横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

前回の続き、歩く厄災……です><


174話 横島 達也に気づかれる!!

 

 

 

「あらあら~~、二人とも怖い顔をして~~~どうしました~~?」

 

「どうしたも、こうしたも無いでしょ!タダオを開放しなさい」

「横島くんを放してください」

 

都心の公園のベンチで煌びやかなドレスを着た妙齢の女性、六道家54代目当主六道芽衣子が座り、その前に若い女性二人が立つ。

一人は金髪碧眼、長い髪をツインテールで束ねる美少女、USNAスターズの総隊長アンジェリーナ・シールズ、もう一人は身長は低いがスタイルがいい長い黒髪の美少女、十師族七草家長女七草真由美。それぞれ、芽衣子に突っかかっていた。

 

この口論の原因である少年横島は、芽衣子の横に座っているが……身動きがまったく出来ない。実在する動物を模したようなマスコットにも似た愛嬌のある姿をしている数体の式神に纏わりつかれていたからだ。

六道芽衣子が使役しているこの式神は、見た目に反してすさまじい力を内包している。

恐らく現存する本当の意味での本物の式神、自らの意思を持ち、自分の意思で動くことが出来る。その正体は強力無比な鬼……鬼神と言って良いだろう。

それが一体だけでもとんでもない存在だが、それが数体、今は自らの意思なのか、芽衣子の命令なのかは分からないが、横島に纏わり付いている。

 

 

 

「ええ~~?急に横から無粋ですよ~~~、今~、芽衣は~~、横島くんとデート中なのに~~~」

 

「これのどこがデートよ!」

「式神で無理やり横島くんを拘束しておいて!」

 

「無理やり~~?拘束~~?式神達は~~~横島くんが気に入って離れないだけで~~~別に拘束してるわけでも~~~、拘束するように命令している分けでもないわ~~~~」

 

芽衣子がそう言っている間も、ウマの式神インダラが横島に頬ずりしていた。

式神達はどちらかというと懐いているように見える。

 

「今は、悪霊退治に忙しいんです。邪魔をするなら帰ってください!!」

「そうよ!タダオは今、あなたに関わっている暇は無いの!!」

 

「グスン、そんなに怒鳴らなくても~~~~、怖いわ~~~」

 

「……」

「この!」

真由美とリーナもイライラが積もってきているのは、傍目でも分かる。

芽衣子の間延びした口調と、空気が読めないような発言は、人をイラつかせるのに効果的である。

わざとやっているのか、それとも天然なのかは分からない。

 

「でも、芽衣は~~~、六道家として~~、横島くんと大事なお話もしないといけないし~~~」

 

「大事な話ってなによ!」

「今、話さないといけないことなんですか?」

 

「はい~~~、横島くんと結婚式の日取りと場所の~~相談を~~~、祝ってくださる参加者もちょうど、集まってますし~~~~、一石二鳥です~~~」

思案顔をしながらこんなことを言う芽衣子。

 

「誰が誰との結婚式よ!!」

リーナは思いっきり芽衣子に突っかかる。

 

「ふーん、芽衣子さん?何をいっているんですか?結婚は双方の同意を得ないと出来ないのですよ。どう見ても芽衣子さんだけで、横島くんにその意思はなさそうですよ?」

真由美は口をヒクつかせながら、反論する。

 

「横島くんと私の結婚式の段取りです~~~、氷室家当主からは~~横島くんが良い返事をしてくれたら、好きにして良いって言ってましたから~~~、もう決まりです~~~。それで~~あなた方も参列して、祝福してくださるのですよね~~」

 

芽衣子のこの言葉についに二人は堪忍袋の尾が切れてしまった。

 

「何を馬鹿なことを!!この若作りの年増!!タダオは私とUSNAに帰るんだから!!」

「横島くんはまだ16歳です。結婚できるはずがないでしょう!!これだから後が無い行き遅れは!!」

 

この時代、魔法師一族の子息子女の結婚適齢期は100年前に比べかなり若い。大学で学生結婚などはざらで、大学在学中に子供が出来た。何てこともあるなのだ。

早く、確実に優秀な子供を……優秀な遺伝子を受け継がすためにである。

そこでは恋愛結婚は望むことは難しい。

 

十師族、七草家嫡子であった七草弘一も20歳そこそこで結婚しており、長男智一も24歳ですでに既婚者である。

魔法師の大家ではないためこのカテゴリーに含まれはしないが、氷室家現当主、氷室蓮は恋愛のすえ、20歳で結婚している。

 

そこからすると六道芽衣子28歳はこの時代で言えば大年増といってよいだろう。

 

「グスン、~~~芽衣は年増じゃないです~~行き遅れじゃないです~~~、横島くんが居るし~~~、婚約で、事実婚でいいじゃない~~~~グスン、30歳までに、ぎりぎり間に合います~~~グスン」

 

「タダオは、おばさんは好みじゃないの!!」

「一周りも離れた年下の男の子に何を言っているのですかね」

 

「グスン、グスン……酷いわ~。芽衣は何も悪いこと言っていないのに~~~、みんなしていじめるなんて~~~、お母様も、結婚結婚言うし~~~~、みんな、みんな、芽衣をいじめる~~~グスン」

 

横島は何も言わずに、この様子を悟り切った表情で見ていた。もちろんすでに瞳孔は開いたままだ。すでに諦めたのだろう……何もかもを……

 

「グスン、フエッ……芽衣はどうせ年増ですよ~~~、みんな、みんな、大っ嫌い~~~!!フエーーーーーーーーーーーーン」

遂に芽衣子が泣き出してしまった。

 

泣き声とともに、芽衣子の陰から、式神が一気に飛び出し、横島にまとわりついていたいた式神もそのまま暴れだしたのだ!!

 

式神暴走(百鬼夜行) ……こうなってしまうと、式神が辺りを破壊尽くすか、芽衣子が泣き止むまで止めることは出来ない。

ついに歩く厄災の本領発揮である。

 

「ギャー―――――ス!!ぐは!ぼへ~~~!!」

横島はそのまま、式神の餌食に!!

 

リーナは暴れだす式神に対し、持っていた神聖銃で反撃を、真由美も破魔札ショットガンで対応しようとしていた。

 

公園の木々や、ベンチ、照明などが次々と式神達に破壊され、地面は抉れる。先ほどまで平和だったこの地はまさに激しい戦場跡地のように様変わりして行く。

幸いにも、先ほどまで芽衣子が結界を張っていたため、この公園には横島達以外の人は居なかったため、関係者以外無用に巻き込まれる事はないだろう。

 

 

 

退避していたそれぞれのチームメンバーは公園の縁でこの様子を遠目で伺っていた。

 

 

「ふーーー、危なかったな」

「悪魔や悪霊よりよっぽどやばいよね。アレ」

レオと幹比古は生垣の間から顔を出して、お互いの無事に安堵する。

 

「ちょっとあんたたち!なんで、私を置いて逃げたのよ!」

エリカがそんな二人に割って入る。

 

「いや、普通逃げるだろ」

「エリカって、なぜか六道家当主に気に入られているし……邪魔しちゃ悪いかな~って」

 

「私だって、逃げたかったわよ!」

 

「今、無事に逃げれたからいいだろ?」

 

『ははっ、ちがいね~、娘っ子。君子危うきに近寄らずだ』

紅鮫丸は、レオに同意していた。

 

 

 

 

公園入り口付近の大きな木の陰で、七草孝次郎と十文字克人は、式神暴走の様子を遠目で見ていた。

「十文字次期当主……アレをどう思う?」

 

「……まるで、災害だと」

 

「知りたくなかった事実だ。六道があんな力を隠していたなんてな……しかも性格がとんでもない。あんなのと、どう対話すればいいのだ」

 

「七草も……妹君も、アレに怯まないとは、なかなか大したものではないですか」

 

「ああ、それは同意だな。まさか、あの真由美がな………兄貴(智一)もあれぐらい度胸があればいいのだが」

 

「ちょうどバランスがとれていいのでは?」

 

「嫁の貰い手が困るだろう……まあ、あの横島くんが引き取ってくれたら助かるのだが……」

 

「やはり、そうですか。十文字としてもそれは陰ながら応援させてもらいます」

どうやら、十文字克人も真由美が横島に気があることをうすうす気が付いていたようだ。

十文字克人も、魔法師一族の例に漏れず。優秀な遺伝子を残すことを良しとしているようだ。特に十師族はその傾向が強い。そう言う意味でも、真由美の相手として横島は最良の相手という事なのだろう。

 

 

 

 

速やかに撤退をしたスターズは……

 

「さすがは総隊長、あのビースト(式神)どもに、恐れもせず果敢に攻めるとは……」

「前は、突然の事で何が何やらわからないうちに、吹き飛ばされてましたからね」

「ミスタ―・横島の護符とドクター・カオス特性の耐魔ジャケットが無ければ、死んでいた」

「ミス・六道はあんなに可憐なのに、あのビースト共が周りに居ては声もかけられない」

スターズの面々は、退避行動を取り、公園の外に止めてあった大型車に乗り込みこの様子を見ていた。

 

「厄介ですね。悪魔よりアレの方がよっぽど手強い……日本の戦術魔法師ばかりに気を取られていましたが、あんなのがまだ居たなんて……上に報告しなければ、日本にはまだ、未確認な戦力が多数ある可能性があるようです……願わくは、同盟状態を永続的に維持してもらいたいものですね」

シルヴィは式神暴走(百鬼夜行)を見ながら、日本には知られていない戦力が眠っていることに、驚きながら、自分たちと敵味方となり、戦うことにならないように祈らずにはいられなかった。

 

 

 

 

「お兄様、危ういところでしたね」

 

「ああ、あれに巻き込まれるのはたまらん。体術はもちろん、魔法も効果が薄いときている。この対悪魔用装備でやってやれないことは無いが、リスクが大きい上に、戦うメリットがまるで無い」

 

「そうですね」

 

「しかし、七草先輩もリーナも良くやる。横島の護符とドクター・カオスの耐魔防御服で無傷とはいえ、精神的にダメージが大きいだろうに……」

達也は、今もなお式神に吹き飛ばされながらも、果敢に芽衣子に突っかかろうとする真由美とリーナを見ながら呟くように言う。

 

 

「お兄様、でも3日前の式神暴走時は、あの、横島さんがかなりダメージを残していたようでした」

 

「あいつは爆心地にいるからな………ん?いや……なぜだ?……封印状態とはいえ、あいつの耐久力と回復力は桁外れに高い……なぜあいつだけ……ダメージを」

達也はそう言って、式神の暴走を受け続ける横島を見る。

涙を撒き散らし、無様に叫ぶ姿はいつもどおりに見える。

 

「耐魔防御服も結構傷みましたよね。西城さんの防御服なんて穴が開いてました」

 

「耐魔防御服は傷が付く……しかしダメージがない……今日の悪霊の攻撃でスターズの二人も明らかに、致命傷を受けたように見えた。どういうことだ?あの横島の護符は肉体に対するあらゆる攻撃をガードするものなのか?いや、悪魔の攻撃はサイオンを奪っていく……精神そのもの…霊的構造体にダメージを与えてくる。それさえも防御している?」

 

達也は何気ない深雪の言葉に何か引っかかっていた。

なぜ、横島だけダメージを受けていた……達也は横島が明らかにダメージを受けている姿は、済州島で自分が放ったマテリアル・バーストを防御した横島位しか見たことが無い。

そもそも、皆に配った護符の製作者である横島が自らも護符を装備していてもおかしくない。

それなのにダメージを食らっている。

 

達也は探るように霊視ゴーグルを再び装着し、式神暴走の状況を見る。

式神の霊体はとんでもないレベルで構築されていることが、明らかに分かる。

今日対峙した悪魔化した人間など、比較にならないぐらい強力だ。

 

それなのに、三日前ビルが粉微塵になるような暴走の中、自分達は無傷だった。

今のリーナと真由美もダメージを受けているようには見えない。

 

やはり……横島の護符やドクター・カオスの耐魔防御服がとんでもない性能なのか……

 

達也はそう思考しながらも、横島を霊視ゴーグル越しに観察する。

横島が纏う霊気の色と光は、強く均一に保たれている。

涙を流し、無様に式神の攻撃を受けても、霊気は一切ぶれることは無い。

表面上はあんな感じだが、ちゃんと防御しているようだ。

「……なるほど、奴が耐久力が高いのはサイオン粒子をコントロールして粒子そのもので防御をしているからなのか、または、それを利用して肉体強化をしているかだな……まあ、どういう仕組みなのかはわからんが」

達也は誰ともなしに呟く。

 

「そうなのですね」

深雪はそれに返事を返していた。

 

「!?」

しかしそんな横島だが、達也は今一瞬、横島の右肩辺りの霊気がぶれたように見えた。

(なんだ。一瞬ぶれたいや、その部分が薄くなった?)

 

達也は霊視ゴーグルによる観察を続ける。

 

するとリーナがビカラというイノシシの式神に腰辺りに体当たりをされ、吹っ飛んだ。

当然リーナは吹っ飛んだだけで、ピンピンしている。

 

しかし、達也は見逃さなかった。

「!!」

(まさか!!)

またしても、横島の纏う霊気に乱れが起きたのだ。

しかもリーナが体当たりをされた腰とまったく同じ箇所を……

 

達也は真由美、リーナ、横島の状況を同時に確認しながら観察を続ける。

 

(やはりか、七草先輩とリーナが式神に攻撃を喰らった同じ箇所が横島の霊気が乱れる………)

 

 

「………」

達也はサッと対魔用CAD一体型銃を抜いて、自分の手のひらを撃ち抜こうとした。

 

「お兄様!!何を!!」

そんな達也の行動を見て、深雪は慌てて止めに入る。

 

「大丈夫だ。俺に自己修復術式がある」

達也は淡々と言う。

 

「なぜ!!そのようなことを!!」

 

「すまん。黙ってみていてくれ……」

達也は深雪の制止を聞かずに銃の引き金を引く。

 

しかし、達也の手のひらは穴をあくどころか、傷ひとつ付かない。

横島の状況を霊視ゴーグルで確認していたが、手に霊気の乱れは無い。

 

「この程度の攻撃ではダメだと言うことか……それは護符の効力なのか、横島の耐久力の問題か」

達也はぶつぶつと何かを言う。

 

「お兄様!?」

深雪は心配そうにそんな達也を見る。

 

「深雪……俺の右腕を魔法で粉砕してくれ」

 

「お兄様!!何を!!何を言っておられるのですか!?急にどうしたのですか!?」

 

「いや、自己修復術式があるから大丈夫だ。かまわないやってくれ」

達也はある仮説を立証するために、こんなことを深雪に言っていたのだ。

 

「嫌です!!どうしたのですかお兄様!?先ほどからなにやら考えておられるようですが……」

深雪は心配そうに、達也の顔色を見ていた。

 

「……すまん。わるかった……」

達也はそんな深雪の顔を見て、自分のうかつさに気が付く。

自分の腕を粉砕してくれなどと、いくら修復できるからと言って正気の沙汰ではない。

しかも、最愛の妹、深雪にだ……

 

達也はそう言って、深雪の頭を軽く撫でてから、横島と暴走式神の観察を継続する。

(横島……お前、やはり………)

 

 

 

 

 

 

しばらくして式神暴走が止まった。

芽衣子が泣き止んだからだ。

 

横島が耐えかねて、氷室蓮に携帯端末から連絡し、泣きじゃくる芽衣子に蓮の声を聞かせたからだ。

 

蓮が何を言ったのかは分からないが、芽衣子は今も尚、蓮と通話し笑顔を振りまいている。

 

 

リーナと真由美はダメージが無いとは言え、体力の限界なのか、その場に座り込んでしまっていた。

 

 

 

しかし……式神暴走(百鬼夜行)の傷跡はすさまじい。東京都心の某公園は、公園の外縁を残して、何も無くなった……いや、穴ぼこだらけの荒地と化していた。もはや、誰もここがさっきまで閑静で自然豊かな、都民の憩いの場であった公園だとは思わないだろう。

 

 

「うわっ、めちゃくちゃだよ」

「巻き込まれたらたまったもんじゃないな」

「これ、どうすんのよ。公園もう使えないじゃない」

幹比古、レオ、エリカは式神暴走が終わったのを見計らって横島の元に戻ってくる。

エリカの言うとおりだ、この公園を誰が直すのだろうか?

 

 

「隊長!大丈夫ですか?」

「さすがですね」

「リーナお怪我は?」

スターズの面々はリーナの元に集まる。

 

 

「真由美……お前をあまり怒らせないほうがいいようだな」

「七草、よく耐えた」

七草孝次郎と十文字克人は真由美にゆっくりと近づく。

 

 

達也と深雪も横島の元に歩む。

 

横島は……ボロボロであった。それはいつものことなのだが……すぐに起き上がってこなかった。

その場で苦笑いをしながら、座り込んでいる。

 

 

(横島……お前は俺達のダメージを肩代わりをしているのか?自分を犠牲にしてまで、なぜそんな事を…………お前というやつは……お前は自分の事を知るべきだ。お前を心配し、気に掛けている人間が居る事を…………言って聞く奴じゃない事は分かっている。……ならば………)

 

達也は横島から預かった護符も見つめながら思う。このどうしようもない位のお人好しに……思い知らせてやら無ければならない……いかに自分が馬鹿げた事をやっているかを…………






また、話が加速していきます。
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