横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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またしても、九校戦関係ないです。

待望のデートです。


21話 横島、デートとは涙!!

「デートしてくれるって言ったやないかーーー!!嘘つきーーー!!」

 

 

「また、今度な」

摩利は淡泊に答える。

 

 

「デートしてくれなきゃやだーー!!デートォ!!デートォ!!デートォ!!」

横島は風紀委員室本部の床で仰向けに寝っ転がって、子供がダダこねる様に、手足をジタバタと振る!!

 

 

「ええーーい、うっとおしい!!今は真由美も忙しいのは、お前もわかっているだろ?」

 

 

「そうやって、はぐらかすつもりだ!!いつもいつもいつもそうだ!!女なんて!!女なんて!!どちくしょーーーーーーーーー!!」

横島は飛び起き、叫びながら洪水の様に涙を流し、風紀委員室本部を勢いよく出て行った。

 

 

横島の様子を見て、摩利はため息を付く。

 

 

今は6月下旬。あの事件から2ヶ月は経とうとしていたのだが、今だ横島と真由美と摩利のデートの約束は果たされていなかった。

 

 

確かに、真由美も摩利もあの事件以降、事件の後始末などで、忙しくそれどころではなかったのだが、最大の理由は、摩利自身が全く気乗りしないからだ。

 

 

しかし、今、横島の機嫌を損なうわけにはいかないのだ。

現在、生徒会、部活連と夏に行われる九校戦に出場する選手とサポートスタッフの人選に右往左往している。

九校戦とは、全国9つある魔法大学付属高校で年1回行われる魔法を駆使した競技大会の事だ。

 

その九校戦のサポートスタッフに真由美が横島を推薦しているのだ。

サポートスタッフは主にCADの設定や戦略サポートなのだが、横島の場合は、間違いなく治癒魔法目的だ。もし、競技中に大怪我をして出れなくなるような事態に陥っても、横島が居れば選手を回復させ、競技に復帰させることが出来る可能性が高くなるからだ。

 

 

「真由美の奴、とんでもない約束してくれたもんだ」

風紀委員室本部で一人、深くため息を付く摩利だった。

 

 

 

 

その週の休日

 

 

横島は真由美と摩利と出かけている。待望のデートである。

 

横島は摩利とひと悶着あった後、生徒会室の真由美に直訴したのだ。

すると、意外にも真由美はあっさりOKした。

 

どうやら、渋っていたのは摩利だという事が分かった横島は、摩利にネチネチと「委員長がそんなんでいいのか」「普段はえらそうにしているのに人の約束は破る」やら、責めたてていた。

摩利はそれでも首を縦に振らなかったのだが、真由美が来て、摩利を説得し、摩利もしぶしぶ了承したのだ。

 

 

真由美は、薄いピンクを基調としたワンピース姿。胸の真中には大きな赤いリボン。

摩利は、緑色のタンクトップにジーパンとラフな恰好だ。

 

横島と言えば、赤のTシャツにジージャンとジーパン姿。頭には赤のバンダナのおなじみの姿。

真由美と摩利の後を、少し離れて歩いている。

 

しかし、横島の両手と背中には多量の女性用の服やら小物の買い物袋が担がれ、持たされていた。

 

 

「横島くんが居てくれて、助かったわ。こんなにたくさん買い物が出来たのは久々ね。やっぱり男の子ね」

真由美はそう言って振り返り、横島に笑顔を振りまく。

 

 

「う…う……真由美さんに喜んでもらって、光栄です」

横島は苦笑気味で、目じりには涙が溜まっていた。

 

 

真由美の横では、摩利は必死に笑いをこらえている。

 

 

まさしく、デートと言う名の荷物持ちさせられている横島。

100年前とやっている事はほぼ変わらないのだ。

憐れ横島。

 

 

 

 

 

 

そんな3人の遥か後ろに、彼女らを付ける一団が居た。

 

「くくくくっ、横島……ぷくくくくっ」

エリカは腹を抱えて笑いをこらえるているのだが、完全に漏れている。

 

「エリカちゃん笑い過ぎよ……プクッ」

そう言う美月も笑いをこらえている。

 

「笑ってやるなよ。……横島ここは我慢だ」

レオは横島の姿に憐れみを感じ同情する。

 

「いいな、私も買い物に付き合ってほしい」

雫もどうやら、横島に荷物持ちをしてほしいらしい。

 

 

 

デートのうわさを嗅ぎ付けたおなじみのメンバーが後を付けてきたのだ。

 

「お兄様、横島さんは力持ちなのですね」

深雪はズレた事を言う。

 

「言ってやるな深雪」

流石の達也も横島に同情している様だ。

 

「達也さんも休日は、その…深雪以外の女の人とでかけられたりするんですか?」

ほのかは達也に危険な質問するのだが……

 

「ほのか、何を言っているの?お兄様がそんなことをするわけないでしょ、私以外の女の人となんて……」

達也のかわりに答える深雪の笑顔はめちゃくちゃ怖かった。

 

ほのかはその迫力にたじろいでいる。

達也はこの場は沈黙を守っていた。

 

「深雪、笑顔が怖い」

雫が深雪に指摘しこの場を納める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことも知らずに買い物を続ける。真由美、摩利、横島。

 

真由美が次の店に入っていき、摩利もついて行く。

 

横島は近くのベンチに座り休憩をしていた。

「はぁ、はぁ、くそ、せっかくの美女2人とのデートなんや。こんなことでへこたれるわいやないで……デートはOKしてくれたんや!!それはキスはOKという事や!!やっちゃる!!絶対やってやるでーー!!」

心の声が完全に雄たけびに代わっている横島。

 

 

 

そんな横島の目の前で突如として光がスパークした。

「ぐわっ」

 

そして、横島の座るベンチが振動して、倒れる。

「げへっ」

 

横島は荷物を持ったまま、ベンチごと背中から後ろに倒れる。おまけに、横島の頭に、街路樹の木の枝が降ってきた。

 

「痛たた……いったいなんなんだ?」

 

 

 

 

どうやら、横島たちを尾行していた。ほのかと雫が魔法を横島に対して発動したようだ。

その様子を見た、エリカと美月はまたもや爆笑していた。

 

「ほのか、雫なんでそんなことを?町中では魔法は禁止よ」

深雪はほのかと雫に注意をするのだが。

 

「なんとなくムカつく」

「うん」

雫とほのかは返事をするが反省はしていない様だ。

 

 

 

 

 

横島はベンチを戻し、多量の荷物をベンチに置く。

 

真由美が先に店をでて戻ってくる。そして横島に

「この帽子どう?似合ってる?」

買った帽子を横島に品評してもらいたいようだ。

 

「よく似合ってますよ。真由美さん」

 

「ありがとう。そうだ横島くんは何か欲しい物とかないの?なんかお礼してあげたいんだけど」

 

横島は思う。キターーーー!!チャンス到来!!今は二人きりだ。摩利さんも今はいない!!

 

「お礼だなんて……ただ……」

横島は目をキラキラさせながら、真由美の手を取って、口をとがらせ、不意にキスをしようとしたのだ!!

 

 

ズキューーーン!!

 

 

「はあああーーーーーん!!」

横島はそのまま前のめりに倒れピクピクする。

 

 

「え?どうしたの横島くん?」

急に倒れた横島にびっくりし、心配する真由美。

 

 

摩利も横島の叫び声を聞いて店から出てくる。すると真由美の前で前のめりで倒れ、けつに傘がささって痙攣する横島を発見する。

「おい!!大丈夫か!?」

 

 

「たは……たははは!!だ……大丈夫です」

そう言って横島は、けつからスポっと傘を抜き、立ち上がる。

横島は思う。誰が一体?

 

 

 

 

 

 

 

尾行する一行は慄いていた。

今のは、雫が近くにあった傘を投げ、ほのかが魔法でコントロール。雫がすかさず加速させたのだ。

見事なコンビネーションだった。その距離50メートルは在っただろう。

 

皆は思う。この二人には逆らわないでおこうと……

 

 

 

 

この後も、真由美、摩利、横島のデート?は数々のトラブルに巻き込まれる。

但し、横島限定だが……

 

横島が、隙を付いて、真由美や摩利にキスをしようとする度に、何か起きるのだ。

ある時は、水道の水が横島めがけて放たれ、びしょびしょに、ある時は、建物の上から、横島めがけて、植木鉢が落ちるなど……

 

 

 

そして、夕刻

 

「横島くんありがとうね。こんなに荷物もってもらって、やっぱり男の子ね。わたしも横島くんみたいな弟がほしかったわ」

そう言って、真由美のお迎えの高級車と共に、真由美と摩利は帰って行ってしまった。

 

 

 

横島はポツンと取り残され、膝をガクッと折れ、地面に付き、夕日に向かって涙を洪水の様に流していた。

 

 

「どーーせ!!こんなこったろうと思ったーーーー!!]

 

 

 

 

そして、横島の叫びは夕日と共に消えて行った。

 

 

 

 

 

尾行していた一行は

エリカと美月は終始爆笑!!

雫とほのかはこの結果に満足そうである。

深雪は女性連中が楽しんでいるのを見て、微笑んでいた。

 

 

そしてレオと達也は

「達也……明日から横島に優しくしてやろうな」

「……そうだな」

 

 

 




やっぱり九校戦と関係ありませんでした。

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