誤字脱字報告ありがとうございます。
何せ文章力が無いため、何時もご迷惑おかけしております。
氷室要(かなめ)ちゃん登場です。
氷室家編続きどうぞ。
横島が氷室家に帰った夜、14代目氷室恭子の提案で本家宅で横島帰省を肴に氷室家家族及び本家の家人を含めた簡易な宴会を開催することになった。
門下生に家人達や蓮が料理や大広間で宴会の準備をしだしていたので、横島は準備の手伝いをしようとしたが丁重に断られた。特に何かをすることもないため、大広間でポツンと座って準備の様子を眺めていた。
夕方に差し掛かった頃。
「ふーん、横島くん帰ってたんだ」
「お兄ちゃん、さっきぶり」
「こんにちは、要ちゃん、彩芽ちゃん」
蓮の娘姉妹が大広間にやって来ていた。
「別に、こんな田舎にわざわざ帰ってこなくてもいいのに」
要はそう言って、横島からプイっと視線を外す。
氷室要(かなめ)地元の中学に通う3年生、今年高校受験を控えている14歳。母親の蓮に似て見た目は落ち着いた雰囲気をしており、顔立ちは美少女というより美人である。一見大人びて見えるのだが、性格はキツイ。その性格が災いして孤立しがちであったが、今はそうでもないらしい。
下氷室神社で手伝いをしていたのか服装は普段着ではあったが、腰まである長い黒髪を後ろで束ねていた。
「えーーーー、お姉ちゃん『横島くんいつ帰ってくるかなー』とか夏休みに入ってからずっと言ってたじゃん」
彩芽は口を尖らせ姉にそう言う。
「そ、そんな事言ってないわ」
「えーーーー、今日だって『早く帰ってこないかなー』て呟いてたじゃん!!」
「ち、違うわ。それは生徒会の用事でメールを送っていて、それが返ってこないからよ」
二人は顔を突き合わせると、要は顔を赤くして彩芽を睨み付け、彩芽は頬を膨らませて要を見据えていた。
「まあまあ、二人共」
横島は仲裁に入ろうとしたのだが、
「あなたは口を挟まないで」
要が横島を睨み付け一喝する。
「あーーー、わかった!!お姉ちゃんそれってツンデレって言うんだよ!!」
そこで彩芽は爆弾発言をしてしまう。何か閃いたという顔をしながら言ってしまった。
「ち、ち、違うわ、何言ってるのかしらこの子は」
そう言って、要は彩芽の両頬を抓って横に伸ばす。
「いひゃい(痛い)いひゃい」
そこに二人の父である。敦信がやってくる。
「二人共何をしているのかね」
彩芽は要の手を振り切って父親の後ろヘくっ付く。
「お父さん、お姉ちゃんがイジメるの!!」
「この子が変な事を言うからよ」
要はそう反論する。
「二人共、お母さん達の手伝いをしてきなさい」
敦信は持っている扇子をカチンと閉じ、そう言ってこの場を収めた。流石は父親である。
「わかったわ」
「はーーい」
2人はそう言って、台所の方に向かう。
「すまないね。横島くん」
敦信は横島の横に座布団を置き座る。
「いえ、たははははっ」
「こうやって娘たちが元気でいられるのも君のお陰だ」
「俺は大した事してませんよ」
「君が家に来てくれて本当に良かった」
敦信は改めて横島に頭を下げていた。
話は3月初旬に戻る。
横島が氷室家に来て1ヶ月が過ぎた頃、氷室家14代目恭子がいる本家宅で過ごしていた。恭子はすんなりと横島を受け入れたのだが
15代目蓮の家族は違っていた。蓮とは頻繁に顔を合わせ徐々に打ち解けていたのだが、二人の姉妹はどちらかと言うと、急に誰とも知らない男の子が家族を名乗って自分の家に土足で入って来た事に、明らかな敵愾心をもって接していた。
この時横島が霊能力者である事は宿す霊気から分かっていたのだが、実力等は把握できていなかった。
その日の真夜中、本家宅に蓮が慌てた様相で来た。
「お母さん!!要が居なくなったの」
恭子は深夜を過ぎていたのだが、胸騒ぎがしていたため起きていた。
「落ち着いて、要ちゃんの霊力の感知は?」
蓮は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「……感じられないの」
恭子は真面目な面持ちをしていた。
「蓮……経緯を話しなさい」
蓮によると、
夕食時には別段変わったところが見えなかった。
真夜中に家の玄関が開く音に気付いて玄関に行くと、扉が開いたままであった。外の周囲を見回しても特に何もなく、周囲に人が居る気配や霊気も感じられなかった。
一応念のために娘たちの部屋を覗いてみて、要が居なくなった事に気が付いたのだ。
要の霊気を捜索するがまるで、感じられなかったとの事だ。
それに近いことが大凡1年前にも起きていたのだが、その時は直ぐに見つかった。
場所は奥院(奥氷室神社)の祭壇の前で倒れていたからだ。
それからは何事もなくこの1年間過ごしてきていた。
蓮は既に奥院の祭壇にも行って確認していた。
下氷室神社には敦信が確認を行っており、既に居ない事が分かっている。
恭子は泣き出しそうな自分の娘(蓮)を見やりながら考えを巡らせていた。
そんな時、横島が顔を出した。
「何かありましたか?」
「あら、忠夫ちゃん起きちゃった?」
恭子はとぼけた声色でそう言った。
「横島さん……要が居なくなったの……お願いします、探してくれませんか?絹様の遺言の方であれば……」
蓮は藁をもすがる思いで横島にそう言ったのだ。
「蓮!忠夫ちゃんはお客人よ!!」
恭子は蓮を叱った。
「要ちゃんが……」
そう言うと横島は目を瞑りその場で抑えていた霊気を解放しだした。
要を探すため精神を集中させ、意識を氷室村全体に向ける。
横島から放出される霊気の大きさに恭子と蓮は驚き、つい横島に向かって構えてしまった。
「居ました!大丈夫。ケガとかもなさそう」
横島は目を開け、恭子と蓮にそう言った。
蓮はホッとしたような顔をしていたが、恭子は驚きの顔をしたままであった。
「忠夫ちゃん……あなたは、やはり」
「おキ…13代目のお墓の前です」
横島は、要が13代目の氷室絹の墓の前に居ると言う。ここから山二つ越えた崖の中腹の横穴にあるのだ。闇に閉ざされた真夜中の山で通常行ける場所ではない。
「なぜ、そのような場所に……」
恭子は考えをまとめようとしていた。
「俺が連れ帰ってきますから待っててください」
恭子と蓮の前で横島は玄関を出て絹の墓のある方角へ走り、暗闇の中へ消えて行った。
氷室家編次で終わり予定です。
今日投稿できるかな?たぶん明日になります。