横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


ちょい、長くなっちゃいました。
あと1話で収まるかな?


191話 横島 戦いの終わりに安堵する!?

 

斉天大聖老師は横島の友人達の話し合いを終え、広い廊下の端で横島と小竜姫と合流する。

 

話し合いはかなり長引いた。

老師は横島に恋する娘3人に横島について質問攻めを受け、達也からは、武術や修行のやり方についての質問を受ける。レオ、幹比古、エリカも達也の話を横で聞きながら、間に入って、横島の昔の話やエピソードを聞いていた。

最終的には、皆は横島の話で盛り上がる。

ただ、ここでの話は、皆は記憶の封印を受け忘れるのだろうが……そんなことを承知の上で今を楽しんでいるようであった。

しかし、深雪だけは……その輪に入れず。何かを言いたそうにするが口を噤んだままだった。

 

 

 

「横島……すまなんだ。まさかベリアルが人界に下りて悪さをしているとは思いもよらなんだ。わしが粉微塵にし、その身体を壷に回収し封印したのだが……一部を見逃していた。この通りじゃ……」

老師は横島の顔を見るなり、二度頭を下げる。

 

「師匠……ベリアルはかなり頭の回る奴でした。もし自分が神や魔神に滅せられそうになった時の離脱方法もあらかじめ考えていたのでしょう」

 

「ほんに、すまなんだ」

 

「では、ベリアルをお預けします」

横島はそう言って、水晶のような玉の中に封印された目玉だけのベリアルを老師に引き渡す。

 

「神界の収監所で厳重に封印をほどこされるじゃろう。もうこうなれば奴も復帰は出来ん……元始風水盤の方も文珠で回収しておいた」

老師は受け取った水晶玉を一睨みしてから懐に入れる。

 

「ところで……皆とはどのような話をされたのですか?」

 

「世間話じゃ、たいがいはおぬしの事じゃがな」

 

「……そ、そうなんですか」

 

「おぬし、意外とモテルのう。女を泣かすのだけはいかんぞ」

 

「そうでしょうか?……それは肝に銘じます」

 

「かーーっ!おぬし!鈍感もいいかげんにせよ」

 

「ええ?」

 

「おぬし本当に気が付いておらんのか?」

老師はあきれたように横島を見るが、その横で小竜姫が老師を睨んでいた。

たぶん。余計な事を言うなよ的なことなのだろう。

 

「女子どもはおぬしの事を好いておったぞ!」

 

「老師!」

小竜姫は我慢しきれずに声を上げてしまった。

 

「うーん。リーナの事ですかね。あの金髪の子です」

 

「はーー、だめじゃ、こやつ………小竜姫よ、おぬしも精進せよ。こやつは一筋縄ではいかんぞ」

 

「ろ、老師!何を言って!!」

小竜姫は顔を真っ赤にして老師に抗議をする。

 

「うーん」

横島は考え込むそぶりを見せる。

 

 

 

「それで、横島よ。わしがかの者達の記憶を封印してきたわい」

老師は横島から預かった文珠で、達也たちの記憶を封印したのだ。

 

「そうですか……お手を煩わせました」

 

「老師…封印?記憶の消去ではなく」

小竜姫は記憶の封印と聞いて疑問に思う。

記憶の消去は記憶その物を消し去るが、封印は記憶の中に残るがその記憶を呼び起こせないようにする処置なのだ。

 

「そうじゃ、……今日この霧の結界に入ってからの記憶についてだけをな……」

 

「え?すべてではないのですか!?」

 

「そうじゃ、昨日までのおぬしとの日々は残してある」

 

「なぜですか!?」

「なぜです!?」

横島と小竜姫は同時に声を上げる。

 

「おぬしは今しばらく、人界で過ごした方が良い。おぬしは自分ではわからぬようだが……現世に戻った頃は、ひどい有様であった。人界でかの者達と過ごし、おぬしの顔は目に見えて良くなっておったからのう」

 

「しかし……」

 

「この件で、神、魔の最高指導者共は結界の強化を計るじゃろうて……滅多なことで、今回のような事はおきんじゃろうし、かの者たちにも影響はないじゃろう」

 

「………」

 

「それとじゃ、皆、おぬしを好いておるしのう。急にお主の存在を消したら、変調をきたすかも知れんぞ」

 

「それは……」

 

「まあ、明日からはいつも通りに振舞え、おぬしがメソメソしていれば、何があったか勘づかれるぞ」

 

「……ご配慮ありがとうございます」

横島はまだ、完全には納得はいっていなかったが、これは老師の心遣いだということはわかっていた。

小竜姫は納得は行かないが、横島のためだということは分かっていたため、何も言う事が出来ない。

 

 

「皆は?」

 

「うむ、眠っておる。しばらくは起きんじゃろて」

 

「そうですか」

 

 

 

そんな中、ダンタリオンが通路の角から、ライオンに乗ったままこちらの様子を伺っていた。

「おっと、……えーとっ、ダンタリオンちゃん……こっちに来てくれない。こっちの方たちは怖くないから」

横島はそれに気がつき、声を掛ける。

 

「う……ん」

ダンタリオンは返事をし、こちらにライオンに乗ったまま来るのだが、横島の後ろに隠れるように老師と小竜姫の様子を伺っている。

 

「ふむ、魔神ダンタリオンが全世界図書館の管理者であったとは、わしも知らなんだ。……最高指導者がなにやら言いにくそうにしていたのは、こういうことじゃったか……」

 

「まあ、かわいらしい」

小竜姫はダンタリオンにそう言って笑顔を見せるが、ダンタリオンはビクっとし、横島の後ろに顔を隠す。

 

「ははっ……ダンタリオンの件は俺に任せてくれませんか?」

 

「うむ、そもそも今回の件、神の上層部はお主にすべてを投げたのじゃ、好きにしてよかろうし、わしらじゃどう扱えばよいかわからんからのう。神、魔にも属せぬ存在ゆえ、存在基準が冥界の王と変わらぬのかもしれん」

 

「ダンタリオンちゃんはどうする?」

 

「この…世界の記録を本に……しないといけない…です。ここに居たいです」

 

「どうやって情報を集めてたの?いちいち自分で人に手をかざして本を取り出さないといけないって事は無いよね」

 

「はい、……わたしの……意思を乗り移らせて、集めて…ます」

 

「そうか……分霊だね。ダンタリオンちゃんの分霊って、どんなのなの?」

 

「ものに息吹を与え…ます……情報を集め…ます」

 

「物なの?」

 

「生きているものには……できないです。感情が入るので……正確性に…かけます」

 

「そうか……それで、分霊の存在が感じられなかったのか……それであの霧の中の多量の本はあれ自体が分霊が憑依した跡だったのか。

…うーんどうしたものか……物か…おお?あれならいける!?まあ、達也には適当な事を言って……納得するかな?まあ、興味津々になるが、あいつは霊とかに疎いからな……大丈夫だろ?」

横島は考えをまとめ、第一高校のあるものを思い浮かべる。

 

そして、ダンタリオンに視線を合わせるようにしゃがむ。

「分霊を行うのは限定させてね。変な連中に騒がれても困るし、無用な混乱はさけたいから。……ここで分霊が活動するのに、ダンタリオンちゃんもここに居ないといけないの?」

 

「……お…おにいちゃんと……いっしょにいます」

ダンタリオンはそう言って、横島の上着の裾を引っ張る。

 

「え?……」

 

「ダメ……ですか?」

ダンタリオンは首を傾げ上目遣いで聞いてきた。

 

「……う…ダメじゃないけど」

 

「ダメに決まってます!!」

小竜姫は思いっきり否定する。

 

ダンタリオンはビクっとし、横島の服に顔をうずめる。

 

「小竜姫、そう怒らんでもよかろうに。小さな子供じゃぞ」

 

「何を言っているのですか老師、全世界図書館の管理人なのですよ。下手をすると創造主と同じぐらい長い年月を生きていることになるんですよ!!」

 

「わかった……ダンタリオンちゃんその代わり、俺の言う事をちゃんと聞いてね。図書館は元の時空に戻すのと……姿を現すときは、人間らしく振舞う事、それと……この座標のこの次元に住める場所は作って良いけど、それ以外はやめてね。たぶん神と魔の結界に阻まれちゃうから」

そんな小竜姫をよそに、横島はダンタリオンに幾つかの条件を付け了承した。

 

「わかった…です。でも…住むのは…お…おにいちゃんと住むから…いいです」

ダンタリオンも概ねそれで了承したが、横島と一緒に住みたいと言い出した。

 

「うむ、その方がわしも、たぶん神の上層部も安心するじゃろう。横島、面倒をかけるが、ダンタリオンの事は頼む」

ダンタリオンについては、老師では扱いは難しいだろう。神の上層部も同じだろう。横島の言う事を素直に聞くのであらば、横島に預けた方が無難で面倒が無くてよいだろう。

 

「ちょ…老師!!私は反対です!!」

小竜姫は老師に抗議をするが……

 

「俺の家は狭いから……だったら俺の家と直結させるのでどう?」

横島はその横で、ダンタリオンと話を進めていた。

 

「…いいです……あり…ありがとう」

ダンタリオンはホッとしたような表情をしたあと、うれしそうに横島を見上げる。

 

「ううう……」

小竜姫は悔しそうにダンタリオンを見るが、その容姿に怒るに怒れないでいる。

 

 

ダンタリオンはゆっくりとライオンから降り、左手に本を顕現させ、その本を開くと、今ここにある図書館が吸い込まれるように入っていく。

 

すると、そこは、元の井の頭公園に戻っていた。

 

 

皆は、公園のベンチで眠っているのが見える。

 

「……なにげに凄いな」

「………さすがは、元始から存在したといわれる全世界図書館の管理者という事じゃな」

「………な?」

横島、老師、小竜姫はその現象に驚きを隠せない。

 

ライオンも本の中に吸い込まれたようで、今は居ない。

ダンタリオンは本をパタンと閉じると、本はダンタリオンの左手に吸い込まれる。

そして、その手で横島の手をつなぐ。

 

 

「あああああ!!まだ見終わってないのにーーーーーー!!なぜ消えたんじゃーーーーーー!!」

 

「ドクター・カオス・時空の歪みが・元に戻りました・あきらめてください」

 

遠くのほうで、騒がしいカオスの叫び声と、落ち着いたマリアの声が響く。

 

 

「横島よ、先に行くが。落ち着いたら2、3日中には妙神山に帰ってくるんじゃぞ」

「ううう、私も横島さんと一緒に住みたい………早く帰って来てくださいね!」

「わかりました」

老師と小竜姫はそう言って、妙神山へと瞬間移動で帰って行った。

 

 

「よ、横島ーーーー!!本がわしの本がーーー!!本がーーーーー!!」

ドクター・カオスは涙をちょちょ切らせながら、全速力で横島に迫る。

 

「じーさん落ち着け!」

 

「ドクター・カオス・落ち着いて・ください」

マリアはドクター・カオスの脳天に拳骨をかまし、大人しくする。

 

「カペペペペッ」

脳天を押さえ悶絶するカオス。気絶をしないのはさすがである。

 

 

「じーさんとマリア、本当に助かった。ありがとう」

横島はカオスとマリアにお礼を言う。

 

「イエス・横島さんの・役に・たてて・よかったです」

 

「いたたたっ……ふははははっ!ピンチに颯爽と現れるわし、かっこいいではないか!!」

 

相変わらずのカオスとマリアだ。

 

 

マリアはベンチで寝ている雫を見つけ、歩み寄ろうとする。

「マリア、雫ちゃんをよろしく頼む。今日の記憶は封印している。だから神魔の話やこの世界の成り立ち、俺の過去も覚えて居ないはずだ」

 

「了解・です」

 

「まあ、そのほうが、こやつらの為にも良かろうて……で、その小娘がダンタリオンじゃな!!さっきの本…いや、図書館をだすんじゃ!!」

カオスはダンタリオンに唾を飛ばしながら我侭を言い出した。

ダンタリオンはビクっとして、横島の後ろに隠れる。

 

「おい、じーさん!!」

 

「グボッ!!」

眠っている雫を抱きかかえたマリアは、ロケットアームでカオスの顔面を殴り飛ばした。

カオスは派手に吹っ飛び池に落ちる。

 

「混乱を・避ける・ために・USNAに引き上げます…横島さん…もう、迷わないですか?」

 

「いいや、たぶんこれからも迷ってばっかりだ。マリアにも助けてもらわないと」

 

「そうですか・では」

マリアは一瞬だが微笑んだ。

そして、池に落ちたカオスを引っ張り上げ、光学迷彩を発動させ消えていった。

 

 

「ふう……終わったか……さて」

横島は、皆が眠っているベンチに歩み、皆をしばらく眺めていた。

ダンタリオンは黙って、横島の服を掴んだままだ。

既に朝日が昇り始めていた。

 

 

 

「う……ん?あれ?ここは……井の頭公園?霧は?」

エリカがまず起き上がりだした。

 

「ここは……あれ?横島?」

「横島?いつの間に?」

「お兄様?いついらっしゃって?」

「……ん?どういうことだ?霧は」

「……皆!?……横島くん?」

「タダオ……いつ?霧が無い」

幹比古、レオ、深雪、達也、真由美、リーナと目が覚め、それぞれ状況がつかめていないようだ。

そして、霧の中での記憶は無いようだ。

 

 

「皆やっと起きたか!」

 

 

「女の子を追いかけて公園に……あれ?横島さんその子は?」

「深雪を追って公園に入って……急に霧が出てきて……あれ?それから思い出せない」

「公園に入って……んん?」

「横島!!霧は!?」

「霧が濃くなって皆を追いかけて……そこから思い出せないわ」

「達也と霧の中に入ったのは覚えてるのに……そこから何が?」

「……朝か、それまでの記憶がない。気を失っていたのか……どうなった横島?」

 

 

「ああ……すべて終わった。なんか悪霊や悪魔どもが、次元に穴を開けて、こっちに悪魔や、魔獣を呼び出そうとしてたんだ。まあ、実際途中まで悪魔どもの予定通りだったみたいだが……あの霧は人を強制的に眠りを誘うものだった。一種の悪霊だな。そんでもって俺が、その次元の穴と悪霊をすべて排除した。もう終わったんだ」

横島は皆にでっち上げた嘘をまことしやかに話す。

 

「そ、そっか、横島が全部解決したんだ」

「くそ、今回も役立たずかよ」

「……そっか、結局は何もできなかったのね」

幹比古とレオ、エリカはちょっと悔しそうだ。

 

「横島くん助けに来てくれて、ありがとう」

真由美は横島の顔を見てホッとし、お礼を言う。

 

「横島、お前……その大丈夫だったのか?」

達也は霧の中に入る前に横島と喧嘩し、横島に怪我を負わせたことを言っている。

 

「タダオ……きてくれてありがとう!……あれ?なんで勝手に涙が……嬉しいだけなのに」

リーナが最後に横島に飛びつくが、自分の意思とは別に涙が流れてくるのを止められない様だ。

どうやら、封印はされているが、魂で横島の過去の記憶を感じていたのだろう。

 

「横島さん……ありがとうございます。………?」

深雪は横島にお礼を言うが……深雪の中で何かが心を締め付けていた。

 

 

「まっ、皆無事でよかった。まあ、なんにしろ悪霊も悪魔も全滅これで事件はすべて終わり!ふーー、漸く俺も解放される。達也が余計な事をするから、俺は結構大変だったぞ」

横島は今回の吸血鬼事件から始まった悪魔退治の終了を宣言したうえで、達也が提案した3者協力関係のトップに立たされたことに不満をぶつける。

 

 

「そうか、終わったか、なんにしろ横島ありがとな」

「やっぱ本物の陰陽師にはかなわないってことだよね。今度術とか教えてよ」

「うん?あれ?紅公が反応しない?どうしたのかな?壊れた?」

レオ、幹比古、エリカは口々に言いながら横島の周りに集まる。

紅鮫丸は老師に封印を施され、起動自体出来ないでいた。記憶は完全消去されているようだ。

カオスに出せば良いように直してくれるだろうが……

 

「横島さんその子は?」

深雪は横島の後ろに隠れている子(ダンタリオン)について聞く。

 

「ああ……この子は悪魔に捕まっていてね。無理やり何かをさせられていたらしい所を助けたんだ」

 

「そうだったんですか…お名前は?」

深雪は屈んで、おっかなびっくりしているダンタリオンにやさしく名前を聞く。

 

横島は焦った。ダンタリオンという名前を出されると厄介だからだ。

 

「……アリス…です」

しかし、ダンタリオンはアリスという名を名乗ったのだ。

実は、ダンタリオンとは魔神や神が勝手に名をつけていただけで、本人がそう呼ばれているから答えていただけなのだ。

アリスとは……その昔、図書館に何かの拍子に迷い込んだ人間がつけてくれた名前らしい。

 

「横島……助けにきてくれたのか……結構時間がたっているが…決着に時間がかかったのか?」

 

「いいや、悪魔と次元の穴をあける術式を潰すのはそれほどではなかったが、後始末に時間がかかった。次元の歪を直すのは大変だったな……カオスのじーさんとマリアが来てくれたから何とかなったかんじかな?」

 

「そうか。ドクターとマリアさんも来てくれていたのか!?それで二人は?」

 

「もう帰ったよ。ここに居るとややこしいだろ?」

 

「……そうだな」

達也は残念そうな口ぶりだ。

よっぽどカオスに会いたかったようだ。いやマリアにもだろう。

 

 

「リーナさんはなぜ、横島くんにくっ付いているの?離れなさい。話しにくいでしょ?」

真由美は達也の後に続き横島に近づくが、未だに横島の左腕にしがみついているリーナに注意をする。

 

「いいじゃない。感動の再会に水をささないでよ」

 

「感動の再会って、半日も経っていないでしょ?」

 

「……なんか、1年以上会ってない気がしたの!いいじゃない、私はタダオのガールフレンドなんだから」

 

「……マリアさんに前言われたでしょ?」

真由美は横島に聞こえないようにリーナの耳元で小声で注意をする。

 

「なんか、もう大丈夫な気がしたの!タダオは!!」

リーナは開き直ってこんな事を言う。どうやら、本能なのかなにかで、そう感じたらしい。

記憶の封印といえども、奥底の感情まではどうにもならないのだろう。

 

「じゃあ、私も」

そう言って、真由美は横島の右腕を取る。

 

「ま……真由美さん?何を!」

 

「私もこうしたいんです!!」

真由美は頬を膨らませながら横島の腕に自分の腕を絡める。

 

「ちょ……真由美さん?」

 

 

「……お…おにいちゃん…なんか……こわい…です」

ダンタリオン改め、アリスはそんなリーナと真由美を見て、横島の後ろに隠れてビクついていた。

 

「リーナに先輩、アリスちゃんが怖がってます。横島さんを離してあげてください」

深雪がアリスの様子をみて、二人に注意をする。

 

「……仕方が無いわ」

「ご…ごめんね。アリスちゃん」

リーナと真由美はパッと横島の腕を開放する。

 

 

「たはははははっ!えーーー?たははははっ!えーーーー!?」

横島は老師の言葉を思い出していた。リーナの好意はなんとなくわかっていたが……もしや真由美までと……今、色々と思考を巡らせていた。

 

 

「これって、雫が帰ったら大変よ……あれ?雫って?あれ?」

「だな、リーナはUSNAに帰るんだろ?となると七草先輩と北山の一騎打ちか」

「七草先輩がまさか横島をって意外だよね」

「いや……リーナは横島にベタ惚れだからな…素直にそうは行かないぞ」

エリカ、レオ、幹比古はそんな様子を苦笑して見ていたが、そこに意外にも達也が会話に入ってきたのだ。

また、エリカは雫が先ほどまで居た事の記憶が無いが、違和感を感じているようだ。

 

「深雪もなんかおかしくない?いつもだったら、遠巻きに見ているだけで注意なんてしないのに」

「……まさか横島にね。司波さんが……うーん」

「幹比古!!冗談でもそれは許さん!!」

「達也……本当にシスコンを治せよ。妹が結婚できなくなるぞ」

最後はレオが呆れたように達也の肩をポンと叩く。

 

 

 

 

 

 

この後、横島は公園外延部に張っていた結界を解き、外に皆で出て行く。

周りはかなりの騒ぎになっており、住民の避難まで行われていた。

軍や警察、各家が総出で、周辺を警備していたのだ。

 

「恭子さん……来ていたんですか」

 

「忠夫ちゃんご苦労様。終わらせたのね。……霊能者の勘ね。皆無事のようでよかったわ。魔獣とか悪魔みたいなのとか色々出てきたけど、こちらも犠牲者なしで、何とかできたわ。……どうやら、お絹様のお知り合いも助けに来て下さったみたいだし……」

氷室恭子はベンチでお茶をすすり、横島を待っていたようだ。

絹の知り合いとはもちろん小竜姫のことである。

 

「そうですか、さすがですね……で、十文字先輩はなぜ恭子さんの後ろに付き人のように控えているんですか?」

 

「横島、皆も無事であったか、今回の作戦の補佐、参謀役をしてくださったのが氷室殿でな、その伝令役が俺だったわけだ。その甲斐あって、犠牲者はゼロだ」

十文字克人は後ろ手を組んで、ビシッと立ったまま答える。

 

「そうなの、お茶も用意してくれるし、世間話にも付き合ってくれるし、十文字ちゃんは良い子ね。助かっちゃった」

恭子は微笑み十文字を労う。

 

「横島よ。途中で可憐な少女が剣を奮い。猛然と戦っていたのだが?お前の知り合いか?」

十文字は横島の耳元まで来てこんな事を聞く。

もちろんそれは小竜姫のことだ。

 

「……い…いや…その……」

 

「そうかお前も知らないか、一度話をしてみたいものだ。終わったと思ったら既に姿が見えなかったのでな」

なぜか十文字克人は遠い目をしていた。

 

「………」

たぶん無理だろうと横島は思うため、黙っておく事にした。

 

ちなみに、六道芽衣子は霊気を使い切るまで暴走したため。ぶっ倒れ、六道家に担ぎ込まれている。

 

 

この後、軍や警察、十師族らが個々に横島達は質問攻めにされそうになるが、恭子が微笑みながらそれらの組織を説得し、全部の組織をまとめて同じ場所で説明を行う事になる。

恭子や六道芽衣子の活躍を見れば、従わざるを得ないだろう。

 

皆は記憶を失っているため、横島がでっち上げの話をする事になった。

 

 

とりあえずはそれでその日は終了する。

もちろんその日は学校を休む事にはなったのだが……

 

 

 

結局、吸血鬼事件から始まるこの一連の事件は終息を見るが……報道では色々と、別次元からの侵略者説、宇宙人説、幽霊説、吸血鬼、妖怪説などと推論推測が横行し、しばらくは収拾が付かない事態となる。

今回の事件で氷室家と六道家の名前はさらに名声を得る事になる。

また、なかなか解決が出来なかった政府組織や魔法協会などには不満の声が上がり、しばらく突かれる事になった。

 

政府内の正式な見解では、悪霊、悪魔がUSNAの実験にてこの世界に侵入し、それらが知性を得て、次元の穴を自ら構築しこちらに仲間の引き込みを試みたという事で各組織とも最終的に意見の一致を見る。

これにより、他次元生命体又はプシオン生命体を共通認識とし、パラサイトという名で呼ぶ事も決定している。

 

また、今回のような事が起きた場合は、内務省から、氷室家及び六道家に正式に要請を行うガイドラインが作られる。これにより、他の組織がパラサイト関連の事件に直接関わる事が難しくなった。ただ、要請があった場合、軍や警察、魔法協会などもそれに協力しなければならない。

 

横島は、この際、藤林響子を通じて、政府には自分が関わった事を表ざたにしないように要求していた。

 

 

USNAでは今回の事件の発端が自国にあることを認め、日本へ補償金の変わりに鉱物資源の提供及び課税優遇などが取り決められた。

今回の事で日本は魔法技術で先に行っており、氷室家、六道家などという十氏族に匹敵する力を有する隠れた名家が存在し、さらに横島忠夫という規格外の人間が居る事が判明し、改めて同盟を強化する狙いがあったようだ。

 

 

 

 

そして数日後……横島は今日も学校に行く。




今まで読んでいただきありがとうございます。
2部からは大分毛色が違う感じになっちゃいましたが漸く終わりです。

たぶん後1話で終わりです。
長くなったら2話にしちゃうかもですが……

一応別枠で番外を予定します。
回収できなかった話で書きたかった事あるので……
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