誤字脱字報告ありがとうございます。
これが、本編最終話なのですが……後日談的なエンディングをちょろっと別に作ってます。
皆さんここまでお付き合いしていただきありがとうございます。
一応最終話までこぎつけることができました。
皆さんのおかげです。
感想をいつもありがとうございます。
楽しく読ませていただき次につなぐ事ができました。
誤字脱字報告、ご指摘もありがとうございます。
非常に助かっております。(いつも間違いだらけなんで><)
『お兄様……お慕い申しております』
達也は学校の昼休みになぜかメイド服の女性に豪快に抱きつかれていた。
何故かそのメイド服の女性は口調が深雪そっくりなのだ。
「おおおお兄様?こここれは一体どういうことでしょうか?」
深雪は驚きと共に怒りのオーラを放つ。
「達也さん……ロボットに深雪を……そこまで実の妹の深雪を……」
ほのかは悲しげな目をして達也を見る。
「ピクシーにこんなプログラムを入れた覚えは無い?どうなっているんだ?」
未だメイド服の女性に抱きつかれたままの達也も驚いているようだ。
それは正確には女性ではない。第一高校のロボット研究会で作成された家事サポート用の女性型アンドロイド、名前はピクシーだ。達也はこのアンドロイド作成に力を貸していた。主にはOSを一から組んだらしい。ちなみにメイド服はロボット研究会の趣味だ。
「ほーっ、達也くん。そんなご趣味が」
エリカはいやらしい笑みを称えていた。
「達也……妹型ロボットとは、さすがの俺も引くぞ」
「達也ってやっぱり重度なシスコンだったんだね」
レオと幹比古はそんな達也を疑いの目で見ていた。
「……違う!何を言っている!?おい横島助けろ!」
達也は欠伸をしている横島に助けを求める。
「おお?ありゃ?これ、パラサイトが入ってるわ」
横島は暢気そうに声を上げる。
「まじで?」
「なに!?」
「ちょ…ちょっとやばくない?」
「お兄様!!今お助けします!!」
皆は横島のその言動で戦闘態勢を取る。
「たはははっ大丈夫大丈夫。悪霊じゃないから、どっちかというと良いほうのパラサイトかな?」
横島は陽気に笑い大丈夫だと言う。
「良いほうって、どういうことよ横島?」
エリカは訝しげに聞く。
「ああ、悪霊が悪い方……うんで、精霊かな、妖精っていえばいいかな?それが物に宿った。そんなもんだ。悪戯はするかもしれないが、特に問題ないって」
「えええーーー、そんなの聞いたこと無いよ?」
幹比古は新事実に驚く。
「昔の話とかに出るだろ?憑神って、それは大概そういうもんだ」
「まじかーー、横島がそう言うなら問題ないな」
レオはそれで納得する。
横島の陰陽師としての実力と知識の高さを信頼しているからだ。
皆はホッとした表情をし戦闘態勢を解く。
「横島さん!なんで、その良いパラサイトは深雪と同じ口調と行動なの?」
ほのかは涙目で横島に食い尽き気味に質問をする。
「憑神ってさ、大事にされた人の思いが形になるんだ。だから達也は、ウシシシシッ」
横島はそう説明しながら、変な笑いを達也に向ける。
「やっぱりそうなんだ……達也さんの思いって。深雪への…妹への愛なんだ……でも負けない」
ほのかは悲しげな表情をするが、なぜか闘志を燃やしだすようにこぶしを握り締めていた。
「お兄様!やはり深雪を一番だと思ってくださっているのですね!!深雪はうれしいですわ!」
深雪は達也をチラッと見て、両手に顔をやり頬を染めている。
「深雪?ほのか?違う違うぞ…おい横島!何を吹き込んでいる!」
「ウシシシシシッ、達也観念しろよ~」
横島は変な笑いをしながら、達也を冷やかす。
実はこのピクシーには、ダンタリオン改め、アリスの分霊が憑いているのだ。
それは横島がアリスに勧めたこの世界の情報を集めるための分霊先で、動き回っても不自然ではないし、ネット接続で情報も集められるからだ。
深雪に性格やら口調が似ているのは、アリスが横島に人前では人間と同じ振る舞いをするようにといわれたことを分霊にも指示していたから。さらに、深雪から取り出して読んだ本を気に入り、やさしく接してくれた事もあったため、本の中の深雪を表現していたのだ。
そんなことは、もちろん横島は皆には内緒にしている。
そんなこんなで、日常生活が戻ってくるのだが……
大いに変わったことがある。
それは横島が住むマンションは……
「アリスちゃんかわいい!…横島!!まさかこの子に変な事してないでしょうね」
「するわけないだろ!って、なんで香澄ちゃんと泉美ちゃんが俺の家で掃除してるの?」
「マリアお姉さま……いつ見ても素敵です」
「……聞いてないし、そこ!!お前らも、リビングで何くつろいでるんだよ!!」
「えーー、横島の家って昔のマンガあるし」
「ここに来れば、うまい茶菓子があるしな」
「陰陽術を教えてよ。何か教則本とかない?」
「お、お邪魔してます」
「マリアもこいつらに茶菓子を出さないでいいから!!」
「横島さん・お客様は・大切に」
「……雫ちゃんもなんでここに?しかもほのかちゃんと何やってるの?」
「マリアについてきた……横島さんとの写真を整理して、アルバムを作っているの」
「ここに来れば雫に会えるし、達也さんにも……」
「は~~、なぜか真由美さんも、台所で普通にごはん作ってるし!!深雪ちゃんもなに手伝ってるの!?」
「横島くん、今日はハンバーグね」
「バランスを考えて、ほうれん草の和え物を作ってます。お兄様も好きなんです」
「……す、好きにしてください」
パタン…
「はぁ、はぁ、……おい、達也とそこのじーさん、そこでなに怪しげなものを作ってるんだ!!」
「横島、ドクターはやはりすばらしい!こんな発想はなかった!!」
「なに嬉しそうにしてんだよ!!」
「フハハハハッ、なかなか筋が良いぞ!!小僧!!わしの弟子にしてやろう!!」
「おいーーーー!!やめろーーーー!!この部屋から、世界を破滅させる気か!!」
「……でそこ!リーナはなんでいつもいつも俺のベットで包まっているんだ?」
「タダオの匂いがする………」
「………なぜかどんどん俺の知らないものが増えてるし」
「ミスター横島と少佐が快適に任務を遂行するために、子作りの…夜の事前準備を」
「何の準備ですか!?シルヴィさん!あんたいい加減にしないと、住居不法侵入で警察に突き出しますよ!」
「お…おにいちゃん……」
「どうしたアリス?…リボンだらけに…」
「グスン」
「ああーー!!香澄ちゃんもアリスで遊ばない!!」
「だって可愛いんだもん」
「だもんじゃない!!」
ボン!!
「次はなんだ!?って達也!!じーさん!!俺んちを燃やすつもりか!!」
ピーンポーン!!
ガチャ!
「誰だ?しかも勝手に鍵が開いたぞ?」
「よ~こし~まく~~ん。結婚し~ましょ~~~~」
「なにそれ?遊ぶのと結婚って同じ括りなの?あああ!!芽衣子さん!!式神出したまま来ない!!ご近所迷惑でしょ!!」
「また来たわねこの年増!!」
「リーナ!!ここで刺激をしたらダメだって!!」
「ふ~~んだ。芽衣はそんな事でいじけないもん」
「いい大人なんだからそんなことで涙ぐまない!!」
「みんな~、ご飯できたわよ」
「「「「「はーい」」」」」
「おいーーー、全員飯くってくつもりかーーーー!!はぁ、はぁ、はぁ……」
しばらくはそんな平和なひと時を皆と過ごす。
だが、別れもある。
リーナは留学過程を終えUSNAに帰還することになった。
空港で見送りに来た横島とその一行。
リーナは涙ぐみながら、横島の唇にキスをする。
「タダオ……また来るから、私をもらってね」
そんな一言を残して……
そして、真由美も第一高校を卒業。
校舎の裏側では……
「横島くん……私は横島くんが好きよ、だから覚悟しておいてね!」
真由美は横島に告白し、笑顔で卒業していった。
しかし……
「リーナ……なんで、今日も俺の家にいる?USNAに帰ったはずだよな」
「マリアにお願いして来ちゃった!」
マリアが居れば、USNAも隣街程度の距離感になってしまうのだ。
遠距離恋愛など、無いに等しい。
「来ちゃったって………で、真由美さんは今日も、俺んちの台所に……」
「横島くん今日はクリームシチューよ!」
真由美は卒業しても、通い妻をやめるつもりはない様だ。
結果…あまり変わらなかった。
いや、変わった。
「………あの~小……竜姫姉さん?なぜここに?しかも、どうして味噌汁を作っているんですか?」
めちゃくちゃ怖い笑顔で、真由美の隣で味噌汁を作る小竜姫がそこにいた。
「あれ?要ちゃんは、書斎でなんの札を作ってるの?え?女人禁制札?なにそれ?怖いんだけど」
春休みを利用して、氷室要が横島の家に遊びに来ていたのだが……その惨状?を見て、底冷えするような顔つきで、4畳半の書斎で綺麗な姿勢で正座をし、墨と和紙を取り出し達筆で凄い勢いで女人禁制札なるものを作っていた。
北山家では雫が留学を終え、お祝いパーティーを盛大に行った。
北山家の親戚、北山財閥ゆかりの人たちや会社の取引先から、軍関係者、政府高官までと豪華な顔ぶれ、そこに何時もの面々。
そして、最大の目玉はドクター・カオスとマリアが特別ゲストで呼ばれていた。
これには、政府高官や軍関係者は驚きを禁じ得なかった。
ちゃっかりリーナが変装して紛れているのはご愛敬。
「横島くん久々だね。いつも雫がお世話になってるよ。横浜の時もね。うーん夏に会った時よりずっといい顔になっているね。なにか吹っ切れた様だ」
ビシッとスーツを決めた存在感のある中年の男性が横島に声を掛ける。
「たははははっ雫ちゃんのお父さん久しぶりっす」
「妻を紹介するよ」
「あなたが横島くんね。雫の母の北山紅音よ」
そこには、スリットが切れ、胸元が大きく開いた大胆なドレスを着たプロポーション抜群の美女がいた。
北山紅音は現役時代は名の通った一流魔法師だった。それこそ十氏族に匹敵するとまで言われていたのだ。
「いっ!?雫ちゃんのお母さん?ええ!?お姉さんじゃなくて?」
「あら、お口が上手なのね。素直にうれしいわ」
「いや、まじでびっくりっす。ずいぶん若いお母さんだ。間違ってナンパするところだった。なに?雫ちゃんのお父さんってロリコンだった?」
「ロリ……君、流石にそれは……」
「あははははっ、君~、全然臆することないのね天然?私もそこそこの年よ」
「いやー、雫ちゃんと並んだら完全に姉妹っすよ」
「君~ちょっといいかしら」
「紅音…あまりいじめないで上げてくれよ」
「へ?」
「君ってさ、横浜の……『救済の女神』の後継者なんでしょ?氷室の隠し玉って事かしら?」
「たははははっ、いや~そんな大したもんじゃないっすよ」
「雫はね。君にお熱なの。君はどうなの?氷室から出ることができるの?」
「えーーーー!?たははははっ、いや~、どうなんでしょう?」
「ふーん。雫も厄介な男に惚れたものね……君、相当天然入っているでしょ女たらしの」
「たはははははっ、いや~ナンパ成功率が今だにゼロに限りなく近いんですが?」
「ふーん。そう。北山…いえ、私を舐めてもらっては困るわ。雫のためにあなたを全力で奪うつもりよ」
「えーーーー!?」
「夫云々じゃなくて、あのドクター・カオスと魔女マリアの友人なんでしょ、そのおかげで、雫も魔女マリアと姉妹の様に仲が良くなって……将来の身の安全を保障されたようなものだわ。貴方は自分では分かっていない様だけど、それだけの価値がある。だから、雫にとっても、北山にとってもあなたは全力で奪う価値があるの」
「ちょ、ちょっとーーーーあーーーーいかん!ここで気持ちいいなんて顔をしてはいかんのだ!やわらかいマシュマロが!!やわらかい弾力が!!あっ!」
横島の顔はデレデレである。
紅音は横島の腕をとり、豊満な胸を押し付けていたのだ。
「お母さん!!」
「タダオに何をするの!!」
「横島くんに何をするんです!!」
雫とリーナと真由美は遠巻きで様子を見ていたが、我慢が出来ずに紅音に抗議をする。
「うん?あなた達は七草の子女と、ん?留学生だったスターズの子ね。……雫!!これくらいしないとダメよ!奪うなら全力よ!!全力!!恋は戦争なのよ!!」
「お母さん!!私は自分で何とかするから!!恥ずかしいからやめて!!」
「恋は戦争!そうよ!その通りよ!!」
「……北山家まで本気に、こうしてはいられない七草も戦争です!!」
4人が言い争っている中、横島は女性に引っ張られ、その場から脱出。
「横島さん・マリアと・ダンスを・踊って・くれませんか?」
「マリア~、助かった。ダンス?俺と?下手だけど良い?」
マリアはいつもの服装とは違い、チャイナドレスをゴージャスな中世ヨーロッパ風にあしらったようなドレスを着ていた。
「あっ!マリア、次私も横島さんと踊る」
「マリア!私が先にタダオを誘うはずだったのに」
「マリアさん…やはり強敵だわ」
今後さらに、乙女達の横島争奪戦は激化していくだろう……
今の日常は、横島が望んだ平和そのものだった。
「今って、いい感じだよな……でもアレだよな。やっぱリーナと真由美さんに雫ちゃんって俺のどこがいいのかな?なぞだ?でも答えないわけに行かないし……どうしよう?」
などと贅沢な悩みを抱えている。平和な証拠なのだろう。
その3人娘だけじゃないぞ横島!
後6、7人…下手をすると10人位いるぞ!!どうする横島!!
世界を救った知られざる英雄……望めば世界を手に入れる力を持っている。…しかし、名誉、権力などは望まない。
ただ、願いは平和と仲間に囲まれる日々……ひと時ではあるがその願いは今ここに……
そうして、日常が…春休みが過ぎていく……
横島マンションにはほぼ全員が入り浸っております。
誰の会話なのかはワザト入れておりませんので、ご想像にお任せします。
一応、エリカ、レオ、幹比古、美月、達也、深雪、雫、ほのか、さらにリーナ、シルヴィ、真由美、香澄、泉美、そして、カオスにマリア、アリスと……そしてなぜか芽衣子まで……
追加で小竜姫、要と
相当やばい事になっております。
また、エンディングは短い予定です。番外につなげる要素がたぶんにある感じで、さらに結果論みたいなものです。
今回のこれがほぼ最終話と思ってください。
エンディングが後日談みたいなものです。
さらに番外を別枠というか、別タイトルで用意しております。補完できなかった真夜の話やあの人の話などを入れる予定です。