誤字脱字報告ありがとうございます。
花音の性格を飛躍させすぎたかもしれません。
めちゃつなぎ要素が高いお話です。次回のお話の前座っぽい感じです。
放課後の風紀委員会本部
「それでは、出動よ!」
新風紀委員長千代田花音の号令により、各風紀委員は校内巡回に向かう。
花音自身ようやく板についてきたようだ。
「横島くーん」
花音は引きつった笑顔をしながら、猫なで声で手招きし、風紀委員長のデスクまで横島を呼ぶ。
「花音さん、なんすか?その気持ち悪い呼び方は……昨日まで、呼び捨てだったじゃないっすか?」
横島はデスクまで行くと、その花音をうさん臭そうに見やる。
「気持ち悪いって何よ!!……コホン!」
花音は何時もの調子で言い返そうとするが途中でやめる。
そして、デスクの前に立つ横島にさらに手招きする。
横島は上半身をかがめ、花音は横島の耳元近くまで顔を寄せる。
「その、横島……くんは、……氷室家の、人なのよね」
花音の口調は何時も横島に接する態度ではなく、微妙によそよそしい感じになっている。
「花音さんまでなんすか?まあ、一応そうっすけど、末端すよ?気にするようなもんじゃないっすよ」
「……なーーーんだ。そうよね!!横島だもんね!!十文字先輩とかがやたら君を持ち上げるからビビっちゃった!!もう、脅かさないでよね、あはははははっ!!」
花音は何時もの口調に戻り、一人で何かに納得して横島の背中をバンバン叩く。
全く持って単純な思考の持ち主である。
「何なんすか?また、なんかやらかして先輩らに怒られたんすか?まったくこの残念美人!!」
横島は花音と出会い3週間が過ぎようとしていたが、花音の行動やら言動から、美人だけど残念度が高い人だという評価に至り。エリカと同じような扱いをしているも、お色気度が低く、許嫁持ちであるため、さらに扱いが雑(ほぼ女性あつかいされていない)になっている。
横島に妹や年下扱い以外で、こういうポジションの女性は稀である。逆にいうと、色眼鏡無しで付き合える女性であるともいえる。
「誰が残念よ!!」
そういって、横島の背中を思いっきり叩く。
「はぁ……で用事はなんすか?」
「まったくっ!!……本題に入るわ。これわかる?」
花音はデスクから一枚の細長い紙、古式魔法や陰陽術で使用される札を横島に見せる。
「古式魔法の術儀に使用するお札っすね。しょぼそうですけど」
「さすが氷室ってとこからしら、話が早くていいわ。この札を使って、校内の模擬戦や術儀に使用して暴走事故が多発しているのよ。威力は大したことないからいいのだけどね。使用した生徒に確認すると、どうも、正規のルートではない所から格安で購入したものらしいの。一応先生方からも、粗悪品注意という事と正規店以外での購入は避ける事が近日に通達されるはず。
一応、風紀委員の方にも、取り締まりの対象にしてくれって学校からも依頼がきているのだけど、
正直、私じゃさっぱりわからないし、そこで、あんたなのよ!古式魔法なんて、風紀委員や生徒会で古式魔法の使い手っていないから、どうしようか迷っていたんだけど、昨日、先輩方から、横島が氷室家の人間だって聞いて、まあ、驚いたけど……下っ端ポイあんたでも一応氷室家なら古式魔法にも詳しいかなって思ったわけよ」
花音はどうだと言わんばかりのドヤ顔で横島に言った。
「で、俺は何をしたらいいんすか」
「あんたはしばらく、その粗悪品取り締まりをメインにやってちょうだい」
正直言って、花音の対応はかなり大雑把だ。完全に横島にこの件を任せるつもりでいるのだ。
「はぁ?何言ってるんすか?そんなん持ち物検査しないと分からないっすよ。それこそ花音さんの仕事でしょう」
そんな花音の対応を見透かし、ため息をつきながら言葉を返す。
「えーーーっ、私ってほら、啓の、論文コンペ参加者の護衛っていう仕事があって忙しいしー、横島がやってよ!!」
「持ち物検査とかは、委員長が申請とかしないといけないんでしょ?生徒会やら先生方やらにも通達しないといけないし」
「えーーーっ、じゃあ、持ち物検査なしでやってよ!……あっ私そろそろ行かないと!後はまかせたわよ!!」
そう言って花音はガタンと椅子から立ち上がり、いそいそと扉に向かい。
「……仕事から逃げたわけじゃないからね、今から護衛の仕事だから!!」
そう言って扉をバタンと閉め、逃げる様に本部から出て行った。
確かに、五十里啓の護衛は花音の仕事なのだが……どうも、花音はデスクワークが苦手の様だ。この前も達也に散々注意されていたようなのだ。
「はぁー、誰だあの人を委員長にしたのは?」
横島は花音が出て行った後を見て独り言ちる。
横島は取り合えず粗悪品を売っている奴を突き止めることにしたのだが、横島自身自分で作成できるため売った事は在っても、札を購入したことが無い。普通はどこで買うのかなどは知らないし、正規販売店があること自体知らなかったのだ。
その辺の事を知ってそうな幹比古にレクチャーしてもらおうと、放課後幹比古がよくいるという実習室を訪ねることにした。
花音ファンの方々すみません。
性格をさらに大雑把の上、テキトー人間にしちゃいました。
次は、あの人登場と、あの人たちも再登場の予定。