横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


今回思いっきりつなぎ要素しかありません。
飛ばしても問題ないレベルで……


横島、つかの間の日常を!!

放課後に久々に何時もの面々が、行きつけの喫茶店に集まっていた。

 

「放課後にこの面子がそろうのは久々だな」

レオは席に座り最初に口にする。

 

「そうね。10月に入ってそれぞれなんとなく忙しいしね」

エリカがそれに同意する。

 

「普段から顔を合わせているけど、全員ってなかなか無いよね」

幹比古も同意見のようだ。

 

クラスや個々では会ったり、昼休みの昼食で顔を合わせる事はあったが、

現在10月の下旬に入ろうとしている時期まで、1年E組と1年A組のメンバーが、このように放課後揃うのは10月に入ってからは無かったのだ。

 

深雪とほのかは生徒会。

達也は論文コンペの準備で忙しく、風紀委員会には顔出し程度だ。

エリカとレオは論文コンペの準備をしている達也の護衛と称しその周りをウロチョロとしている。それだけでなく、何やら二人でコソコソ何かやっている様だ。

横島は普段風紀委員会だが、なるべく時間を空けて美月、幹比古、雫の修練を見ている。

美月は修練が無いときは美術部。

幹比古は自主練。

雫は部活か横島にくっ付いている。

それぞれ、忙しい様だ。

 

 

「達也さん論文コンペの準備の方は順調なんですか?」

ほのかは達也に質問する。

 

「ああ、既に俺の役目はもう殆ど終わりだ。後は微調整や先輩たちの手伝いだな」

達也は淡々と現状報告をする。

 

「もう終わったのか、流石だな」

レオは感心した様に言う。

 

「しかも、論文コンペの資料を狙う奴も捕まえちゃったしね。結局私たちの出番はなしか」

エリカはそう言って若干残念そうな表情をしていた。

レオとエリカは論文コンペの資料やらを狙うやからから、達也達を自主警護をしていたのだが、肝心の資料を狙った3年の関本勲は花音と達也が捕らえてしまっている。

そして、その関本勲を裏で操っていた大亜連合、その工作員であるルゥ・ガンフゥの襲撃があったのだが、これまた達也と横島が捕らえ、結局レオとエリカの出番は無かったのだ。

 

 

「結局……僕たちを襲ってきたフェイ兄弟も大亜連合の工作員ぽいし、今回の一連の事件はすべて大亜連合の仕業のようだね」

幹比古はフェイ兄弟と今回の関本勲、ルゥ・ガンフゥの件でそう結論付ける。

幹比古達はフェイ兄弟の事件の後、あの事件の前後関係など詳細は聞かされていない。公開できない情報が満載だからだ。

 

「なにか、話が大きくなっちゃいましたね。大亜連合なんて……もう、国同士の話ですし、私たちでは対処しようがないですよね」

美月は溜息を付きながらそう言った。

 

「まあ、でも、これで終わりってわけじゃないし、自主警備は続けるわ、達也くんもよろしくね」

エリカはまだ、自主警備を続けるつもりらしい。

 

「……好きにしてくれ」

達也はもはや、何言っても聞きそうもないためそう言った。

本来、他国家が関わる様な事件だ。一学生がどうにか出来るものではない、達也としても、エリカやレオが実力を認めていない訳ではないが、相手が相手だけに、本当はやめてほしいのだ。

達也はいざとなったら、自分が直接介入すれば問題ないはずだと腹をくくる。

 

 

 

「そう言えば、美月と雫に、幹って横島から古式魔法の訓練してもらってるのよね。どうなの?」

エリカは横島を見ながら、思い出したように話題を変える。

 

「ううん、正式には古式魔法じゃないわ、エリカちゃん。教えてもらっているのは霊視、私はこの目のコントロールと霊視の強化、それと霊気のコントロールよ」

美月は嬉しそうに答える。

 

「霊視?霊気のコントロール?」

エリカはそう聞き返す。

 

「僕も霊視かな……なかなかうまく行かなかったけど、ちょっとは見れるようになったよ」

「私もちょっとだけわかるようになった」

幹比古と雫も答える。

 

横島との訓練で、美月の成長ぶりは目を見張るものがある。

幹比古や雫は幼い頃から純粋に魔法師として生きてきたため、魔法師としての固定概念が、霊視(霊能者)の訓練に邪魔になり最初はなかなかうまく行かなかった。

その点、美月には最初っからその固定概念がない。霊視に対する訓練もすんなり受け入れることが出来たため成長が他の二人に比べ、早かったのだ。

雫については、霊視以外にも接近戦について横島に教わっている。

 

「たははははっ、ちょっと教えただけなんだけど皆筋はいいよな」

横島は照れ笑いをしながらそう言った。

 

「横島が人に物を教えるね……なんかピンとこないわね」

エリカは横島が人に教えてる風景が想像できない様だ。

 

「横島さん、教え方がスゴク上手いのよ」

そんなエリカを見て美月はそう言うと、雫もウンウンと頷いている。

 

「横島がねーー、あんた……教えることをいいことに美月や雫にセクハラまがいのふざけた事してないわよね」

エリカは横島に向かいジトッとした目で見る。

 

「そ、そんなことするかーーー!美月ちゃんや雫ちゃんに手をだしたら、完全に悪者やないかーーー!!」

横島は叫ぶ。

 

「はぁ!?私はいいってわけ?私には散々セクハラまがいな事をやっておきながら!!どういう事よ!!」

エリカは憤慨して席を立って横島を睨み付ける。

エリカの怒りは当然であろう。横島は過去にエリカに対し、セクハラ及び変態行為未遂を数々行ってきたのだ。

 

「たは、たはははっ、そんな事もあった気がする」

横島は思いっきりとぼける。

 

 

そこに深雪が火に油を注ぐ様な発言をする。

「横島さん。そういえば私たちの中でエリカだけ、呼び捨てなのは何故ですか?」

 

「そうよ!!なんで私だけ!!」

さらにヒートアップするエリカ

 

「なーんだエリカも、ちゃんづけで呼んでほしかったのか?エリカちゃん」

横島はとぼけたままエリカをちゃん付けで呼んだが、違和感が半端ない。

 

「おい、なんかそれ気持ち悪いな」

レオも、違和感を感じている様だ。

 

「ち、違うわよ!!」

エリカは横島にちゃん付けされ、何故か顔を真っ赤にしていた。

 

「いいな……わたしは呼び捨てにしてほしい」

雫は横島の隣でボソッとそう言っていた。

 

基本的に横島は、ちゃん付けしている女の子は、年下扱いをしている。

よって、エリカ以外の同学年のほとんどが横島的には年下扱いなのである。

例外的に2年の新生徒会長中条あずさもちゃん付けで年下扱いをしている。

あずさにそれを何回もプリプリ怒られていたが、結局、あーちゃん先輩で落ち着いた。

エリカについては、どうやら男友達と同じ扱いの様だ。ただセクハラ対象ではあるらしい。

ちなみに年上については、その括りはなく、セクハラをやってもいいか悪いかは、セクハラしても相手が本気にするかしないかで判断している節がある。まあそのこと自体本能と野生の勘で判別している様だが……

 

「いやー、なんていうのか、エリカって男友達みたいなんだよな~」

 

「横島さん、エリカは女らしいわ」

深雪はエリカのフォローをする。

 

「深雪ありがとう、私のどこが男みたいなのよ!!」

エリカは深雪にお礼を言ってから横島に文句を言う。

 

「ガサツなところじゃねーか?」

レオは笑いながら話に入ってくる。

 

「あんたは黙ってろ!!」

エリカは間髪入れずにレオに怒鳴る。レオに対しての突っ込みの威力が前より激しくなっていた。

 

「いや、そんなんじゃなくて、うーん、気を使わなくていい的な感じ?」

横島自身よくわかっていなさそうなのだが、まあ、男友達の様に気安く付き合えるという感じなのだろう。

 

「なによそれ!!私にも気を使いなさいよ!!」

 

「いい意味でなんだが……じゃあエリカちゃんで!!」

横島は頭を掻きながらそう言って、エリカの名前を言い直す。

 

「べ、別にいいわよ、今まで通りで」

エリカは若干顔を赤らめてそう言う。結局元の鞘に収まった様だ。

 

 

 

「そう言えば、レオとエリカ2人して最近学校休んでたけど何かあった?」

今度は幹比古がレオとエリカに質問をする。

レオとエリカは同じ日に数日学校を休んでいたのだ。

美月はエリカに理由を聞いていたのだが……男連中は知らなかったようだ。

 

「なぬ!!お前らそう言う関係だったのか!!知らなかった~!!」

横島は二人の関係にゲスの勘繰りをするのだが、それさえもあっけらかんと言える男なのだ。

 

「ち、違うわよバカ!!」

エリカは顔を真っ赤にする。

 

「では、エリカはお休み中は西城さんと一緒ではなかったのですね」

深雪は聞きにくい事を平然とエリカに聞いてしまっていた。

 

「う……」

エリカは深雪の問いに声をつまらせる、

 

「まじか~、レオ……後でこっそり感想を聞かせてくれ」

横島はそのエリカの反応を見て、レオにコッソリ、いや堂々とこんなゲスな事を聞く。

 

「違うって言ってんでしょ!!」

エリカは横島にコップに敷いているコースターを投げつける。

 

「感想ってなんだ?……ああ、そういう事か、エリカに千葉道場で剣術の技を習ってだな……まあ、何とかなりそうだ」

レオは平然と答える。どうやら横島が言っている意味と、エリカが顔を真っ赤にしている理由がわからなかった様だ。やはりお子様脳である。

エリカとレオは千葉道場で攻撃力アップを図るために、修行をしていたのだ。

主にはレオがエリカに教わる形だったのだが、それなりに成果は出た様だ。

 

「そんな事だと思ってたけどね」

幹比古は、呆れ顔でレオをみて、そう締めくくった。

 

 

 

それは横浜で開催される論文コンペを9日後に控えた何時ものメンバーの何気ない日常の風景であった。

 

 

 

 

 

 




日常の1ページでした

次回から急展開です。

そんなんで大丈夫?横浜騒乱編……と言うほど急です。
そんな展開に……

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