誤字脱字報告ありがとうございます。
漸く、パソコンが復旧しました。
殆どのパーツを入れ替える羽目になりました><
ハードディスクが生きていただけありがたかったっす。
これで、通常に投稿が出来ます。
今回はつなぎ要素しかない?回です。
九校戦10日目
本戦モノリス・コード
午後からの本戦決勝戦トーナメントが始まるのだが、現在はそれまで昼休憩となっている。
横島は九島烈に誘われ、宿泊施設のレストランと連動しているプライベートルームに招かれ二人で昼食をとっている。
「横島君、試合の半ばで、年寄りのわがままに付き合わせすまない」
「じいさんにはいろいろ助けてもらったし、言いっこなしだ」
九島烈には、独立魔装大隊が作戦展開していたノー・ヘッド・ドラゴン壊滅作戦に横島が横やりを入れ、現場を搔っ攫った後の始末をしていた借りがあるからだ。その後、手土産の情報提供事で貸し借りは無しにはなっている。
「君の試合を観戦し久々に爽快な気分を味わい、こらえ性も無く訪ねたのだ。どの試合も見事であった」
「たはははははっ」
横島は気恥ずかしそうに笑う。
「三試合目の建物内の戦闘は、私の見解では、君は第四高校の選手を室内に誘い込み、窓際に居たものは罠にはめ気絶、君のそばにいたものは、偽装か何かの後、拘束ではなかろうか」
九島烈は試合終了後の映像から、窓際で気絶したものが受け身や身構えもせずに気絶していた事から横島本人を確認せずに倒されたと判断。もう一人は、悔しそうな表情をしながら、拘束されていた事、そして、現場の狭い空間での出来事から、そう判断したようだ。
「おお!!じいさんいい線いってるな。大体そんな様な感じだ。誘き寄せて、罠を張って誘い込み、勘違いさせて、油断したところを拘束。一人は最初の罠に引っかかってくれたし、もう一人は勘違いを誘導したんだけど、それにも引っかかってくれたってとこ。全部初手で引っかかってくれるから、楽だったかなー」
横島は九島烈の見解に同意しつつも、大凡の内容について説明した。
「はっはっはーー、そこそこ名の知れた選手だったのだが、君には物足りなかったようだ。こうでなくてはならない。そもそも、この競技戦はお互いの魔法向上の場であると同時に、実戦の場を模したものだ。特にモノリス・コードはその意味合いが強い、実戦では魔法の力よりも、相手に勝つためにどのような手段を取り勝つかの方が大事なのだ」
九島烈にとって横島の答えは満足の行くものだったようで、多少なりとも饒舌になっていた。
一息つき九島烈は横島自身について質問した。
「君は、氷室家の戦い方とはずいぶん異なるようだと思うのだが?」
「氷室家は神主や巫女が引き継ぐものだが、ここ最近は巫女が主流だからな、俺は男だし、自由気ままってな感じだ。一時期師事していた人の影響が大きいかな」
横島自身は氷室家についてはそれ程詳しくはない、適当にはぐらかし答える。
一時期師事していたというのは、もちろん美神令子の事ではあるのだが……
「ほう、では君は高校と大学を卒業後は氷室家から出ることも考えているのだろうか?」
九島烈はどうやら、今回横島との昼食会はこの質問をすることが本命だったようだ。
横島が氷室家から出る事ができるのか、もし、可能なら、自分の陣営に引き込みたいのだ。
「大学?いやー実はそこまで全然考えてなかった」
「君は魔法師になるのではないのかね?」
九島烈は珍しく、狐につままれたような表情をしていた。
「うーーん、そう聞かれると困るな。魔法師養成のための学校なんだけど、魔法協会と国がうるさく要請するから俺が来たみたいなもんだから、ぶっちゃけ学校行くなら別にどこでもよかったし……まあ、この学校来てよかったよ、友達も出来たし、じいさんにも会えたしな」
「うむ。もし、何か入用や困ったことがあらば、私に連絡しなさい。協力は惜しまない」
九島烈は出来るならば、横島をある程度まで勧誘するつもりでいたが、横島自身何も決めていない、しかも根本的な問題で魔法師になる事すら考えていないようだった。今は変に刺激せず、繋がりが出来ただけでも良しとしようと思ったのだ。
そうして、九島烈は連絡先を横島に教えた。
「ありがとな、じいさん。昼飯もおごってもらって、そろそろ時間だから行くな」
「良い」
横島は九島烈に軽くお辞儀をして、プライベートルームを後にする。
九校戦10日目本戦モノリス・コード決勝トーナメント
準決勝、第一高校VS第五高校
草原と森林が混在しているフィールドだ。
十文字は試合開始前に辰巳と横島に頭を下げた。
「すまないが、今回は俺一人で敵を倒す」
辰巳はやはり男気イケメンだ。十文字の肩をポンと叩き一言だけ言う。
「いいぜ、大将は十文字だ」
「ふーーー、また、無茶言われるかと思った」
横島はホッとした表情をしていた。
「で、どうすんだ?大将」
辰巳は作戦について十文字に聞く。
「防御陣を組む、森林が邪魔をして、お互い出方がわからないが、モノリスに固まっていれば、敵からやってくるのは必定だ。俺がモノリスから少し前で待機、辰巳と横島はモノリスの左右に控えてくれ、もし後ろから来ても、俺の方に誘導してくれ」
十文字は、十師族の力を示すために、全員単独で撃破するつもりでいるらしい。
「了解だ」
「了解っす」
ウ―――――――ゥ
試合開始のサイレンが鳴る。
第一高校の自陣のモノリス前方面50mは草原になっており開けている。当初の作戦通りモノリスから前方40m先に十文字、モノリス左右20m圏内に辰巳、横島と待機する。
しばらく、静かな時が流れる。
すると、第五高校の選手が三人一斉に林から飛び出し、十文字目がけ、空気弾、風の刃や炎球などの魔法を放つ。
十文字は身動きせずジッとし、相手の魔法の攻撃を全てを受けたのだが十文字は傷一つ付いていない。
十文字の目の前には分厚い透明な障壁が顕現し、それがすべての魔法を防御した。
十文字家が誇る、絶対防御の魔法『ファランクス』実際には何重もの防御層で成り立っているのだ。
十文字は相手の攻撃を一身に受け、相手が今の攻撃は有効ではないと判断し、次の魔法に切り替え、CADを操作する隙に、ファランクスを展開したまま、猛然とタックルをかます。
ファランクスを前面にしたタックルを喰らった選手は、吹き飛び、そのまま戦闘不能となる。
まるで、大型トラックに吹っ飛ばされた様だ。
そして、他の選手は魔法を次々に十文字に放つが、全てファランクスに阻まれる。十文字はじりじりと間合いを詰め、相手の魔法操作の隙を付きタックルをかます。
そうやって、残りの2人を倒していった。
第五高校の選手は、攻撃のみに特化し、三人で一人一人撃破していく作戦だったのだろう。十文字が辰巳や横島と一人離れているの見て、最初のターゲットにしたのだろうが、相手が悪かった。十師族の一角を担う次期当主が相手なのだ。魔法の能力の差が如実に出た試合であった。
ウウウウ――――――――――ウ
試合終了のサイレンが鳴る。
圧巻な試合であった。
十文字克人は十師族の力を見せつけるという要件を見事にこなし、圧倒的な力の差を見せつけ勝利した。
「……辰巳先輩、俺たちって試合に居る意味あるんすかね?」
横島は辰巳に愚痴をこぼしていた。
「意味はあるさ、スピードを活かし翻弄されたり、モノリスの占拠を主眼とする戦闘になると、一人ではどうにもならないだろう。しかしながら、いつみても圧倒的だな」
男気イケメン辰巳は、チームの必要性を説きながらも、十文字のその圧倒的な力も認めていた。
次回は横島活躍確定回です。