横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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137話 横島、知人に連絡をする!!

 

達也達が横島とコンタクトを取っている間、

日本各地に派遣されているUSNA工作員から上がってくる情報は、どれも達也と深雪どちらかが『灼熱のハロウィン』を引き起こした戦略級魔法師である可能性高い事を示していた。

リーナは確証を得るための方策をシルヴィア准尉を含むチームで検討していたのだが……

 

そんな時、リーナの元にUSNA本国から緊急連絡が入る。

現在もダラスに滞在中のベンジャミン・カノープス少佐からだ。

内容は、昨年10月に行ったマイクロブラックホール生成実験後、脱走者(行方不明者)となっていた軍関係者7名の新たな情報についてである。

脱走者の一人であるフォーマルハウト中尉は昨年末、横島の活躍によってダラスで捕らえたのだが、現在も病院にて意識不明のままであり、情報を得ることが出来ず、それ以降、脱走者たちの行方は分からないままであったのだ。

ドクターカオスの12月末に行った実証実験の結果、マイクロブラックホール生成で空いた時空の穴から異世界の未確認サイオン精神体が侵入し、生成実験の関係者に肉体若しくは精神に寄生し、操られている可能性が高いという恐ろしい報告を受けていた。古来からこのような事象は確認され、デーモン(悪魔)憑きや妖精憑き、パラサイトなどと呼ばれていたものに相当するとの事なのだ。

フォーマルハウト中尉と今だ行方不明の元USNA軍脱走者7名は、いずれもこれに該当するだろうというのが今のUSNA軍参謀本部の見解だ。

そのデーモンに寄生されていると思われる元USNA軍脱走者7名は復興が始まったばかりの横浜港から上陸し、東京に潜伏しているというのだ。

リーナもこの事実に驚きを隠せないでいた。

 

USNA軍統合参謀本部はこの事態を重くみて、直ぐに追撃隊を日本に派兵することを決定した。

しかも日本政府には通達無しに、内々に処理するつもりでいるのだ。

もし、日本国内で秘密裏に派兵した兵隊が、戦闘行為を行い市民に被害が出た場合。国交断絶もあり得るのだが、今回の事件による自国の失態を表沙汰にしたくはないという意思がありありと伝わってくる。そんな事を言っている事態ではないのだが……

 

カノープス少佐はアンジー・シリウス少佐に任務内容の変更を通達する。

「総隊長、参謀本部からの通達です。現在遂行中の『灼熱のハロウィン』容疑者の捜索は優先順位を繰り下げ2番目とし、元USNA軍脱走者7名の処分を最優先に。日本政府に秘匿し、迅速かつ内密に処理をとの事」

 

「……了解、しかし、日本政府に通達無しに実行とは、危険を伴いますね」

日本政府と連携を取った方が速やかに対応が出来るのは分かり切った事なのが、それが出来ないとなると、難易度は格段に上がる事をリーナは言っている。

 

「それだけ、ペンタゴン(参謀本部)も事態を重く見ているのでしょう」

 

「……ベン、…ドクター・カオスにはこの事は?」

リーナは間を置き、カノープス少佐に聞きにくそうにする。

 

「いえ、知らせておりません。ダラスでこの件の協力者、カオス氏の助手である横島少年にも伝えておりません」

リーナの意図を的確に理解し、カノープス少佐はこう答えたのだ。

リーナは横島について直接聞きたかったのだが、こう言う言い方になるのは致し方が無いだろう。

今はスターズの総隊長アンジ―・シリウス少佐なのだから。

 

「……そう」

リーナは心苦しそうな表情をする。

協力者である横島に情報を渡すことが出来ない事が、彼を裏切っている様な気がしてならなかったからだ。

しかし、もし、情報を知った横島が日本に来てしまったら……。もし、第一高校の友人達に出会ってしまい、記憶が戻ってしまったらと思うと、これで良かったのだと心の中で自分に言い聞かすしかなかった。

 

リーナはまだ知らない。横島が既に記憶が戻り、達也達とコンタクトを取っている事を……

 

 

 

 

その頃横島は、次々と親交の深い人たちに連絡を入れていた。

その前に小竜姫には、散々お小言を言われていた。どうやら、友人達と達也との会話を聞かれていた様だ。「でも、貴方らしいです。世界が変わろうと貴方は貴方なんですね」そう言って最後はしぶしぶだが今は収めてくれていた。

 

 

まずは何より氷室家に連絡を入れる。14代目恭子とは12月末の時点には連絡をしていたのだが、要たちには内緒にしてもらう様に言っていたからだ。

彩芽には泣かれ、要はそっけない態度であったが、どこかホッとしている様子だった。

蓮には涙ぐみながらではあるが珍しく怒られ、それに敦信がフォローするという一幕もあった。

横島は何度も頭を下げるのと同時に、話せる範囲での現状と、しばらくUSNAにいる事、日本に帰ったら氷室にも一度戻る事を伝えた。

横島と先にコンタクトを取っていた恭子がこの後、娘や孫に色々と責められていたのだが……

あえて、『救済の女神』発動について、要たちが横島に聞かなかったのは、恭子が事前にその事を、今は聞かないで上げてほしいと言っていたからだ。

要たちは横島が遠い親戚であることは恭子から聞いていたため、氷室の秘術を使えるのはまだ、納得はいくが、『救済の女神』まで使えるとなると疑問が残る事になる。蓮は薄々何かに気付いているようだが、要は横島と氷室の関係がどのようなものなのかをしばらく考えふけることになる。

しかし、要はその程度で横島に対する思い(恋心)は揺るがない。その思いは横島が居なくなってからある決心をさせ、秘密裡に行動に移していたが……この事はまだ、横島には秘密である。

 

次に九島烈に連絡を入れる。

九島烈は横島からの突然の連絡に大いに驚いていた。

死んでいたと思われる人物からであったからだ。

九島烈は最初は、驚きのあまり口数が少なかったのだが、段々と饒舌になり、横島を少々興奮気味に質問攻めにする。

やはり、横浜での『救済の女神』発動の事、済州島での戦略級魔法マテリアル・バースト阻止についてがメインだったのだが、横島はその件を認める代わりに、生きている事やこうやってコンタクトを取っている事を秘密にしてほしいと頼む。

九島烈は横島と会話しつつも、今後の横島との付き合いをどうすべきかに思考を巡らせていた。いくら何でも、一個人の力としては絶大過ぎるからだ。

九島烈は、個人的な付き合いに今の所留めた方が無難であるという判断を最終的に下すのだが……

 

次に九重八雲である。

九重八雲は横島からの連絡に特段驚いた風には見えなかった。

ただ、八雲は、横島が行方不明になった後、横島についての生い立ちなどを調べたのだが、まるでわからなかった。そんな人物は初めから居なかったのではないかというぐらいに情報がなかった事を本人に告げ、君は何者なのかと聞いてきたのだ。

横島はその質問には、「最初っから言ってるでしょ陰陽術師だって」とだけ答えた。

八雲は、その答えに納得した様に「まさに、そうだ」と笑っていた。

この時代に陰陽術師を名乗る事自体ナンセンスな話。しかも九重八雲も自身を「忍者」だと名乗っている得体のしれない人物なのだ。

すでに陰陽術師やら忍者やら名乗っている自体、自分は得体のしれない怪しい人物だと言っているようなものなのだ。

きっかけは、氷室繋がりではあったが、お互いの素性等関係なしの付き合いで、今さらな関係なのだから……

 

 

 

次に渡辺摩利にも連絡をする。

摩利は突然の横島の連絡にかなり驚き、初めは上手く言葉が出ないでいたが、無事を喜んでいるのがわかる。しかし段々と何時もの調子を取り戻し、一方的に横浜でのことなど質問攻めをしつつ、何故か説教が始まってしまう。『救済の女神』の後継者なら、普段からも真面目にすべきだやら、自覚が無いとかなどなど、しかし、最終的には横浜での時のお礼を言っていた。

そして、必ず真由美に自らの手で連絡することを強く進言するのだった。

 

横島は、真由美には避けられていると感じていたため、摩利から真由美に生存を伝えてもらうつもりであったのだが……真由美にも連絡をすることにした。

 

 





次は久々真由美さん登場

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