横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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ついに横島復活!!



187話 悪魔の謀略!!⑪横島復活!!

「クククククククッ残念だったなじじい!!もはやこの身体はベリアルが「待たせたな」いただいて……?」

ベリアルはカオスに横島ではない事を伝えようとしたのだが……話している先で、別の口調が混ざる…………

 

 

さらに……

 

「よう、ベリアル。さんざ面白おかしい事やってくれちゃったな!この落とし前、どうつけてくれようか!!」

ベリアルが乗っ取っていたはずの横島の残った左目の瞳は黄金色から元の黒色に戻り、声は横島のいつもの口調に戻ったのだ。

 

「な?なんだと!?」

横島の右目に収まっているベリアル本体からベリアルの狼狽した声が漏れる!!

 

 

「「「横島!!!!」」」

「タダオ!!」

「遅いぞ横島!」

「横島くん」

「横島さん!!」

その口調で横島本人が乗っ取られた身体から戻って来たことがわかったのだ。

 

 

「お待たせ!横島復活っ!!」

横島はニカっとした笑顔を皆に向ける。

 

 

「なぜだ!!貴様は精神が崩壊したはずだ!!しかも先ほどまで俺の意思でこの身体は動いていたはずだ!!」

ベリアルは狼狽しながらも大声をあげる。

 

 

「なぜかって?嵌めたんだよ!お前をな!……まあ、結構な綱渡りだったが、まんまと嵌ってくれて助かったぜ」

横島は自分の身体の感触を確かめるように、身体のあちこちを回しながら答える。

 

 

ベリアルは横島の右目から離脱しようとするが、離れる事が出来ない。

「脱出!!……?…くそっ!離れん!」

 

「だから、嵌めたんだっていっただろ?」

 

「くそっ……くくくくくっ、しかし状況はかわらんぞ!!この図書館の中では、お前は力を発揮できないだろう。軍団長ども、あの人間どもを人質に取れ!!」

ベリアルは前に傅いたまま状況がつかめないで居る上級悪魔どもに命令をする。

 

上級悪魔9体は……達也やエリカ達に向かって、動き出すが何故か動きが鈍い。

 

 

達也達は悪魔たちの攻撃に反撃の構えを見せるが……

深雪の身体から急激に大きな霊気が放出され、皆を覆うように強力な結界が張られ、悪魔達の侵攻を拒む。

そう、これは横島が深雪を助けようとした際に、口移しに飲ませた劣化文珠が発動したのだ。

 

 

「ななななな?どっど、どういうことだ?なぜ悪魔どもが鈍い?なぜ、結界が張れる!?」

 

「プククククッ、まだ、わかんないのか?この図書館のお前が持っていた管理権限は俺がいただいた!!お前も、お前の配下の悪魔も、力は人間並みになったんだよ!!結界は……ちょっと仕組んだがな!!」

横島はどうやったかは分からないが、ベリアルの司書の権限を奪い取ったようなのだ。そのため横島は奪い取った権限でこの図書館内でも霊力を発揮する事ができ、深雪に飲ませた文珠が発動出来たのだ。

そして、ベリアルは力を失い、横島の右目から脱出が出来なくなり、さらには配下の悪魔も力を振るえなくなったのだ。

 

「ばっ!バカな!!」

 

「プッ…プククプククッ、その狼狽っぷり、なにお前?勝ったと思ったの?プハッ、残念すぎー!!」

ベリアルのそんな姿に横島は笑いを堪える。

 

 

 

なぜ横島が身体を取り戻せたか?

 

 

これは、最初から横島の計画された策略だった。

横島はこの部屋に到着した際、皆が捕まっていたがしばらく様子を見ていた。

横島自身この図書館では力が発揮できない事を知っていたため、普通に出て行って戦った所で勝ち目が無い事は十分わかっていた。そのため、皆を救い勝つための算段をめぐらせるために状況の確認と情報収集を行っていたのだ。

 

どうやら、ベリアルという悪魔は、身体を欲していて、そのために深雪の身体を奪おうとした事がわかった。さらに、ダンタリオンとベリアルの関係だが、ダンタリオンの方が立場が上のようだが、この魔界化を起こし、一連の騒ぎを起こしていたのはベリアルだということがわかった。

さらにベリアルは、ここの管理権限の一部を有し、力を発揮する事が出来ている事もわかった。

他にも色々と観察をし、元始風水盤の場所、ベリアル自身の能力を知りたかったのだが、深雪と達也がピンチになり、出て行かざるを得なかった。

 

とりあえずは、ダンタリオンから敵として認識されずに、この場から遠ざけることからはじめる。

幸いにもダンタリオンはベリアルの行動や人間には興味が無かったため、これは何とかする事が出来た。

 

次ぎに横島はベリアルと話しながらもベリアル自身の能力を探りをいれたが、判明できず。それはあきらめる事にする。

ただ、ベリアルは深雪以外には手を出さないつもりでいる事がわかった。

これはいつ心変わりするかわからないが……当面は大丈夫そうだと判断。

 

元始風水盤の所在がわからない今となっては、この場で皆を救うにはどうしても、力を取り戻す必要があった。

そこで、横島はベリアルから図書館の管理権限を奪う算段をする。

ベリアルの目的は身体を取り戻し、自分をこんな目に合わせた神魔への復讐と世界征服だ。

なんにしろ、ベリアルは身体を取り戻す必要があるようなのだ。

ならば、自分が身体を提供することで、深雪を救う事ができる。

さらに、自分の身体に罠を張ることを考えたのだ。

霊気を生み出す事ができないが……術式をイメージとしてつむぎだす事は可能だ。

そうやって、術式を罠として、体内とイメージとして刻む。

ベリアルがこの身体を乗っ取り……さすればこの身体にベリアルの管理権限により霊気が通るようになる。

霊気が通ることで、術式が作動するようにしたのだ。

 

しかし、普通の術式ではない。

ダンタリオンからこの図書館の管理権限を一部譲渡されているという事は、宇宙の理の一部といって良いだろう。その管理権限を奪う術式なのだ。

横島が世界改変を行うために培った膨大な知識を利用して、宇宙の理の一部を書き換える術式だ。

横島だからこそ、作り出すことができた術式なのだ。

 

 

横島は脳内と魂で術式を次々と紡ぎ上げながら、ベリアルと対峙し、深雪を救う行動にでる。

ただ単にベリアルに深雪の変わりに自分の身体を使えといっても警戒されるだけだ。

ならば、圧倒的に不利な状態で、抗えないとベリアルが判断した時に言えば良い。

横島は自身の身体は、悪魔にも最適だある事を知っている。なにせ、ルシオラの魂の拒絶反応に耐えた身体だからだ。悪魔に対しても耐性が十分にある。

 

深雪を助ける事ができ、万が一の最後の劣化文珠も渡す事が出来た。

もちろん劣化文珠にも細工を仕掛けていた。

 

そして、横島は倒れ、ベリアルに自分の身体を使うことを提案しそれに乗ってきた。

ここまでは、横島の思惑通り進んでいた。

 

 

しかし、ここから、横島の誤算が3つもあった。

横島は痛みや苦痛に対しては絶対の自信があったのだが……まさか自分の過去を暴かれるとは思ってもみなかったのだ。それが一つ目だ。

 

横島は皆に自分の過去を知られる事はさすがにきつい物があった。

横島は思う。自分は精神的にこれほどまで弱っていたことを今更ながら痛感するのだった。

さらに、ベリアルは自分のトラウマである過去を穿り返す。

これ程辛いものがあるだろうか?

 

二つ目はベリアルの特殊能力、嘘も真実に映る強制力だ。地味だがやりようによってはとてつもない力になる。

横島は絹の凄惨な過去の話で、まんまとそれに嵌った。

頭の中では嘘だと理解する。過去のあの場にはベリアルは確かに居なかったのだ。

しかし感情ではそれが真実に見えてしまう。

特に絹の件はトラウマになる位なのだ。心の隙は大きく、怒りと苦しみに支配されていく。

 

横島は意識だけはしっかり持っていなくては罠にはめる術式は完成しない。

しかし、横島は傷ついた心では容易には抗えなかった。

どんどん意識が深く沈んでいくのを感じていた。

 

 

そして三つ目は……

(ヨコシマ、何やっているの?あなたらしくない)

 

(ルシオラ!……これは夢…でもいいか……俺は君を死なせてしまった。救えるのに見捨ててしまった。……俺もそっちに行くよ)

 

(なによそれ!私は大好きなあなたのために命を投げたの!それを見捨てるも何も勝手な事をいわないで!!)

 

(ルシオラ!?)

 

(これは夢じゃないわ。私はあなたの魂と同化したの……あなたとずっと一緒にいたのよ)

 

(ずっと?)

 

(そうよ。これからもずっと……なかなか話はできないけどね。それは仕方がないことよ。でも私の事を今も思ってくれている事は本当に嬉しいわ……でも、今を生きないと、私はあなたの未来をみたいの……生きている未来を……あなたの中でずっと一緒に……きっとおキヌちゃん…あの子も一緒よ。だから、こんな事でさっさとリタイアするなんて無しよ!)

 

(俺は!)

 

そして、横島は懐かしい笛の音が聞こえた気がする。

絹と過ごした1年……あの時良く聞かせてくれた笛の音だ。

 

(俺は!!)

 

 

横島の魂と同化したルシオラの魂の中の意識が横島の意識と混ざりあったのだ。それは横島の力が極端に弱まり、さらに魔界化の影響だろうか……なんにしろ、大いなる誤算。いや奇跡なのかも知れない。

 

 

 

そして、ベリアルは横島の肉体に自らの身体を埋め込み乗っ取る。

ベリアルは図書館の管理権限で、横島の肉体にも霊気を宿していく。

それと同時に横島の張った術式が徐々に身体の中で展開し……そして、最後に、ベリアルが持っていた全世界図書館の司書の権限を奪ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ベリアル!?次はどうする?」

 

「ぐぬぬぬぬ」

 

そこへダンタリオンが慌てたようにライオンに乗って、この部屋に戻ってくる。

 

「良いところに来たダンタリオン!この人間が無理やり、司書の権限を奪ったのだ!さあ、権限を戻してくれ!!」

ベリアルはこの期におよんで、ダンタリオンに頼ろうとする。

 

「魔界化をといた……です」

 

「あれはあそこのじじいがやったんだ!俺じゃない。権限を戻してくれたら、元に戻す」

 

「嘘をついた……です」

 

「いつ俺がお前に嘘を付いた?」

 

「この本に書いてあった……です!」

そう言って、ダンタリオンが見せた本は、ベリアルが渡した横島の本三冊の内の最新巻だ。

そこにはベリアルが付いた嘘などが克明に書かれていた。

ベリアルは自ら墓穴を掘ったのだ。ダンタリオンをこの場から引かせるために渡した横島から取り出した本、その最新巻には今起きている事象も書き足されていく、もちろんベリアルがさっきまで行った事もだ。

 

「そ、それはこいつに嵌められたんだ!」

 

「観念したらどうだ?ベリアル?……そうだ。嬢ちゃん。俺が最初に言っていた。この世界にとどめさせてあげるって話覚えている?」

 

「…うん」

 

「じゃあ、文珠!!ひさびさーーー!」

横島の右手の平から文珠が浮かび上がる。

文珠の復活だ!ルシオラの言葉を得た今の横島に迷いは無い。

次元維持と4文字書かれた四色に彩られた文珠(四神文珠)が輝きだす。

 

「………あ!図書館…大丈夫になった…です」

 

「だろ?」

横島はダンタリオンに笑顔を向ける。

横島は文珠を使って、高位次元の建物である図書館をこの地で安定化させたのだ。

 

「すごい…です!!この人すごい…です!!」

ダンタリオンは嬉しそうに横島の周りをライオンに乗りながら駆け回る。

 

「そ……そんな、バカな!!」

 

 

横島はさらに文珠を生成して、そこで呆然としているベリアル配下の9体の悪魔に向かって発動させる。

すると9体の悪魔は床に出来た大きな穴に吸い込まれていった。

 

 

そして、横島は右目に埋まっているベリアルを抜き出し。指で摘む。

それと同時に横島の右目は再生していく。

 

「ヒィーー!」

ベリアルは情けない声を上げる。

 

 

 

「さあ、ベリアル!お仕置きの時間だ!!」




次回は、ベリアル君お仕置きタイムだよ!

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