横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうとございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

前話のマリアの口調を一部修正させていただきます。

というわけで続きです。

漸く終着点が見えてきました。





186話 悪魔の謀略!!⑩再びのピンチ

 

 

「滅して・ください・マリア・コレダー!!」

マリアは魔人形28号を片手で掴み上げ、電撃を食らわす。

 

 

「ふんっ!緊急脱出!」

ベリアルは電撃を喰らう前に魔人形28号から、ジャンプし緊急脱出。

そのまま、空中をくるくると回転しながら、横島の顔に張り付き、横島の右目に取り付く。

 

「!!」

マリアはベリアルが目玉自身が本体だという事に気がつくのに遅れ。一拍遅れ、ロケットアームを

飛ばすが……

 

「フン!」

一歩先にベリアルは横島の右目の眼球を力任せに抜き去り、開いた目に自分をスッポリと埋める。

 

 

横島はゆらりと起あがる。

 

「ククククククッ、ついに手に入れたぞ!!横島の体を!!」

ベリアルの声は横島の右目から漏れていたのだが……徐々に横島の口から横島の声で言葉が出てくる。

横島の黒かった左目の瞳もベリアルと同じ黄金色に変化していき、横島の身体はついにベリアルに乗っ取られてしまったのだ。

 

「横島さんの・身体を・返して・ください」

 

「さすがの横島も精神崩壊を起こした後では抵抗できないか、ククククククッ、凄いぞこの体は霊圧がグングン上がる!ヒーーヒッヒーーーー」

乗っ取られた横島の身体から大量の霊気が漏れ出す。

 

「ククククククッ、なんだ?ガラクタ!この身体に攻撃できないのか?こっちは出来るぞ!」

横島の身体を使ってベリアルは巨大な霊弾をマリアに向かって飛ばす。

 

「マリアフィールド!・全開!」

マリアに不可視バリアを展開するが、バリアが攻撃に耐え切れずに途中で消滅。

マリアは十字ブロックをし何とか耐えるが……服がズタズタになる。

 

「クククククククッ、ヒーーヒッヒーー!!すばらしい!!すばらしいぞ!!この身体は!!何て力だ!!おい、ガラクタ!!さっきの勢いはどうした?」

 

「横島さんの・身体を・返して・ください」

 

「そればかりだな?もうこの身体は俺の身体だ!そら、どうしたガラクタ!そらそらそら!」

ベリアルはマリアに霊弾を次々と放つ。

 

マリアはバリアを展開しながら、左右によけ、なんとか致命的なダメージを避けていた。

 

 

達也たちは、雫に全員解放され、一時退避するためにこの部屋を出ようしたのだが………

横島がマリアを攻撃する様子を目の当たりにする。

 

「な!?ベリアルが横島の身体を乗っ取ったのか?」

「横島くん間に合わなかったの!?」

「……そんなタダオ!!」

「マリア!!横島さん!!」

 

 

「ククククククッ、そうだギャラリー諸君。俺がベリアルだ!この身体は実にいい!!それでどこに行くつもりだ?扉は開けさせんぞ!!」

横島を乗っ取ったベリアルは皆が扉のほうへ行くのを目撃し、横島の声でそう言って、この部屋の扉を封印する。

 

 

「横島!!起きろ!!そんなやつに負けるな!!」

「そうよ!!あんた!!いつものギャグはどうしたのよ!!」

「横島!!過去にあれだけ頑張ってきたじゃないか!!いまさらそんな奴に!!この世界を創った神さまみたいなもんなんだろ!!」

レオ、エリカ、幹比古は横島を呼び戻そうと必死に叫ぶ。

 

「横島さんから出て行って!!横島さんとマリアにひどい事しないで!!」

雫は横島が奪われる事と、横島とマリアが傷つく事がたまらなく嫌だった。

 

「横島、お前はその程度か!!お前はまだ何かしたかったんじゃないのか!!」

「横島さん!!お兄様の感情を戻してくれたじゃないですか!!先ほどの件!!うやむやにするつもりですか!!」

達也は横島がまだ、何かの策略をめぐらしていたのではないかと考え、必死に呼びかける。

深雪は、兄達也の感情の変化は間違いなく横島の影響だと、そんな横島が感情で負けるはずが無いと……それと、先ほどの口付けの件を説教か何かするつもりらしい……

 

「横島くん……あなたの過去を見たわ!でも、ルシオラさん、それと絹さんは、あなたを恨んだり絶対してないわ!!あなたが大好きだったのよ!!だから!!」

「……タダオの過去なんて私には関係ない!!私は今のタダオが好きだから!!だから戻って来て!!今を生きて!!」

真由美とリーナは横島のトラウマ…精神が塞ぎ込んでいた理由をマリアからある程度聞いていた。そして、先ほど見た映像で、それを目の当たりにし痛感していたのだ。生半可の事では横島を救えない事を……

真由美は、ルシオラと絹の気持ちに共感していた。彼女らは横島を心から愛し、守りたいと思った事に。それを知らせてあげたいと。

リーナは横島の自分を責め続ける姿は、自分の事が許せないのだと、今の自分が嫌いなのではないかと、でもリーナは横島に今を生きてほしいと、今の横島が自分は好きだからとそう訴えたのだ。

 

 

「横島さん・あなたは・英雄です・昔も・今も・早く戻ってきて」

マリアはボロボロではあったが、横島に訴えかける。横島がこんなところで破れるはずが無いと……

 

 

 

「ククククククッ!残念だな。もうこいつの心は消滅した!!この身体は俺の物だ!!そしてこの姿こそこれからはベリアルとなるのだ!!……ちょい整形は必要だがな ヒーーヒッヒーーー!!

さて、この図書館も用済みだな………我が配下の者よ!!出でよ!!我が軍団の長どもよ!!」

ベリアルはそう言って、なにやら術式を唱えると……横島が先ほど拘束されていた石のテーブルの後ろ付近から、禍々しい姿の羊の角を持ったものや、牛の頭など、いかにも悪魔らしい悪魔が……一体づつ一体とゆっくりとしたペースで召還されてきた。

 

 

 

「くそ!」

「そんな!」

「タダオーー!!戻ってきて!!お願い!!」

「横島くん!!」

「横島さん!!」

「いや、まだだ!」

皆は悔しそうにするが、達也はまだあきらめない。横島は今まで言ってきたことを違えたことがない事を知っている。きっと何かを仕掛けているはずだと……

 

マリアは皆の前に立ち、ベリアルから守るような態勢で、じっと状況を直視する。

 

 

「霧よ瘴気の領域を広げよ!!」

ベリアルはそういいながら横島の身体の霊力を高め、何かの術式を起動させた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、霧の外では、十文字克人及び、七草家、十文字家、千葉家、吉田家の門人や、軍、そして警察組織がこの霧を囲む様に待機していた。

 

ピリピリした空気の中、この場に似つかわしくない、ほんわかとした空気を纏った二人がベンチに座っている。

「おば様~~、芽衣と横島くんの結婚の仲人をしてくださいまし~~~~」

 

「あら?忠夫ちゃんが了承してくれたの?」

 

「これからです~~~~」

 

六道54代目当主ドレス姿の六道芽衣子と氷室家14代目前当主巫女装束姿の氷室恭子である。

六道芽衣子は十文字家からの連絡で、門人数十名とここに到着。

恭子は、霊能者の勘なのか、嫌な予感がして数名の門人と共に東京に向かい、先ほどここに到着したのだ。

蓮と要も付いていこうとしたのだが、何かあったときのためにと残したのだ。

 

 

この二人は、軍やら警察組織、十師族に囲まれていても、どこ吹く風か、まったく動じていない。

しかも、芽衣子は式神を数体出したまんまである。逆に周りがおっかなびっくりし、この二人から避けているようにも見える。

それどころか恭子に至っては、十文字克人などに世間話や、お茶を買いに行ってもらっていた。

今も十文字克人は近くで待機し、緊張感の無い二人を呆れたように見ていた。

 

 

「あら、これはいけないわ。十文字ちゃん……霊気が乱れてる。何か良くない物が出てくるかも知れない……私達より後方で、援護をお願いね。霊具をもっていない方は、退避したほうが良いわよ」

 

恭子からその言葉を聞いて、十文字は後方に仮テントを構え作戦本部としている場所に行き、その事を報告する。

 

 

そして、霧が広がりを見せる……

「あらあらあら~~、今日はひなたちゃんから全部式神を返してもらったから全力だせますの~~でも、気持ち悪いのが出てきたら嫌ですわ~~」

芽衣子はウマの式神インダラに乗り、式神を引連れ反対側へと駆け出す。

 

 

霧が広がりだした直後、何かの結界が作動し、霧の広がりを抑えたのだ。

「これは、忠夫ちゃんの結界……準備していたのね。中はどうなっているのかしら……!?なにか来るわね。みんな~警戒して、なにか来るわよ~!!」

門人数名と十文字たちに注意を促す。

 

 

すると、霧の中にいた、翼竜に似た20メートル程の空を飛ぶ魔獣が数匹飛び出してきたのだ。

 

「うーん。空を飛ぶなんてずるいわね~。電光石火改!!」

恭子は氷室術式を省略詠唱して、広範囲の電撃攻撃で撃ち落とす。

門人もそれに習い、雷撃術式で翼竜魔獣を狙う。

 

「これなら……十文字ちゃん。あの恐竜みたいな魔獣はたぶん通常の魔法攻撃も効果的よ。だから思う存分やっちゃって」

恭子は手ごたえから、通常攻撃が効果があると判断し、十文字克人に伝える。

 

「……了解した氷室殿」

十文字克人は恭子の攻撃術式の威力に驚いてはいたが、恭子の話はちゃんと耳に入っており、直ぐに作戦本部に伝える。

 

 

最初の10匹ほどは氷室家と六道家でほぼ倒したのだが……

そこから、虎のような魔獣や、巨大な蛇の魔獣や、大きな蛾と人間が混じったような悪魔など多種多様な魔獣や悪魔がぞろぞろと飛び出してきたのだ。

 

横島の結界は霧を抑える事は出来るが、どうやら魔物を押さえるものではなかったようだ。

もしかすると霧を抑える事で、魔物や悪魔が出てこれないと想定していたのかもしれない。

 

「これは不味いわね。……数が……十文字ちゃん!!悪魔には霊具に慣れた人が対応、それ以外は魔獣を!!」

 

すると六道芽衣子が行った先で大爆発が起きたような衝撃がこちらに伝わってくる。

「……あそこは大丈夫そうね。逆に誰も近づかないようにしないとね」

どうやら芽衣子が暴走し、百鬼夜行を起こしたようだ。

 

 

すると、霧の中から地響きが伝わりだし、どんどんこちらに近づいてくる。

そして、3メートルはあろうかという巨大な亀の頭がこちらの様子を伺うように霧から出てきたのだ。しかも二つもだ。

 

 

その巨大な亀の物と思われる大きな前足を地響きと共に一歩霧から外へ踏み出し、口から青白い炎を猛烈な勢いで広範囲に吐き散らした。

「結界!!」

恭子はとっさに大きな結界を張り。炎の範囲にいた魔法師達を救護する。

 

「あなた達は下がって!!……これはまずいわ、こんなのと戦った事ないもの……まるで白黒映画のガメラね」

恭子は口ではそういいながらも、巨大な亀に対し、札を手に攻撃の構えを見せる。

 

そのときである。

猛威を振るっていた巨大な亀の首が切り落とされ、血しぶきを上げ、大きな音をたて地面に落ちたのだ。

 

その先には華奢な少女が古風な剣を構え立っていた。

 

「横島さんがわたしを頼ってくれるなどと………しかもあんな大声で」

赤い髪に、耳の上には髪飾りのような竜の角、そして、古めかしい服装をしている少女……

小竜姫が現れ、亀の首を一刀で両断したのだ!しかもなぜか顔を赤らめて嬉しそうだ。

 

 

「あの方は……確か絹様のご友人とかで……お亡くなりになる前に一度氷室にこられた……でも、あの当時のままの姿とは……一体」

恭子は小竜姫に一度会っていた。絹が命尽きる数日前に、小竜姫は絹に会いに氷室家に来ていたのだ。

 

そして、小竜姫は目にも留まらない速さで、次々と魔獣や悪魔を切り裂いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全世界図書館の中では横島を乗っ取ったベリアルが次々と上級悪魔を召還していた。

 

「ククククククッ、100年ぶりか?我が配下の軍団長よ。余は姿こそ変わったが魔王ベリアルである。漸く復活を遂げた。この場所から、この世界を征服する!!」

ベリアルは余裕が出てきたのか最初の頃の仰々しい口調に戻っていた。

 

9体の悪魔は横島を乗っ取ったベリアルに恭しく頭を下げる。

 

「ん?これだけか?神魔に駆逐されてしまったか?」

9体目が召還されたあと、パタッと現れなくなった。

 

 

 

「ふーーー、何とか間に合った。いやチョイ遅かったかいのーー。おーーいマリアーーー!!魔界化を止めたぞい!!」

暢気そうなカオスの声がこの広間内に響く。

カオスは元始風水盤を制御し魔界化を止め、悪魔を召還できなくしたのだ。

 

 

「な!?いつの間に?あのじじいーー!!」

ベリアルは驚きの声と共にカオスに振り向く。

 

 

「横島、起きおったか、寝坊も良いところじゃぞ……なんじゃこの悪魔どもは?」

カオスはバロンZ、バロンXの2体の犬型ロボットの上にローラースケートのように乗り、こちらに戻ってきた。実に器用だ。

 

 

「ドクター!!そいつは横島じゃない!!ベリアルが身体を乗っ取ってます!!」

達也はカオスに警告する。

 

「なに言っておるんじゃ?おぬし?どう見てもこやつは横島じゃろて」

カオスは悪魔が膝を付いているなど気にせずに横島に向き直る。

 

 

「クククククククッ残念だったなじじい!!もはやこの身体はベリアルが「待たせたな」いただいて……?」

ベリアルはカオスに横島ではない事を伝えようとしたのだが……話している先で、別の口調が混ざる…………

 

 

左目の瞳は先ほどまでのベリアルを象徴する黄金色ではなく、黒々とし、生気ある意思の篭った目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次はついに久々に横島復活か!?


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