頼りになるんだから」

ほのかはリーナに笑顔でそう言う。

 

(タダオ)

リーナは無意識に口ずさんでいた。

そして、平然を装いなおす。

「そう……そうなんだ。彼ってどういう人だったの?」

心の中ではリーナは混乱し続けていた。

(どうして、タダオが……なんで、タダオがこんなところに?記憶喪失?行方不明?わからない……わからない!)

 

「はっ!どういう人って?そりゃ面白い奴だよ!あんな奴、他には居ないぜ!」

レオは大きく笑いながら自慢そうに言う。

 

「いや、スンゴイスケベだから、リーナもし会ったら気を付けた方がいいわよ、セクハラ大魔神なんだから、私なんかどんだけセクハラされたか!」

エリカはうんざりしたような表情をした後、何やら思い出したのか、こぶしを握り締め、怒りをあらわにする。

 

「あと、バカだよね。いつも突拍子もないバカなことするから、エリカや先輩方にしょっちゅう折檻喰らっていたよね」

幹比古も、楽しそうに言う。

 

「でも、優しい人なんです。人が好過ぎるくらいに」

美月も懐かしそうに言う。

 

(間違いないタダオだ……どうして)

 

「リーナ、どうかしたか?」

達也はリーナの動揺を見抜いていた。そしてわざとこう言う聞き方をしたのだ。

 

 

「……そう言えば、同居人に早く帰るように言われていたの。お先に失礼しますね」

これ以上ここにはいられない。もう、動揺を隠すことはできない。達也に問い詰められるわけにも行かない。一刻も早くリーナはこの場から離れることしか考えられなかった。

リーナは先に喫茶店をでる。

 

「リーナどうしたんだろう?今日は大丈夫って言ってのに」

ほのかは心配そうにリーナを見る。

 

「まっ、用事忘れてただけじゃない?」

エリカは軽く言う。

 

「…………」

達也はリーナが出て行った後を目で追っていた。

そして、横島の事を知っているのではないかと、疑いをかけていた。

 

 

 

リーナはマンションに走りながら帰る。その間も横島について思考していた。

(なんで?タダオが第一高校に?なんで、よりにもよって達也と深雪の友人なの?なんで?)

(タダオはもしかして私と同じで日本のスパイ?そんなはずはない。で記憶喪失だと言っていた。マリアもドクター・カオスもそれは肯定していた。カオスたちに嘘をつくメリットがない。しかもマリアがあんなに親身になってガードをしていた。……スパイで有るはずがない。……タダオがスパイで有るはずがないじゃない。なんでこんな嫌な事を考えちゃうの?)

(横浜事変から生死不明の行方不明、そして記憶喪失……タダオに何が起きたの?)

(タダオに会いたい。会って直接聞きたい)

(タダオは記憶が戻ったら日本に……達也や深雪たちの元にもどる?それは嫌!)

(タダオと敵対するのだけは嫌!)

(いっそ記憶喪失のままで……)

 

マンションに戻ったリーナの動揺と混乱のありさまは目に見えてわかるが……

シルヴィはそのことを聞いたが答えなかった。

ただ、シルヴィには、第一高校の資料とターゲット(達也と深雪)の交友関係の資料を出すように命令した。

 

その晩、リーナはシルヴィが出した第一高校の資料と交友関係の資料をデータを改めて吟味する。

交友関係の資料には横島の名前は上がっていなかった。12月の時点の資料なのだろう。

 

横島忠夫15歳で入学、1年E組、現在16歳、風紀委員会所属。11月以降行方不明のままとなっている。成績は魔法関連は壊滅的。一般教養は優秀。東北の田舎町の普通科公立中学出身となっている。

今、とある映像を見ている。

九校戦の映像だ。

涙をちょちょきらせながら、不格好に魔法攻撃を避けていた。

「タダオ、記憶があろうが無かろうが変わらないのね」

 

次にとんでもない方法で勝利していく様が映し出されている。

「これは、タダオらしいわ」

リーナは必死な横島の姿が何故かほほえましく目に映る。

 

九校戦の結果を学内向けに学生が作った記事がある。

『あのスケベ・チカン・変態の魔法もろくに使えない最底辺野郎。第一高校始まって以来の問題児横島忠夫が九校戦で奇跡の優勝へ』

こんなタイトルの記事だ。

魔法をほとんど使わず、勝利をし、決勝では大ピンチを一人で切り抜けたことが書かれていた。

九島烈がその戦闘スタイルを大絶賛している様子を書いた記事と十文字克人のコメントが載っていた。

「当り前じゃない、タダオは強いんだから!」

 

「でも、これタダオの本気じゃない。あの不思議なバリアと盾とあの珠を使ってないもの」

リーナは嬉しそうに映像や記事を読んでいたのだが………

 

急に暗くなる。

「タダオはなんでUSNAに、私の前に現れたの?……何が目的で……やはりスパイ?ただ単に、本当に記憶喪失のはず。だって、私をあんなになって必死にかばってくれたし、アンディの事も助けてくれた。スパイだったら、カオスもマリアも多分タダオをそばに置かない」

 

そしてしばらく考え込む。

 

「あっ、あの時のレストランでタダオに何かした女!!」

リーナは何かを思い出しPCを操作し、何かの資料を出した。

藤林響子少尉……独立魔装大隊所属、諜報にたけ、別名エレクトリロン・ソーサリス名で呼ばれる。

そして、リーナの血縁者でもあった。

 

「タダオ…なに?日本の軍に狙われているの?それともタダオを攫いに来た?タダオの記憶喪失は日本軍が故意に?だとしたら許せない!タダオはUSNAで保護すべきだわ!!……情報が少ないわ、おじい様にコンタクトを取るしかないようね」

リーナはあの時の事を思い出す。記憶障害で苦しむ横島を思い出し、そう結論付けた。

 

 

「タダオに会いたい……タダオいったいあなたは誰なの?」





遂にリーナに横島の正体が……
第一高校の横島……次もこの続きです。

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