横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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誤字脱字報告ありがとうございます。
非常に助かります。

それでは続きを
(チョイ熱血?)


176話 横島 新たな決意!!

「横島!覚悟はいいな!」

達也は横島に右手に持つシルバーホーンで魔法を放ちながら、一気に迫り、体術による接近戦を挑む。

 

「やめろって!」

横島は達也の体術を捌く。

 

リーナは横島の右側から後方に大きく下がる。

そして、背負っていた布状の長いバックから取り出した1.2メートルの円筒状の金属杖に取り付けられた十字にクロスするような取っ手を両手で掴み、まるで大型の対戦車ライフルを腰に構えるような格好で、横島に向けていた。

この金属杖の名前は、『ブリオネイク』

世界で公式に認めれらている13人の戦略魔法師の一人であるアンジー・シリウス(リーナ)が放つ最高峰の領域魔法、プラズマを全方向広範囲に撒き散らす戦略級魔法ヘヴィ・メタル・バーストを、このブリオネイクは指向性と収束性を持たせ、プラズマをビームのように打ち抜くための魔法兵器なのだ。

その威力は凄まじいものがあるが、使い勝手もよく、威力や発射距離までも調整できるため、街中でも行使が可能にする。

その発射速度は、理論的には音速の100倍にも達する。

 

リーナはブリオネイクを構えている手が震えていた。

いくら威力を落としていたとしても、普通に考えると、この攻撃を人がまともに喰らえばただじゃすまない。

自分が放った魔法で横島が下手をすると死んでしまうかもしれないのだ。

 

しかし、先日達也がリーナに打ち明けた話では……

横島は戦略級魔法を跳ね返す力を持っているという。

『救済の女神』なら可能なのかもしれないとリーナは思っていたのだが、

「あいつは、『灼熱のハロウィン』よりも高威力の戦略級魔法を『救済の女神』なしで跳ね返した」と語ったのだ。

それを聞いたリーナは大いに驚く。そんな事が人の手で可能なのかと……後で考えると、達也が今までUSNAが必死に探していた『灼熱のハロウィン』を起こした戦略級魔法師の関係者またはその魔法師自身だとと言ったのと同義であった。しかし今のリーナにはそんな事はどうでも良かった。

 

さらに、信じがたい事に、横島一人で、日本の全戦力に匹敵するとまで言っていたのだ。

リーナはUSNAで記憶喪失の横島と練習試合を何度か行っていたが、自分より強いイメージは無かった。

 

「あいつを負かすには戦略級魔法師であるリーナの協力が必要だ。それでもまともにやれば勝てないだろう。しかし、奴は重大なミスを犯している。そのせいで奴は死んでしまうかも知れない……それをわからさなければならない。それが出来るのはリーナと俺だけだ」

達也は困惑しているリーナにそう言って、説得をしたのだった。

 

(タダオがこの攻撃に耐えられる……達也、嘘だったら、許さないんだから……タダオ……お願いだから分かって)

リーナは達也が横島から離れた事を確認し、ブリオネイクからヘヴィ・メタル・バーストを収束させたプラズマ粒子ビームを放つ。

 

横島は、まるで最初からその場所に攻撃がくるのが分かっているかのような機動で既に身を翻し、ビームの攻撃範囲から離脱する。

 

ビームを発射され、先ほど横島がいた場所に激しい光の束が一瞬で通り抜ける。

 

横島はリーナが魔法を撃つ場所をリーナが攻撃する際の霊気の流れで予想していたのだ。

しかし、ビームが通過した空間の周囲はその余波でプラズマが乱舞する。

横島はそれに巻き込まれるが、全身に霊気による防御障壁を展開し、しのぐ。

 

「あ、あれを避ける!」

威力を落としているといえども、スピードは同じなのだ。

 

 

「……リーナ!!達也!!もうやめてくれ!!」

横島は叫ぶ。

 

「やめるか!喧嘩だと言った!!お前は何も分かっていない!!」

達也は、そういいながら、再び横島に迫り体術を放つ。

 

「何をだ!」

 

「お前は誰も傷つけたくないと言った!しかし、おまえ自身はどうだ!」

 

「……」

 

「俺達もお前が傷つくところなど見たくは無い!ましてやお前は死に急いでいるように見える!」

 

「……」

 

「なんだ?反論しないのか?そうか図星か?反撃する気力も無いのか?」

達也は体術を放ちながらも饒舌に横島を挑発するような口ぶりをする。

 

「……」

横島は苦しそうな表情をしながら、達也の体術を捌く。

 

「そうだな、この護符があるからな。自分で自分の攻撃を受けるのは嫌か?」

 

「……」

横島の顔がさらに苦悶に歪んでいく。

 

 

達也は後方に下がり、横島から大きく間合いを取る。

「お前は間違っている。こんな事をしても誰も喜ばない……リーナ!!」

 

 

 

達也の掛け声で、達也の後方でブリオネイクを構えていたリーナは、ビームを放つ。

「タダオ!!」

 

横島はビームの放たれる範囲からまたしても、霊気の流れを読み事前に逃れる。

 

しかし、ビームは横島を狙ったものではなかった。

ビームは直接達也の下半身、腰の下辺りに当たる。

 

しかし、達也にダメージは無い。

 

そして横島の護符により、ダメージが無常にも横島本人の下半身に届く。

 

「ぐっ!ぐはっ!」

横島はビームのダメージをその身に受け、放電したかのように横島の全身がスパークし……痺れを起こしたかのように体がぐらつき膝を付く。

横島はビームをまともに喰らったのと同じ状況に陥ったのだ。

いくら、威力を落としているといえども、通常の人間であれば、体を貫通し焼きただれる。または、手足が吹っ飛ぶ威力なのだ。

横島だからこそ、かろうじてこれに耐えうることが出来たのだ。

 

達也はそこで、腰にさしていたもう一丁の短銃形CADシルバーホーン・カスタム『トライデント』を取り出し、すばやく横島に向け、魔法を発動した。

 

常人では目視できない速さで何かが横島のわき腹辺りを通り抜ける。

 

横島はビームダメージを負っているがため、それにまったく反応できず、達也の魔法を喰らう。

いや、かろうじて防御障壁を張ったようだが、貫通してしまったようだ。

 

そして、横島は崩れるように横に倒れる。

 

 

「タダオ!!」

 

 

それを見たリーナは、ブリオネイクを投げ捨てて、横島に一直線に駆け寄り、倒れた横島を抱き起こそうとする。

 

横島の右わき腹の服がこげ、そこから血が滴っていた。明らかに肉がこげたような臭いまでする。

「タダオ!!しっかりして!!……達也!!やりすぎよ!!早く再成魔法をタダオに!!」

 

どうやら、達也に事前に再成魔法の事を聞いていたようだ。致命傷を受けても修復する事が出来る事をリーナに伝えたのだ。そうでないと、リーナもこの件を了承しなかっただろう。

 

しかし、魔法を放った達也も、持っていたシルバーホーンカスタムを地面に落とし、その手が丸こげになっていた。

達也は顔が苦痛に歪むが、すぐに自己修復術式で再成する。

 

 

達也が放った魔法は4月に横島に負けてからずっと構想を練り、FAE理論を物にし、新たな魔法を開発していたのだ。

 

新魔法の名前は仮に『バリオン・ランス』と名づけている。

 

物質を中性子レベルの素粒子(バリオン)に分解し、そのエネルギーで打ち出したのだ。

放射能汚染の心配はされるがそれは再成魔法で回収可能とした。

しかし、まだ未完成なため、威力も、スピードも予定のものよりもかなり弱い。

そして、魔法構築もまだ荒いため、自身もダメージを受ける事になったのだ。

達也が出した試算では、秒速1万キロという超高速で発射される。

誰の目にも見えるものではない。魔法が放たれると分かっていたとしても、反応すら出来ないだろう。

 

 

「タダオ!タダオ!しっかりして!!」

リーナは横島の肩をがっちり掴み揺らしていた。

相当動揺しているようだ。そんな事をすれば傷口が余計に開き悪化するだろうに……

 

仰向けで倒れた状態の横島は憔悴仕切った表情で、

「……リーナ痛いよ……大丈夫だ」

涙目で心配そうに横島の顔をのぞいているリーナの頬をそっと撫でる。

 

リーナは横島を抱きよせ、自分膝の上に横島の頭を乗せる。

「大丈夫じゃない……達也!早く!」

 

しかし、横島のわき腹から染み出していた血は既に止まっていた。

 

そこに達也が歩み寄っていく。

「直撃ではなかったか……」

 

「……いや、ほぼ直撃だ。防御が間に合わなかった……いつかの逆だな。俺の負けだ」

横島はリーナの膝に頭を乗せ寝た状態で、回復術式を自身に掛け、達也にそう言った。

横島は達也の魔法の気配を察したが、リーナのビームのダメージ転化によるダメージが相当大きかったため、反応しきれなかったのだ。達也の攻撃魔法バリオン・ランス(試作)のその凄まじいスピードと貫通力で、サイキックソーサーの展開も間に合わず、何とか身体表層に防御障壁を張ったのだが、貫通された。

張った防御障壁で一応急所をそらすことは出来たらしい。

 

「いや、お前は最初から負けていた。おまえ自身。この護符の危険性は十分理解していただろう。ダメージがお前の防御耐性を無視して、そのまま転化されるのだろう。なぜ、こんな事をした?」

 

「……ただ、みんなが傷つくのが見たくなかった。横浜の時は、ほのかちゃんが傷ついたと聞いた……あれではダメだと思った。確実にみんなが……傷つかない方法をと……悪魔の攻撃はただ防ぐだけでは困難なものがある。呪いが継続的にその地を汚染させるようなものまである。護符を持った本人は大丈夫でもそこから、別の人間に呪いや術が感染するようなものもある。それはただの護符では防ぎきれない。この護符であれば、受けたものを俺にすべて転化される。そうすれば誰も傷つかないと思った……俺は呪いや術に耐性があるからな……」

横島はリーナのひざの上で憔悴した表情ながらも、自分の思いをしっかりとした口調で語る。

 

「もし、お前の想定以上の強力な悪魔に出くわし、そのダメージ転化でお前が死んでしまえば……そんな敵では、間違いなく、その後俺達も……いや、ここら一体の人間は死滅する」

 

「……そ…それは」

 

「横島、それだけではない。お前は皆が傷つくのを見たくないのと言ったが、同様に、俺達もお前が傷つくのを看過できない。お前はお前が思っている以上に、皆はお前を思っている」

 

「タダオ……もう、やめて、こんな事……タダオが辛い思いをしているのは嫌なの」

リーナは涙をポロポロと横島の顔にこぼす。

 

「そう言うことだ。それにお前の過去の何があったかは知らんが……そんな事は今の俺達には関係は無い」

 

「マリアが……何か言っていたのか?」

 

「ああ、お前が高校に上がる前に、大切な人を亡くしたと聞いた……その程度だがな」

 

「……そうか」

 

「……それだけ話せるならば、俺の修復は必要ないようだな………」

 

「ああ、久々に負けたな……お前の再成魔法か……あれを俺に掛けた場合どんな事象が起きるか分からない……やめておいたほうがいい………それに負けた痛みを感じておくのもいいかもな……直に回復する。リーナのあのビームの魔法のダメージ転化が効いているな。リーナがあんなすごい魔法を持っているなんて知らなかったよ……身体全身がまだ痺れて、うまく動かせない」

 

横島が再成魔法をやめておくようにいったのは訳がある。ダメージ転化は呪いの一種である。横島自身に呪いを掛けているのだ。それが再成魔法を行った達也にどんな影響が出るかは分からないからだ。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい………」

リーナはポロポロと涙を横島の頭上に落とす。

 

「……いや、リーナを責めてるわけじゃないよ。褒めてるんだけど」

 

「あれをまともに喰らった状態で、その程度ですむのはお前ぐらいだ。……しかし、俺はこれでお前に勝ったとは思えない。お前は封印状態で、今回はお前の護符を利用させてもらっただけだからな……自滅と同じだ。……いつかは、封印解除状態のお前と戦わせろ……」

 

「お前…そればっかりだな」

 

「タダオ……もう、あの札を使わないで、今すぐに解除して………お願い」

リーナは横島の右手を握り締め、ひざの上の横島に涙目で懇願する。

 

「………いや…………わかった。でもあれは特殊な呪いをこめたものだ。遠隔で解除は出来ない。しかし、札そのものを燃やせば解除はできる…………通常の護符も後で渡す………リーナ…心配かけてごめん…………その…達也もな」

横島は最初は札の解除を否定しようとしたが、リーナの泣き顔と達也の真剣な顔を見て、しばし考え、ダメージ転化の札の解除を決意する。

そして、横島の表情は何か憑き物が落ちたようにも見えた。

 

 

 

「ふん。お前が素直に人の言うことを聞く奴だったら、こんな茶番はせずにすんだ。……深雪に連絡を入れるぞ。皆にあの札を外すようにと……ドクター・カオスの耐霊ジャケットだけでも、なんとかなるだろう。それに今日は人数に厚みを持たせているしな……」

 

「……すまない」

 

「それとお前は後で皆に謝っておけ。このことも深雪から皆に伝える様に言う。お前のバカな(ダメージ転化)所業をな……皆からは責められるだろう。……レオあたりは本気で殴ってくるぞ。……俺も後で殴らせろ」

達也はそう言って、リーナの膝の上の横島から視線を外す。

照れているようにも見えないこともない。

 

 

 

達也は携帯端末で深雪に連絡をする。

 

「ん?連絡がつかない?」

達也は若干困惑気味だ。

 

「どうした達也?」

横島はようやく上半身を起き上がらせる。

すかさずリーナが横島の後ろから座った状態で支える。

 

「深雪に連絡がつかん」

 

「……悪霊に出会って交戦中ではないかしら?」

リーナもようやく落ち着いたようで、会話に入ってくる。

 

「いや、そうかもしれんが……」

達也は歯切れが悪い返事をする。

実は深雪は達也の連絡があれば、どんな状況だろうが、即対応し、出なかったことなど今まで無かったのだ。

 

「相変わらずのシスコンだな……そんな心配そうな顔するなよ。今のところ、ダメージ転化はない。少なくとも深雪ちゃんは無事だよ……まあ、ちょっと強い敵に出会っているのかもしれんが、……大きな霊気も感じられないから、そんな強い敵が居るようには思えない。まあ、なんか合っても今はまだ俺にダメージが行くだけだしな」

 

「ダメよそんなの!」

リーナは支えている横島を後ろから抱きしめる。

 

「達也、早く行ってやれよ。深雪ちゃん達は三鷹方面だろ?真由美さんや幹比古達も一緒のチームだから連絡してみろよ。ほら、リーナも……」

 

「でも……タダオが……」

 

「俺は大丈夫だ。早く行った。……俺も後で追いつく………それと、リーナと達也……心配してくれてありがとな」

横島は立ち上がり、達也とリーナに行くようにと……そして照れくさそうにお礼を言う。

 

「わかった。先に行く」

達也は、そう言ってこの場を離脱する。

 

「うん、タダオは今日は、ゆっくり休んで……私達でなんとかするから」

リーナは名残惜しそうに、振り向きながら、加速魔法を使い達也の後ろに続いた。

 

 

 

 

残った横島は……芝生の上で大の字になって仰向けに倒れこむ。

「くはーーーー、久々に効いたなーーーーーーーーー!」

大声でそんな事を言う。

 

身体にダメージも相当残っていた。それもあるが……

 

「いや……効いた、心に効いた………俺は100年前に死ぬべきだったと思っていた…………罪を犯して100年たって戻ってこれたけど、俺にはもう既に何も無かった………天界で無意味に過ごすぐらいしか………

おキヌちゃんの遺言どおりに高校に通って……皆に会えて、良かった。……おキヌちゃんはこんな俺を見越して、学校に行けって言ってくれたのかな?

マリアとカオスのじーさんに再会して………友達も出来て…………叱ってくれる奴も出来て………俺、今、良い思いしているよなーーーー」

 

横島の表情は晴れ晴れとしていた。

 

 

(ルシオラ……おキヌちゃん………俺はこの世界で生きていくよ。……いいよな)

 

 

横島は身体を起こし、座禅を組む。

横島は霊気を集中させ、回復に勤しむ。

 

「あいつ等を、この世界を………守り抜く……」

横島は真剣な表情でそう呟く……その言葉には決意した意思が乗っていた。

 

 

 

 




*************
バリオン・ランスをここで出しちゃいました。
原作ではリーナのブリオネイクを参考に構築したのですが……
ここでは、4月の横島との決闘後に達也自身が試行錯誤の上、開発しています。
今の段階ではまだ、100%のできでは無いですが、今の横島くんには十分効いたようです。

横島くんの新たな決意なんですが……

話はどんどん加速していきます。
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