横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


なんかボリュームが何時もの倍になってしまいました。
半分づつと思ったのですが……内容的に切れませんでした。


145話 横島、皆を説得したい!!

国立魔法大学付属第一高校、特別棟の会議室でとある話し合いの場が急遽設けられた。

 

10人で使用するには少々広めの会議室に口型に設置された会議用テーブルにそれぞれの派閥が座っている。

 

会議室壇上正面から右側に十師族側の七草真由美と十文字克人、その対面に警察組織側の不機嫌そうな千葉エリカと吉田幹比古。壇上対面に、中立を保っている司波達也と司波深雪兄妹と友人枠の柴田美月。檀上前に横島と、そして、唯一USNA側のリーナが何故か横島の腕を取り、ぴったりくっついて座っている。

そして、会議室後方に持ち込まれた簡易ベットでミアが寝かされていた。

 

「横島くん、来てくれて本当にありがとう。私たちではあの吸血鬼は倒せなかったかもしれないわ」

真由美は横島に向き直り、頭を下げる。

 

「いや~、そう何度もお礼を言われると、こっちが困っちゃいますよ」

久々に第一高校の制服に着替えた横島は照れ笑いをしながらそう言う。

先ほどの戦闘の後、真由美からは散々お礼を言われていたのだ。

 

あの後、現場の後始末や引継ぎ、学校側への報告などを真由美が一手に引き受けていた。

十文字克人と達也と深雪、幹比古はその手伝いを行い、エリカと美月は軽症を負っていたため、横島が治癒を施す。

学校はこの事件の影響で午後からは休校となる。

リーナといえば、本来スターズに連絡や報告をしないといけないのだが、横島にぴったりくっついたままだ。

ミアについては、横島が病院や保健室に連れて行く事を拒否し、自分が目の届く場所に寝かすようお願いする。

 

「横島くんにはいろいろと聞きたいことがあるのだけど……その前に、アンジェリーナさんはなぜ横島くんにくっ付いたままなのかしら?」

 

「別にあなたに迷惑かけていないわ」

リーナは真由美を一瞥してプイっと視線を逸らす。

 

「横島……これどういう事よ」

エリカは明らかに不機嫌だ。

 

「どういう事って?たはははっ、リーナ放して、流石に話しにくい」

 

「嫌よ!」

リーナは駄々っ子の様に拒否する。

 

「たはっ、たははは、俺がUSNAで記憶喪失の時にリーナに世話になってて……」

仕方なく横島はそのまま話し出す。

 

「横島、お前、そもそもドクター・カオスのところで世話になっていたのではないのか?」

達也はその話に疑問を持ち質問をする。横島がUSNAでカオスに世話になっていたとだけ聞いていたからだ。

 

「そうなんだけど、記憶喪失時の身分がカオスのじーさんの助手という扱いで、USNAでの滞在中の俺の護衛としてついていたのがリーナなんだ」

 

「経緯はわかったわ……なぜ、そんなことになってるのかしら横島くん」

 

「あの、真由美さん、なんか怒ってます?」

 

「怒ってません!」

真由美は両頬を膨らます。

 

「話が進まん」

十文字は横島をジロリと見据える。

 

「リーナ、そんなにくっ付いたら、あれが当たってるし、離れてくれないと……」

横島はそう言って、リーナの腕を外しにかかるのだが……

 

「嫌!」

リーナはさらに力を入れて横島の腕を離さない。

USNA時から何故か横島と居る時は子供っぽくなるのだ。

まあ、この場で味方になってくれるのは、横島しかいないため致し方がないのかもしれないが。

 

達也と深雪はいつも大人びているリーナがこのような子供っぽい行動や言動をしている事に、面食らっていた。

 

「リーナ、あんたいい加減に離れなさいよ!話が進まないのよ。横島もなんとかしなさいよ!」

エリカはイライラしながら、リーナと横島に強く言う。

 

「リーナ」

横島は少し語気を強める。

 

「……分かったわ」

しぶしぶリーナは横島の腕を解放するが、椅子はピタッとくっ付いたままだ。

 

 

 

「なぜ、学校であんな事になった?」

横島は先ほどの事件の経緯について聞いた。

 

「それよりも横島、あの吸血鬼女にとどめを刺すのを止めるの?あの吸血鬼のせいで被害者も多数……レオもやられた」

エリカは横島を睨んでいた。

先ほどの戦いが終わった後、エリカはミアにとどめを刺すためにと刀を突きつけようとしたのだが、横島に止められたのだ。

 

「エリカ、あの女性(ひと)は被害者だ。たまたま悪霊に取り憑かれてしまっただけだ。悪霊を完全に分離除去したし、もう、暴れることも人を襲う事もない。悪いのは取り憑いた悪霊だ」

 

「だからって!」

 

「エリカ、まずは、お互い情報出すことが先決だ。反論するのはそれからだ」

達也はそう言ってエリカを制す。

 

「フン、達也君はいつも冷静なのね」

エリカの不機嫌度はさらに増す。

 

そして、主に達也と真由美が中心に、これまで日本で起きた吸血鬼事件や出来事を開示できる範囲で話しだす。

因みに横島は、情報を交換する前に、この部屋から中の話が聞こえないように結界を張っていることを伝えていた。

 

「あー、既に1月初旬には、日本では被害者が多数出てたというわけですか、という事は12月の時点で、悪霊…みんなが言う吸血鬼は日本に来ていたのか……下手をすると11月かも……」

横島は達也と真由美の話を聞いてそう言った。

リーナは横島が話した言葉にピクっと反応する。

 

「横島くん、日本に来たとはどういう事?」

 

「……タダオ、それは…」

まだ、USNAでは開示していない情報を横島が話そうとしていたため、止めたいのだが、リーナにはUSNA軍の人間でもない横島を止める事は出来ない。

 

「ああ、それですね。元々その吸血鬼、USNAに居たんですよ。というか発生していたといった方がいいのかな。実は俺もUSNAでその吸血鬼を追っていたんですが……とんだ見当違いだったのか、すでに俺が探し出した頃には、あいつ等のほとんどが日本に侵入していたという事だったようだ。どうりでダラスであれだけ探しても見つからないわけだ」

横島は考え込みながら話を進める。

 

「横島が関わったUSNAで解決したいって言ってた事件って、吸血鬼事件のことだったんだ。USNAでも同じ事があったんだ」

幹比古は横島と以前、映像通信で話し合った事を思い出していた。

 

「同じことはあった。1人は確保できたけど……」

リーナはしぶしぶ答える。

 

「リーナ……先ほどのミアと呼んでいた女性はリーナと同じUSNA軍の人間じゃないのか?」

達也はリーナに質問をする。

 

「……言えないわ」

 

「多分そうだ。俺が探していた不明者容疑者リストには載っていなかったが、名前と顔は見たことがある」

 

「タダオ……機密なの」

 

「リーナ、もうそんな事を言っている事態じゃないんだ。これ以上ほっておくと、とんでもないことになる。俺はUSNA軍ではないし、俺の口からだったら別にリーナにお咎めはないだろ?」

 

そして、横島は語りだした。

11月初旬に行ったUSNAで行ったとある実験により、悪霊がこの世界に侵入した事、その時から軍や実験関係者が行方不明になり、ダラスで人を襲っていた事を……そして、本名ミカエラ・ホンゴウはその実験関係者であった事、盲点だったのはミアが行方不明者とならずに、普通に生活していたことだという。

悪霊がこの世界に侵入したとう事実が判明したのは、カオスが12月末に行った実証実験でそのことが証明できたためだったが、ネビロスの事やダンタリオンについては説明をしていない。この世界の成り立ちや常識を丸ごとひっくり返すような事実だからだ。

 

「それで、リーナ達は秘密裏に吸血鬼を処分するために日本に派遣されたのね」

深雪はリーナの派遣は、『灼熱のハロウィン』を引き起こした達也を探すことだと、四葉真夜に聞かされていたが、このことを聞いて、そうではなかったとホッとする。

実際には真夜が言う通り、達也を探すことだったのだが、吸血鬼が日本に侵入したことが判明し、こちらが優先されただけの話なのだ。それを深雪や達也が知る由もない。

 

「USNAもとんでもないことを仕出かしてくれたわね。完全に国際問題に発展するわ」

真由美は事の大きさが国家レベルであることに、そしてUSNAに憤りを感じる。

 

「……だから、秘密裏に処理しようとしたのだろ」

十文字克人は淡々と受け止める。

 

「情報を提供してくれたらこんなに被害が出なかったかもしれないわ」

真由美は苛立ちを隠さない。七草家の家人や関係者が20人近くやられたからだ。

 

「……レオもね」

エリカはそう言ってリーナを睨み付ける。

 

「リーナ……少なくともその実験直後の行方不明者、いや、それだけではないのか、11月からUSNAから来日した人間がすべてが吸血鬼の疑いがあるという事か」

達也はリーナに行方不明者の人数を聞こうとしたが、ミアの例があるため、来日したすべての人間が容疑者になる事に考えがいたる。

 

「まあ、そう言う事なんだが、事はもっと厄介だ。悪霊の種類にもよるが、増殖する。多分今回のもな」

 

「「「「な!!」」」」

 

「悪霊は、人に憑くがタイプがいろいろある。そのまま精神ごと肉体を乗っ取るタイプ。これは性格が急変したりして、よく伝承などに伝わっているわかりやすいタイプだ。次に精神支配するタイプと目的を刷り込ますタイプだ。性格とかはそのままだが精神支配するタイプは行動が一変することから、周りの人が気が付きやすい。目的を刷り込むタイプは、普段の生活をしつつ、悪霊が目的を果たすための行動をおこすため、一見わからない。多分今回のミアさんは目的を刷り込むタイプなのだろう……しかし、この目的を刷り込むタイプも悪霊が成長すると、その人間の行動や性格自体が悪霊そのものの考え方となり、ほぼ同化してしまう。今のミアさんはそんな状態だったのだろう。すでに肉体が悪魔化する一歩手前まで来ていたからな……」

 

「横島、お前やけに詳しいな」

十文字克人は横島を見据えそう言う。

 

「そうだよ、僕もそこまで知らなかったよ、文献やパラサイトの研究誌でもそこまでの事は書かれていないし、実証されていない」

幹比古も克人に続く。

 

「まあ、専門家なんで………先ほどの話の続きは…人を襲う理由は二通り、一つは霊気を奪うため、もう一つは仲間を増やすため。魔法師ばかり狙っていたのは、霊気・霊力が高いため、効率よく霊気を奪う事ができるからだと想定。……因みに霊気はサイオンの事です。血液を奪うのは仲間を増やすための適性を見ているのではないかと考えられる。まあ、まだ詳しい事はわからないっすけどね」

主に古式魔法に詳しくない真由美や十文字克人にも分かるように説明をする。

 

「という事は、横島くん、日本で行方不明になっている人、もしくは襲われて無事だった人は既に悪霊に取りつかれている可能性があるということ?」

真由美は、横島の話を聞いて血の気が引く。

 

「そう言う事、さすがは真由美さん話が早くて助かります」

 

「だから、一歩間違えれば、みんなも知らず知らずに悪霊に取りつかれていたかもしれなかった。彼女の様になり、人を襲っていたかもしれない」

 

エリカはこの事を聞いてハッとなる。もしかすると自分自身がミアと言う女性と同じ末路になる可能性があったことに、そして、先ほどまで横島が被害者だと言ってミアをかばったことに苛立っていたが、この事実に複雑な感情が渦巻くような表情になっていた。

 

「横島、具体的に対処方法はあるのか?」

達也は現実的な話に戻す。

 

「あるにはあるが……達也はあのミアさんに憑いていた悪霊が見えたか?」

 

「いや、まったく見えていない。感じることもできなかった」

達也は正直に答える。

 

 

「……この話、先輩方も、みんなも降りてくれ、後は俺がやる」

横島は達也の答えを聞き、吸血鬼事件から手を引くよう皆に言う。

 

「そう言うわけには行かないの、こっちにも事情が」

「私も下りないわよ!」

真由美とエリカが同時にそれに異を唱える。

 

「……見えないのにどう戦う?触れもしないのにどう倒す?」

 

「………」

真由美もエリカも横島のこの言葉に反論が出来ない。

 

「……私は倒したわ」

リーナは苦しそうにそう言った。倒した相手は元同僚だからだ。

 

「リーナ、たぶんそれは倒していない。肉体を倒しても意味がない。本体が適性のある人間に、また憑くだけだ」

 

「!!……私がやったことは……仲間を倒したことは…無意味……だったの?」

リーナは仲間を犠牲にしてまでも、やり遂げたことが全くの無意味であった事を理解したうえで横島に聞き直していた。

 

「そうだ……」

横島は残酷にもはっきりと言いきるが、項垂れるリーナの頭に優しく手を乗せ撫でる。

 

「はっきり言って、今の魔法師では悪霊は倒せない。それどころか犠牲者が増えるばかりだ」

横島は皆に宣言するかのように言う。

 

「私達では、力不足だと言うの……その横島くんに比べれば私なんてそうかもしれないけど」

真由美は最初は語気を強く反論するが、最後は消えるような声になっていた。

 

「真由美さん、そうは言ってないんです。領分が違うんです。いわば、餅は餅屋にやらせればいいんです。悪霊やこの世のならざる者は、俺みたいな陰陽師や霊能力者にやらせればいいんですよ」

 

「横島……やはり、貴様は陰陽師だったのか……」

十文字は納得した様に頷いていた。

 

「陰陽師ってまた時代的な、陰陽師なんて現代に居るわけないじゃない……古式魔法師でしょ」

エリカは横島がふざけているのではないかと言わんばかりな言い方をする。

 

「氷室は霊能力者又は陰陽師の家系だ。それを今も脈々と受け継いでいる。氷室の術式は悪霊に絶大な力を振るう事が出来る。先ほど俺が術式を展開した術、紫の紐もそれだ」

 

「吉田家の古式魔法も元々は悪霊退治にも使われる術法が沢山有ったはずなんだ。パラサイトなんてものは滅多に出ない上に、時代は対人対兵器に特化する事が求められ今の形になって……だから、忘れられた術法や術式も多数あるはずなんだ。また本来の意味も分からず今も使っている物もあると僕は思うんだ」

幹比古は古式魔法と陰陽術について、自分なりの見解を話す。

 

「……確かに横島や幹比古の言う通りだ。現代魔法は古式魔法をベースに作られてはいるが、あくまでも軍事利用としての対人対兵器に特化し発展している……残念ながら、パラサイトや悪霊に対して効果が薄いと言わざるをえない……今のままではな」

達也は横島と幹比古の話を聞いて、冷静に判断を下すが……何かを新たに決意するような目をしていた。

 

「……私はそれでも、国の命令でやらないと行けないの」

リーナは悲壮感を漂わせ俯きながらそう言う。

 

「だったら俺を雇ったらいいんじゃないか?そうすれば、リーナが危険な目に合わなくてすむし、協力者と言う形よりも、面子がたつだろ?俺がやったほうがスムーズに事が終わるし、俺は悪霊を退治さえすりゃなんだっていいし」

 

「え?タダオ……いいの?私はUSNA軍の人間よ?」

リーナの顔がパッと明るくなる。

 

「別にいいんじゃない?でも、情報はちゃんと出してくれよ。USNAのあのおっさん。俺に日本でこんなことが起きている事を一切言わなかったからな」

横島はUSNAでは吸血鬼事件の件でカノープス少佐と連携を取っていたのだが、日本で同じことが起こっていた事を知らされていなかった。

 

「ご…ごめんなさい……もうしない……タダオにはそんな事しないわ」

リーナは横島に日本での吸血鬼事件を知ってほしくなかった事を心にしまいながらも、横島には隠し事はしないと改めて誓うと同時に、この申し出に心から感謝をする。

 

「あれ?なんでリーナがあやまる?」

 

 

「ちょっと待って!横島くん!!」

「待ちなさいよ!横島!!」

真由美とエリカは同時に席を勢いよく立ち横島に待ったをかけた。

そして、真由美とエリカは一瞬お互い視線があうが、それぞれそっぽを向く。

 

「横島くん、他国に雇われるなんてダメよ。USNAはこんな事を仕出かしたんだから、きっと強制送還だわ。だ・か・ら、私達が、七草家が横島くんを雇います」

 

「かってに決めないでくれる。横島は、私が!!千葉家で雇うんだから!!」

またしても、真由美とエリカはお互い鋭い視線をかわす。

 

 

「タダオは私の為だけに!協力してくれるって言っているのだから。貴方たちはお門違いよ!」

そこに、さっきまで落ち込んでいるかのようにシュンとしていたリーナが自信満々にこんな事を言った。

 

「アンジェリーナさん?先ほどから貴方は何なの?」

真由美はどうやらリーナのその言葉にカチンときた様だ。

 

「何なのって何よ」

 

「横島くんの何なのか聞いているの?先ほどから人前でベタベタとくっ付いて、うら……はしたない」

真由美は横島にリーナがくっ付いている姿を恨めしそうにずっと見ていたのだ。

 

「よく聞きなさい。タダオは私のボーイフレンドよ!!USNAに居た時は、しょっちゅうデートしてたんだから!!遊園地に連れて行ってくれたり、服なんかも一緒に見て回って、プレゼントしてくれたわ!!毎日、食事を共にしたんだから!!」

リーナは真由美とエリカに対し、上から目線でこんな事を言ってしまった。

確かにデートと言われればデートだ。本来の目的は護衛と吸血鬼探しだったのだが……しかも、半分くらいはマリアが同行していた。

 

「ぐぐ、私だって横島くんとデートぐらいした事あるわ。荷物持ちしてくれたんだから!!」

真由美は対抗してそんな事を言っているが、摩利も一緒に居た上に、アレはただの荷物持ちであって、決してデートとは言わない。

 

「横島……あんた、私達が心配していたのに、この子とデートをしていたの……フーン、そう、あんなに人を心配させておきながら、デートね~」

エリカは言葉こそ普通だが横島に殺意をにじませるような鋭い目つきで睨み付ける。

 

 

遂にこの3人は席を立ち上がり、顔を突き合わせ、ギャアギャアと言い争いを始めてしまった。

 

 

横島はそんな3人の仲裁を入ろうとするが付け入るスキがない。

「タダオは黙っていて!!」

「横島くん、少し待っていて!」

「横島、後で覚えておきなさいよ!!」

 

 

「……達也、僕、横島が少しでも羨ましいと思った事を訂正するよ……これってある意味修羅場だよね」

幹比古はボソっと達也にこんな事を言う。

 

「ああ、そうだな」

 

「お兄様……シュラバとは何ですか?」

それに聞き耳を立てていた深雪は達也に質問をする。

 

「深雪……世の中には知らない方がいい事もある」

 

「??」

 

「はは、横島さん大変ですね。でも意外です。七草先輩も横島さんの事好きだったなんて」

言い争っている3人の中の真由美の姿を見て美月は同じ女子として感じるところがあったのだろう。横の幹比古にこんな事を言う。

 

「そんな事無いと思うよ。ただ、あの人も負けず嫌いっぽいから、この1~2週間でよくわかったよ。あとエリカの場合は完全に逆恨みだよ!うっぷんがよっぽどたまってたんだね…はぁ」

幹比古はこの事件にかかわってから、真由美とエリカの仲裁に何度入った事か……ため息が出るのも仕方がない事だった。

それにしても幹比古は色恋沙汰に鈍感なようだ。何時まで経っても美月にアピールが出来ないのも致し方のない事なのだろう。

 

 

「………話が進まん」

そんな中、十文字克人は一人真面目な顔で目を瞑り呟いていた。

 

 

どうやら、日本に帰っても横島は修羅場は避けれない様だ。

 




次回もこの続きです。

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