横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


すんません><やってしまいました><
前後編に分かれたギャグ回です。後編は下ネタ回です。


横島、変だよ横島!!前

 

休み明けの月曜日の朝。魔法大学付属第一高校1年E組は異様な雰囲気に包まれていた。

 

第一高校では魔法の能力応じ、一科生と二科生と振り分けられる。

魔法こそすべてであるという思想に染まった人間が多く集まるこの学校では、二科生は劣等生として蔑まされてきたのだ。二科生のクラスは諦めや卑屈感に苛まれ、重い空気が支配するのだ。

 

1年E組はその劣等生(二科生)のクラスだった。

 

だが、1年E組は、普段から騒がしく、ある時は雄たけび、時には大音量での泣き声、そして、呆れた声と女子の怒声に、ある特定の男子の悲鳴が飛びかい二科生特有の卑屈感や諦めムードなど微塵も感じさせない明るいクラスなのだ。

ほぼ特定の男子の仕業なのだが……

 

しかし、今日に限っては違っていた。

 

 

 

「はぁ」

バンダナをした少年は自分の席に座り何か考え事をしながらため息をついていた。

 

 

「おい、なんか溜息を付いているぞ……」

「有り得ない……今日槍でも振るんじゃない?」

「どうしたんでしょう?」

「あっ、なんか頭抱えだしたよ」

「…………」

 

少年の悩んでいる様を見て……友人たちは近くでコソコソと話しながら、驚きと困惑を隠せないでいた。

しかし、この年頃の少年少女は青春真っ盛りである。悩みの一つや二つ抱えて当り前なのだが……

 

この少年に限ってはクラス全員が思う事は一緒だった。

「絶対おかしい!!」

 

 

この少年横島忠夫は悩んでいた。

先日の土曜日。

クラスメイトや実家の妹分たちとある重大事件に巻き込まれたのだが、その事で悩んでいる訳ではない。その帰り際に、仲のいい同級生の女の子を怒らせて、泣かせてしまったのである。

 

横島にはどうして怒らせて泣かせてしまったのかが全く見当もつかず、どう謝ったらいいのか?何に謝ったらいいのか?それすらもわからず途方に暮れていたのだった。

 

 

しかしクラスメイトからは、横島の普段のとんでもない行動やら、ざっくばらんな性格に、悩みから一番縁遠い人間だと思われているのだ。

 

 

先ほどから横島のすぐ近くでコソコソと話し合っている横島の友人一団。

 

横島の友人の一人、快活そうな美少女千葉エリカは

「ちょっと横島に刺激をあたえてくる。これで何時もの横島に戻るはずよ」

そう仲間に告げて自信満々に横島の席に行くのであった。

 

 

絶賛悩み中の横島に向かってエリカは

「横島、今度温水プール一緒に行かない?新しい水着買ったのよ。今度はビ・キ・ニ」

そう言って、横島が喜んで飛びつきそうな色っぽいポーズをとる。

しかし、横島の反応はエリカが予想したものと違っていた。

 

「エリカか……、エリカに聞いてもな………」

横島はエリカの言葉を聞いてもいないかの様な反応だった。しかも後半は何やらブツブツと言っていた。

 

エリカは横島のその反応に驚き、脱兎のごとく、仲間のいる所に戻る。

「ちょ…ちょっと、アレ本当に横島なの?水着とかプールとかビキニで反応しないなんて……ぜーーったい、おかしいわよ」

エリカがコソコソと横島の反応を仲間に報告する。

仲間はそれにうんうんと頷いていた。

 

横島は自称健全男子と称すオープンスケベなのだ。

普段の横島だったら「まじ!!絶対行く!!ごっちっあああんです!!」なんてことを言うはずなのである。

 

「じゃあ、次は俺が行く」

そう言って、横島の友人の一人、ガタイのいいイケメン少年、西城レオンハルトが横島に近づく。

 

「横島、らしくないな~なんか悩み事でもあるのか?」

レオはストレートど真ん中で攻める。

 

「レオか……じゃあ聞くが、女の子が怒ったり泣いたりするのってどんな時だ?」

横島は顔をレオに向け質問した。

 

「そりゃあ……腹減った時じゃねーか?」

レオは少し悩んだ末にこんなダメすぎる答えを出した。

 

「お前に聞いた俺がバカだった」

横島はそう言って、溜息を付き、再び顔を正面に向ける。

 

 

「……」

レオは沈黙のまま仲間の元へ戻る。

 

「あんたバカなの?腹減った時ってなに?」

エリカは戻って来たレオに容赦なくダメ出しをする。

 

「でも、横島さんが何に悩んでいるかは少しわかったかもしれないよね」

横島の友人の一人、眼鏡の大人しそうな巨乳少女柴田美月はそう言った。

 

「確かに……誰か女の子を泣かしたり怒らせたりしたのかな?」

横島の友人の一人、草食系イケメン、吉田幹比古が美月の言に同意して横島の言葉を精査する。

 

「……横島はスケベでバカだが、故意に女子を泣かせたりはしないだろう」

横島の友人の一人、万能イケメン少年、司波達也は抑揚のない口調で、幹比古の言を否定する。

 

「うーん。美月と幹は週末横島と一緒に居たんでしょ?なんかあった?」

エリカは美月と幹に聞く。

 

「色々あったけど、悩むようなことは無かったと思うけど」

幹比古はそう言って、土曜日に事件に巻き込まれた時の事をその場にいない仲間に大まかに話した。

 

「マジかよ。その氷室の嬢ちゃんそんなに強いのかよ!!」

レオは幹比古の話を聞いて、そちらの方も気になったようだ。

 

「うん、妹の方も僕より強いかもしれないんだ。姉の方はあれだねA級のプロでも最上級だね」

幹比古はレオの質問に少し興奮気味に答えた。

 

「……氷室家って凄まじいわね。横島が普段あんなんでも強いって、わかる気がするわね」

エリカも驚いていたがどこか納得していた。

 

「話を戻すけど……横島さんと帰る時まで一緒だったんだけど、悩みを抱えている様な素振りもなかったんです」

美月は脱線しだした話を戻し、その時の横島の様子を思い出し話す。

 

 

「「「「うーーーん」」」」

 

答えが出ずに取り合えず様子を見ることにした何時もの面々。

 

 

 

授業中や昼休みも上の空の横島。

体育の時間にボールが頭に直撃しようが、食堂で頭からお湯を被ろうが反応が無いのだ。

 

 

 

そして放課後、何時ものメンバーは全員で話し合った結果、今日はそっとしておこうという事になった。明日もあの状態ならば無理矢理聞き出すつもりでいた。

 

 

横島は放課後いつも通り風紀委員会本部に行く。

横島はこう見えても学内に10人しかいない風紀委員の一人なのである。

 

横島は風紀委員長である千代田花音から無理矢理押し付けられた仕事、粗悪札が学内で横行している事件について、解決に至りその報告書を提出したのだ。

それは先週の土曜日にYクラフトコーポレーションで起きた事件の顛末でもある。

 

風紀委員長のデスクに座って報告書を手にした花音は読むにつれて、手がプルプルと震えだす。

 

「ここここ……これは、どど、どういう事かしら?」

花音は冷や汗をかきながら、デスクの前でこの報告書を出した横島に問う。本人はボーっとしていて心あらずの状態だ。

 

「はぁ、報告の通りです」

 

「ビ……ビルを半壊!?」

 

「はぁ」

 

「こここ、国家犯罪者を摘発捕縛!?」

 

「はぁ」

 

「ななななな、なんでそこに九島閣下がでるのよ」

 

「はぁ、なりゆきで」

 

花音はその報告の内容が余りにもことが大きくなっており、頭の中で整理が追い付いていない。

簡単に言うと、粗悪札を扱っていたのが、国家犯罪者で、それを大立ち回りでビルを半壊させながら捕縛して、九島烈麾下の者が事態を収束させたのだ。

 

「………」

花音は頭を抱える。頭の中でそれらを整理している様だ。

 

「……では、巡回行ってきます……」

横島はフラフラと風紀委員会本部から出て行こうとする。

 

「ちょ……まちなさいって!!横島ーーーーー!!これどうすんのよーーーーー!!」

慌てて横島を止めようと叫ぶ花音。

 

しかし、横島はそんな花音の悲痛な叫びなど耳に入っていないかのように、出て行くのである。

 

 

 





悩む少年横島ということで、後半があります。

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