横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

雫ちゃん編です。

ちょっと青春しちゃってる横島!!です。


横島、雫の思いに戸惑う!!

「ほのか……どうしよう、わたし横島さんに酷い事した」

 

親友のほのかが一人暮らしをしているマンションに訪れ、ほのかの顔を見ての第一声がこれだった。

目には涙がたまり、声は少し震えていた。

Yクラフトコーポレーション事件の翌日の日曜日だった。

 

雫はあの日、横島に感情を爆発させ、家に帰った後自室に引きこもり、一晩中泣いていたのだ。

しかし、自分がなんであんなことを言ってしまったのか、横島が悪いわけではない事は明白なハズなのに。そして、なんでこんなに悲しくて、苦しいのか、よくわからなかった。

 

 

ほのかは雫を部屋に入れ、落ち着くのを待ち話を聞き出す。

 

「酷い事って、雫……何があったの?」

ほのかは諭すように雫に聞く。

 

「昨日……」

雫はそうやってほのかに昨日起きた事をぽつりぽつりと話し出した。

横島と幹比古、美月と行動していた事。

途中で、氷室姉妹と会い合流した事。

その時、なぜか氷室姉妹を羨ましく思った事。

Yクラフトコーポレーションで戦闘に巻き込まれた事。そして、自分が何もでず、横島に助けられた事。

横島が要に優しげに話しているのを見ると、苦しくなった事。

そんな横島と要を見て…氷室に帰ってしまうのではないかと……それは自分が弱いせいだと。だから強くならなければと思った事。

悲しくて、苦しくて、悔しくて、しょうがなかった事。

そして、横島に酷いことを言ってしまった事。

 

時間はかかったがゆっくりと、雫は昨日の事と自分の思いをほのかに話した。

 

 

「雫は横島さんの事どう思っているの?」

 

「一緒に居ると嬉しい」

雫の一瞬表情は明るくなる。

 

「昨日の横島さんは?」

 

あの子()と一緒に居る横島さんは嫌」

雫は下向き加減になり、声が小さくなり表情が曇る。

 

 

「……雫は横島さんの事、大好きなんだね……横島さんに恋をしている」

 

「私は……横島さんが……好き?恋をしている?」

雫は徐々に顔を赤くする。ほのかの言葉で漸く自分が横島の事が好きなのだと、ずっと一緒に居たい存在だと今理解したのだ。

 

今まで横島の横、正確には斜め後ろのポジションは雫の物だった。

それを雫は当たり前の様に思い。横島と出会ってこの数か月、誰にも邪魔をされずその心地よいポジションになんとなく収まり過ごしてきたのだ。

その間横島に好意を寄せ、雫のポジションを奪う脅威となる存在は皆無だった。

雫は誰よりも横島に近く、理解していると勝手に思っていたのだ。

一般的に横島は女子から嫌われていたのだから、逆に雫が圧倒的に少数派であるため当たり前なのだが……雫の前で恋愛を意識するような相手はいままでいなかったのだ。

 

それが雫の前に突然、見も知らずの女の子、しかも横島と関係の深い人間で、明らかに横島に好意を寄せる存在が現れる。

その女の子は自分にないものを多く持っていた。

 

見た目の女らしさ。

戦闘における圧倒的な強さ。

そして、横島から受ける信頼感。

 

それを目の前でまざまざと見せつけられた雫は、横島との関係が全て奪われると錯覚し、横島にあのような事を言ってしまったのだ。

 

自分が今までいた場所を要に奪われると思ったのだ。しかし、実際にはそんな場所など元々無かった。

 

 

「私は横島さんが好き!ずっと一緒に居たい!!……でも、今の私はあの子の足元にも及ばない」

雫は宣言するように、横島の事を好きだと言ったのだが、後半は要の事が頭にちらつき意気消沈する。

 

ほのかはそんな雫に

「私も横島さんが好きよ……」

 

雫はハッとした顔をしてから、悲しそうな表情でほのかを見る

 

「私がそう言ったら雫は横島さんの事諦められる?」

 

雫は静かに首を横に振る。

 

「私は横島さんの事好きだけど、なんていうかお兄ちゃんみたいな感じかな、でも雫は違うんでしょ?」

 

雫は力強く頷く。

「うん、私も最初はそんな感じだと思っていた。でも、違った。お父さんやお母さんと航(弟)とも違う。上手く言えないけど大好き」

 

ほのかはそんな雫に優しく微笑みかける。

「うん、頑張らないとね。その子に横島さんを取られないようにしなくっちゃ」

 

「あの子より強くならないといけない!」

雫は声を大にして言う。

 

「うーーん、それはちょっと違うかな?まあ、雫がそれでいいなら、でも、横島さんって意外と鈍感だからね。雫の思いを直接伝えないと……」

ほのかは雫の答えに戸惑ったが、せっかく元気になったところに水を差すわけにもいかず、完全否定はできなかった。

 

「うん。ほのかありがとう。でもそれはフェアじゃない気がする。私、あの子より強くなって、横島さんの横に相応しくなったと思ったら横島さんに告白する」

雫はほのかの家に来た時は一晩中泣いて、目も腫れ隈も出来、酷い顔になっていたが、今は晴れ晴れとした顔になっていた。

 

「じゃあ、早速明日学校で横島さんに会って、まずは昨日の事謝らないとね。まずはそこから」

ほのかは雫に最初に行わなければならない事を伝える。

 

「横島さんにどうやって謝ろう……」

雫はまた新たな悩みが出てきた。今までだと、直ぐに謝罪の言葉が出たのだが、改めて横島が好きだと分かったため、どうも言いにくい様なのだ。

 

「取り合えず、横島さんに会えば何とかなるよ」

ほのかはそうやって雫を励ます。

 

「うん、頑張る」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、週明け月曜日の放課後、横島は空き教室で真由美と摩利に悩みを打ち明けた後、その教室でしばらく一人で考えをまとめていた。

 

(取り合えず、雫ちゃんに謝らないとな……まずはそこからか)

 

ガシャーン

空き教室の扉が勢いよく開いた!!

 

「横島さん!!聞いて!!」

 

「し……雫ちゃん!?」

横島は考え事をしている最中、その相手である雫が急に現れたため面食らう。

 

「私は強くなりたい!!」

 

「へ?」

 

「私は強くならないと横島さんと一緒に居れない!!強くならないと、(あの子に)とられちゃう!!だから!!」

雫は勢いよく横島にこんなことを言う。普段の雫には考えられないくらい大きな声で訴えた。

 

「どどど、どういう事?」

そんな雫の必死の形相に戸惑う横島。

 

「私は横島さんより強い人を知らない!!だから強くなる方法を教えてほしい!!」

 

「強くって……雫ちゃんは十分強いよ」

 

「そんな事ない!!強くなりたいの!!」

そう言って、雫は横島にその華奢な体ごと体当たりする勢いで抱き着いた。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと雫ちゃん?どうしたの?」

 

「ずっとこうしたいから、だから強くなりたい……横島さんに教えてほしい」

雫は顔を赤らめながらも止まらない。必死に横島に訴え続ける。

 

「……この前の戦闘の事、気にしているの?」

横島は少し考えてから、雫に優しく尋ねる。

 

雫は首を横に振り。

「戦いだけじゃない、私自身強くなりたい……(あの子に負けないように、横島さんの横に居られるように)」

 

「俺、雫ちゃんを知らず知らずの内に傷つけたのかな……よくわからなくて、ごめん」

今まで見た事もない必死の形相で訴える雫の姿を見て、横島は先日の雫が怒鳴って、泣いていた事を思い出し、やはり、自分が余計な事をしてしまったのではないかとの思いにいたり、謝った。

 

「横島さんは悪くない。私が勝手に騒いで泣いたの、だから悪いのは私、だから謝るのも私……酷い事言ってごめんなさい」

抱き着いたまま上目使いでそう言って、横島の胸に顔を埋めて謝る雫。

 

 

「落ち着いて、雫ちゃん。俺は魔法はあまりうまくないし、魔法の力を高めるのだったら、達也の方がいい。あいつは魔法を扱う能力は低いかもしれないが、知識は一級品、戦闘や魔法を使うセンスは抜群だ」

横島は雫の肩を持ち、雫を少し離して話す。

 

「私は、横島さんがいいの。魔法だけではダメな気がする。色々教えてほしいの」

雫は顔を赤らめながら、上目遣いで必死に訴え続ける。

 

横島が、そんな必死な雫の願いを無下に出来るはずがない。

「……俺でよかったら。雫ちゃんが言っている強さって何なのかは分からないけど……丁度、幹比古と美月ちゃんの霊視の訓練にしばらく付き合う事にしているんだ。その時に一緒でいい?」

 

「うん……横島さんの都合に合わせる。でも、横島さんの時間がある時に私一人でもお願い」

 

「わかった」

 

「今日、横島さん風紀委員終わった後一緒に帰っていい?待ってるから……」

雫は顔を赤らめながら感情が読み取れる位嬉しそうな表情をしてそう言って……

 

「また、後で」

雫は、教室を出て行った。

 

 

「ふーーー、これでよかったのか?まあ、雫ちゃんが元気になってくれるんだったら」

横島は雫が出て行った後の扉を見つめて溜息を付き、雫が元気になった様子はいいのだが、雫の心情が良くわからず仕舞いで、この解決方法でよかったのか疑問に思いながら、一人ごちる。

 

 

 

 

 

雫は教室を出て行き、外で待機していたほのかに嬉しそうに頷き共に教室を離れて行く。

どうやら、ほのかは雫と横島の会話を外で聞いていた様だ。

 

しかし、聞いていたのはほのかだけではなかった。

 

横島の悩み相談をした先輩女子も教室の前にいたのだ。

慌ただしく、教室に入っていく雫を見て、こっそり外で横島たちの話を聞いていたのだ。

 

「北山さんやるわね」

真由美は感心した様に言う。

 

「いや、横島の奴、分かってなさそうだぞ」

摩利は横島の態度に眉を顰めそう言う。

 

「やっぱり、ストレートに言わないとダメね」

花音は偉そうに言う。

 

 

 

「いいなぁ、私もいい人いないかしら?」

真由美はそう言って溜息をついていた。

 




うむ、横島くん、鈍感ですね。

雫ちゃんようやく、自分の思いに気が付いたの巻きでした。

オリジナル複線もようやく終わりに近づき、
これで、横浜騒乱編のあの日に加速することが出来ます。
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