横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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143話 横島、実習棟での攻防戦!!

ミアの額に大きな金色の目が開き、ミア本体はぐったりしているが、その目が本体であるかのようにミアの体は動く。

そして、幹比古と美月だけがミアの後方中空に見せる3mの人の上半身をかたどったドス黒い影が見えたいた。

 

深雪と真由美はすかさず、氷結系の魔法を、エリカも斬撃を加えるが、ミアは体中に穴が開こうが、腕が千切れようが、再生しだす。

 

「鬼化……悪魔落ち!!やばい、やばいよ」

幹比古はミアの異変をみて、冷や汗が出る。

幹比古は吸血鬼事件からパラサイトに関する資料を吉田家の古文書や研究書を引っ張りだし、色々と調べていた。そして、特に古文書に出てくる。鬼退治の伝承は、人が鬼になると言った物語が多かったのだ。海外でも、パラサイトが力をつけると、悪魔落ちと言われる人が悪魔になる伝承や実際にそう言った事例も出ていたのだ。

 

その間、黒い影は周りの人間に太い腕のような影を3本伸ばし、皆に触れようとしていたが、周りの達也達は一向に気が付いていない。

 

「幹比古くん!!みんな見えてない!!」

美月は叫ぶ。

 

「みんな!!精神系防御魔法と無属性魔法が防御可能な魔法を!!」

幹比古は叫びながら皆の元に駆け付け、とっさに札を投げ防御結界を皆に付与させた!

 

その声に対応できたのは、十文字克人のみ、多重構造の防御魔法の使い手など数が少ないうえ、CADの操作も複雑になる。

 

幹比古の防御結界が間に合い、何とか黒い影の腕を防ぐ!

 

「どういうことだ幹比古!!」

 

「その吸血鬼の後ろに、巨大な影が攻撃している!!」

 

「何もないわ!!」

「どこに!!」

 

「いったん下がって!!」

そう叫ぶ幹比古だが……

 

ミアが攻撃魔法を絶え間なく広範囲にばらまき。

黒い影は腕を伸ばし皆に迫る。

 

幹比古の結界も黒い影の数度の攻撃で破壊される。

その間、真由美と深雪、リーナは多重構造の防御魔法を展開する。

しかし、そこでようやくわかったのか、その防御魔法に見えない何かが干渉し、衝撃を与え破壊されて行くのを感じるのだ。

 

達也はその間、ミアが放つ魔法を片っ端から分解していっていたのだが、見えない何かの衝撃と脅威で、真由美、深雪、リーナ、十文字は防御で手いっぱいになっていた。防御魔法が展開出来ないエリカは真由美の後ろでその状況を歯ぎしりしながら見る事しかできない。

 

幹比古は、黒い影に対し、古式魔法雷童子:中空から雷撃を黒い影に放つ。黒い影はそれを嫌がり腕を伸ばしそれを防御していた。どうやら効果的な術の様だ。

古式魔法に分類されている魔法の中には今は忘れられているが、元々対妖魔用の陰陽術だったものもある。

幹比古は吉田家の文献から雷童子が鬼などに使われていたのではないかと推測していたのだ。

 

吸血鬼、黒い影との戦いは硬直常態が続いていた。

「達也、強いんでしょ、何とかしなさいよ!!」

リーナは達也に叫ぶ。

「USNAが誇る魔法師様は何かないのか!!」

達也はリーナに言い返す。

「吉田!!その黒い影はどんな感じなんだ!!」

十文字克人は幹比古に叫ぶ。

「3mの人の上半身のような影です。それが腕を3本伸ばし、先輩たちを攻撃しているんです!!多分それに触れると、レオみたいに、精気と霊気を吸い取られ最悪死に至ります!!勘ですが!!」

幹比古は攻撃をしながらも説明をする。

「今までの吸血鬼とは全然違うわね!!」

真由美はそう叫ぶ。

「多分、人を襲って、成長したんですよ!!」

幹比古が返答する。

 

 

達也は硬直常態から脱するため、意を決して本体と思われるミアに分解魔法を放ったのだが、効果が現れない。黒い影がミアを包み込み、阻止したのだ。

 

見えない黒い影は、ミアを包み込むとミアからの攻撃が無くなった。

達也は警戒しつつも、何が起こっているのか把握しようとしたが……今度は、黒い影本体から青い炎が放たれる。

 

達也達からは突然何もない空間から青い炎が現れたとしか見えない。

「くっ、防御魔法が追いつかない!」

真由美は叫ぶ。

青い炎は防御魔法を容赦なく破壊していったのだ。破壊されると同時に、再度防御魔法を展開しなければならない。それも多重構造の……十文字家のファランクスならそれらにもまだ対応できようが……

そして、黒い腕がその防御魔法をが破壊された隙をついて伸びてくる。

幹比古はその様子が見れるため、すかさず、防御結界を張る。

 

幹比古が防御に回ると攻撃の手はなく、防戦一方に追いやられたのだ。

そして、そんな中、黒い影は、向きを変え真由美と、エリカの方にゆっくりと近づく。

 

防御手段を持たないエリカに狙いを定めたのだ。

真由美の後ろで真由美の防御魔法で難を逃れていたが、現在、その防御魔法も差し込まれている状況だ。一気に、真由美とエリカに攻撃を集中させられると危険だが、今は皆防御で手いっぱいになっておりその場から一歩も動けない常態だ。

 

そして、黒い影は真由美の防御魔法を青い炎で崩し、さらに青い炎と共にエリカに腕を3本とも伸ばしたのだ。

幹比古は危険を察知して叫ぶ。

「エリカ!!」

 

エリカの前に立ちはだかる影が飛び込んできた!!

 

そしてその影は青い炎をその身に浴びる。

 

そこに立っていたのは、美月だった。

黒い影を見据え足は震えてはいるが、エリカを背に庇う様に両手を広げ、仁王立ちをしていたのだ。青い炎を浴びても傷一つなかった。

 

「み……美月」

エリカは自分の友人の後ろ姿を呆然と見上げる。

 

「エリカちゃん大丈夫!!」

 

「美月…あ、あんたこそ大丈夫?」

 

幹比古以外の人間には青い炎を防いだとしか見えなかったが、幹比古には見えていた。

青い炎の他、黒い影の腕を3本とも跳ね返し、しかも腕の一部が溶けていたのだ。

 

美月は横島のアドバイス通り、全身に霊気を巡らせることにより、身体能力が上がり、体中の霊的防御能力を活性化させ黒い影の攻撃を阻止したのだ。それだけでは、この結果は生まれないだろう。友のピンチに霊力が一時的に爆発的に上昇したのだ。

美月は横島の言いつけ通り、コツコツと毎日霊視と霊気の訓練を行っていたその努力の賜物なのだろう。

 

「先輩たち、今の内に、逃げて!!」

 

それに、怒ったのだろう。黒い影は美月に集中的に攻撃しだした。

しかし、美月の霊力上昇も一時的なもの、慣れない霊気コントロールで、体力や気力、霊気が一気に奪われる。

 

遂に、美月は防御ごと黒い影の腕に吹っ飛ばされたのだ。

「美月!!」

「柴田さん!!」

離脱に成功したエリカは加速魔法を使って、美月を空中で抱き留め二人して、地面に落ち転がる。

エリカのお陰で衝撃は大分吸収された様で、エリカは倒れながらもグットのサインを皆に送る。

 

美月の決死の防御のお陰でエリカは離脱に成功し、他のみんなは四散していた防御態勢を十文字克人を正面にした密集体勢に整えることが出来たのだ。

「何とかしたいわね。柴田さんが体を張って作ってくれたこのチャンスを」

「そうだな、報わねばな」

「お兄様!!」

「ああ」

「……」

「攻撃手段は僕だけか!!柴田さんの敵を僕が打つ!!」

真由美と克人、深雪は美月の勇気に触発される。達也も同様の様だ。リーナは沈黙する。

幹比古は燃えていた。

 

 

そして、ミアと黒い影は迫る。

 

 

 

しかし

 

 

 

「ほげーーーーーーーーーーーーーーーー!!がふん!!」

ミア、黒い影と皆の間に何かが飛び込んできた。

物凄い轟音と情けない叫び声共に、実習棟の天井に穴が開き、床に何かがめり込んだのだ。

天井には見事な両手両足を広げたような人型の穴ができ、床にも同じものが空いていた。

 

 

全員が何が何だかわからないがその穴に注目する。勿論ミアと黒い影もだ。

しばしの沈黙がその場を支配する。

 

 

そして、穴から人の手がペタッと出てきて、

 

「ごほ、ごほ!あーーーーー死ぬかと思った」

 




美月ちゃんと幹比古は大活躍ですね。
とうとうあの男が帰ってきました。

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