横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございました。
誤字脱字報告ありがとうございました。

今回は雫ちゃん編です。

これで、リーナ(USNA)、千葉家、レオ達、七草家、達也、マリア(カオス)、妙神山、氷室家、六道家、ほのか、深雪、雫が最後にと漸く出揃いました。




170話 横島 雫に知られる!!

横島MAXな魔法科生 170

 

 

 

雫、ほのか、深雪の3人は映像通信で、お互いの顔を見ながら、話をしていた。

最初は、ほのかが雫に、横島に恋人疑惑について話をしていたのだが、雫が一向に信じようとしなかった。

そこに深雪が相談事があるとの事で入る。

深雪の相談とは達也の横島へのバレンタインチョコによる愛の告白疑惑だった。

雫もそんな馬鹿な話を信じてしまっていたが、ほのかがそんなことはありえない事を説明し、深雪も雫も納得し、肩をなでおろす。

 

そして、いま、最初の話題。横島、恋人疑惑へと戻る。

 

「そうそう、深雪、リーナが横島さんと付き合っていて、普段からベタベタくっ付いていると言う噂を知っているよね」

ほのかは思い出したように、横島とリーナについてに深雪に聞く。

 

「ほのか、それはほのかの見間違い」

雫はがんとしてそう言い張る。

 

「……雫、いいづらいのだけど、付き合っているかどうかは怪しいのだけれど、リーナが横島さんに付きまとっているのは本当よ。横島さんの事をボーイフレンドだと言っていたわ。人目もはばからず、堂々と横島さんと腕を組んで離れないし……」

深雪は話しづらそうにはしていたが、映像越しに雫の目を見て話し出した。

 

「深雪まで…そんなこと……横島さんとその留学生のリーナという子は、会ったとしても間もないはず……だからそんなはずは無い……大丈夫」

雫は先ほどとは違い動揺を隠せないで居た。かなり踏み込んだ情報だったからだ。

 

「ほのかにも言っていなかったけど、USNAで記憶喪失の横島さんにリーナは出会ったと言ってたわ。その間ずっと一緒に居たらしいの、これは偶然としか言いようが無いのだけど。その時からずっと横島さんの事、好きだったみたいなの……」

深雪は申し訳なさそうにその事を言う。ただ、リーナがUSNA軍のスターズである事はこの二人には伝えることは出来ない。

 

「うそ……なんで!!深雪までそんな嘘を言うの!!横島さんそんなこと言ってなかった!!マリアも言ってなかった!!」

雫は深雪の言っていることは、本当の事だと理解しながらも、現実を受け入れられないようだ。涙目になり、錯乱しだしていた。

 

「落ち着いて聞いて、リーナは普段大人びているけど、横島さんの前では子供のようなわがままを言ったり、しぐさをするの。私も1ヶ月ぐらいリーナの事を見てきたけど、その間そんな事は一度もなかった。それが横島さんの前では見ていられないぐらい変わるの。それには私もお兄様も驚いたわ。横島さんがリーナの事をどう思っているのかは、分からないけどリーナの横島さんへの愛情表現というか、なつきかたは尋常じゃないわ」

 

「深雪…そんなになの、そんなリーナ見たことが無い。……思ったよりも…これは……雫……」

ほのかは自分が思ってよりも、状況が進行していることに驚き……雫の顔色を伺うと、顔色は真っ青になっていた。

 

「………横島さんに……知らない子が、そんなの嫌!!ぜったい嫌!!」

 

「落ち着いて、雫。横島さんがリーナと付き合っているとか、まだ決まったわけじゃないし」

 

「うん…でも…横島さんの隣に知らない子がいるのは嫌………」

 

「……雫、もうひとつ気になることが……もしかしたら、七草先輩も横島さんの事が好きなのかもしれない……」

深雪はさらに雫にとってショックな話を切り出す。

 

「!!……なんで!!どうして!!」

雫の頭はすでにパニック状態だ。

 

「雫……ごめんなさい。その、横島さんが日本に帰ったとき、リーナが横島さんにずっとくっ付いていたの、それを見た七草先輩はリーナと言い争っていたわ……それと、お兄様が昨日、横島さんの家に遅くまで居たことはさっき話したわよね。その時も、七草先輩、それとリーナも横島さんの部屋にいたらしいの」

 

「……七草先輩が横島さんを…それは初耳でも、なんとなく分かるかも」

 

「……私、日本に帰る……」

涙目の雫はボソっとそんな事を言う。

 

「ちょっと、雫!!」

 

「日本に帰る!!」

そう言って、雫の通信が切れる。

 

「深雪、もっとソフトに言ってあげないと……さすがにそれは刺激が強すぎるよ」

 

「ごめんなさい。でもこういうことをどう言ったらいいのか分からなくて、雫を傷つけてしまったみたい……」

 

「うーん。雫もそうだけど、深雪もこういう方面の話はぜんぜんダメだよね。私が今から雫をフォローしておくから……深雪、またね」

ほのかはそう言って、通信を切るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

通信を切ると同時に雫は慌てて、荷仕度を始める。

日本に帰るためだ。

 

雫のお付きの黒沢さん達が諌めるが、言うことを聞いてくれないようだ。

 

雫はスーツケースを持って、慌しく、宿泊しているホテルの部屋をでたのだが、そこで、日本から帰ってきたマリアにちょうど出くわした。

 

「ミス・雫・どうしたのですか」

 

「マリア……リーナのこと教えてくれなかった!」

雫はマリアに涙目で食って掛かるように言う。

 

マリアはその一言でどういう状況か大よそ把握した。

「雫……」

 

「私、日本に帰る!!」

 

「落ち着いて・話を・聞いてください」

マリアは雫の両肩を掴む。

 

「離して!!横島さんが横島さんが!!」

雫はマリアに肩をつかまれた状態で暴れだす。

 

「……」

マリアは雫を強制的に、雫の部屋に引っ張り込む。

 

 

「離して!!なんで!!リーナの事、記憶喪失の横島さんの事、知ってるはずなのに、なんで話してくれなかったの!!」

暴れる雫

 

「ミス・雫のため・横島さんのため」

マリアはそう言って雫を強制的に椅子に座らせる。

 

「なんで!!……このままだと、横島さんが取られちゃう!!」

 

「落ち着いて・ください・それは今は・絶対・ありません」

 

「なんでそんな事を言い切れるの!!リーナのこと黙っていたのは、リーナにかたいれしているから!!」

 

「違います・横島さんは・今は女性の・好意を・うけられない・恐怖している・といって・いいでしょう」

 

「どういうこと!!……マリアの言うことなんて!!」

普段の雫であれば、マリアの言うことを素直に聞いてくれるだろうが、リーナの事を黙っていたことに、マリアを信じることが出来ないでいた。

 

「ミス・雫・マリアは・雫の事も・大切に・思ってます・妹のように・思ってます」

マリアはそう言って、雫から手を離し、やさしく微笑んだのだ。

マリアは今まで雫の前で、いや、誰の前でも微笑むことは無かった。横島の前でもめったに無い。

 

雫はそんなマリアをポカーンとした顔をし、じっと見つめていた。

 

「雫・落ち着いて・マリアの話・聞いてください」

マリアは雫を優しく抱き寄せる。

 

「……うん、ごめんなさい。マリアにひどい事言った」

雫は落ち着きを取り戻し、マリアに素直に謝る。

 

「マリアも・ミス・アンジェリーナの事を・雫に・わざと言ってませんでした・すみません」

 

「ううん。マリアが妹の様に思ってくれて、すごくうれしい。私もお姉さんだと思ってる。……その、横島さんの事、リーナとの事話してくれる?……それと、横島さんが女性に恐怖していることも」

 

「イエス」

 

そして、マリアは雫に語る。

まずは、リーナと横島の関係についてだ。

まずは、記憶喪失の横島はドクター・カオスの助手扱いであったため、USNAから軍の人間である年近いリーナが護衛として四六時中付いていたことを話す。

横島の行動で、リーナが横島に好意を寄せていった事も……

 

その間、雫は黙って聞いていたが……悲しそうな顔をしていた。

 

そして、マリアは今の横島について話す。

 

「横島さんは・今・女性の好意に・恐怖してます。横島さんは・第一高校に・入る前・大切な女性を・二人・相次いで・亡くしました」

 

「え?……横島さん家族は元々いないって言ってた。氷室の人でもなさそう。昔の恋人……なの?……でも、横島さんそんなそぶりは無かった。いつも明るかった」

 

「今の・横島さんは・女性の好意を・受けることは・ないでしょう・雫が・横島さんに・好意を持っていることは・重々承知してます・でも・今は・まだ・時期では・ありません」

マリアは雫の疑問に答えず、そのまま話を続ける。

 

「……横島さん」

 

「横島さんは・今も・その事を・引きずっており・トラウマに・なって・います。それが原因で・本来の・力が・発揮できず・さらには・自分は・いつ・死んでも・かまわない・と思っているかも・しれません」

 

「!!……横島さんが死ぬ?死んでもいいと思っている?……そんな………そんなの嫌!!……どうしたらいいのマリア?」

 

「横島さんは・表面上は・正常に・見えますが・心が・非常に疲れて・います・だから・今は・癒して・あげなくては・なりません。でも・マリアも・そのすべを・持ってません。だから・静かに・見守っています」

 

「横島さん……横島さん…会いたい」

雫は俯き、今にも泣きそうな顔で呟く。

 

「横島さんは・雫を・親しい人だと・思っています」

 

「ほんとうマリア!」

雫はマリアの言葉に顔を上げ、うれしそうに表情がほころぶ。

 

「はい、妹のように・思っている・でしょう」

 

「妹……」

雫の表情は一気に沈む。

 

「ミス・アンジェリーナの事も、横島さんは同じような感覚で、思っています」

 

「私も妹、そのリーナって子も妹、要もたぶん妹……」

 

「今は・それでいいと・マリアは・思います」

 

「横島さんの・大切な人も・最初は・妹的な・存在でした」

ここでマリアが言う大切な人とはもちろん氷室絹の事である。

 

「それ本当!!」

雫はぱぁっと一気に表情が明るくなる。

 

「イエス」

 

「あっ!マリアは七草先輩とも会ったって聞いた!七草先輩は横島さんのことをどう思っているかわかる?」

 

「ミス・七草は明らかに横島さんに好意を持っています」

 

「……そうなんだ。いつの間に……横島さんは七草先輩の事をどう思ってると思う?」

雫はまた、表情が暗くなる。

 

「妹のような扱いはしてるように見えません。どちらかと言うと、年上のように扱っている風に見えます」

 

「……七草先輩だけ……でも、横島さんは妹好き!だから、私のほうが有利!……それだと、リーナも要もいっしょ……」

雫はマリアの一言一言に一喜一憂している。今も考えながら、表情が明るくなったり、暗くなったりしていた。

 

「……雫・横島さんの・心の傷は・深いです・あせらず・ゆっくりと・だから・今の雫の立場で・横島さんと・付き合ってください・ただ・心労を増やす・行為は・禁止です」

 

「うん……でも、具体的にどうしたら」

 

「雫は・今は・この地で・横島さんの・応援をして・あげてください。横島さんは・雫のチョコレート・を喜んでいました」

 

「本当!」

 

「イエス……横島さんは・雫を・日本の・悪霊事件に・巻き込みたくないという・思いが強いです・大切に思われています・その気持ちを・無碍に・しないであげて・ください」

マリアは雫をUSNAに残るように諭す。

 

「うん、そうする。……でも、横島さんが心配」

 

「横島さんが・ピンチになったら・一緒に・行って・助けて・あげましょう」

 

「うん、マリア!そうする!ありがとう!」

雫は元気よくマリアにお礼を言う。

 

 

 

 

 

 

その頃、リーナは自室で思い悩んでいた。

「タダオ…………大切な女性って誰だったの?……その人たちが亡くなって……タダオは苦しんでいる。自分の死を軽く…死んでもいいと思っているの?………タダオ……私をおいていかないで……」

 

リーナは情報端末を手にし、横島と写っている写真を映し出す。

 

「私はどうしたらいいの、タダオに何をしてあげられるの?

マリアはいつもの私で良いって言っていたけど……どうしたら……どうしたら……」

 

昨日のマリアの話を聞いて、改めてその事について考えていたが、答えが見つからない。

横島のトラウマを克服するすべがまったく見えない。

こうしている間も、横島は自分の命を軽んじる行動をとっているのではないかと……そんな思いがぐるぐるとめぐり、何をするのにも上の空になっていた。

 

 

 

一方達也は気持ちを切り替え、家を出、九重八雲の道場に行っていた。

その地下にある訓練所で一人、真剣な面持ちでCADを盛んに操作する達也。

「この魔法が完成すれば、奴にも有効だろう。横島……自分一人で簡単に死のうなど思わないことだ」

 

達也は前々から新魔法の開発を行っていたが、昨日のマリアの話を聞き、完成を急いでいた。

 






ようやく、すべてがほぼ整い、来訪者編が加速していきます。

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