バカとナイトと有頂天 作:俊海
分かりづらいブロント語があったら遠慮なく言って下さい。
批評もよほど悪意のあるものじゃない限りは受け入れるつもりなので、おかしい点があったら書いていただけたら幸いです。
それではどうぞ
カリカリと、静まり返った教室に響く鉛筆やシャーペンの音。
今、僕たちはテストを受けている。おそらく、これから一年間を左右するであろう重要なテストを。
脇芽もふらずに、問題文に目を滑らせ、何を答えればいいかを考える。
この問題は、この結果を証明することを求めていて、それをどのようにして説明するかが分かれば――
(――行ける!!)
かなりの確信を持って、僕は解答欄に答えを記入していく。
以前の僕だったら十問に一問しか解けてなかっただろうテストを、半分以上は埋めることができた。
今回のテストは、今までの定期テストとは違う、クラス分けの試験だ。
この試験の結果次第で、教室のランクを分けられてしまうんだ。さすがの僕も、なんの勉強もなしに大事な試験に臨んだりしない。
今までの僕にしては珍しく――本当に珍しく、真面目に勉強してきたんだ。上位クラスになれはしなくても、せめて中堅クラスだったら狙ってみたい。
まさか『バカ』のレッテルを貼られている僕が、こんな向上心を持っているだなんて、誰も気づきはしないだろうな。
これでCクラスとかに入ったりなんかしたら、周りのみんなは驚くんじゃないだろうか。
その光景を思い浮かべると、すごく優越感というか、くすぐったい気持ちになる。
(っと、そんなことを考えてる暇なんかないや。それを現実にするためにも早く次の問題を――――)
――ガタンッ!!
突如、大きな音が僕の耳に飛び込んできた。
いや、というよりも、今の音は明らかに誰かが倒れた音のような?
カンニングにならないように、こっそりと音の発生源の方に目を向けた。
そこには、いかにも苦しそうな呼吸をしながらぐったりしている女の子の姿が見えた。
姫路瑞希さん――僕と同じ小学校だった子だ。
肩で息をしていて、顔も赤い。もはや自分では起き上がれないくらい体力がなくなっているのが明瞭だった。
「ひっ姫路さん!!」
僕は思わず立ち上がった。
どう考えてもただ事でないことは、バカな僕でもわかる。
自分のクラスがどうとかは、頭の中から完全にすっぽ抜けて、思わず姫路さんの元へと駆け寄ろうとした。
が――
「吉井!試験中だ!席につけ!」
「でも姫路さんが!!」
そこを、監督役の先生に制止された。
た、確かに試験中だったらカンニング扱いされて、テストが無効になるかもしれないけど、こんな状況で、そんなことをいう先生の言葉が信じられなかった。
僕は、必死の思いで、叫んだが、僕のことなんか見えていないかのように、先生は姫路さんの元へと歩いていく。
「姫路、試験中の退席は、無得点扱いになるが、どうする?」
「どうするって、何言ってるんですか!!早く保健室に連れて行きましょう!!」
「黙っていろ吉井。それでどうする?」
「わかり……ました……保健室に…………行きます」
この馬鹿教師は何を言っているんだ!!
こんなの、テストを受け続けられる状態じゃないのは判断できるだろ!!
そんな無駄な質問をするくらいなら、早く保健室に連れていけよ!!
……姫路さんのテストが無得点扱いになるのも、本来なら全力で抗議したいのに、そんなことは、姫路さんの容態が良くなってからでも遅くはない。
そうやって、馬鹿みたいな口論をしているあいだも、姫路さんは苦しんでいるんだから。
でも、なんとか姫路さんが保健室に行く流れになってよかった。
いろいろ不満はあるけど、今はこれ以上言うことは――
「そうか」
――僕は自分の耳を疑った。その次に、目を疑った。
先生はそれだけ言うと自分の椅子へと戻っていったからだ。
あれが病人に対する態度なのか?
先生だったら、体調を気遣う位の言葉はかけるべきじゃないんだろうか。
それなのに、先生は冷たい態度で姫路さんを突き放すかのようなセリフを言っただけ。
それだけならまだしも、今でもガクガクと足が震えている姫路さんの様子を見て、手を貸してあげようとしないどころか、まるで自分の仕事は終わったかのように元いた定位置に戻ろうとしている。
自力で歩行さえ難しそうなのに、ましてや女の子に酷い仕打ちを……!!
「先生!なんで連れて行ってあげないんですか!?姫路さんがあんなに苦しそうなのに!!」
「黙れ。何度も言わせるな。お前も強制的に退席させるぞ!」
その、取り付くしまもなく頭ごなしに叱責する姿を見て、今までの不満や怒りで、頭のどこかが『プッツン』と切れた。
僕は乱暴に席から立ち上がると、すぐさま姫路さんのもとに駆け寄る。
遠目からでも、苦しそうだと分かってはいたけど、近くで見ると相当深刻な状態だということが理解できた。
目の焦点はあっていないし、近くにいるだけでその熱が感じられるくらい体温が上がっている。体のどこにも力が入ってなくて、ほとんど床に這いつくばっているのと変わらない。
よくもまぁ、こんな状態の生徒を放置することができるなぁ。逆に尊敬するね。
「大丈夫……じゃないよね。ほら姫路さん、僕に掴まって」
「よ……吉井……君?」
「何をしている吉井!さっさと席に戻れ!」
何か後ろから、馬鹿の声が聞こえるけど関係ない。
試験の結果なんてどうでもいい。勉強はしてきたけど、今の僕には興味がない。
もともと僕は、この学校で『バカ』の通り名で知られているようなやつなんだし、点数が悪くたって、いつものことと思われるだけだ。
だから僕は『バカ』らしく、自分が正しいと思ったことをやる。
その選択に、後悔なんてない。
「退席させるといったのは先生でしょう?だったら僕は出ていきます」
「だ……ダメです…………私なんかの……ために、大事な……」
先生を睨みつけながら、そう吐き捨てると、弱々しい声で姫路さんが僕を引き止めた。
自分のために、僕に迷惑がかかることが嫌なんだろう。
……こんな時になってまで、僕の心配ができるなんて、本当に姫路さんは優しいんだな。
そんな余裕なんてないはずなのに。
「いいから。一人で行くのはしんどいでしょ?ちょっと嫌かもしれないけど、僕に寄りかかって」
「は……はい…………。本当に……すみません」
姫路さんの体を起こして、僕の肩に掴まってもらう。
男の体に触れるのに抵抗があるのは仕方ないにしても、連れて行くには彼女を支えないといけない。
そうなると、僕にもたれかかってもらうのが一番楽なはずだ。
……そう、分かってはいるんだけど。
すごく不謹慎かもしれないけど、姫路さんに完全に体を預けられると、その……姫路さんの起伏に富んだ体のあちこちがががががががが!!
くそっ!!こんなときに僕の紳士な部分が暴れだすなんて!!
なんでさっきまでの怒りモードを持続できなかったんだ!!
所詮僕はバカのままなのか!?本当に男子の精神って単純すぎる!!
いやでも、魅力的な女の子にくっつかれると男だったら誰だってこうなるに決まってる!!
そうじゃない奴は、枯れてるやつか、ホモなやつだけだ!!
(こ、これはやばい!!なんとか体勢を整えて…………あがっ!?)
姫路さんを連れて行きやすいように体を動かしたら、一瞬目の前がチカチカ光った。
そういえば、昨日僕徹夜したんだっけ、勉強するために。
…………こんな時に限って、体力不足かよ僕の体ぁぁぁぁぁ!!
普段なら、有り余るほど無駄にスタミナあるくせに、本当に肝心なときに役に立たないなこのボディは!!
本当にここのところの僕は一体どうしたというのさ!?柄にもなく勉強したり、挙げ句の果てに僕の嫌いな行為である『徹夜』なんていう地獄の宴なんかしちゃってさ!!
って、意外と僕の肩への負担が大きい!?
もしかして、姫路さんって、僕に全体重預けてたりする?
そういえば、力なんか入りそうにない状態だった!!そりゃ脱力するよね!!
そもそも、あまり姫路さんにひっつかずに連れて行くなんて、かなりの体力がいるのは分かっていたはずじゃないか!!
や、やばい!!このままだと、精神的にも肉体的にもダメージが大きすぎて姫路さんもろとも崩れ落ちてしまう!!
本当に僕って締まらないな!?
このまま普通に教室を出ていくだけでよかったのに、その肝心の姫路さんを支えきれないなんて!!
せ、せめてもうちょっと密着できたらいくらか方法は……いやいや、そんなことしてセクハラだとか言われたらどうするつもりなんだ!!
あああああ!!こうしているあいだにも、姫路さんのあれやこれやが僕の五感に訴え続けるぅぅぅぅぅ!!
「だ……大丈夫……ですか?」
「え!?な、なにも心配いらないよ!?」
ああ!ついに姫路さんが不安そうな顔でこっち見てくるし!
せめて、もうひとりでも手伝ってくれる人がいたら!!
……って、いるわけないか。
今この時間は、自分のこれからのクラスを振り分けるための試験を行う時間だ。
僕みたいなバカはそうそういないよね。自分の一年がかかっているんだから。
助けたところで、テストの点数が上がるわけでもないのに……
はぁ……僕って本当にバカだな……
出来もしないことを、何も考えずにやろうとするなんて。
どうしようもなくかっこ悪いなぁ、僕。
……でも、ある程度、今ので頭は冷めたし、今度こそ姫路さんを――――
「ほぅ、見事な助け合いの精神だと関心はするがどこもおかしくはないな」
「……え?」
教室の出口から声がしたから目線を向けると、長身の男がいつの間にか立っていた。
銀髪で褐色の肌、瞳の色は赤色で、手足が非常に長い。
顔立ちは整っていて、世間一般的にはイケメンとも言える顔だ。
……あれ?こんな人、教室にいたっけ?
というか、今の喋り方どこか不自然なような……
「振り分け試験の最中で俺は催したからトイレにカカッっと移動したんだが、ちょうど漏れそうみたいでなんとか耐えているみたいだった。俺は用は足したので自分のクラスに急いだところがアワレにも一般生徒がくずれそうになっているっぽいということで通りがかりの教室から叫んでいた。どうやら教師がたよりないらしく「はやくきて~はやくきて~」と泣き叫んでいる生徒のために俺はとんずらを使って普通ならまだ付かない時間できょうきょ参上すると「もうついたのか!」「はやい!」「きた!盾きた!」「メイン盾きた!」「これで勝つる!」と大歓迎状態だった」
「え?盾?歓迎?」
「おいィ?おもえもし化して日本語もわからないバカですか?そんなことよりもそこでプリケツさらしてるリア♀を早く保健室に連れて行くべきそうすべき」
……はい?もしかして、これ全部日本語?
ここまで文法が破綻している日本語なんて初めて聞いたんだけど……
大体メイン盾ってなんのこと?ゲームか何かの用語?
……でも、なんでだろうか?
なんとなく言いたいことはわかる。文脈はおかしいけど、心では理解できた。
この人は、僕たちのことを助けようとしているんだ。
「おい、お前は別の教室で試験を受けているはずだろう!!よその教室に入ってくるな!!テストを無効にされたいか!?」
「ウザイなおまえケンカ売ってるのか?」
そのまま男子生徒は、僕たちのそばまで近寄ってきた。
先生が警告するが、睨みつけながら言い返す。
「俺はこれで教師嫌いになったなあもりにもひど過ぎるでしょう?俺は中立の立場で見てきたけどやはり教師は役に立たないことが判明した。教師は病人を見捨ててまで試験の監督を確保したいらしいが普通に血の通った人間なら、病気で弱りきっているときに見捨てらるる絶望がどれほどのものかわかると思うんだが。人としてして当然な事くらいいい加減気づけよ。ナイトは教師よりも高みにいるからお前の勘違いにも笑顔だったがたいがいにしろよカスが!!お前は一級生徒の俺たちの足元にも及ばない貧弱教師!その教師が一級生徒の俺たちに対してナメタ言葉を使うことで俺の怒りが有頂天になった!!この怒りはしばらくおさまる事を知らない!!」
「お前……その教師を敬わない態度はなんだ!!それが教師に対する喋り方か!?言葉遣いを改めろ!!」
「教師とか言ってる時点で相手にならないことは証明されたな。敬語を使われる為に教師になるのは馬鹿。真の教師は思わず尊敬される教師をしてしまってる真の教師だから敬語で喋られてるのだという事実。本当の教師は偉さを口で説明したりはしないからな。口で説明するくらいなら俺は態度で示すだろうな。俺、IQテストで100とか普通に出すし」
「口で説明してるじゃん……」
それにIQで100って平均のことじゃなかったっけ?
やっぱり変な言葉で喋ってるけど、言ってることはわかった。
要するに――
「この教師は、尊敬するに値しない馬鹿野郎ってことだね」
「ほぅ、お前はなかなか解っている様だな。ジュースをおごってやろう」
「貴様ら!!何を堂々と教師に向かって侮辱している!!それくらいにしておかないと、本当に退席させるぞ!!」
ようやく会話らしい会話を、男子生徒と出来た。
内容は、この教師をけなすものではあったけど。
その話題を出すのに、抵抗は僕にはない。
馬鹿なものを馬鹿と言って何が悪いのさ?
「そりゃあ、人としての良識を持たない人なんて馬鹿で十分ですし?」
「俺は不良だからよ、卑怯な教師の言うことなんか効かないしテストなんか普通にサボる。それに、これから病人を送迎する系の仕事があるから『このテストは早くも終了ですね』みたいな中古苦もどちかというと大歓迎。人を助けるのに理由はいるかい?という名セリフを知らないのかよ」
そこまで言って先生は、顔を真っ赤にしながら僕たちを睨みつけると、何も言わずにもとの席に戻って行った。
確かこういうのを、ぐうの音も出ないっていうんだっけ?
八割がた、この男子生徒のおかげだけど、あの偉そうにしている先生を言い負かせて、めちゃくちゃすっきりした。
ははっ、ざまあみやがれ!!
僕と男子生徒は顔を見合わせると、互いにニヤリと笑って、拳をカツンと当てた。
その教師の様を見て溜飲が下がった僕達は、姫路さんを間に挟んで肩を組み、保健室まで連れて行った。
……この人、どう見ても2mは超えてるはずなのによく肩の高さ合わせられるなぁ。
なんとか姫路さんを保健室まで無事に送り届けられたけど、本来ならまだテストを受けているはずの時間。僕達は暇になってしまった。
そうなると、自然とすることは限られてきて、色々興味があったから、僕は男子生徒に話しかけた。
「いやあ、さっきの罵倒すごいね。あの馬鹿なんにも言い返せなくなったし。真っ赤にした顔なんて傑作だったよ」
「完 全 論 破。おっととグウの音もでないまでへこませてしまった感。あんな汚い真似をするやつなんて悪者でFA。俺がマジでかなぐりすてた結果があれ。さすがナイトの話術スキルはA+といったところかな。それにしてもお前も中々見所あるな。お前が女の為に盾になってたのには思考のナイトの俺でも感心が鬼なった。お前リアルでは主人公タイプだな」
「い、いやー、それほどでもないよ。バカだから思うままに行動しただけだし……」
「やはり本能的に英雄タイプだった!それなのに謙虚にもそれほどでもないと言った!!やっぱりヒーローじゃないと駄目かー。今回のことでそれが良く分かったよ>>生徒感謝。ヒーロータイポなひとすごいなー憧れちゃうなー」
なんかこっちがむず痒くなるくらいべた褒めされてるんだけど!?
今までかつて、ここまで他人に褒められまくった経験なんてあっただろうか?いや、ない!!
それに今回は何にもできてないし。そこまで言われたら恥ずかしくなるよ。
…………本当になんにも出来てないんだよね。
「……oi、お前あまり無理するとリアルで痛い目を見て病院で栄養食を食べる事になる。今回裏世界でひっそり幕を閉じそうな顔になってるので全力で俺を頼って良いぞ」
本当にこのひとはすごいなぁ。
僕の心の機微を分かってくれてる。
でも言えないよ。『恩人である君に対して嫉妬してる』なんて。
姫路さんを連れていけたのは、この男子生徒のおかげ。体力のなくなってた僕なんかじゃ、姫路さんを支える力なんて無いに等しい。
正直に言って、この人だけで連れていけただろう。
体格的にも、筋力とかありそうだし。
あの教師を黙らせたのだって、この生徒がまくし立てたからで、ほとんど僕は喋ってない。この人がいなかったら、惨めな思いをして、あの先生に罵倒され続けただろう。
本当に、役立たずだな。僕って……
「……ネガはやめろと言っているサル!!」
「う、うぇええ!?も、もしかして口に出してた!?」
「いあ、黙ったままだったぞ。だがちょっとばかり僅かに自分を責めているのは確定的に明らか。ヨミヨミですよ?お前の考えは」
「だったら分かるよね?僕が本当に役に立っていないってことがさ」
「おいィ、お前らは今の言葉聞こえたか?『聞こえてない』『何か言ったの?』『俺のログには何もないな』ほらこんなもん。何がどうやってお前が役立たずだって証拠だよ!?俺にはお前の言ってることが理解不能状態なんだが」
「今回のことは、君が一人いたらそれで済んだ話でしょ!?今年からは少しは変わろうと思ってたのに、やっぱり僕はバカのままだ!」
今回のテストを頑張ったのも、元の原因はこれだ。
今まであんなにバカにしてきた周りのやつを見返してやりたいと思ったから、努力したんだ。
『あんなこと』があったから、成長しようと思ったのに、テストは間違いなくFクラス。姫路さんを助けたのも、実質はこの生徒。
姫路さんを『助けたこと』には、今でも微塵たりとも後悔はしてないけど、『助けられなかったこと』に関しては、後悔している。
そう『どうして僕はこんなにバカなんだ』と。
「……大きい声出してごめん。初対面の君にこんな話してもしょうがないよね。今のは忘れて––」
「お前頭わりぃな。自分を馬鹿にするのはずるい」
「––はっ?」
「お前は馬鹿すぐる。そもももお前があんなに叫んでなかったら俺はお前のクラスに行ってなかったという事実。英語でいうとノンフィクション。事前に倒れると分かってたら手の打ち様もあるが、わからない場合手の打ち様が遅れるんですわ?お?お前がいなかったらなにも始まらなかったということで論破。以下レスひ不要です」
「でも、実際に助けたのは!」
「じゃあお前は最初に手を貸してやらなかったのかよ?みろ見事なカウンターで返した。調子に乗ってるからこうやっていたい目を見る。俺は硬派な不良だから女心なんて分からないけどよ。自分のために何かしてくれるやつを馬鹿にするほどあの女は馬鹿ではにい」
「そりゃまぁ、姫路さんはそんな人じゃないけど……」
「第一、口に出すより先に行動に出すバカは変えなくてもいいと思うぞ?まぁ一般論でね?」
……なんか、悩んでた僕が馬鹿みたいに思えてきた。
何を言ってもすぐに反論されて、なんか自分を責めてても意味ないみたいだよ。
訳がわからない日本語でまくしたてられて、言い返そうにも言葉がうまく出てこない。
あ〜。なんかどうでもよくなってきた。
姫路さんを助けられたのは事実なのに、それで満足したよかったじゃないか。
何を深く考えてたんだろう。バカな僕が難しく考えても焼け石に水ってやつだろうに。
「ははは……。ねえちょっといい?」
「何か用かな?」
「僕と関わったこと後悔してる?」
「してない」
「そう、ありがとう。迷惑かけてごめんね」
「それほどでもない」
多分本心から言ってるんだろう。
淀みなく、僕の言葉に反応してくれてる。
––あ、そうだ。重要なことを忘れてた。
「ねぇ、僕の名前は吉井 明久っていうんだけど。君の名前は何ていうの?」
「俺はブロントだ。謙虚だからさん付けでいい」
これから一年間一緒になるFクラスの仲間の名前を知っとかないと。
「謙虚なのにさん付け?変なの」
「何かおかしなことを言いましたかねぇ?」
「ま、なんでもいいや。これからよろしくねブロントさん!」
「oi misu みす おい俺がおかしいってどういうことだ?おい、紀伊店のか?」
「別に?あ、テスト終了の時間だ。これで家に帰れる!それじゃあブロントさん、今度はFクラスでねーー!!」
「お、おいィィィィィィィィーーーー!!??」
こうして、少し変な言語を使う謙虚なナイト––ブロントさんに僕は出会ったのだった。
読んでくださってありがとうございました!
次回の投稿がいつになるのかはまだ未定です。
早く書きたいのですが、学校が忙しくて今は余裕がないため遅れます。
夏休みまでには書きたいです。
それではまた会う機会があればよろしくおねがいします。