横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます!!

今回ちょっと長いっす。





14話 横島、真由美と摩利を驚かす!!

横島は、現在、図書館近くの物陰にいる。

土角結界で拘束した傭兵団のリーダーを脅し、情報を聞き出していた。

目的は、図書館にある魔法大学の研究データにアクセスするためとの事だった。

傭兵団はその為に雇われ、テロリストの訓練や戦闘のレクチャーなども行い、今回のテロ行為に参加し、アクセスキーを持っている人間の手引きをする事であった。

彼らの雇い主については、ブランシュというテロリストなのだが、本拠地や指導者の名前などは、全く知らないようであった。

 

 

一応、嘘がないか、霊視で確認したが同じであった。

 

 

傭兵団の連中を縄で拘束し、その辺に転がしておく。一応、リーダーだけは、直近の記憶を消しておいたようだ。

 

 

横島は、認識阻害と人払いの結界を解く。予め傭兵団と接触の際、張っておいていたのだ。

そのおかげで、他生徒から戦闘自身は見られずに済んでいる。戦闘を行った傭兵団も横島の印象は曖昧になるであろう。

 

 

 

横島は意識を集中し、構内の状況を把握する。

サイキックソーサーによる重火器の破壊により、学生側が態勢を立て直し、乱戦模様だが、押している様だ。この調子であれば、状況が終息するのも時間の問題だろうと横島は判断した。

 

 

 

横島は既に図書館に入り込んだ連中を確認していた。

それの排除に向かうつもりであったのだが……

 

 

 

エリカと達也それと深雪がこちらに向かって走って来ていた。

どうやら、達也達も図書館に向かっていたらしい。

 

 

 

「横島ーーーー!!あんた、大丈夫だったの!?」

 

 

「逃げるのだけは、大得意だ!!」

エリカに向かって横島は胸を張ってとぼけた事言う。

 

 

続けて横島は達也達にこんなことを聞く

「あの黒い服の連中はなんなんだ?いったい?」

どうやら、最後までとぼけるらしい。

 

 

「テロリストだ」

達也は端的に答える。

 

 

「テロリストたちの目的が図書館のメインコンピュータの様です」

深雪が補足してくれた。

 

 

「横島、この辺の状況はどうなっている?」

達也は横島に聞く。

 

 

「図書館に、摩利さんが言っていた赤緑白のリストバンドをした学生と黒い服の奴が何人か入っていったぞ」

横島は先ほど、霊力で図書館の内部状況を把握していた。

 

 

「そうか、お前も来るか?」

 

 

「達也くん、横島がいても足手纏いなだけよ」

エリカは意地悪そうに横島を見ながら達也に言う。

 

 

 

すると横島の携帯端末にメールが来ていた。

摩利からである。至急保健室前に来てくれとあった。

 

 

「達也すまん。なんか、摩利さんからお呼びが掛かった」

 

 

「気にするな。元々3人で行くつもりだったからな」

達也は横島が神通棍が使え、さらに氷室家の人間であるため、少しでも戦力になると考えていた様だ。

今の達也は、まだ横島に対しての認識はその程度であった。

 

 

「横島、敵にあっても逃げんのよ!!」

「横島さんではお気をつけて……」

エリカと深雪、それぞれ言い方は違うが、横島を気にかけている様だ。

 

 

「そっちこそなー」

図書館にいる連中は戦闘レベル的に低そうな連中であった。

達也が居れば十分だと横島は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

横島は、保健室に向かう。

既に戦闘は散発的となり、終息に向かって行っていた。

 

 

横島は途中、食堂の前を横切る際、様子を見たが大丈夫そうである。結界を解いておく事にした。

 

 

 

保健室近辺までくると、廊下でケガ人が手当を受けていた。

 

 

 

「横島、来たか、話がある」

横島を廊下で見つけた摩利は強引に横島を引っ張り、保健室準備室に連れて行った。

 

 

「どうしたんです。怖い顔して?俺なんかやっちゃった?」

 

 

保健室準備室を開けると真由美が座っていた。

 

準備室に入り、扉を閉めたとたん。

「横島、頼む。重傷者が出ている。此方にも救急隊が向かっているのだが、間に合うかどうか……」

摩利はそう言う。

 

 

「横島、お前は氷室家の一員なのだろう。治癒魔法でなんとかならないか?」

 

 

「横島くん、治癒魔法がとても貴重であることは重々承知しているわ、しかも、氷室家であるのであればなおさら、秘術であることも……でも、生徒が命の危険にさらされているの、お願い。どうか、助けて下さい」

 

そう言って、摩利と真由美は横島に頭を下げる。

氷室は治癒魔法が優れていると知られている家系だ。氷室出身の横島にも治癒魔法が多少なりとも使えるものと考えて当然である。

 

 

どうやら、真由美も横島が氷室家から来た事を知っていた様だ。

実際には、学園から知らされていたのは、生徒会長の真由美と、風紀委員長の摩利、そして、十師族の次期当主である部活連会頭の十文字克人だけなのだ。

 

 

 

 

「いやだなー、摩利さんも真由美さんも頭上げて下さい!!俺みたいな奴に頭下げないでください……まあ、そんなに期待しないでくださいよ」

 

 

「すまない」

「ありがとう横島くん」

 

 

 

そして、準備室から保健室につながる扉を開けながら摩利はそう言った。

「保健室に重傷者が居る。後は頼む。何かあったら呼んでくれ」

多分、横島に考慮してそのように言ったのだろう。高位な治癒は秘術に当たる。それは他人に見せていいようなものではないためだ。

魔法による治療に摩利と真由美は立ち会わないようにしてくれたのだ。

 

 

 

横島は頷き保健室に入る。

 

 

 

そこには息絶え絶えの血まみれになった生徒が男女8人、ベットに寝かされていた。

大やけどや四肢の一部が欠損している生徒もいた。

 

 

横島はまずは札を出し、部屋の四隅に飛ばし壁に張り付かせる。保健室内に治癒促進に特化した結界空間を作りだす。

 

これで、今すぐの命の危機は脱することが出来る。

 

 

横島は一人一人、直接治療を行っていった。

四肢の一部が欠損した生徒をみる。欠損部もそこに氷漬けで置いてあった。それを取り出し、霊気を送って、接合させていく。

 

 

内臓が破裂している生徒には、手を触れ、霊気を送り修復させていく。

 

 

大やけどを負った生徒には全身に気を送り、皮膚を生まれ変わらせていく。

 

 

破片などが多量に突き刺さった生徒は、霊気で異物を包みながら抜き、傷口に触れ修復させていく。

 

 

次々と治療を行っていく横島

この光景をもし見られていたのなら、大変なことになっていただろう事は想像にたやすい。

 

 

その間わずか20分もかからなかったのだ。

 

横島が治療を終えた後、漸く救急隊が来た様なサイレンの音が遠方で鳴りだしていた。

 

 

 

準備室からノックの音が聞こえ、摩利から声が掛かる。

「ようやく、救急隊が来た。横島、重傷者の状態はどうだ。持ちそうか?」

 

 

「入っていいっすよ。終わったんで」

 

 

「終わった?」

摩利はドア越しで疑問の声を上げながら、真由美と共に保健室に入る。

 

 

 

摩利と真由美は保健室を入り、次々と、生徒の状態を見て行っていたのだが、一人また一人と見て行くにつれ、二人は驚きの表情を大きくしていく……

 

誰もかれもが、安定した寝息を立て眠っている。しかも、あるものは千切れた四肢が元通りに、大やけどは元に、破片が刺さっていたものは無くなり、元通りになっていたのだ。

 

 

 

 

「よ………横島くん……こ…これは?」

 

「………なんてことだ…」

 

驚愕の表情で横島の顔をみる真由美と摩利、驚きのあまり言葉がうまく出ない様だ。

 

真由美と摩利は救急隊が来るまで命を損なわないようになれば程度に思っていたのだ。

それが、見事に元通りに回復していたのだ。

 

 

 

しばし、驚きが静寂が支配する。

 

 

 

横島は、二人の驚きの表情が理解できていなかった。そして、しばしの沈黙の意味も。

「一応、致命傷や大きなケガは治しましたが、細かいのは治癒促進してます。後は体力の回復を待つだけですかね」

もしかしたら、容体の説明を求められていたのだと思ったらしい。

 

 

 

「いや、あれだけの傷をどうやって……いや聞くまい。流石氷室と言うところか。お前の突拍子もない犯罪まがいの行為には何時も驚かされていたが……今回程驚いたことは無いぞ。逆の意味でだ。ありがとう。助かった」

摩利は、一度目を瞑り、横島に礼を言った。

 

 

「凄い、凄いわ横島くん。本当にありがとうございます」

真由美は横島の手を取って興奮気味に喜びを表現していた。

 

 

「そ?そうすか?」

横島はいまいちピンと来ていない様だ。

文珠が使えたのなら横島にとって、生きてさえいれば、一瞬で修復可能だからだ。

 

 

 

 

興奮気味に喜びあっている摩利と真由美だったのだが……

 

「困ったぞ。これをさすがに伝えるわけにはいかんぞ。もちろん治療された本人にもだ」

 

 

「うーーん。横島くんが氷室家出身である事は学園長からなるべく内密にと釘を刺されているし。そうね。元々大した怪我じゃなかったっていう事にしましょうか?」

 

 

「いや、しかし、横島の貢献は多大だ」

 

 

「だったら内々で、何かお礼を、うーーん、私たちにできる事で……横島くん何かして欲しいこととかある?」

真由美はそう横島に聞いてしまった。

 

 

「……し…しして欲しい?、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、真由美さんが……」

何故か興奮しだす横島。

 

 

「いかがわしいことは無しだ!!」

摩利はそんな横島に釘をさす。もうすっかり横島の性格を把握している様だ。

 

 

「ま…まだ、何にも言ってないっすよ!」

 

 

「お前のスケベ顔を見れば言わずともわかる!!お前と言う奴は凄いんだか、バカなのかわからん奴だな」

呆れる摩利。

 

 

「うーん…!?じゃあ!!真由美さんとデーーートぉ!!」

やはり横島である。突拍子もない提案をしてきた。

 

 

「おい、横島!!」

それに嚙みつく摩利。

 

 

「いいわよ。そんなことくらい」

しかし、真由美は平然と了承したのだ。

 

 

「へ?まじ?」

横島は、まさか要求が通るとは思っていなかったようだ。

 

 

「真由美、横島を調子にのらすな」

 

 

「もちろん、摩利も一緒よ!!」

 

 

「おい、待て真由美!!」

 

 

「ヒャッホーー!!デート、デート!!真由美さんとデート!!摩利さんとデート!!」

横島は体全体で喜びを表現した。

 

 

 

救急隊員が重症患者の収容の為、保健室に真顔で突入してきたのだが……

ベットに寝ている8人の患者の前で、喜びのダンスを踊っている横島と、口論している真由美と摩利の姿があった。そんな緊張感のかけらもない状況に、救急隊員は一様に呆れていたのだった。

 




終わりに近づいてきましたね。

今回は
ご都合主義で認識阻害と人払い結界
治癒促進の結界、心霊治療
と補助魔法的な感じでした。


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