横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

ようやく、九校戦編終わりです。

皆さまおつきあい頂きありがとうございました。



まだ、横浜騒乱編に付いては検討中のため、更新スピードはしばらく落ちます。
その間、夏休み編をちょろっとと、最後の氷室絹編を更新します。



横島、閉会式でダンスを踊る!!

九校戦閉会式

 

開会式同様盛大に執り行われるのだが、閉会式では毎年恒例イベントがある。生徒同士の交流目的という名目で、クラシック音楽に合わせダンスを踊る。まさに、昔の西欧貴族のパーティーの様相をきたしている。

 

この機に、男子はお目当ての女子にダンスを踊ってもらえるようアピールをする。

女子も同じなのだが、男子からダンスを誘わないといけない暗黙のルールが存在するため、アピールを露骨にしなければならない。

 

 

横島もこの閉会式にはしぶしぶ参加している。

横島は最初は辞退するつもりだった。九島烈の演説、説明で多少理解は及んだとはいえ、卑怯者のレッテルはそうそう外れるものではない事を横島は過去の経験から知っているからだ。

しかし、真由美や摩利が、モノリスコードの優勝者なのだからちゃんと出る様にと、さらに雫、ほのかが半ば強制的に出るように促したのだ。

 

 

会場の壁際で達也と横島は並んで、閉会式パーティーの様子を眺めていた。

「達也、なんか視線が痛いんだが……」

 

「……当たり前だ、お前は悪い意味での注目の的だからな」

 

「はあ、やっぱ、来るんじゃなかった。こんなんじゃナンパも出来んし……」

 

 

 

すると、第三高校の制服を着た身長差のある二人が近づいてきた。

クリムゾンプリンス一条将輝とカーディナルジョージ吉祥寺真紅郎だ。

 

「あっ爽やかイケメン!!」

横島がそう反応した。

 

そんな事を気にせず一条将輝は達也に近づき、鋭い目つきで目を合わせる

「司波……次は負けない」

 

「ああ、こちらもな」

達也はそれに答えた。

 

 

吉祥寺真紅郎は横島を見上げ。

「あなたが横島忠夫でいい?」

 

「ん?なんだちびっ子」

 

「し……失礼な。君には見事にやられたよ。次は事前準備を密にして、どんな状態でも対応できる作戦を立てる。次は負けないよ」

横島に対し人差し指を立てそう言った。

どうやら今日の第三高校の決勝戦。目つぶしからのモノリス強襲は吉祥寺真紅郎が立てた作戦だったらしい。

 

「ん?何のこと?」

 

「しらばっくれるつもり?まあいい、君が第一高校のブレーンだという事は分かっているから」

盛大に勘違いしている様だが吉祥寺真紅郎はそう言って、一条将輝の後ろに戻った。

 

 

 

そこに深雪がやってきて、

「お兄様、また、このような場所で…あちらにいらして下さい。横島さんもですよ。」

達也の手を取り、会場の中頃を指した。

 

 

「司波さん」

深雪を見てさっきとは違い表情が柔らかくなる一条である。

 

「あら、一条さんもいらしてたんですね。お邪魔でしたか?」

 

 

「邪魔だなんて……え?お兄様って、兄妹?」

一条将輝は深雪と達也を交互に見て、困惑の声を上げる。

 

「そうだ。似てなくて悪かったな」

達也は一条の意図を汲みそう言った。

 

 

 

すると、会場にはクラシック音楽が流れだす。

会場の中央のテーブルが掃かれ、ダンスが出来る空間が作られていた。

 

 

「深雪、折角だから、一条と踊ってきたらどうだ?」

達也は深雪にそう言った。

 

それに驚いて反応したのは一条だった。達也の顔を確認してから……深雪を見ていた。

一条は若干顔を赤らめていた。

 

「では、一条さん」

深雪はそんな一条に声を掛ける。

 

一条将輝は上ずった心を一度落ち着かせ、

「司波さん、僕と踊ってください」

そう言って、片膝を付き、王子様がお姫様を誘うようなしぐさをする。

自然とそのしぐさはなじんで見えた。

 

「まあ、一条さんたら、よろしくお願いしますね」

そう言って、一条に深雪は答え、手を取り、二人は中央のダンス広場に行く。

 

 

それを見た横島は嘆きの叫びをあげる。

「なんだあのイケメン!!爽やかに、女の子を誘って!!羨ましすぎる!!」

 

そして、どこからか出したかわからないが、藁人形を手にし、五寸釘で刺した!!

 

「なんだかとっても、ちくしょーーーー!!イケメン死すべし!!死すべし!!」

そして、会場の柱に藁人形に刺した五寸釘をガンガンと打ち付ける!!

 

 

遠くから深雪の声が聞こえた。

「一条さん大丈夫ですか?」

一条は胸を抑え苦しそうにするのだが、冷や汗をかきながらも笑顔で深雪に大丈夫だと言っていた。

どうやら、横島が釘を刺したのは呪いの藁人形だったようだ。しかも効果は絶大だ!!

 

 

「……おい横島、お前のそれ、どういう理屈かわからんが一条が苦しんでいるからやめておけ」

その様子を見た達也は呆れた顔をしながら、横島を止めに入る。

 

 

 

「お前たち何をしている?…ん?その趣味の悪い人形はなんだ?」

摩利がそんな達也と横島に声を掛けた。

一緒に真由美もいる。

 

「たはははははっ」

笑って誤魔化す横島。

 

 

「優勝の功労者が2人でこんな端っこで、何をしているのかしら」

真由美はいたずらっぽい笑顔で二人に言う。

 

 

そして、摩利は横島の前にスッと手を出す。

 

「??」

横島にはその意図が分からない。

 

 

「あら、美女二人が居るのにダンスも誘っていただけないのかしら」

真由美は首を傾げながら、微笑んでいた。

 

 

「いや俺は……」

「えっ俺っすか?ダンスなんて踊ったことないっすよ」

達也と横島はそれぞれ、拒否しようとしたのだが。

 

 

「私が教えてやる」

そう言って摩利は、横島の腕を強引に引っ張って会場に中央に連れて行く。

 

「え?ちょ?摩利さん?」

 

 

 

可愛らしく頬を膨らませ上目使いで達也の顔を見上げる真由美。

 

「わかりました。では、俺と踊っていただけませんか?」

達也はフウとため息を付いた後、手を前に出し真由美をダンスに誘う。

 

真由美は笑顔に戻り

「喜んで」

そう言った。

 

 

 

 

ダンスを誘われた横島はたどたどしいステップを踏みながら、摩利とクラシックな社交ダンスを踊る。

「ふむ、そうしていると、そんなに顔は悪くないな、まあ、達也くんや一条くんには劣るがな」

 

「ほっといてください。あいつらがイケメンで俺は普通っすから」

 

「そうか?顔はさておき、いい男だと思うぞ」

 

「摩利さん!!……ボクはボクはもう!!」

そういって、ダンスをしながら摩利に飛びかかろうとする横島。

 

「そう言うのはいい!!」

摩利の右ストレートが横島の顔面に入る。横島の扱いは手慣れたものだ。

 

「ふぼっ!!……はい」

 

「まったく……今回はいろいろすまなかったな、そして、私を助けてくれてありがとう」

摩利は珍しく照れたような笑顔を横島に向けてた。

 

 

そして、音楽は一旦停止。

 

摩利は手を振って、横島から離れて行った。

「摩利さん……」

 

 

その横島の裾を後ろから誰かが引っ張っていた。

 

横島が後ろを振り向くと

「ずるい、私も」

雫が横島を見上げてそう言った。

 

「え?ダンス?」

 

「ここでは、それ以外有り得ない」

横島の手を取る雫。

 

そして再び音楽が流れ、ダンスについていくのがやっとの横島と嬉しそうに雫はダンスを踊っていく。

 

 

その後横島は、ほのか、深雪、真由美とそれ以外に、他校の知らない奇特な女子とダンスを踊っていった。

 

 

 

 

 

 

閉会式が終わった後、横島は、宴会場ホールのバックヤード裏口にいる。

宿泊施設で宴会のアルバイトをしている皆を待っているのだ。

 

「横島、なんでここに居るんだ?」

裏口からレオは横島に声を掛ける。

 

レオの次に幹比古、そして、エリカと美月が出てくる。

 

 

「いや、ちょっと待ってた。土産、パーティーからくすねてきたものだけどな」

横島はそう言って大きな風呂敷を掲げて見せる。

横島はパーティーで出された料理を大量にタッパーに詰めていたのだ。

 

「おお、腹減ってたところだ!!」

「横島にしては気が利くじゃない」

「ぼくもお腹がすいていたし、助かるよ」

「ありがとうございます」

 

 

「お疲れ様だ」

横島はそう言って労をねぎらう。

 

 

横島はレオ、エリカ、幹比古、美月でレオ達の部屋で、プチ宴会をこの後開いたのだった。

横島はこうやって、友と過ごせる時間を何よりも心地よく感じていた。

 

 

 

 

 

 




というわけで、九校戦編終わりです。

皆さまありがとうございました。

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