横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


33話の続きの様なお話です。
九校戦も終わりに近づいております。



横島、九校戦9日目、闇に踏み込む!!

新人戦モノリス・コードに見事即席チームである。達也、レオ、幹比古が優勝候補を破っての勝利に、第一高校の選手、スタッフともに沸いていた。

 

簡単な飲み物と簡単なお菓子だけだが、プチ祝勝会が開かれた。

2科生である彼らだが、今は参加者全員祝福をうけるのだった。

 

 

 

 

 

九校戦9日目 本戦ミラージ・バット

 

達也と横島は、事前に真由美達にCADに細工がされている可能性を指摘し、ミラージバットに参加する深雪と3年生小早川景子のCADを一緒に大会運営委員にチェックに出すことにした。

本来は試合ブロック毎に個々で大会運営委員会のチェックに出すのだが、不正を暴きやすくするためだ。

 

小早川景子のエンジニア3年生平河小春と深雪のエンジニアの達也、立ち合いとして横島がCADを大会運営委員に持って行く。

 

運営委員が、CADをスキャンする機器で、小早川のCADを先に通す。特に変わった様子はない。

次に、深雪のCADを機器に通す。

 

達也が突然、運営委員の胸倉を掴み、地面にたたきつけた。

 

「舐めた真似をしてくれたもんだ。深雪の身に付けている物に、細工をするなど……言え、誰に言われてやった」

達也の目は明らかに殺気を帯びていた。

 

運営委員は恐怖の様相で、声も出ない。横にいた平河小春もそれに驚いた顔で慄いていた。

 

「達也、やはりなんかあったようだな」

横島は達也の行動を止めるつもりはない様だ。

 

達也は幾分か殺気が薄れ横島に答える。

「ああ、間違いないウイルスに似た何かを入れられた」

 

 

「何を騒いでおる」

九島烈がこの場におつきの護衛と共に入って来た。

 

「じいさん二日ぶり!!」

横島は陽気に挨拶をする。

 

「九島閣下、当校の選手のCADにこの男が不正なプログラムを紛れこませたので、尋問しておりました」

達也は、簡潔に九島烈に事の成り行きを説明した。

 

 

「ふむ……確かに、異物が入っているな……電子金蚕だな、プログラムを狂わす代物だ。昔我が軍はこれに苦しめられた」

九島烈は達也から深雪のCADを受け取り、目視で確認し、そう答えた。

 

「じいさん、やるな、見ただけで分かるのかよ。こっちも見てくれ」

横島はそう言うと、小早川のCADを呆然としている小春の手から取り、九島烈に渡す。

 

「うむ、こちらも同じだな……そのものを引き捕らえろ。……横島くん、司波くんだったかね、アレがよくわかったな」

九島烈は不正を行おうとした委員を部下に連れて行かせ、横島と達也に話しかけた。

 

「自分が組んだCADなので、異物が入ればわかります。横島がその可能性について、予め指摘していたので、注意も出来ました」

達也はそう説明した。

 

「ほう、流石だな……予備のCADがあるだろう。それを使うといい。こんなことが起きたのだ、検査を通さなくて良い」

九島烈は関心しつつも、速やかに事態を収拾する。

 

「ありがとうございます」

「助かったよ、じいさん」

達也と横島は九島烈に礼を言う。

 

 

平河小春はその様子を呆然と見ている事しかできなかった。

 

 

 

 

本戦ミラージ・バット開始

 

 

何時もの面々は、固まって観戦していた。

 

「あれ?深雪飛んでない?」

「飛んでますね……」

「飛んでる」

「うん、空中を飛んでる」

エリカ、美月、雫、ほのかは、目を見開き驚きその光景を見ていた。

 

 

この競技、通常ジャンプして、空中に浮かぶホログラムの球をスティックで消していくのだが、深雪だけが文字通り空中を飛び回り、次々とホログラムの球をスティックで次々と消していく。

 

 

「おいおい、じょうだんだろ?」

「飛行魔術なんてあっただろうか?」

「くっ、スカートの中身はタイツだとぉ!!なんでじゃ!!」

レオ、幹比古、横島も驚いていたが、一人だけポイントがずれていた。

 

 

会場の全員が目を見開き驚いていた。

飛行魔術自体、実用レベルで現段階で存在しないのである。

 

 

開発者は間違いなく、達也だ。トーラスシルバーという偽名を使い、数々の魔法を生み出していたのだ。しかし、その真相は、学校内では深雪以外誰も知らない。

 

 

結果は深雪の圧勝で終わる。

 

 

 

 

そして、決勝。

深雪が圧倒的な差で優勝する。

ジャンプと飛行では、もはや試合にならなかった。

 

 

この試合だけでなく、全試合で達也が関わったCADは間違いなく一級品であった。

他のエンジニアとの差をまざまざと見せつけた結果となった。

ゆえに、達也本人の意図しないところで禍根を残すことになった。

 

 

 

 

 

決勝戦の間、横島は観客席に居なかった。

 

「厳ついおっさん、こんなところで何やってるんだ?」

横島はスーツ姿の無表情の巨漢に対し、話しかけていた。

 

「…………」

その巨漢からは返事はない……しかし、横島めがけて、いきなり殴り掛かって来た。

 

横島はそれを素手で受け止める。

「おっさんスゲーパワーだな、普通の人間だと即死レベルだ」

 

横島は開いているもう一方の手のひらを巨漢の顔に当て、霊気を放出し、気絶させた。

「なんなんだ?まるで感情の起伏が無い。感情を司る気も発していない」

 

横島と対峙したのは、ジェネレーターと呼ばれる強化人間だ。感情をなくすことで、安定した魔法展開と戦闘ができ、死を恐れることなく命令に服従する。非人道的な手段で生み出された一種の生体兵器だ。

 

この恐るべき生体兵器を送り込んだのは、第一高校に妨害工作を行っていた。ノー・ヘッド・ドラゴンの東日本支部だった。

彼らは、この九校戦を利用して、大きな金額を動かす賭け事を行っていたのだ。

その胴元となっていたのだが、第一高校が優勝すると、大損が免れない状況だったのだ。

そこで、最初はバレないように、事故などに見せかけ、第一高校の選手を排除したりしていたのだ。

しかし、そんな妨害に屈せずに勝ち続ける第一高校に業を煮やし、段々と妨害手段がエスカレートしていったのだ。

そして、遂に、第一高校が今日のミラージ・バットでほぼ、優勝が確定してしまい。最終手段を用いたのである。ジェネレーターを使い会場に居る人間を虐殺。それによって、大会自体を中止に追い込もうと考えたのだ。

 

2体のジェネレーターを虐殺に向かわせたが、1体は今、横島が撃退。もう1体は、現在会場の外で、何者かと戦闘を行っていた。

 

 

 

横島は気絶している巨漢に札を取り出し向ける

 

「【影】吸引」

 

横島がそう言うと巨漢は札の中に吸い込まれていった。

 

「あっちの方は大丈夫そうだな。軍の人もなかなかやるようだし」

横島は異様な感覚とわずかな殺意を感じ、この巨漢の元に来たのだ。もう一つの存在を感じていたが、それは、他の人が対処してくれたようだ。横島は、その周囲に響子の気配を感じていたため、軍の人間が収めたと判断していた。

 

 

 

「うーん、どうっすかな」

横島は真剣な顔をし、一人ごちる。

 





横島がもしCADの悪意を暴く手段を用いた場合。



横島は平河小春がプログラムしたCADに言霊を唱える。

「人の思いよ、具現化せよ!!」

製作者の思いが、小人精霊の様な形態をとり具現化する。

 『PIPI?』

小春はその様子を唖然と見ていたが、小人精霊はその愛らしい姿で首を傾げながら小春を見つめる。

 「か……かわいい……これ私にくれない?」

 「無理っす。役目を終えると元に戻るので」

 「‥‥‥‥」

小春は何かに目覚めた様だ。
それからの小春は自分がプログラムしたCAD一つ一つに名前を付ける変な趣味を手に入れたのだった。

お終い



ジェネレーターを吸引したのですが
なんというか冥子の影に、式神を入れるのと同じ要領の吸引術という事でお願いします。


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