横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

すみません。今回思いっきりつなぎの要素の高い話しです。



133話 横島、友人達と話す前に!!

「マリアさん、気にならないのですか?」

「気になりますが・横島さんは・今の友人達と・だけ・話したいと思ってます」

今、雫の宿泊している部屋で、横島と雫は日本の友人達と、大きなTVディスプレイ越しに久々に顔を合わそうとしているのだ。

マリアは当然の如くそこに参加しようとした小竜姫を引っ張り、小竜姫の部屋に戻し、大人の対応を見せる。

小竜姫はこの頃、マリアに頭が上がらない。マリアの行動は同じ女性として、いや横島の姉的な存在として、明らかに、横島の信頼を勝ち取っていると感じていた。

横島はマリアに対しては、何かしてほしい事があれば、気軽に言うのだが、小竜姫にはそれをしない。当然雫に対してもだ。

小竜姫はそんなマリアを羨ましく思うが、自分に足りていなかった物が、今の横島に何が必要なのかを改めて考えさせられたのだ。

 

現在小竜姫とマリアは、小竜姫の部屋でお茶をすすっている。

 

実は、横島が初日こそ小竜姫を自室に宿泊させていたのだが、雫が猛抗議し、それならば自分も横島の部屋に泊まるまで言い出したのだ。

マリアもそれ程では無かったが、難色を示していた。

小竜姫は姉なのだから当然だと、言い張り、収拾がつかない状況になっていた。

当の横島は、頭とお腹あたりを抱え、部屋の隅っこでげっそりしているだけで、声も発しない。

 

横島にとって小竜姫が自室に泊まる事に全く抵抗がない。そもそも、100年前の妙神山での横島修行時代は襖を挟んで隣の部屋で寝ていたのだ。さらに、精神修行では斉天大聖老師が作った精神世界の中では老師と小竜姫、横島と同じ部屋で川の字になって寝ていたのだ。

その頃の小竜姫は最初の頃はここまで横島の事を意識していなかったのも大きい。横島が何かしてきても、ボコボコにしていた。横島は横島で、小竜姫にギャグまがいのセクハラを毎度敢行していただろうが、小竜姫にその度にボコボコにされる。この男そんなことぐらいで諦めるような精神の持ち主ではなかったのだが……

しかし、いろんなことを経験し、精神的に大人になって行き、小竜姫自身に尊敬の念を抱いて行った事により、横島が、小竜姫にそう言う行動に出ることは無くなったのだ。

今の小竜姫にすればそれはそれで、寂しくもあるのだが……

 

結局、カオスは面倒くさい状況を見かねて、横島の隣の部屋を強引に借り出し、小竜姫に与えたのだ。当然ながら小竜姫の抗議の声はやまない。

マリアは横島と小竜姫の部屋の間の壁にワンパンチをかまし、大穴を開けたのだ。

「これで・問題・ないです」

「おお、流石マリアじゃ、これで良いじゃろう」

マリアのとんでもない行動にカオスは納得顔で、直ぐに何やら人を呼び出し、大穴に小竜姫の部屋から直接横島の部屋に自由に出入りできる扉を作ってしまったのだ。

 

小竜姫もしぶしぶ、了承し一応この騒ぎは収拾したのだが…

……結局、夜は横島の横の空いているベットで寝ている小竜姫がいるのだ。

小竜姫と雫を挟んだ騒ぎはこれだけではない。

 

 

話は戻る。小竜姫はマリアと共にソファーにちょこんと座り、お茶をしながらも、千里眼のイアリングで遠見の術を発動させ、脳裏には雫の部屋内…横島と雫そして、今から横島の友人達が映し出されるであろう大きなディスプレイが写っており、覗き見する気満々である。

 

マリアはマリアで、そんな事を言いながらも、横島の事が気になり、雫の部屋の大型ディスプレイとネットワークに既に自身とリンクさせており、双方の映像と会話を聞ける状況を作り、此方もスタンバっていた。

 

 

 

 

 

一方、司波家に集まる横島の友人達。

「お邪魔しまーす。って何気に達也くんと深雪の家に上がるの初めてじゃない?」

「おお、そう言えばそうだな」

「素敵な家ですね」

「うん、そうだね」

エリカ、レオ、美月、幹比古は駅で集まってから一緒に司波家を訪れるが、皆、司波家に来るのが初めてである。

実は達也が友人達を家に上げるのはこれが初めて、いや、友人と言うカテゴリーの人間が今まで居なかったと言った方が良いだろう。

 

司波家は閑静な住宅街の中でも大概豪邸と言ってもいい家のサイズだが、友人達も皆、名家、実業家の子息、子女と会って驚きは無い。

100年前の一般庶民の感性しか持ち合わせない横島が来たら、それは騒いでいただろうが……

 

皆は深雪に広いリビングに案内され、すでに先に来ていたほのかにそれぞれ挨拶をしソファーに腰を下ろす。

 

「随分早い到着だな」

達也が皆にそう言った。その横で深雪がお茶を出している。

今は、午前9時前、横島との通信は10時だが、20分前には集まる事になっていたのだが、随分早い時間に来ている。

 

「あたりめーだ。昨日の内にここに来たかったぐらいだぜ」

「あんた。目にクマ出来てない?もしかして、興奮して寝れなかった口でしょ、まるで子供ね」

「んだと!…ふん、そうだよ」

「あら、あんたにしては素直ね」

「悪かったな。実際あいつに会うのは久々だしな。死んでいたかもって噂になる位の状況からでのダチとの再会だ。嬉しくないはずがない」

レオはエリカの軽口に乗せられながらも、素直に心境を語る。

 

「そう言うエリカちゃんも、目の下黒ずんでいるわよ」

美月はエリカの顔をまじまじと見ながら言う。

 

「うそ?メイクで隠したのに?」

エリカは慌てて、携帯端末を取り出し鏡のように使い自分の顔をチェックする。

 

「…エリカ……眠れなかったんだね……」

幹比古はそんなエリカの様子に苦笑していた。

 

「何とも……はっ!美月!図ったわねーーー!」

エリカもその意図に気が付き美月に抗議の顔を向ける。

 

「……エリカ」

深雪はそう呟いて、生暖かい目でエリカを見る。

 

「ち…違うのよ!横島に久々で会いたかったとか!そんなんじゃないんだからね!!」

エリカは大声で言い訳じみたような事を言う。

 

「なら、なんなのさ」

幹比古は疑いの眼差しでエリカを見ていた。

 

「その、いざ横島と話せるとおもったら、いろいろ考えちゃって、横浜事変の後からあいつ居なくなったじゃない?横島がいなくなったのはそりゃ、張り合いが無くなって、ちょっとは寂しいと思ったわよ。

でも、あの時の横島って、何時もの横島じゃなかったじゃない。そりゃ、あのとんでもない力は正直ビビったわよ。でもそこじゃなくて……大人っぽい感じだったし、なんと言うか……影があるというか、……らしくないっていうか……記憶喪失のあいつが、あの感じで出てきたらどうしようって思っちゃって……本来のあいつってどっちなんだろって考えてたら……朝になって」

エリカは横島事変の横島について、考えていた様だ。何時もバカやっている横島とは雰囲気が余りにも違っていたからだ。

 

「まあ、あの時の横島はちょっとカッコ良かったけど、エリカは考え過ぎだよ。多分どっちも横島だよ」

幹比古は軽く言う。

 

「エリカちゃんは知らないかもしれないけど、横島さんって、私達に霊視や霊力のコントロールを教えてくれてる時って、なんだか年上に見えちゃうんだ、教え方が旨いし、なんか人生経験豊富そうだし……だから私や幹比古君、雫さんはあまり違和感が無いのかもしれない」

美月は、横島から、霊視、霊力の修練を受けていた時の横島を思い出しながら語る。

 

「横島の本気の戦闘スタイルなんだろう。それだけ真剣だったってことだ。おちゃらけ無し、ギャグ無し、スケベ無しの奴はあんな感じだろう」

レオは元々横島の本質を感じていた様だ。

 

「はぁ、なに?わたしだけ?こんなこと考えてたの?なんか馬鹿らしくなってきたわ」

エリカは両手を上げ降参のポーズをとる。

 

「私もよエリカ……私も、あの時の横島さんを……」

深雪はエリカの意見に同意したのだがその後の言葉が出てこなかった。怖いと感じた事を。

 

 

「そろそろ通信つながるぞ……」

達也は手元のディバイスを操作しながらそう言っていた。

達也もあまり寝ていない。先日からセキュリティを強化していたのだ。過去何回か、司波家のセキュリティを突破されたことがあるからだ。

 

 

そして、リビングの大きなテレビがパッと明るくなり……映しだされたのは……

 

 

「フハハハハハハハハッ!!おう!!こやつらが今の小僧の知り合いとな!!良い面構えじゃ!!」

白髪の60絡みの紳士風老人の自信に満ち溢れた顔がドアップで高々と大口で笑っていたのだ。

 

「クククククッ、なんじゃあの小僧、やはり隅に置けないではないか、美女をそろえおって、あの世であの者達もヤキモキしておろうのう。クークックックッ!!」

 

横島が登場するものだとばかり思っていたのだが、突然、この人物が画面いっぱいに映し出され、しかも何やらわけわからないことを大声で言い、一人高笑いしているのだ。

何が何だかわからない何時もの面々は唖然とその老人を見ている事しかできない。

 

「ん!?なんじゃ、なんじゃ、そろいもそろって黙りおって!!クククククッ、致し方ないのう。……フハハハハハハハッ!!恐れ、慄け!!小童ども!!わしがヨーロッパの魔王ドクター――――カオ……ブッ!!」

 

その紳士風老人は高笑いと共に居丈高と自己紹介をしたのだが、何故か拳が顔面にめり込んでいた。

 

「……なななな、何をするんじゃマリア!!これからいいところじゃのに!!グハッ!ブッ!はへ~……や、やめ~!!アッ、フゴ!!」

涙をチョチョ切らせた老人の顔に次々に拳が突き刺ささり、最後はボコボコになった老人の顔が画面に張り付き、そして、襟首をひっつかまれと若い女性にずるずると引きずられて行き画面から消えていったのだ。

一種の残虐ショーの様相である。

 

そして、画面が真っ暗に落ちピンポンパンポンとチャイム風の音共に

『お見苦しいところをお見せしました。しばらくお待ちください』

白字で画面一杯に表示された。

 

 

司波家のリビングのソファーに座っている何時ものメンバーはその余りに唐突で予想外の展開に固まってしまった。

 

 

「なんなのこれ……」

「横島……さんじゃなかったですね」

「……あのじいさん大丈夫なのか?」

「……死んだんじゃ……」

エリカ、美月、レオ、幹比古は呆然と画面を見ながら口々に言う。

 

「……間違いないドクター・カオスだな、データで見たことがあるが……」

「本当ですかお兄様、……でも今ので死んだのでは?」

司波兄妹も驚きを隠せないでいる様だ。

 

「……ドクター・カオスは世界初の再成魔法を使える人物でもある……死にはしないだろう」

達也はドクター・カオスが再成のBS魔法師である事を知っていた。

 

「なんか……こんな風景見たことがあるんだけど」

「おう、俺もそれ、思ったぞ」

「それって横島だよね……もしかして横島ってドクター・カオスの親戚?親子だったりして……」

エリカ、レオ、幹比古はこんな事を話している。

何時もの面々はこの風景を、ドクター・カオスを横島に重ねてしまっていた。

 

 

 

 

 

これはUSNAのドクターカオスがホテルの自室から、ネットに割り込み一足先に、司波家に集まっている横島の友人達を見定めようとしたのだ。

それを同じく、回線を盗み見しているマリアにバレて、部屋に突撃され、余計な事をしたカオスはボコボコにされたのであった。




次回ようやく横島登場!!
再会の時間です。

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