横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

すみません。すべて書ききれませんでした。
なので、後一話あります。


今回は、モノリス・コード終了後の各方面の反応が主体です。
各方面って言っても、仲間と、生徒会と閣下と軍ですが


繋ぎ要素なお話です。


横島、九校戦終了、それぞれの思いに!!

本戦モノリス・コードを優勝し、第一高校は九校戦総合優勝にも輝いた。

 

十文字、辰巳、横島は、試合控室から、第一高校のテントに戻ると、真由美や生徒会、摩利、部活連の幹部に出迎えられ、労いの言葉をそれぞれから受ける。

 

 

 

横島は宿泊所の自室に戻り、シャワーを浴び、帰り支度をしていたが、何時もの面々が部屋を訪ねてきた。

 

「横島さん、優勝おめでとうございます」

「横島、意外とやるわね」

美月は微笑み、エリカは珍しく横島にニッコリとした笑顔を向けていた。

 

「横島やったな!!」

「横島が戦えるなんて知らなかったよ、おめでとう!!」

レオは横島の背中をバシバシ叩く、その横で幹比古が何故か握手を求めていた。

 

「横島さん、おめでとうございます」

「横島、お前らしい試合だったな」

深雪は可憐にほほ笑み、達也は相変わらずの仏頂面だった。

 

「横島さんだったら勝てると思ってた」

「横島さん、本当におめでとうございます」

雫とほのかは嬉しそうに挨拶をする。

 

 

「いやーーーたはははははっ」

横島は照れ隠しで後ろ頭を掻きながら笑う。

 

 

 

レオは横島の首に腕を回し若干意地悪そうな笑顔を向けていた。

「おい、お前、なかなか体が動くじゃないか?俺たちに隠していたのか?」

 

エリカはレオに呼応して、怒ったような態度で横島に迫る。

「そうよ、横島!!あんたなんであんなに速いのよ!!」

 

レオはさらに横島に顔を近づける。

「ん?何を隠してる?……偶然じゃ片づけられねーーよな?何せ、あの数の魔法を無傷で避けてるんだからよ、どうなんだ?」

 

「あは、あははははっ」

横島は困ったような笑いをする。

 

 

「そうだよ、リラックスして戦っていたように見えたし、ああいうのに慣れてるんじゃないか?」

幹比古もレオ達に続く。

 

 

横島は観念して、

「一応、俺も氷室家の人間だから多少はな」

 

 

「氷室家って、もしかして救済の女神の氷室ですか?」

美月は恐る恐る聞き返した。

 

「たはははははっ、なんかそうらしい」

 

 

一番驚いていたのは幹比古だった。

「えーーーーーーーーーー横島が、あの氷室!!」

幹比古は横島の両肩を掴んで、思いっきり揺すっていた。

「救済の女神のぉおおお!!古式魔法とか秘伝とか秘術とかあるんだよね!!今、見せてよ!!」

 

「ゆ…揺らすな、く・・・苦しい幹比古……」

 

 

「幹比古、落ち着け、秘伝や秘術を教えられるわけないだろう」

達也は暴走しだした幹比古の背中をポンと叩き、落ち着かせる。

 

「ごめん、横島」

幹比古はハッと正気に戻り、横島に詫びを入れる。

 

「……救済の女神……」

美月は遠い目をして、顔に両手をあてがい、顔を若干上気させ、クネクネしていた。こっちも違った意味で暴走していた。

どうやら、氷室絹の熱烈なファンの様だ。

 

 

「氷室家の横島さんか……」

雫は改めて、何か思うところがあるようだった。

 

「深雪たちは知っていたの?」

ほのかは深雪たちがあまり驚いていないのを見て聞いた。

 

「ごめんなさい。ブランシュの日本支部を制圧しに行ったときに、生徒会長から聞かされたのだけど、機密事項らしくて、口止めされてたの」

深雪はほのかや雫を見て、そう説明した。

 

「機密事項なんだ!!知らなかった!!」

横島は深雪の説明を聞いて、驚いていた。

 

「なんで、あんたが知らないのよ!!私も、今の今まで忘れてたわ、あんたが氷室の人間だって事……普段のあんたからは想像できないしね」

エリカは呆れながらも、改めて横島が氷室家の人間だという事を再確認し複雑な表情をしていた。

 

 

「いや、別に皆に隠していたわけじゃないんだけど、氷室家の看板に泥を塗る様な事ばっかりしていたし、言いにくかったのは確かだな、ごめん」

横島はそう言って、知らせていなかった。幹比古、美月に謝った。

確かに、横島が起こす騒動は氷室家の看板というより、イメージが崩れるようなものばかりだ。

 

「まあ、氷室家って言っても末端みたいなもんだから、俺。横島だし、今まで通りで、よろしく」

横島はそう言って苦笑いをする。

 

 

「まあ、氷室っていっても、横島だもんな!!」

「横島だし!!」

「横島さんだし!!」

「うん、横島さんには変わりない!!」

レオ、エリカ、雫、ほのかが口々にそう言う。

横島が氷室という事実を新に、または、改めて受け入れてくれたようだ。

 

 

しかし……

「さ……サインくだちゃい、さい!!」

「教えて、いや、ちょっと見せてくれるだけでいいんだ!!古式魔法!!」

美月と幹比古は暴走したままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、第一高校を代表する真由美、摩利、十文字の三人は小会議室に集まっていた。

 

「いろいろあったけど、総合優勝できてほっとしたわ」

真由美は柔らかい表情で二人にそう言った。

 

「まだ病院にいる二年男子と一年の森崎達には、俺から報告しておく」

十文字は、その色々あって、病院送りになった生徒達を気遣っていた。

 

「しかし、今回いろんな意味で一番やらかしてくれたのは、奴だな」

摩利は溜息を吐きながらそう言う。もちろん横島の事を指していた。

 

 

「まあ、確かにね。軍に捕まってしまうなんて。でも、あれは横島くんがすべて悪いわけではないのだけど」

真由美は横島が、初日から7日目にかけ、軍に不当に拘束された事を言っていた。

 

「それと、わたしが、こうしてピンピンしていられるのも横島が回復魔法を施してくれたおかげだしな」

摩利は横島にバトル・ボードの事故で追った重傷を回復してもらっていた。

 

「後は今日の試合だな、あいつのおかげで、優勝が出来たと言っても過言ではない。第三高校の先手の目つぶしを喰らったのは、俺の油断だった。あれを挽回出来たのは、横島のおかげだな、服部ではああは行くまい。あれ程のピンチの中、冷静に試合を運び、勝利に導いていた。あいつはピンチに慣れている。いや経験が豊富なのかもしれん」

十文字はいかつい顔で淡々と話す。

 

「横島くんが、あそこまで出来るなんて、正直言って予想外だわ」

真由美は先ほどの試合の横島の活躍についてそう言う。

 

「ああ。しかし、奴の身体能力が高いのは分かっていたのだが、こう、まざまざと見せられるとな。やはり、氷室家の人間だということなのか」

摩利は風紀委員の活動中や横島を追いかけ回していた時に、たまに見せる身体能力について思い出していた。

 

「先ほどの試合は大方伝え聞いていたのだが、そこまでか」

十文字は先ほどの横島の活躍を直に見ていない、試合終了後に本人の報告と周りから聞いていた内容のみであった。

 

「ああ、第三高校の魔法師の断続的な攻撃を一人でかわしていた。避け方は不格好だったがな」

摩利は横島のかわし方を思い出しながら、苦笑する。

 

「あの、追い付いた時にスピードもかなり出ていたわ。その走り方は変だったのだけど……相手の攻撃を回避するのも、あのスピードも何らかの魔法なのかしら?」

真由美も横島が第三高校の選手を猛追している姿を思い出していた。

 

「ん、なんにしろ、横島が戦力になることが分かった。奴は戦術レベルでは高等な事をサラッとやってのける頭を持っている。度胸もいい。奴は今ある自分の状況下で最大限のパフォーマンスを常に出せるという事だ。奴自身の身体能力が多少いいのはおまけの様なものだ……下手をすると将来、奴の指揮の下で戦いに赴く日が来るかもしれん」

十文字の中での横島の評価はうなぎ上りの様だ。

 

 

真由美も摩利も、多少横島の評価を変えなければならなかったが、十文字程ではなかった。

横島の評価は女性にはどうしても普段の横島の態度がマイナスに働くため、高評価を得られない。

 

 

 

 

 

 

宿泊施設のVIPルーム

 

九島烈と独立魔装大隊、風間少佐が対談をしていた。

 

「司波達也の事だが、彼は強力すぎる。私なら良いように差配できる。」

九島烈はこう切り出した。

 

「閣下もご存じなのでしょうが、彼は今、我々の隊に所属しており、戦略級魔法師、大黒竜也を名乗っております。彼の力は彼個人で抱え込むには責任が重すぎる。その負担を我々で共有して今に至っている次第です」

 

「十師族内のバランス、いや日本内部の軍事バランスを大きく揺さぶる存在だ。片方だけに力を持たせると、いざという時には、機能しなくなることもある。四葉(十師族)に力が偏りすぎている」

九島烈は達也と深雪が四葉家本家の血筋である事を知っている。四葉の現元首、四葉真夜は九島烈の弟子でもあるからだ。無論、四葉家の力も十分知っていた。

 

「彼は、四葉から借り受けている様なものです。私の一存ではどうにもなりません」

 

「うむ、なんともしがたいな……。少佐、手綱はしっかり握っていたまえ」

九島烈は苦笑しながらそう言う。

 

「はっ」

 

 

「閣下、此方からも質問をよろしいでしょうか?」

今度は風間少佐から話を切り出した。

 

「良い」

 

「氷室家の横島という少年の事ですが、彼は何者ですか?」

 

「何者とはどういう意味かね?」

 

「彼の存在で我々は混乱しております。神出鬼没で行動に一貫性が全くない。しかも、知恵もかなり回るようで、我々を出し抜くほどに……」

九校戦の開会式の騒動から、軍で拘束、監視をしていたが、彼には効果がなく、いつでも出られる事、さらには、ノー・ヘッド・ドラゴン壊滅作戦でも現れ、邪魔した事だ。やはり、ここでも彼に出し抜かれている。この事については、公には彼は関わっていない事になったが、独立魔装大隊は彼が関わっていたと今も疑っている。

そして、横島が出場している試合を見て、それがほぼ確信に変わる。

 

「彼の何の事を言っているのかわからないが、彼は素晴らしい素質を持った少年だ」

九島烈は、風間が言っている事を理解しつつ、とぼけていた。

実際、横島から、ノー・ヘッド・ドラゴンの事の顛末を聞いていたのだ。

 

「閣下は、横島くんと親しげですが、お知合いでしょうか?」

風間少佐も、九島烈がとぼけているのを知りつつ質問を続ける。

 

「いや、彼とはここで会ったのが初めてだが、シンパシーとでも言うのだろうか、彼とは非常に馬が合う。今後は茶飲み友達になってもらおうと思ってな。彼からすれば、じじいのお節介に付き合わされるだけかもしれんが」

九島烈は最後までとぼけるつもりでいるようだ。話した中身は半分は合っているのだから、信憑性は高くなる。

 

「そうですか」

 

「少佐、一応、釘をさしておく。彼は氷室家の人間である。彼には手出し無用だ。少佐の時代では実感はわかないかもしれんが、私が先日話した通りだ。氷室には手を出すべきではない」

九島烈は40年ほど前の軍の暴走で氷室家を襲撃した時の話を、横島と風間少佐と響子に話したのだ。それを元に、横島に手を出すなと釘を刺し、警告をしたのだ。

 

「承知しました」

 

 

 

 

 

 

 

風間少佐は九島烈には了承をしたのだが、後日、達也と響子を呼び出し、横島の監視をするよう命令を出したのだった。

 

 

 

 

 




次回が本当の終了です。

次回は閉会式。一つだけギャグを入れてます。
結構有名な奴です。

次回は今日の投稿予定です。

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