誤字脱字報告ありがとうございます。
時間が一気に進みます。
悪霊対策の協力体制を開始してから約1週間が過ぎる。
その間、思ったよりも連携がうまく取れ、順調に悪霊を捕らえる事が出来ていた。
しかし、悪霊の出没範囲はこの東京を中心とした広範囲に蔓延っていることが分かってきたのだ。
この東京から横浜に掛けて、1週間で悪霊に取り付かれた人間を捕らえた人数は50人にも上ったからだ。
横島は改めて色々と考えを改めなければならないと感じていた。
悪霊たちは連携を取っているにも関わらず。なぜこれほどにも容易に捕らえる事が出来ているのか?目的もはっきりしない。さらに、ダンタリオンの配下と思われる青い眼の悪霊は、まだ一度も出くわしていないのだ。
そして……今晩も……
「俺のこの手が光ってうなるっ!!勝利を掴めと轟き叫ぶっ!!爆ー熱!!ゴ○トォ!!フィ○ガーーーーー!!!!」
気合の掛け声と共に突進する。彼の左手をスッポリ覆う巨大な金属製の小手かグローブのような物の手のひらが真っ赤に輝き、そして、すばやく突き出した左手は悪霊に取り憑かれた人間(悪霊憑き)の顔面を掴むように捉える。すると、その悪霊憑きは体中を痙攣させる。
「ヒートゥ!!エンド!!」
さらにヒートアップし雄叫びのような叫び声あげると共に、悪霊憑きを捉えていた輝く手のひらが爆発するように激しく光り、痙攣していた悪霊憑きは断末魔と共にぐったりして動かなくなった。
どうやら、悪霊を憑依した状態でしとめることが出来たようだ。
「レオ!!うるさい!!あんたはいちいち叫ぶな!!」
「仕方ねーだろ!!この対魔用CAD一体型ブーストナックルは!!気合入れて叫ばないと霊力が発動しねーんだから!!」
どうやら先ほどの暑苦しいほどの雄叫びと、ド派手な攻撃を行っていたのはレオのようだ。
レオの霊具はドクター・カオス謹製、対魔用CAD一体型ブーストナックルだ。達也の対魔用CAD一体型銃をレオ用に再構築したものなのだが、発動するにはやはり、感情を大きく入れないといけないらしい。ちなみに、この言葉はカオス自身がチョイスしたものらしい。
この他にも、防御技で手のひらから障壁展開する『プロ○クトシェーーーーー○!!』あたり一体を巻き込む必殺技の『ゴル○ィオンクラッ○ャーーー!!光になれーーーー!!』等がある。
ちなみに『超級○王電○弾』は無い。あれは人間をやめないといけないだろう。
『娘っこ、こちとらもうかうかしてらんねーな!おめーも、あのにーちゃんを見習って気合を入れろ』
エリカが構えている愛刀紅丸改めしゃべる刀『インテリジェンスソード紅鮫丸』はそう言ってエリカに発破をかける。
「分かってるわよ。紅公!!ここからよ!!」
エリカは自らが構えている紅鮫丸を紅公呼ばわりして、返事をする。
「はっ、お前も人のこと言えないな!傍から見ると刀に語りかけてる痛い女に見えるぞ!!」
「うるさい!あんたの方こそ、いちいち暑苦しいのよ!!」
「何を!」
「エリカにレオ!争っている場合じゃないよ!まだ、逃げている悪霊憑きを追いかけないと!!」
幹比古はこのチームのリーダー役を務めている。
実際、要所要所での幹比古の術や対魔札が大いに貢献している。
それだけでなく、二人の仲裁を毎度行っていた。気苦労が絶えないことだろう。
「2体目も仕留めたわ。悪魔化する前でよかった」
「ああ、しかし、かなり手ごわい相手だったな、被害者を六道家に一応受け入れ準備をしてもらうか」
「そ、そうね。仕方が無いけど、その方が良さそうね……私達も大分、慣れてきたわね」
真由美は六道家の名前に一瞬ピクッと反応する。
「そうだな。この破魔札ショットガンとファランクスの相性もかなりいいようだ。確実にしとめることができる。10日間前には考えられないほどの成果だ」
「横島君のおかげね」
「孝次郎さんの方はどうなったか?」
「見失ったそうよ」
「そうか……」
こちらは真由美と十文字克人でコンビを組んでいたようだ。
真由美の兄孝次郎も先ほどまで一緒であったが、逃げた一体を追尾していたようだ。
「ふー、どうやら倒したようね」
リーナはほっと肩をなでおろす。
「ああ、悪魔化…基礎能力が人間離れしている上に、人間の機動とはまったく異なる動きをする。戦い方も変えなければならないな」
達也は今の戦闘を振り返る。
どうやら、悪魔化した人間……悪魔と対峙し勝つことが出来たようだ。
「そうね。……でも何とかなった」
「ああ、そうだな。この対悪魔用CAD一体型銃が無ければ、危うかった。悪魔の性質を把握し、適切な弾丸を選択してくれる。さすがはドクター・カオスの装備といったところか……」
達也はすでに、愛の言葉を叫ばずとも、このCAD一体型銃の悪霊探査ソナーを扱う事が出来るようになっていた。大分悪戦苦闘したようだが、毎回あのような恥ずかしい宣言をするよりはましだろう。それさえクリアすれば、かなり優秀な対魔用霊具なのだ。
「お兄様。横島さんが居なくても、私達だけで何とかなりましたね」
愛の言葉を叫ばなくなった達也に残念そうな表情をする深雪。
「ああ」
「こちらの被害状況は?」
リーナは副官であるシルヴィア准尉に確認する。
「無しです」
シルヴィはリーナの質問に、後ろに控えているスターズ隊員4名を見ながら簡潔に答える。
「そう、あれだけの攻撃を受けて、被害無し……このタダオの対魔防御用の護符はすごいわね」
リーナ達の前に、異形の人間が倒れている。額には第三の目が開かれ、露出した肌からは、刺青のような唐草模様に似た文様が浮き出ている。
そのものは人の形をしていたが、戦闘時には文様と第三の目を金色に輝かせ、CAD無しに青い炎や金色に近い炎の攻撃を無尽蔵に繰り広げ、さらには、空を鳥やこうもりのように飛び回っていたのだ。
霊視ゴーグルで確認すると、黒い悪魔のような翼が背中から生えており。さらに、長い尻尾を確認することが出来た。
まさしく、悪魔化した人間のなれの果てだった。
達也と深雪、そして、リーナ、シルヴィが率いるスターズ4人と共同で、その悪魔化した人間を倒すことが出来た。
最初は、奇襲を受けた上、相手が人間とは思えない奇怪な動きをし、空を自由に飛びまわりながら攻撃を繰り出してくるため、戸惑いと驚きで、押され気味ではあったが、達也の指示の下、陣形を組みなおした。達也のCAD一体型銃で情報収集を行い。悪霊の行動パターンと弱点を算出。シルヴィ率いるスターズでけん制、及び防御を主体し、深雪の霊体ボウガンと達也のCAD一体型銃でダメージを与えつつ、リーナの対悪魔用の神聖銃で止めを刺したのだ。
既に、悪魔化した人間とはこの一週間、横島のフォローが入りながらではあるが2体ほど倒していたが、今回は横島無しで倒すことが出来たことは大きい。
さらに、奇襲を受けた際、スターズメンバーの二人は致命傷ではないかと思われる攻撃を受けていたのだが、終わってみると皆無傷であった。
どうやら、横島が悪霊退治に出動しているメンバーに渡している護符が効力を発揮したようだ。
肝心の横島というと……
「あのーー……離してくれませんか?」
「え~~、どうしましょうか?……横島くんが~~~芽衣と結婚してくれたら~~離してあげる~~~」
「え?………それは……」
横島は東京都心近くにある公園で、六道芽衣子のリュウの式神アギラに体を巻きつかれ、ベンチの上に座らされている。頭の上にはヒツジの式神ハイラが乗っかっており、ウサギの式神アンチラが横島のひざの上にちょこんと座っている。
もはや、横島は一歩も動けない状態になっていた。
六道家54代目当主六道芽衣子は煌びやかなドレス姿でインダラというウマの式神に横乗りになって、笑顔で横島を見おろしていた。
「でも~~~、まだダメですよ~~~、ダメージが抜けてないから~~~」
「何のことですか?」
「芽衣は~~横島くんのことだったら何でもお見通しなのよ~~」
「………」
「横島くんは~~過保護過ぎね~~~でも~~~、そういうところは芽衣は好きよ~~~」
「……皆には言わないでください」
「え~~~どうしようかな~~~~、結婚してくれたら~~~良いわ~」
「勘弁してください。というか、芽衣さん。悪霊退治に参加しないんじゃなかったんですか?」
「ええ~~~?私は~~~横島くんとお話に来ただけよ~~~」
「しかも、毎度こんなに式神を引き連れて、人目に入ったらどうするんですか?」
「大丈夫よ~~公園には結界を張ってるから~~~」
「あの~~、そんな事をしたら、今悪霊退治に行っている仲間が、戻ってこれないんですけど」
「いや~~~、芽衣は~~横島くんと二人っきりがいいの~~~~」
芽衣はずっと、にこやかな笑顔を絶やさない。
どうも横島は芽衣子の前では自分のペースを崩されがちになるようで、うまく言い負かされるようだ。
「芽衣さん……なんで俺にかまうんですか?」
「だって、芽衣は~~、横島くんの事を気に入ったんですもの~~男の人でこんな事初めてなの~~~」
芽衣子はインダラから降りて、横島が式神に拘束されながら座らされているベンチの横に座り、そっと横島の頭をなでる。
「はぁ……まあ、いいです。結界は解いて下さいね」
「ええ~~~?」
「いいですね!」
「クスン、横島くんの意地悪~~~」
芽衣子はそう言って、パンと手を叩いて、公園に張ってある結界を解く。
するとエリカたちが最初に戻ってきた。
「横島ーー!今日は3人倒したって、げっ、六道家当主!」
「うわっ、式神もう出てるよ」
「横島の奴、すでに式神の餌食かよ」
エリカ、幹比古、レオは芽衣子と式神の存在に気が付くと、驚くと同時に一歩後ずさる。
「あらあら~~~、皆さん~~~ごきげんよう~~~」
芽衣子は笑顔のまま挨拶をする。
「うっ、こ、こんばんわ。芽衣子…お姉さん」
エリカは苦虫をつぶしたような顔をし、挨拶を返す。
「エリカちゃん、よく出来ました~~~やっぱりエリカちゃんはかわいいわ~~~」
その間、幹比古とレオはさらに後ずさり、この場から離れていった。
どうやら、この3人、前回芽衣子に遭遇し、式神の洗礼を受けたようだ。
そして……
「横島くん。ごめん一人取り逃がしたわ。……六道芽衣子……」
「うっ、六道芽衣子……歩く厄災……」
「六道家当主とその式神……」
真由美、孝次郎、十文字克人達もこの公園に戻ってきたのだが、芽衣子を見かけるとやはり、一歩下がる。
「あら~~、そちらは~~十師族の~~~~、夜なのに大変ね~~~」
「これもこの地を守護する一族として、当然の勤めです。お構いなく」
しかし真由美は、一度は一歩下がったが、臆することなく近づいていく。
「あら~~、六道も~~守護する一族ですよ~~1200年前から~~~、どっちが先なんでしょうね~~」
「………横島くんを解放していただけませんか?本人も嫌がっていますよ」
真由美は横島と芽衣子が座っているベンチの前まで歩み寄る。
その間、孝次郎と克人はもちろんこの場を離脱する。
やはり、彼らも前回、六道家の洗礼を受けたようだ。
「ええ?そんなことないわよね~~横島く~ん?邪魔をしているのは、七草のあなたよ~~~芽衣は~~~、今、横島くんに結婚を申し入れていたの~~~」
芽衣子はそう言って、式神で拘束されたままの横島の頭をなでる。
「!!………この行き遅れ」
真由美は顔をひくつかせ、聞こえないぐらいの小声で言う。
「何か~~~言いました~~?お姉さんは~~~~~もう、横島くんというフィアンセが~~いるから大丈夫よ~~」
「……誰がよ!!」
そして、さらに……リーナたちが戻ってくる。
「ああ!!あの年増!!タダオにまたちょっかいを!!」
リーナは横島の頭をなでている芽衣子を確認し、芽衣子に襲い掛かる勢いで加速魔法で一気に迫る。
「……深雪!危険だ。即時撤退を」
「はい、お兄様」
司波兄妹は芽衣子を確認した瞬間離脱を図る。
「スターズは退路を確保、速やかに撤退を!」
シルヴィは他のスターズメンバーに迅速に指示をだす。
やはり、ここに居る全員が六道家の洗礼を受けたようだ。
六道家の洗礼とは……もちろん式神暴走の事である。
3日前程、インダラに乗った芽衣子が突如横島達の前に現れた。
そして例の如く、皆の前で横島に強引に結婚を申し込んだのだ。
それを聞いたリーナと真由美が猛反発。
あろう事かリーナがストレートに、真由美がグチグチと芽衣子に突っかかってしまったのだ。
爆発物や危険物は慎重に扱わなくてはいけないのは世の常なのだが……
当然、責められる芽衣子は、泣きながら感情を爆発させてしまい……式神暴走(百鬼夜行)が顕現されてしまったのだ。
当時集合場所だった街中にある大きな廃ビルが粉々になる大惨事となる。
ちなみにこの廃ビルは、元Yクラフトコーポレーション(厄珍堂)である。
幸いなことに、横島の護符のおかげで、皆は式神暴走の巻き込まれはしたが、ダメージを食らわずに済んだ。
しかし、その恐怖は十分に精神に刻まれたことだろう。
式神に拘束されてベンチに座ったまま、これから起こることに悟った表情したあきらめ顔の横島と、その横に笑顔で座る芽衣子。
その前には、一応笑顔だが口元をヒク付かせている真由美と明らかに怒りの形相で芽衣子を睨んでいるリーナが立っている。
エリカは取り残されていたが……
『娘っこ!チャンスだ!巻き込まれないうちに撤退だ』
「わかったわ紅公!」
そうして、エリカとその愛刀紅鮫丸と共に、この場を脱兎の如く撤退したのだった。
また、来ちゃいましたね厄災><
ちなみにレオのCADネタはGガンダムとガオガイガー。暑苦しいつながり><
次はこの続きです。