横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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すみません、返事が遅くなっております。徐々に返答いたします。
誤字脱字報告ありがとうございます。

では前回の続きです。


135話 横島、友人と久々に顔を合わせる!!その2

「そういえば、あんたと話す前に、欧風紳士の年寄りが挨拶なのかよくわからない事を言って、ド派手に登場したわよ。ドクター・カオスって名乗っていたけど……」

エリカは横島と会話をする前の出来事を思い浮かべながら横島に聞く。

 

『……なにやってんじゃ、あのじーさん』

 

「ド派手に登場して、ド派手に殴られて、ボロボロになっていたぞ。大丈夫か?あのじいさん」

レオはどうやら、真剣に心配しているようだ。

 

『大丈夫、大丈夫。直ぐ復活するし、あのじーさん体だけは丈夫に出来ているから』

 

「大丈夫って、普通あれだけやられたら死んじゃうよ?横島じゃあるまいし」

幹比古はカオスのやられっぷりを見て引いていた。

 

「でも、やられ方とか叫び方とか何となく横島さんに雰囲気が似ていましたよね」

美月もさっきの出来事を思い出し、クスっと笑っていた。

 

「お前の親戚か?」

達也は真顔でこんな事を聞く。

 

『いっしょにするな!!……あんな恥ずかしい親戚はいない!!』

 

「しかも、折檻していたのは女性でした。後ろ姿しか見えませんでしたが……もしや、魔女マリアですか?」

ほのかは老人を殴っていた人物について聞く。

 

「……ドクター・カオスって、ヨーロッパの魔王といわれた天才錬金術師で、最強の魔法師の一角なのよね。しかも世界的な金持ちで………見た目は紳士っぽいけど、やってることはアンタとあまりかわらないのだけど?本当に本人なの?」

エリカは突如登場したドクター・カオスが世間一般で言われているイメージからかけ離れていたため、改めて聞き直し、周りの皆もそれに頷く。

 

『……間違いなく、そのじいさんは、世間で騒がれているドクター・カオス……それと、殴ってた女性は見ないでもわかる。マリアだ』

 

 

…………

この場に沈黙が支配する。

それぞれ何やら考えている様だ。

カオスの本当の姿を見たショックなのか、それとも、カオスに出会えた事に驚いているのかは分からない。

 

 

「「「本物のドクター・カオス!!」」」

エリカ、レオ、美月、幹比古の驚きの声が見事揃う。

当然だろう。世界的な有名人であり、歴史上の人物でもある。1150年の時を生きた。まさに伝説の人物が目の前に現れたのだから……

 

「あれが……数々の現代魔法をつくり、生きた伝説とも言われているドクター・カオスなのか……」

達也は、先ほどとんでもない登場の仕方をした人物が、思い描いていたカオス像とのギャップが激しく、ショックを受けている様だ。

 

「本当に天才錬金術師?漫才師じゃなくて?」

ほのかは事前にある程度雫に聞いていたのだが、やはり驚きを隠せない。

 

深雪も驚いてはいたものの、口に手を当てる程度で済んでいたため直ぐに横島に質問をすることが出来た。

「横島さんは海に漂っているところを偶然にも、ドクター・カオスに拾われたのですよね?」

 

『まあ、その時の事は俺自身覚えていないんだけど、実際はマリアが助けてくれたらしい』

 

「らしいってあんた、軽く死にかけてるじゃない……しかもなんで、USNAに連れていかれてるのよ?あんた何かされてない?」

エリカは驚きから復活し、語気は強めだが、心配そうに横島に聞く。

 

「横島がドクター・カオスかUSNAに拘束、監禁されているかもしれないという情報もあったんだ」

幹比古もエリカに続く。

 

『ああ、カオスのじーさんがUSNAで用事があったから、そのついでに連れてかれたらしい。もっとも俺自身、ずっと眠ったままだったから、どうしようも無かったしな…。なにかって、あのじーさんには実験台ぐらいさせられそうだが……マリアが居るし大丈夫だろう。監禁?拘束?そりゃ勘違いもいいところだ』

 

「どういうことですか?勘違いって?」

美月は監禁、拘束などないと言っている意味を聞く。

 

『カオスのじーさんとマリアは俺の昔馴染みだからな』

横島はサラッとそんな事を言うのだが……

 

「待って、いま横島、昔馴染みって言った?」

幹比古は横島の何気ない言葉に酷く驚く。

 

『まあな、昔からの付き合いだしな……まあ友達みたいなもんかな』

何気なく横島が驚愕の事実を口にする。

 

また、しばらく場は沈黙に包まれる。

……………

 

 

 

 

「……横島……魔女マリアにサインもらってくれないーー」

「……横島さん……私もお願いしますーー」

「……横島……ドクター・カオスにサインもらえないかなーー」

エリカとほのか、幹比古はサインをねだるも、目が死んだ魚の様に光を失っており、淡々と棒読みになっている。あまりの事に思考がぶっ飛び、現実逃避でこんな行動に出ている様だ。

 

「お前たち落ち着け…………横島……本当にドクター・カオスとは友人関係なのだな」

達也はそんな3人を諫め、再び横島に問うた。

 

『?そうだが、何かおかしかったか?』

 

「「「「おかしいわよ(だろ)!!」」」」

エリカ、レオ、美月、幹比古の叫び声がまたもや見事揃う。

 

「……横島の交友関係って………氷室家の人達に家族だって言われているだけでも驚きなのに、九島烈とか、あのドクター・カオスと魔女マリアとかを友達って言っちゃう当たり、普通じゃ有り得ないよね……」

幹比古はしみじみと、何故か疲れた様にそんな事を言い、それに皆は同意し頷く。

 

「横島……………頼みがある……ドクター・カオスを紹介してくれ……今直ぐでなくていい。魔工技師を目指す身としては、是非会いたかった人物なんだ。現代ある数々の基礎理論はドクターが作ったと言っても過言ではない!」

達也は、徐々に語気を強くしていき、珍しく興奮気味だ。……どうやら、ドクター・カオスに憧れとまではいかないが、敬意を持っていた様だ。

 

「お、お兄様?」

何時もと様子の違う達也を見て深雪は戸惑っていた。

 

 

「雫……実際どうなの?ドクター・カオスと魔女マリアは」

ほのかは横島の隣に座っている雫にドクター・カオスとマリアと人となりと横島の関係性を聞く。

 

『うん、ドクター・カオスとは、まだ、ちゃんと会ってないけど、面白い人で横島さんと仲良さげ、マリアは優しい人で、お姉さんみたいな感じ』

雫はまだ、会ってそれ程日数は立っていないが、そんな印象を持っている様だ。

 

「……マジなんだな」

レオはそれを聞いてボソッと言う。

 

またしても、沈黙しそれぞれ、唖然としたような顔をしていたが……

 

「なるほど、それで、USNAも横島に容易に手出しができないのだな」

漸く何時もの達也に戻り、冷静に話を進める。

 

「どういう事?」

エリカは達也にその意味を聞く。

 

「ああ、ドクター・カオスと魔女マリアはこの二人だけで、一つの国家級の軍事力を持っている様なものだ。その友人である横島を強引に何かをすれば、痛い目に合うどころの騒ぎではない……それは日本政府も同じことだろう」

達也は淡々と説明をする。

 

「でも、それってさ……そんなドクター・カオスと魔女マリアに横島が加わっちゃうと、誰も手だし出来なくなっちゃうような……それどころか、世界征服も可能とか……」

幹比古は苦虫を潰したような顔をしながらをそんな事を言う。

 

『世界征服か!!カオスのじーさんに言ったら、乗ってきそうだな!!』

 

「軽!!世界征服ってそんな軽いもん!?こんな奴に世界握られてる!?」

エリカは驚いたらいいのか呆れたらいいのかも分からない状態だ。

 

『ジョーダンだって、そんな事したって、疲れるだけだって』

 

「あはははっ、横島さんがそんなことするわけないと分かっていても、冗談に聞こえないのが不思議です」

美月はもはや半笑いだ。

 

「………」

そんな中、達也は何やら真剣に考えている様だ。

 

 

 

『あ、そう言えば、横島さんの姉を名乗る人が来ている』

雫は思い出したように不機嫌そうに言う。

 

『し…雫ちゃん』

横島はどうやらその話題には触れてほしくなかった様だ。

 

「姉だ?おまえ、家族いないのだろ?どういうことだ?氷室は皆、年下だぞ」

「レオ、なんであんたはそうデリカシーが無いのかしら……」

「横島さんにお姉さん、もしや蓮様!!」

レオの相変わらずのぶっきら棒な言い方に、エリカは注意をする。

美月はまたもや、勝手に妄想モードに入っていた。

 

『そう、なんでも、武術の姉弟子らしい。それで、横島さんに姉さんと呼ばそうとして、私と横島さんとの間に邪魔してくる。エリカ似の美人だけど、性格はまるで深雪……』

雫はどうやら、その姉弟子に対して良い印象を持っていないようだ。

その姉弟子は、勿論、小竜姫の事だ。雫には妙神竜姫と名乗っている。

 

「ありがとう雫、ふーん、私似ね。もしかしたら、あんた、その姉弟子の代わりに私にセクハラしてるんじゃないでしょうね」

美人と言われ、悪い気はしないエリカだが、ジトッとした目で横島を見据える。

 

『ああああ!!アホ!そんな言い方するな!!聞こえたらどうする!!………ふぅー、大丈夫そうだ』

横島は慌てて、エリカに注意し、周りをキョロキョロと見廻し、安心したのかの様に一息つく。

今のが小竜姫に聞こえていたらと思うと、横島は寿命が縮む思いがしていた。

……しかし、手遅れなのだ……小竜姫はこの情景を見ていて、こめかみをピクピクとさせていた。

やはり、お怒りの様だ。

 

「雫、性格は私に似ているという事は、慎ましやかで良い方なのですね。そうですよねお兄様」

深雪は雫に笑顔でそう言い、達也に同意を求めていた。

 

『……重度のブラコンに嫉妬深い』

雫は恐れ多くも直球ど真ん中の答えを持って来た!

 

雫の答えに、皆が凍り付く。

 

「……雫…それはどういう事かしら?私達一度よく話し合う必要があるようね」

深雪は笑顔を絶やしていなかったが、そこには、優しさや喜びなどと言ったものはない。ただ単に恐怖のみを与える笑顔だ。まさしく小竜姫が湛える笑顔と同類のものだった。

そして、周囲に冷気が漂う。

 

『深雪、笑顔が怖い』

雫がさらに追い打ちをかける。

雫は、深雪だけでなく、小竜姫というブラコンの嫉妬狂いの二人を完全に敵に回していた。

 

…………

 

『たはったはははっ、この話題はよそう、お互いの為にその方がよさそうだ!!』

横島は冷や汗をかきながら、皆に向かってそう言った。

 

「そ…そうよね!」

「横島、たまには、いい事言う!!」

「お、おう」

エリカ、幹比古、レオは場の冷たい雰囲気を払拭するが如くそれに慌てて同意する。

 

 

「……ところで、横島、お前いつ日本に帰るつもりだ?事件が解決するまでと言っていたが……学校はどうする?」

達也はそんな凍り付いた場の空気から見事に話題を変えた。

 

「あんた、2学期の期末テストも受けてないでしょ?もしや進級ヤバいんじゃない?」

エリカも達也の話題に続く。

 

『げ、それヤバい!……う…落第有り得る。出席日数もたりなさそうだ……どうしよう?』

横島は今頃そんな事を言っている。

 

「……横島、お前の行方不明も学校側の責任でもある。休学扱いになっているはずだ。さらにそっちに藤林さんが居るだろう。何かしら交渉が出来るのではないか?」

達也は横島に淡々とこんなアドバイスをした。

 

『おっ、なるほど』

達也がそう言った事を横島は瞬時に理解する。

日本政府が何らかの交渉のために、横島に藤林響子を使って接近している事は本人も重々承知なのだが、今、横島は逃げ回っていたのだ。

達也は横島にその交渉のテーブルに付き、裏取引で落第を回避させろと言っているのだ。

 

「……また、達也くん、不正や犯罪まがいな事考えてない?」

エリカは呆れ顔で達也を見る。

 

「お互い利害が一致すれば、不正や犯罪にならない」

達也は平然と言うが、不正は不正だろう。

 

 

「まあ、なんにしろ早く帰って来いよ」

レオは横島に男らしい笑顔を向ける。

 

「そうだね。霊視の修行もつけてもらいたいし」

「横島さんが居ないと、クラスみんなが寂しがってます」

「あんたには、帰ってからその、なに、横浜で見せたあの力について聞きたいしね」

「……横島そう言うわけだ」

幹比古、美月、エリカ、そして達也も同じく、横島には早く帰って来てもらいたいようだ。

 

ほのかは雫の事があるため、その辺は返事がしにくい。

深雪も、達也の事もあり、横島には恐怖こそ今はないが、えも言われない感情が渦巻いている。

 

『横島さんが帰るなら私も帰る』

雫はそんな事を平然と言う。

 

『そのなんだ、色々と心配かけたな、なるべく早く帰れるようにはする』

横島は照れ臭そうにそう言った。

 

この後、横島は今の携帯端末のアドレス等を皆に伝え連絡をいつでも取れるようにした。

学校にはしばらく横島が生きていて、USNAに居る事を黙っている事になった。

 

 

こうして、久々に何時もの面々が顔を合わせ、皆心行くまで話したのだった。

横島が行方不明になり、約2ヶ月半、期間で言えば短いように見えるが、何年もあっていないかのような感覚を皆は感じていた。




ドクター・カオス超有名人ですね。
カオスと達也が混ざったらやばそう><

次もこれに付随する話題になる予定です。

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