今回ギャグがほぼないです。
達也と深雪は生徒会室に向かっている。
今日の朝、通学中に生徒会長の七草真由美と出会い。昼休みに生徒会室で一緒に昼食をすることを約束したからだ。
達也と深雪は生徒会室の重々しい木製扉をノックして中に入る。
「いらっしゃい、二人とも」
生徒会長の真由美が達也と深雪に声をかけ、大きな重厚な木製テーブルの空いている席に座るよう勧める。
真由美以外に、達也たちの前に、会計の3年生市原鈴音、風紀委員長の3年生渡辺摩利、書記の2年生中条あずさが座っている。真由美は生徒会長として、上座に座っていた。
「まずは、食事のメニューを決めませんか」
中条あずさが達也達にメニューを差し出す。
生徒会室には自配機が備わっていた。名前の通り、自動で料理を調理、配膳する機械だ。
「精進料理を」
「私も同じもので」
達也と深雪はそう言った。
それを聞いて渡辺摩利が
「だそうだ。横島」
「へーーい」
横島がだるそうな返事と共に奥から出てくる。
深雪は驚いたような表情をする。
「なぜ、横島さんが?」
それに摩利が答える。
「こいつは、ナンパのペナルティーでコキ使っている」
「鬼ー」
「なんか言ったか?」
「何でもないっす」
横島は拗ねたような言い方をして、自配機を操作しだす。
料理が出来るまでに、お互い紹介をし合う。
生徒会のメンバーはこの場にいる真由美を筆頭に、市原鈴音、中条あずさ、そして今はいないが、副会長の2年の服部刑部となっている。
ちなみに、風紀委員は生徒会とは別組織である。
紹介が終わったころ。
「へーい、お待ちー」
横島が、各人にそれぞれの前に、自配機から出てきた料理をプレートに乗せ置いていく。
摩利だけは、自前の弁当だった。
その後、ポットからお茶を入れて行くのだった。
「横島くんごめんね。わたしたちの分も」
真由美が笑顔で横島にお礼を言う。
「真由美さんのためだったら、この不肖横島、いつでもお申し付けください!」
目をキラキラさせながら、ポーズを決める横島。
「横島さんも食事にしてください」
鈴音が横島にそう言った。
「鈴音さんのお優しいお言葉、横島感激です!」
やっぱり、目をキラキラさせて、ポーズをとる横島。
「司波君の横、空いてるから、どうぞ」
あずさが横島に空いている席を指してそう言う。
「あーちゃん先輩ありがとございます!!」
あずさに対しては目をウルウルさせて泣き真似をする横島。
そして、横島は摩利をジトッとみて、後ろを振り返り
「ぺっ!!」
唾を吐く真似をするのだ。
それを見た摩利は目を細め、横島を睨み付ける
「ほーーう、貴様は放課後も奉仕活動をしたいようだな!!」
「摩利さん冗談っすよ。たははははははっ!」
横島は手のひらを返したような態度を取り、乾いた笑いをする。
雑談がてら食事が終了すると。
横島はそれぞれのプレートを回収し、自動洗浄機の中に入れていく。
横島は紅茶を入れ、各人に配っていく。
「横島くんの入れてくれた紅茶おいしいわね」
「そうですね」
「おいしいです」
「意外な才能だな」
真由美、鈴音、あずさ、摩利がそれぞれ横島を褒める。
「お兄様本当においしいです」
「……ああ……」
司波兄弟もそれを認めていた。
「まあ、昔散々こき使われたんで」
真由美は本題を切り出す。
「深雪さん。生徒会に入っていただけませんか?毎年、新入生総代は生徒会役員になっていただいているのです」
しかし、深雪は困った顔をしていた。
そして、深雪は達也こそ、生徒会役員にふさわしいと説いたのだ。
入試の成績は兄の方が上だと。
しかし、鈴音が、2科生の達也が規定で生徒会役員になる事ができない事を伝え。
達也も深雪を説得する。
しぶしぶ、深雪は生徒会役員になる事を了承する。
しかし、風紀委員長の渡辺摩利がここで唐突に言う。
「風紀委員には2科生や1科生の規定はないぞ……まだ、生徒会からの推薦枠は誰も決まっていないはずだぞ」
そこから、達也は真由美と摩利、そして、深雪に風紀委員入る事を猛烈にプッシュされるが、受けることはしない。
昼休みが終わりに近づき、達也はホッとするが……
真由美と摩利が放課後に説得の続きをするらしく、深雪、達也に生徒会室に来るように言った。
達也はしぶしぶ了承した。
この件に一切関係ない、横島も摩利に
「おい、横島、貴様も放課後来い」
「えーーーなぜ?」
「いいから、来い」
「理不尽な!!」
何故か横島も放課後、生徒会室に行く羽目になった。
放課後、生徒会室に向かって歩く、達也、深雪、横島がいる。
「なんで、俺まで」
横島はぶつくさ文句を垂れある。
「お前、渡辺先輩に気に入られてるんじゃないのか?」
達也は平然と言う。
「あほか?あのドSの女王様だぞ!!虐げられているの間違いじゃねーか?」
横島は達也にうんざりした表情で達也に言い返す。
その様子をみてクスクスと笑う深雪である。
一行は生徒会室にノックをし入っていった。
「おう、来たか」
「いらっしゃい」
摩利と真由美が挨拶する。
達也と深雪も挨拶を返す。
摩利は横島にそう言ったが、表情は優しげである。
「横島、お前に奉仕活動を言いつける……また茶でも入れてくれ」
「結局雑用係っすか?」
「そう言うな、お前の茶は結構うまいからな、後で風紀委員会本部にも来い」
横島はしぶしぶと言う感じで部屋の奥に行き、ポットでお湯を沸かし、紅茶のセットを用意しだす。
すでに、慣れ親しんでいる感じがしないでもない。
深雪は真由美とあずさに生徒会について説明を受けるようだ。
摩利は達也に
「早速だが、風紀委員会本部に行こうか、実際何をしているか見てもらった方が分かり易くて速い。丁度この部屋の真下だ。何故か直接階段でつながっている」
そう言いながら、生徒会室の奥へと達也を誘導するが。
そこに昼間いなかった男子生徒が奥から出てきた。
そして、達也を睨みながら
「渡辺先輩。かの1年生を風紀委員に任命するのは反対です」
彼は生徒会副会長の2年生服部刑部との紹介だった。
それを聞いた真由美と摩利は服部を説得させようとするが
服部は尚も反対意見をぶつける。
「風紀委員の本来の任務は校則違反者の摘発と鎮圧です。魔法力の乏しい2科生では、風紀委員は務まりません。この誤った登用は後々、会長や委員長の体面を傷つけるでしょう」
「待ってください、僭越ですが副会長、兄は確かに魔法実技試験の成績は芳しくありません。それは実技テストの評価方法と兄の力が適合していないだけなのです。実践ならば兄は誰にも負けません」
深雪は兄の評価を悪く言われ、居てもたってもいられない様子で、服部に言い返していた。
「司波さん、魔法師は事象をあるがままに、冷静に判断しなければなりません。身内に対する贔屓は一般人ならやむを得ないでしょうが、魔法師を目指すものは身内贔屓に目を曇らせる事のないように心がけなさい」
服部は、そう深雪には優しく諭した。
しかし、深雪には逆効果の様だった。やはり、兄についてはどうも感情的になりやすい様だ。
「私は目を曇らせたりしておりません。お兄様の本当の力を持ってすれば……」
深雪がそう言い掛けたところで、達也は深雪を手で制した。
達也は意外な事を服部に提案した。
「服部先輩、模擬戦をしませんか?」
予想だにしなかったその提案に、真由美も摩利も呆気に取られていた。
「思いあがるなよ。補欠の分際で」
服部は身を震わせながら、怒鳴り上げる。
遠くにいたあずさや鈴音はそれに気づき、彼らに注目する。
横島は最初っからその様子を何気なしに見ていた。
「あるがままの対人戦闘スキルは戦ってみないと分からないと思いますが……深雪の目が曇ってない事を証明しましょう」
達也は淡々とそう服部に言うが、どうもこの兄も、妹の事になると、血が上るらしい。
「いいだろう。身の程を弁える必要性を教えてやる」
服部はそう達也に凄む。
真由美はそこですかさず宣言する。
「私は生徒会長権限で、2年B組服部刑部と1年E組司波達也の模擬戦を認めます」
摩利も宣言した。
「風紀委員として、この模擬戦を課外活動であると認める」
そして、30分後 服部副会長と司波達也の模擬戦が演習場で始まるのであった。
横島はと言うと、こいつ等、なんで戦うのが好きなの?なんて思っていたのだが……
横島のギャグ入れたいなー