横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


とうとうやってきましたクライマックスです。

横島はこの事態はまだ知らない。

ここからはほぼシリアス一本になります。


横島、急変する事態をまだ知らない!!横浜事変その1

 

 

横浜国際会議場では、全国高校生魔法学論文コンペティションが開催され、粛々とプログラム通り進行し、現在第一高校の発表が執り行われている。

 

第一高校は市原鈴音が作成した論文『重力制御魔法式熱核融合炉の技術的可能性』についてを発表している。

壇上で、鈴音が発表し、そのサポートで五十里敬と達也が壇上横で控えている。

 

横島の友人たちは劇場型のホール席の中頃に陣取り、鈴音の発表を聞いている。

しかし、友人たちは壇上の発表より、敵襲があるのではないかと警戒していた。

達也からの情報で、ルゥ・ガンフゥがフェイ兄弟の手引きによって護送中に脱走したと聞かされていたからだ。今回のルゥ・ガンフゥの護送は前の失敗を教訓に三個小隊を付けていた。

しかし、フェイ兄の先制の精神攻撃からの奇襲であっさり奪還されたのだ。人的被害としては少なかったものの、軍の失態は大きい。

 

第一高校の発表は終わり、大きな拍手の中鈴音たちは壇上を後にする。

そして、次の第三高校の発表の準備に入った時。

 

 

 

そして……ついにその時が来た。

 

 

 

「敵意が来ます!!」

美月は立ち上がり叫んだ。

 

それと同時ほぼ同時に会場の外から爆発音の様なものが響き渡ると同時に建物が揺れ、会場全体がどよめく。

 

何時ものメンバーは警戒体勢を取り、CADを装着した。

 

「8人がこちらに向かってます!!」

美月は続けて、周りの友人に警告する。

 

「吉田君、後方右2人!!」

幹比古は頷き、後方扉に向かって走る。レオもそれに続いた。

 

「雫さん、後方左2人!!」

雫も頷き通路に出て、左後方扉に構える。

ほのかも雫に続いていた。

 

そして、薄茶色の軍服を着用し対魔法戦用大型ライフルを構えた兵士2人が後方右扉から勢いよく入って来た。既に幹比古が札を放っており、間髪入れず雷光で無力化させた。

 

後方左扉からも同じ服装と兵装の兵士2人が飛び出してきたが、それと同時に雫が氷結魔法を放ち、即無力化させた。

 

 

 

「達也さん!!壇上横左右扉2人ずつ!!」

美月は壇上直ぐ下にいた達也に叫ぶ。

 

 

しかし、兵士の侵入を許してしまう。

 

「大人しくしろ!!ここは我々が占拠した!!抵抗する者は撃つ!!」

兵士は壇上脇の左右の扉から2名ずつ侵入し、観客席に向かって銃を構える。

 

 

兵士の一人は達也とその横にいる深雪に向かって銃を構えていた。

「動くな!!抵抗すると撃つ!!」

そして達也に向かいそう言い放つが達也はゆっくりとその兵士に近づいて行った。

 

 

「チッ」

 

ダーーン!!ダーーン!!ダーーン!!

 

兵士は警告を無視し歩みを止めない達也に、大型ライフル銃を3発放つ。

周りの観客席の生徒はその後の悲惨な光景を思い、そのほとんどが目を閉じる。

 

しかし、達也は、右手の平で弾丸全てを受け止めていた。

正確には右手の平に展開していた。分解魔法でライフルの弾を分解したのだが、辛うじてその光景を見ていた人間には、ただ単に弾を受け止めたとして見えていた事だろう。

 

達也はそのまま、右手で手刀を作り分解魔法を展開したまま、その兵士に振り下ろし、切り裂いた。兵士は多量の血液の噴出と共に倒れ躯となる。

達也の攻撃は、切り裂いたという言い方には少し語弊がある。分解魔法により、手刀が兵士の体に触れる瞬間にその部分は分解されていき、まるで柔らかいものに手を通した様な感覚であろう。

 

そして、達也は近くにいたもう一人の兵士も手刀で切り裂く。

 

それに気が付いた残りの兵士が達也に銃を向けるも、深雪が氷結魔法を放ち、無力化させた。

 

 

彼らの活躍でホール内に侵入した兵士は掃討され一応の安全は確保されたが、この急変にホール内は混乱し、あるものは爆発音やその振動に怯え、あるものは兵士の侵入に混乱し、あるものは達也の凄惨な所業に恐怖し、会場は恐慌の様相をきたしていた。

観客席のほとんどが、年若い魔法科高校の生徒である。この状況で正気を保てという方が無理がある。

 

 

 

その中で、第一高校前生徒会長、七草真由美は、その状況に呆けた表情をしている現生徒会長の中条あずさを叱咤する

「中条あずさ会長、貴方はあなたの役目を果たしなさい!!」

 

「七草先輩……でも」

 

「あなたの能力はこのようなときに使うのではなくて?」

真由美はあずさが持つ固有魔法、精神干渉系魔法の事を指している。

興奮状態にある集団をリラックスさせる効果させる効果があるのだ。

本来、強力な集団に使用できる精神干渉系魔法は使用を制限されているが、あずさは、その魔法の特性上、特例的に学内での使用が許可されている。

 

「……はい」

あずさは躊躇しながらも、胸のロケットを握りしめ、そこに刻まれている起動式を展開させる。

魔法の名前は、梓弓、その名の通り、弓の様な魔法を会場に撃ちあげ、会場全体に魔法の効力が発揮され、恐慌をきたしていたホールは落ち着きを取り戻した。

 

そして、落ち着きを取り戻した生徒達は各学校の代表生徒と教員たちに従い、避難準備を始める。

 

 

 

その間、達也や何時ものメンバーは既に、ホールから出て、会場入口付近のロビーで敵兵士と交戦していた。

 

達也による、分解魔法を駆使した手刀攻撃と、美月の指示の下、何時ものメンバーにより次々と敵を撃破していく。

 

先ほど同様、美月の横島によって強化された霊視及び霊気感知能力で敵の動きが丸わかりだ。

霊視による敵意や殺意の感知から、敵なのか、逃げ惑う人々なのかを素早く判断できるため、遭遇戦や乱戦ではいち早く対応が可能なのだ。

 

達也は分解再生魔法を得た副産物として、構造体の把握と特殊な知覚感覚が可能であり、周囲の構造や状況などお構いなしに、目視出来ない範囲でもかなり正確に物事が見えるのだ。

敵味方の判断は見えた人物の行動から行うためその部分では霊視に劣るが、物理的な構造や人の細やかな動き、敵の武装などの把握は達也の能力の方が勝っている。

 

この二人が居るため、敵が隠れていようが、どういう行軍をしようが、はたまた、人質を取っていようが丸わかりなのである。

 

 

美月やほのか、雫は達也の攻撃した相手の凄惨な姿に顔を顰めているが、今はそうは言っていられない。

 

 

十文字克人率いる学生による会場警備隊も、各方面で、敵を撃破していっていた。

 

会場に初期に侵入した兵士は大方撃破し一応の落ち着きを取り戻す。

 

 

通常回線が、回線混乱若しくハッキングか何かで使用が出来なくなっていたため、現状が把握しきれないメンバーは、雫の提案でVIPルームにある秘匿回線を使用することにした。

 

 

VIPルームに、達也達、何時ものメンバーに真由美、摩利、花音、桐原、壬生紗耶香、十文字率いる警備隊の一部が集まる。

 

雫は、北山家に救援ヘリを要請。

真由美も、七草家に救援ヘリと援軍要請。

達也も、独立魔装大隊の藤林にここにいる事だけ伝える。

 

知りえた情報として、横浜埠頭から多数の敵が押し寄せ、各方面で戦闘になっている事が判明していた。

 

真由美と十文字を中心に避難経路の打ち合わせをしている中。

 

 

 

「……横島さん」

雫は、何時も大事に胸元に仕舞っている横島からもらったお守りを目を瞑り両手で祈る様に握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横浜で事態が急変する少し前、京都では……

 

香取小鳥は、呼び出しを受け警備室に行き、何故かとても急を要するような仕事ではない雑務をやらされ、ようやく解放され横島の元に行く。

横島ともども昼休憩を延期してもらえ、さらに横島もまだ昼食を取っていないと連絡を受け一度は沈んだ気持ちも上昇していた。

 

上機嫌で小鳥は待ち合わせのレストランに行くと、横島の席に何故か、とびっきりの美女が2人も同席していたのだ。

 

「小鳥さんこっちです」

横島は小鳥を見つけ席から声を掛けたのだが……

 

小鳥はのろのろと横島たちの席に近づき、同席している美女をチラッと見て

「よ…横島くんのお…お知合いかな?」

横島に聞く。

 

「たはははははっ、その、なに?困ってそうだったから声を掛けたら、仲良くなっちゃったおねえさん方です」

横島は乾いた笑いをし、詰まりながらそう小鳥に説明した。

 

「え?なんで」

小鳥は折角の横島と二人での食事と思い上機嫌だったのだが、ズンと気が沈んでいった。

 

「フフフフフッ、わたくし、横島くんに助けてもらいまして。そのご縁で、ご一緒させてもらってますの。もしかして、お二人は恋人同士かしら?お邪魔だったかしら、ごめんなさいね」

真夜はそう言って、妖艶な笑みを湛えながら若干わざとらしく言う。

 

「へ?恋人同士?……なな?、ち、違います、と言うかお邪魔じゃないです」

小鳥は真夜の言葉で顔を真っ赤にして、慌てた様に返答する。

 

横島は小鳥に横に座る様に手招きしてから

「小鳥さん、此方の綺麗なおねえさんが真夜さんで、カッコイイおねえさんが温子さん」

2人を自己紹介する。

真夜は微笑んで軽く会釈。温子の方は何故か憮然とした顔で会釈した。

 

「か、香取小鳥です。横島くんとこの会場の警備担当をしています」

顔を赤らめたまま、自己紹介をする小鳥。

 

「まあ、可愛らしいわね」

真夜はわざとらしくお世辞を言う。

 

小鳥は、横島と恋人同士ではと言われた事と、可愛らしいと褒められた事で、沈んだ気持ちが再度上昇していた。

 

 

この時横島は横浜で起こる事態を予想だにしていたなかった。

これが、横浜の論文コンペ会場に敵兵が侵入する10分前の事であった。




事態は加速していきますが、しばらく横島の出番は在りません。

横島の活躍は少々お待ちを……
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