横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


すみません。寝落ちしてアップできませんでした。
きりのいい時間に予約アップしておきました。

という事で、今回十師族の長全員集合です。そんなこんなで、過去最大ボリュームになってます。(他の方に比べれば少ないですが><)
口調とか変でしたら、ご指摘お願いします。特に真夜さん

前々から、気になっていたあの子の正体がようやく判明します。
それと前回の終わりのすれ違った女性も……



横島、十師族の話題にされる!!

横浜で全国高校生魔法学論文コンペティションが開催される当日

何時もの面々は横浜の会場に出向いていた。

 

 

その頃横島は京都国際会議場で警備全般についてのレクチャーを受けていた。

横浜とは違って実際にここで何かを発表するわけでなく、横浜の発表映像を流すだけなのだ。よって産業スパイなどが入る可能性は少なく、取り合えずの名目上、各高校の生徒に警備の一部を任せているにすぎないのだ。

 

 

魔法科高校9校から、合計14人派遣されており、二人一組になり、会場を巡回することになる。

そして、横島とタッグを組まされるのが

 

「第四高校2年の香取小鳥です。ひさしぶりね横島くん」

髪を左右に三つ編みをくくっており、全体的に地味な印象の少女だが、顔立ちは可愛らしく愛嬌がある。

 

「ボク横島!!三つ編みが似合うおねえさん!!よろし……へ?何故俺の事をしってるんすか?」

横島は何時もの、ナンパまがいの挨拶をするのだが…

 

「私の事忘れちゃったんですか?九校戦の最終日、ダンス踊ってくれたじゃないですか?ちょっとショックです」

香取小鳥は横島に上目使いで言う。

そう彼女は、九校戦最終日、横島と知り合い以外でダンスを踊ったあの奇特な女生徒だった。

 

「ああ、あの時の!!すんません思い出せなくて、あの時はどうもっす!!」

横島は慌てた様に謝る。しかし、忘れていても仕方ないのである。あの時はお互い名前を名乗らなかったからだ。

 

「フフフフっ、やっと思い出してくれましたか、でも、また会えて良かったです」

香取小鳥は珍しい少女である。普通横島と接する女性は好感度が最底辺から始まるものだが、この少女は最初っから高いようなのだ。

 

「なんでまた俺なんかと?」

 

「横島くんの九校戦の戦い、見ていてスゴイなって思ったの。皆は卑怯だ、とか魔法師らしくないとか言っていたけど、横島くん、相手になるべくケガをさせない様にしていたでしょ。だからああいう戦い方だったんだって」

小鳥の言う通りであった。横島と対戦した選手は全員大きなケガはしていない。精々擦り傷程度であった。

 

「買いかぶりっすよ」

照れた様に笑う横島。

 

「フフフフフッ、そんな事、有るよ」

 

横島は何故かこの少女と話すと懐かしい気分になっていた。

 

 

香取小鳥、第四高校の九校戦代表選手、ミラージ・バットに出場していたが成績は振るわなかった。

彼女自身の能力はそれほど高いわけではないが、とあるBS魔法が起因している。

彼女の家系はザ・ラックと言われている世にも珍しい特殊能力を有している。元々は母方の家系の能力だったらしいのだが……

ありとあらゆる事象の成功率を数パーセント引き上げるのだ。その範囲や上昇率は彼女の体調や精神状態次第ではある。

事象として証明されているが、どのようにしてこのような現象が起きるかは未だ解明されていない。

この能力があるからこそ、彼女もまた京都(十師族)に呼ばれたのだろう。

 

そう、彼女は100年前の横島がまだ高校に通っていた頃、隣に住み、横島に仄かな思いを寄せていた花戸小鳩の子孫である。どことなく面影が残っている程度だが、そこに横島は懐かしさを感じていたのだろう。

横島も、小鳥もその事については今は知りようもないのだが。

 

 

 

 

 

 

十師族、日本最強の魔法師の家系であると同時に、日本国内における魔法師の頂点に立ち国に対しても高い影響力を持っている。

 

魔法協会京都支部十師族専用の会議室。

大きな重厚な円卓にその十師族の長が一堂に会し、それぞれの席にあるディスプレイに国際会議場で警備をしている横島が映し出され、その様子を見ていた。

 

「この少年が氷室家が寄越した横島くんか……どこにでもいそうな少年ではありますな」

三矢元(三矢家当主51才男、神奈川県厚木在住)は一同にそう言い、話が進みだした。

 

「入試試験結果を見ると、実技の魔法適性ほぼゼロ。いや、測定不能とありますね。筆記一般科目は優秀の様ですが、魔法関連は壊滅的ですね」

二木舞衣(二木家当主53才女、兵庫県芦屋在住 阪神・中国地方守護・監視)は手元の端末に映し出されている横島の入学試験結果の資料を見ていた。

 

「九校戦では随分ユニークな戦い方をしていましたね。十文字殿のご子息は同じチームメイトでしたが、彼の事をどう評していましたか?」

八代雷蔵(八代家当主29才男、福岡県在住、九州地方守護・監視)は十文字当主に聞く。

 

「……愚息が申すには、敵にしたくない相手だと言っておりました」

十文字和樹(十文字家当主42才男、東京都在住 伊豆・関東地方守護・監視、七草家と兼任)は息子である克人の話を一言で表した。

 

「ほう、それはそれは」

三矢元は感心した様に頷く。

 

「七草殿のご息女も同じ学校ですが、何か聞いておりますか?」

二木舞衣は同じ話を七草弘一に聞いた。

 

「普段の彼は九校戦の戦い同様、非常にユニークな性格をしていると報告を受けてまして、その……何と言いますか、変わり者ですね」

七草弘一(七草家当主46才男、東京都在住伊豆・関東地方守護・監視、十文字家と兼任)はワザと横島の噂のマイナス部分を話す。  

 

「昨日、わざわざ彼とお会いになったのでしょう?それはなぜかしら?」

四葉真夜(四葉家当主45才女 信州地方に在住 岐阜・長野方面守護・監視)は、昨日弘一が横島と接触したことを指す。妖艶な雰囲気ながら言葉は何処か冷えた様な言い方である。

達也と深雪の実の母四葉深夜の双子の妹である。達也達の叔母に当たるのだが、達也と深雪は出自を隠している。

昨日横島のホテルの前ですれ違った妖艶な笑みを湛えた女性が彼女である。外見はとても45才には見えない。30前後に見える美女である。あの言葉の意味するところは分からないが……

 

「真由美に……娘にとって悪い虫かを確認を取っていたのですよ」

弘一は真夜から声を掛けられたのをどこか意識したが、おどけたような返事をする。

弘一と真夜は元許嫁であった。

 

「それでどうでしたか?」

六塚温子(六塚家当主27才女、宮城県仙台在住、東北地方守護・監視)は四葉真夜に追従する。

 

「真由美の報告通り、少しヤンチャが過ぎる少年でしたね」

ワザとらしく弘一はそう答えた。

 

「七草殿……それは我々も確認している。持っている情報を共有したいのだが、どうですか?」

一条剛毅(一条家当主40才男、石川県金沢在住、北陸・山陰地方守護・監視)は弘一が意図的に情報を出さない様にしている事を指していた。

因みに、彼が第三高校のクリムゾンプリンス一条将輝の父である。

 

「それを言うなら九島殿はどうですかな、御父上は横島くんと親密の様ですが」

弘一は矛先を九島真言に向ける。

 

「うむ、先代の個人的な付き合いなため、私どもは把握していないのだよ」

九島真言(九島家当主62才男、奈良県生駒在住、京都・奈良・滋賀・紀伊方面守護・監視)は無表情でそう返答する。実の父親である先代九島烈が余りにも優秀なうえ、技量ではとても敵わず、比較対象とされてきたため、若干卑屈な性格となっている。

 

「何れにしろ、今まで接触を拒んできた氷室、そこから来た横島くんをどう扱うか、これがもっとも重要な事ではないですかね」

五輪勇海(五輪家当主47才男、愛媛県宇和島在住、四国地方守護・監視)はそう言って、こじれそうになっている会議の場を元に戻す。

 

「しかし、所々とてつもない情報が流れるのだけど、事の真偽が分からない。フェイ兄弟を捕らえたとか、さらにあの人喰い虎ルゥ・ガンフゥを単独撃破したとかね、しかも肝心の内容が伝わってきていないわ、彼がどんな魔法を使えるのか、魔法適性すらわからない」

手元のディスプレイに映し出されている資料を一瞥しながら二木舞衣はそう皆に言った。

 

「九校戦では、ほとんど魔法を使っている様には見えなかった。しかしまあ、あれだけの策を弄すことができるものですな。九島老師が気に入るのも無理もない」

三矢元はそう言って九島真言を見やる。

 

七草弘一は、話を聞きながらも、頭を回す。

実際弘一が知っている横島の情報は他の十師族と大きく違うのは、とてつもない治癒魔法を持っている事だけだ。

横島がルゥ・ガンフゥを圧倒した事実を真由美から聞いていたが、実際何をしたのかが見当もつかなかったからだ。真由美曰く、ルゥ・ガンフゥを武術で圧倒するも、よく見えなかったという事なのだ。

さらに、魔法を行使した様に見えなかったとまで言っていたのだ。対するルゥ・ガンフゥは高度な情報強化系、物質固定、身体能力強化等の魔法を使っていた事は分かっていた。流石にそれに対し、横島が何も魔法を使わなかったとは思えないのだ。

結局、真由美の情報だけでは、横島が何をしたのかがさっぱりわからなかったのだ。

実際、横島は武術で圧倒していただけなのだが……

 

「氷室家が絡んでいる事だ。確実に実のあるものにしなければ意味がない。情報も少なすぎる。今は下手に動かずに、静観すべきと思うがどうだろうか?」

九島真言は皆を見渡しそう言う。

ここで同意を得れば、十師族は手を出しにくくなる。しかし、父親である九島烈と横島は個人的なつながりがある。後はあの父親に任せれば、九島家と氷室家のパイプが時と共に出来るだろうと裏では画策していた。

 

弘一は九島真言の意図を十分理解するが、弘一としてもその策はチャンスである。弘一自身既に横島と面識が出来、真由美が横島と仲がいい事は承知済みだ。もしダメでも、来年には、双子の娘たちが第一高校に入学するのである。横島を取り込むチャンスは他の十師族に比べ、圧倒的に多いのだ。

 

しかし、四葉真夜がそれに異をとなえる。

「私は彼に直接会ってみたいわ。今、彼と接触しているのは、九島家、七草家、十文字家だけですもの」

そんな事を言った真夜だが、実際には四葉家こそ横島に対して、達也、深雪という強力なカードを持っているのだ。

しかし、十師族の中でも、四葉家と達也、深雪の関係については知らされていないのだ。

 

「どうなされるおつもりかな?ここに呼ぶわけにも行きませんぞ」

三矢元は真夜に釘をさす。

そもそも、十師族が今、京都に秘密裡に集結しているため公にできないのだ。

 

「彼に十師族の長と悟られない様接すればよろしいのでは?」

真夜は三矢元の指摘に対しそう提案する

 

「実際どうなされるおつもりで?」

弘一は真夜にその内容について聞く。

 

「彼、今の時代には珍しく、道行く女性を街角で声を掛けるそうですね。わたくしが、彼の前に出れば、きっと声を掛けてくれるはずです」

真夜が言った作戦は、要するに、横島の前に現れ、ナンパされるという事なのだ。

 

 

「「「………」」」

会議室は沈黙に支配され、全員顔を強張らせていた。

 

(無理があるだろ!!)

全員思っている事は同じであった。

いくら真夜が絶世の美人だろうと、既に45才、一方横島はまだ、高校一年生。この年の差はいかんともしがたい。百歩譲って、真夜が30前後に見えるとしても、その年の差は優に一世代以上離れている。

 

しかし、その事を本人に指摘するのは勇気がいる事だが、同性で年上の二木舞衣ならば、

「……自信がお有りな様ですが、彼は警備任務中です。しかも彼の横には年相応のザ・ラック香取小鳥さんが居ます。……四葉殿では流石に年の差があるのでは……」

そして最後は皆が思っている事を代弁してくれた。

 

「香取さんの件は架空の呼び出しなどで何とでも出来るでしょう。皆さんはモニター越しで見ていてくださいな。きっとわたくしが、彼とお話し、いろいろと聞いて見せますわ、それともわたくしでは不足ですか?」

何処からその自信がくるのだろうかわからないが、引き下がらず真夜はそう返答する。

 

確かに、九島、七草、十文字以外の十師族は横島の新たな情報を欲しているが、流石にこの作戦は厳しいのではないか、失敗した場合の真夜の状態が気が気でない。

しかし、彼らは横島の性格……性癖を正確に把握していない。

横島は、相手が年上だろうが、後家さんだろうが、こぶつきだろうが、地雷女だろうが、神だろうが、魔族だろうが、妖怪だろうが、幽霊だろうが、性別が女で美人であれば、誰でも構わず手を出せる男なのだ。全部未遂に終わってはいるのだが……

 

 

「……では御一同、六塚殿もご一緒にという事でどうでしょう?」

八代雷蔵はそう言って六塚温子にも同行するよう提案する。

 

確かに、六塚温子なら年も近く容姿も整っている。

もし、失敗しても二人ならショックも薄いだろう。皆一同、同じような事を考えていた。

 

一同は渋々と言う感じだが、無言でうなずいていた。

 

 

「仕方ありませんね。温子さんご一緒願えませんか」

真夜は仕方なしといった感じで六塚温子に同行を求めた。

 

「は、はい」

六塚温子は、四葉真夜のその美しさや強さに憧れを抱いているため、一緒に居るいい機会を得たと二つ返事をする。

 

 

「一旦この場は収めよう。一時間後再度集合という事でよろしいか?」

九島真言はそうして、午前の会合を終了させた。

 

 




投稿遅くなりすみません。
感想の方も夜にはご返事できると思います。

うーん、次は、どうなるんだろう?

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