誤字脱字報告ありがとうございます。
モノリス・コード予選2回戦です。
漸く横島が使う魔法の一つが出ます。
九校戦10日目
本戦モノリス・コード予選2回戦
第一高校VS第七高校
障害物が何もない草原と荒野と起伏が激しい丘のフィールドだ。
試合開始直前に十文字は先ほど同様横島の背中を軽く叩き言う。
「横島、さっきの試合はよくやった。今回の相手も大したことは無い、お前はディフェンスをしてみろ、近くで俺が待機する。危なくなれば出るから思う存分やってみろ。辰巳、オフェンス・アタッカーは任せたぞ」
男気イケメン辰巳は横島の肩にポンと手を置く。
「了解だ。横島期待しているぞ」
「またっすか」
横島は渋い顔をしていた。
ウ―――――――ゥ
開始のサイレンが鳴る。
辰巳がアタッカーとして先行し、十文字は近くの起伏の激しい丘の窪みへと行く。
モノリスの周りに取り残された横島は、魔法を行使してその辺の石と木の棒でスコップを作る。
横島の使える魔法の一つは物体の相対位置を固定する魔法だ。まあ、簡単に言うと物と物の位置を固定する魔法で硬化魔法の基本である。横島はそれを『接着魔法』と呼んでいる。その魔法を器用に使って木と石をくっ付け、スコップを作ったのだ。
横島の凄いところはこの単純な魔法を物体の質量が小さければ最大100程度同時使用でき、持続性も高く、5~10m離れた場所の物にも質量によるが展開可能なのだ。
そして、そこからが早い。モノリスの周りに3個、そして、モノリスに離れた場所に2個、あっという間に大きな穴を掘っていく。昔流行ったゲーム、ミスタードリラーやロードランナーも真っ青だ。
手際よく、枝と草をまぶし、上から土を被せ、生草を植えて落とし穴の完成!!短時間に作ったのだが、完成度が非常に高い。
横島は、達也から借りている。短銃型の特化型CADを使い、自陣のモノリス周辺の地面の数か所に魔法を打っていく。
そして、横島は自陣のモノリスの物陰に隠れる。
この状況は観客席には丸見えである。
この状況を見た観客席にいる何時もの面子達は
「……横島さん器用ですね。魔法をあんな風に使うなんて」
美月は横島が簡易スコップを作る過程を褒めていた。
「土掘るの早くねえか?あいつ、手慣れているのは気のせいか?」
レオは横島の手際の良さとスピードに呆れ半分、驚き半分であった。
「横島、落とし穴って……そんなのに引っかかる奴いないから」
エリカは呆れた様に言う。
「いや、なんかの魔法を地面にうち込んでいたし、何か考えがあるんじゃないかな。あれは条件発動型の術式か何かかな?それだと結構難しいんじゃないのかな?」
幹比古は横島のフォローしながらも疑問の声を上げる。
「いや、違う。あれは、俺が使い物にならないと言った魔法だ。魔法が発動している様に見えるだけの何も意味を持たない魔法だ、特に困難なものでもない」
達也は幹比古の疑問に淡々と答える。
「横島はなんでそんなことするんだ?」
レオは意味のない魔法に付いて疑問視する。
「そう言えば、お兄様、横島さんがスコップ作成に使った魔法は硬化魔法ですね。同時に多数展開しながらも継続性が高いようです」
深雪は横島の魔法展開数が多い事と、行使の持続時間が長い事を指していた。
「ああ、横島は物覚えは悪く、まだ単純な魔法しか使えないが、一度覚えると、同時に多量に展開でき、起動スピードがやたら速い、持続力もなかなかのものだ」
珍しく横島を褒める達也。
「へぇー、あの横島がね」
エリカも少しは感心している様だ。
「遠距離から魔法で横島さんが直接狙われたら、不利じゃないですかね」
美月は現状の横島の戦況について、述べている。
「横島さん、絶対なんか企んでいる」
雫がそう締めくくった。
第一高校のモノリスに第七高校のアタッカーが一名近づいてきた。
その後に遅れてもう一人続いている様だ。
第七高校の先発してきたアタッカーはモノリスの周りに誰もいない事に気づき、警戒しながら近づく。モノリスまで40m程近づいた時、モノリス右側の物陰に人の腕が見えたのだ。
第七高校の先発アタッカーはその事に気づき、モノリスの右側に回り、魔法を放つ算段をする。
一気にその位置から、右側に足を踏み入れる。
ズボ!!
「うが!!………なんだこれ!!」
先発アタッカーは見事落とし穴に落ちたのだ。
横島は落とし穴まで走って近づく。
「ふははははっ!!平安京エイリアンの術じゃ!!そしてこれでも喰らえ!!」
すかさず『接着魔法』を放ち、相手アタッカーの落とし穴に落ちた体勢で接触している右手と右足の戦闘服と、左手と右肩の戦闘服と、そして、相手の左足のブーツと右足のブーツを接着させる。
これでこの選手は身動きが完全に取れなくなった。
横島はまず、モノリスの裏で気配を消し隠れ、落とし穴がある距離まで相手が来た時に、体の一部をワザと見せ、相手の動きをその距離に留める。そして、見せる方向により相手が動く方向を微調整して、落とし穴に落としたのだ。
そして、後に続いてきたアタッカーは横島が、先発のアタッカーを倒している隙に、横島に魔法で氷の礫を放つ。横島は横に飛びのいたが、それを喰らったようで、そのまま先発アタッカーが落ちた落とし穴に覆いかぶさるように倒れる。
後発のアタッカーは横島が倒れるのを見て、モノリスへ急ぐが、モノリス周辺では何らかの魔法が現在も稼働しているように見える。それを大きく回避し、警戒しながら周囲を回る。
ズボ!!
「うげ!!……なんでこんなところに!!」
後発のアタッカーも見事に落とし穴にはまった。
そして倒したはずの横島が現れた!!
落とし穴に落ちた後発アタッカーを見下げて高笑いをするのだ。
「ふははははッ!!お前らあほだな!!横山先生の三国志でもちゃんと読んどけ!!横島流八門金鎖の陣なんちって!!」
そして、接着魔法でさっきの要領で後発アタッカーを拘束する。
そう、横島の得意技の一つ、死んだふり!!
後発のアタッカーの攻撃を寸でで避け、倒れて、死んだふりをする。
そして、モノリスに誘導し、モノリス周囲の見せかけだけの魔法の警戒心を利用し上手く使い、落とし穴へ誘導。しかも見せかけ魔法は、何れかの落とし穴に最終的に到達するように設置されていた。
まさに、その狡猾さは三国志の並居る軍師のようだ!!
横島はこの布陣で2人同時に来た場合も想定していた。3人同時来た場合のみ、1人倒して、十文字に助けを呼ぶ算段であった。
そして……
ウウウウ――――――――――ウ
アタッカーを務めた辰巳が相手のディフェンダーを倒し、試合終了。
エリカは、観客が思っている事を代弁してボソッと言う。
「勝ったんだけど……なんだろ。この素直に喜べない感情は……」
平安京エイリアンの術とは落とし穴でまんまと相手をはめる事で、術でも何でもありません。
平安京エイリアンっていう。超昔のゲームらしいっす。エイリアンを穴を掘って埋めるゲームらしいです。
次は本戦の試合です。