誤字脱字報告ありがとうございます。
タイトルでお分かりだと思います。ハイ…
では……
「この、この、人間の分際で!!この、この、この、この、この!!虫けらめーーーー!!こいつのせいで!!あとちょっとで、人界に介入できたものの!!こいつのせいで!!この!!この!!
しかもあの猿の弟子だと!!こいつのせいでこんな姿に!!」
ベリアルは怒りのまま、魔人形28号を使って、うつろな目で反応が無い横島を執拗に殴り続ける。
「もうやめて!!タダオは十分苦しんだじゃない!!もうやめて!!」
リーナはそんなベリアルに力いっぱい叫ぶ!
ベリアルが横島を殴るのに集中している間、深雪は横島に助けられた時の言葉を皆に伝える。
「私に横島さんが最後まであきらめるなと、皆に伝えるようにと……」
「……横島がただで捕まるわけがない…何かしようと考えがあるのかも」
「そうよ。きっとそう」
「…横島くん、気を失っているのよ……あんなのを見せられ、言われたら気が狂ってもおかしくない……」
「いや、やつの事だ、絶対何かあるはずだ。まだ、準備が済んでいないのかもしれん。時間を稼ぐしかないか……」
「でも、どうやってだ」
幹比古、エリカ、真由美、達也、レオは深雪から伝えられた横島の言葉を聞いて話し合う。
いつもつるんでいるエリカ達は横島が何かしようとしているのだと判断したのだ。
リーナは既に横島の事で精一杯で聞いていないようだ。
そんな時……
「だめ…です。……その人間をいじめたら……だめ…です」
ライオンに乗ったダンタリオンがこの場にも戻ってきたのだ。
「今、忙しい!!この!こいつめ!!この!!この!!」
ベリアルは横島を殴るのに集中し、話しかけてきたのがダンタリオンだと気が付いていない。
「だめです」
ダンタリオンはそう言って、執事が持っていたケーキ用のフォークとナイフを投げる。
「ぐはっ!!何をするダンタリオン!!」
魔人形28号の額の目にスッポリ嵌っているはずの、目玉しかない目玉にブッ刺さり、漸くベリアルはダンタリオンに気が付く。
「その人間……良い本を持ってます……だからダメです」
「うぐっ、殺すつもりは無い」
ベリアルは刺さったフォークとナイフをスポンと抜きさる。
「いじめるのはダメです。禁止です」
「いじめているわけではないぞ。ダンタリオン、こいつが何故か気絶してしまったので、たたき起こしてやってるだけに過ぎない」
ベリアルはこんな苦しい嘘をつく。
「本当…ですか?」
なぜか信じそうになっているダンタリオン
「おお、本当だ。親切心で行っているに過ぎん」
ベリアルがそう言うと納得しかけるダンタリオン
「その目玉が言っている事は嘘だ!」
「そうよ!さっきから横島にひどい事をずっとしてたんだから!」
「横島の身体を奪うつもりなんだ!」
レオとエリカ、幹比古はダンタリオンに叫ぶ。
「あの人間達が言っている事は本当…ですか?」
ダンタリオンは急に叫びだしたエリカ達にビクッとし、ベリアルに聞く。
「何を言っているダンタリオン。人間の言う事など聞くものではない。奴らは嘘しか言わない」
「ダンタリオンさん聞いて、横島くんを傷だらけにしたのはベリアルよ。椅子に縛られたままで、私達は動けない。そんな事が出来るのは、この場ではそのベリアルだけよ!」
真由美もダンタリオンに訴えかける。
「ベリアルは横島の身体を我が物にするようだ。そうするとどうなる?この後、起こるであろう横島の人生の記述は、今ある本だけで終わってしまう。そうなると君は続きを読めないのではないか?」
達也は落ち着いた声色でダンタリオンを懐柔にかかる。
「!……それは、困ります」
「ダンタリオン、そんな事はしない。ほら、新たな本もこの横島なる人間から提供された物だ。続きを読みたいのだろ。もって行ってゆっくり読むがいい」
「新しい本!…いいの?……でも、その人間いじめる?」
「いじめないと約束しよう」
「そんなの嘘よ!!」
「ダンタリオンさんだまされないで!!」
エリカと真由美は叫ぶ。
「うん…わかった」
ダンタリオンはベリアルの言葉を信じ、先ほどベリアルが横島から取り出した本三冊をもって、また、どこかに走り去っていった。
「ククククククッ、貴様ら無駄な足掻きよ!俺の言葉には強制力が働く。嘘も真実に写るようにな……それが俺の能力だ。貴様らにも試してやろうか?」
ベリアルはエリカ達に向かって余裕を見せる。
ベリアルの能力は言葉は明らかに嘘が混ざっていようが、それが真実に聞こえてしまうのだ。
それを使って今まで色々な悪事を行ってきた。
「では、こいつは、すでに物を言わん肉に成り下がった。どうやら精神崩壊したようだな。では身体をのっとらせてもらうか……」
ベリアルは魔人形28号を使って、虚ろの目をした横島に手をのばす。どうやら、横島の片方の目を抜き取ろうとしているようだ。
「やめろ!!」
「やめてくれ!!」
「タダオに手を出さないで!!」
「くそっ!」
しかし、そこでバンっと大きな音を立ててこの部屋の扉が開く!!
「なんだ?またダンタリオンか?」
ベリアルはうっとうしそうに、扉の方を向く。
「フハハハハハハハハッ!わし参上!!」
紳士風の服装にマントをたなびかせ、高笑いをする60歳前後の老人が堂々とこの部屋に入ってきた!!
「なんだ!このじじいは?」
ベリアルは訝しげにその老人を見る。
こんな登場の仕方をする老人は、いつもの自己紹介を行う。
「驚け!!そして、慄け!!数多の錬金術を体現し、天才の名をほしいがままにしてきたヨーロッパの魔王!ドクター・カオスとはわしの事じゃ!!ハーハッハーー……いまいち盛り上がらんな……マリアよ、やはり建物をど派手に破壊しながら入ってきたほうが良かったのではあるまいか?」
……やはり、ドクター・カオスだった。しかも登場の仕方に不満があるらしい。
「「「「「ドクター・カオス!!」」」」」」
皆は全員同じタイミングでカオスの名を驚きと共に叫ぶ。
「ドクター・カオス・このフィールドは・特殊です。何が起きるか・測定不能です・現状生命エネルギー・各種霊気は・制限されております・慎重に・事を・運んで・ください」
「うん…マリアの言うとおり」
その後ろから、マリアがカオスに注意をしながら大きな金属製の箱を背負って入ってくる。
そして、なぜか雫がマリアの後ろにちょこんと着いて来ていた。
マリアは雫との約束を守ったようだ。横島がピンチの時は一緒に助けに行くという約束を……
「「マリアさん!!」」
「マリア!!」
達也と真由美、リーナがマリア登場にも驚く。
「「雫!!」」
「北山!!」
「北山さん!!」
そして、他の皆は眠たそうな目をした友人、雫が暢気そうな声を上げて登場した事に驚く。
「なんじゃ、おぬしら捕まっておったのか?」
「皆さん・大丈夫・ですか?」
「皆!大丈夫!?」
カオス、マリア、雫は椅子に縛られている皆の下に行こうとするが……
「タダオが!!」
「「「横島が!!」」」
皆は石テーブルに拘束されている横島の方に視線をやり、カオスたちに訴えかける。
「ゆるせんな~、つぎはぎ人形の分際で、このカオスの同胞に手をだすとは……」
ボロボロの姿で気を失っている横島を見て、カオスは怒りをあらわにする。
「……横島さんを・いじめる・悪魔・滅ぼす」
マリアもボロボロの横島を見た後、ベリアルに向かい完全に戦闘態勢に入る。
「横島さん!」
雫は横島の状況に悲痛な声を上げる。
「ドクター・カオス!ここでは魔法の発動が出来ません。サイオンや霊気を制限されているようです。あの巨人は魔神ベリアルと名乗っている存在です。さらに横島の身体を乗っ取るつもりです。それとは別に横島は風水盤がどうとか言っておりました。横島が倒れている石テーブルもその一部らしいです。」
達也はカオスに早口で重要な事を簡単に説明する。
「ほう、魔神に元始風水盤か、横島の予想通りか……それでこの霧、そして、この明らかに高次元体であるこの建物………わしは風水盤をどうにかする。マリア……存分にやっていいぞ。すべてのリミッターを解除を許可する」
「イエス・ドクター・カオス」
霧の中に入る前、横島が式神をつかって携帯端末で連絡した先は、ドクター・カオスだった。
あらかじめ、横島は魔神と元始風水盤が関わっている可能性があることをその時に伝えていたようだ。
そしてカオス達は00カオスフライザーX2とドッキングして運用する大型輸送ユニット、ダイカオスで大陸間弾道飛行で急行したのだ。
「待ってください。魔法が使えないんです。突っ込むのは無謀です」
達也はカオスとマリアに注意を促す。
「魔法が使えない?知らんなー、フハハハハハハッ、わしとマリアにそんな物は関係ないわ!!」
「全リミッター解除・エネルギー供給・パラジウムリアクター変更」
達也の忠告もなんのその、そのままカオスとマリアは動き出す。
「なんだ。このじじいと女は?カオスにマリア……どこかで……ククククククッ、まあいい、ギャラリーが増えただけの事だ。魔人形ども!そいつらをひっとらえろ!!」
ベリアルはカオスとマリアを認識せず、特に脅威に思わなかったようだ。侵入者を捉えるように魔造人間達に命令する。
やはり……
「横島さん・いじめた・許せない・許さない・ダブル・ドリル・ブーストナックル!!」
マリアは相当お怒りのようだ。
両腕のロケットアームを高速回転させながら発射。
そのロケットアーム一発で次々に4体もの魔造人間の体に大穴を開ける。
この図書館では霊気などの生体エネルギーは制限されるが、物理エネルギーはその範囲外なのだ。マリアはサイオン(霊気)も生み出す事ができるが、今は超小型原子炉をパラジウムリアクターを起動し電子エネルギーで稼動していた。
ダンタリオン自身がこのように物理や科学が脅威となる事を想定していない、または、そんな存在を図書館に招き入れる事自体を想定していなかったようだ。
「レッグ・ミサイル・アタック・ファイア!!」
マリアは続いて、高く飛び上がり、足の脹脛部分を開き、超小型のミサイルランチャーを複数魔造人間に向け発射。魔造人間共に全弾命中炎上する。
「ダブル・フィンガー・レーザー・ファイア!!」
戻ってきたロケットアームの指から多数のレーザービームが放射し、魔造人間達の身体を焼き斬っていく。
「ななななな?なんだ?あの女!なぜ力が奮える?機、機械人形か?……これは?」
ベリアルはまさかの光景に驚きを隠せない。
マリアが戦っている隙に雫は達也たちを拘束しているロープを一つずつ切っていく。
「へ?攻撃できないんじゃないの?」
「すご!!なによあれ!!」
「かっこいいぞ!!どうなってんだ?」
幹比古は変な声がもれ、エリカは驚き、レオはロープを切る雫に質問していた。
「マリアは凄い!」
雫は自分の事のように嬉しそうに答えるが、答えになっていない。
「マリアさん……さすがです」
達也はその光景を関心したように見ていた。
「お兄様?」
深雪はそんな達也の様子をいぶかしげに見る。
「マリア!!タダオをお願い!!」
リーナはマリアに横島を助けるように叫ぶ。
「横島くん……まだ、大丈夫よね」
真由美も横島を心配する。
その間もマリアは魔造人間を次々と破壊していく。
「くそ、ガラクタめ!!魔人形ども何をやっている!!……あのじじいはどこ行った?な!?元始風水盤の稼動石に向かっているだと?まさか!あのじじいを止めろ!!」
ベリアルはカオスが元始風水盤を稼動させるための石版に向かっている事に気がつき、慌てて、魔造人間にカオスを止めるように怒鳴る。
カオスは自ら電子銃を構えながら、元始風水盤の制御版に向かっていたのだ。
「ちっ、こちらに気づきおったか。バロンZ バロンXいでよ!!」
マリアが背負っていた金属性の箱の一部が分離し、犬ような姿に変形し、カオスに迫る魔造人間に襲い掛かる。カオス特製の小型の犬型ロボットだ。探査能力と近接戦闘能力に優れる。
ちなみにバロンVは雫の護衛に回っている。
「横島さんの敵は・マリアの敵」
マリアは魔造人間を次々に屠りながら、ベリアルに近づいていく。
マリアは無表情であったが、怒りのオーラが見て取れる。
「なんだ?なんなんだ?くそっ、ガラクタめ!!これでも喰らえ!!」
ベリアルはマリアに向かって目からビームを放つ。
「マリアフィールド!・あなたは・許さない」
ビームはマリアに直撃する前に、不可視なバリアに阻まれる。
「な?なんだとーーー?ならば、先にあのじじいを!」
ベリアルはビームが阻まれた事に驚きながらも、今度は、カオスに向かってビームを放つ。
「マリアフィールド!・無駄です」
ビームは明らかにカオスに到達する大分手前で阻まれた。不可視なバリアがマリアとカオスとの間で生成されたのだ。
マリアドライバーΛ、そのカオス作、謎の機構は物理エネルギーを放出し、何も無い空間にバリアを生成させる。
意思と感情でコントロールするため、バリア生成前後にどうしても言葉(言霊)が出てしまうのだ。
これは、レオや達也に提供したCAD一体型の霊具の霊力変更を機構を応用し、物理エネルギーにそのまま流用したものだった。
マリアの周囲一定範囲で作動可能な攻防一体の物理エネルギー変換装置であった。
「な?なんなんだ?どうなってる!」
ベリアルは明らかに狼狽する。
「魔法ではないのか?あれが物理法則にのっとっているだと?……さすがはマリアさん」
達也はその現象に驚きの声をあげると同時にマリアに関心する。
それを作ったのはカオスなんだが……
そして、マリアは猛スピードで迫り、片手で3メートルもある魔人形28号を掴みあげる。
「何をする!このガラクタ!」
「命乞いなど・いらない・滅して・ください・マリア・コレダー!!」
そして怒りのマリアは魔人形28号とベリアルに激しい電流を流し込む。
マリアさんお怒りの巻きでした。