バカとナイトと有頂天   作:俊海

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ようやく長かったDクラス戦が終了です。
……しかし、原作の女キャラが全然目立ってない。何故か紅美鈴が無双してしまっている。
でも、この戦争が終わればしばらく出てこないし、なんだっていい目立たせるチャンスだ!(フラグ)
さーてBクラス戦はどうしようかな……

それではどうぞ



第九話 バカとナイトと戦争終結

『Fクラス 吉井明久  VS  Dクラス 紅美鈴

 

  化学  108点   VS 92点  』

 

 

「それっ!」

 

「なんの!」

 

 

僕の操作技術と美鈴さんの戦闘技術が釣り合ってきたのか、お互いに決定打にかける攻撃しか出来ない。

こっちの攻撃は綺麗に無理なく受け流されて、あっちの攻撃は僕が必死に避け続ける。

 

 

「あー!全然終わらないじゃないか!精神力が擦り切れそうだよ!」

 

「それはこっちにも言えるんですけどね……操作技術で劣るとは言え、近接戦で格闘技を習っていない人と互角って」

 

 

まあたしかに、この操作は格ゲーよりも現実での動きに則してるから慣れさえすれば自分の体を動かすのと相違ない程にはなる。

それ考えたら美鈴さん相手に僕ってよく持ってる方だよね?

 

 

「僕の取り柄って言ったら、この雑用で培った操作技術くらいだからね。そう簡単にはやられないよ」

 

「……んー、なんだかそこに疑問が浮かぶんですよねー」

 

「?どういうことなの?」

 

「さっきから明久さんの操作に無駄が多すぎるんですよ」

 

「……ホント?」

 

 

それが事実なら僕の操作技術はカスも同然だったことになる。

あ、泣きそう。

 

 

「いや、操作自体は無駄がないんですよ。人間の動きをそのまま実演できてますから」

 

 

何だ。よかった。

もう少しでハンカチを取り出すところだったよ。

 

 

「じゃあ、無駄っていうのは?」

 

「あまりにも明久さんの召喚獣が『避ける』ことに集中しすぎてるのを感じられました。操作技術があるなら、私みたいに受け流すとか、あえて攻撃を受けて反撃するとかすればいいのにって思いますよ?」

 

「え?だって痛いじゃん」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

美鈴さんの攻撃なんかをくらったら、しばらく悶絶する自信があるよ。

受け流しても失敗したらそれまでだし、あえて受けるなんてただの拷問じゃないか。

なんでそんな簡単なことを美鈴さんは疑問に思っているんだろう。

 

 

「どうして、召喚獣が攻撃されると明久さんが痛いんですか?」

 

「そんなの、召喚獣が受けた痛みの数割は僕の体にフィードバックされるからに決まってるでしょ?」

 

「どういうことですかそれ!?」

 

「なんで驚いてるの!?」

 

 

なんだってこんな初歩的なことで驚愕してるんだろう。

変な美鈴さんだなぁ……………………

……………………………………………………………………………………あ。

 

 

「もしかして美鈴さんって僕が『観察処分者』ってこと知らないの?」

 

「知らないですよ!?」

 

「『観察処分者』になると召喚獣の負担が何割か僕に返ってくるんだよ。だからできるだけ攻撃受けたくないわけ」

 

「そ、それで『雑用で操作技術を上げた』とか言ってたんですか……。いまようやく納得しました……」

 

「あはははは……混乱させてごめんね」

 

 

そういえば、基本的にみんなって僕が『観察処分者』ってことを知らないんだっけ。

たまに手伝ってくれる士郎やランサーは知ってるけど、自己紹介の時も誰も僕が『観察処分者』ってわかってなかったもんな。

 

 

「うーん、だとしたら勿体無い。明久さん自身運動神経良さそうですから、私みたいに拳法を使えたら相当強くなれると思ったんですが……」

 

「あ、それいいかも。今度何か格闘技でも習おうかな」

 

 

美鈴さんのつぶやきに同調した。

僕の操作技術は人間の動きと遜色ないレベルになってるみたいだし、僕自身がそういう動きを習得できたら召喚獣も強くなるかも。

……ただ、そういうのにカロリー使っちゃうとやせ細って死んじゃうかもしれないけど。

習うにしてもお金がかかるし。やっぱり無理かな。

 

 

「まぁ、僕って金欠だからそんなに余裕ないけどね」

 

「あ、それでしたら私が教えましょうか?私もまだ未熟ですが、基礎的なことなら指導できますよ」

 

「え?でも美鈴さんのは中国拳法でしょ?僕の召喚獣って剣持ってるんだけど」

 

「太極拳の応用として太極剣や太極刀なんかもありますから大丈夫です!」

 

 

そうなんだ。それなら教えてもらってもいいかな。

僕だって毎日忙しいわけじゃないし、体を動かしたくなる時もある。

それになにより、美鈴さんみたいな綺麗な人に教えてもらえるなんて…………

…………うん?

 

 

「あの……美鈴さん?その稽古ってどこでやるの?」

 

「私の下宿先ですね。広いお館みたいなところなんで、稽古場もあるそうなんです。あ、ちゃんと稽古できる広さはありますからね?」

 

「それよりも気になることがあるんだけど。その稽古する人って美鈴さん以外に誰がいるの?」

 

「私だけですね。皆さん太極拳のことを『変な踊り』とか言って相手にしてくれなくって」

 

「…………その下宿先の男女比率は?」

 

「女性だけです」

 

「……………………」

 

 

完全にアウトだよこれーーーーーーーっっ!!

女の子だらけのところに野郎を一人連れ込んで、あまつさえ二人きりで稽古するのは流石にやばい!

僕が美鈴さんに勝てるとは思えないけど、そんな環境に僕がいたら理性やらもろもろが擦り切れる!

 

 

『チャンスだぜ明久。ここは了承しちまえよ。あんな可愛い、しかもチャイナ服が似合う女の子と稽古なんてそうそうあるもんじゃないぜ』

 

 

はっ!?お前は僕の心の中の悪魔!?くそっ!僕を悪の道に誘惑しに来たな!舐めるなよ!僕の精神力の高さが負けるわけがない!

 

 

(僕の中の悪魔!そんな邪な考えで稽古するなんて美鈴さんに失礼だろ!)

 

『まぁそう硬いこと言うなって。いいじゃねえか、格闘技を習ったら今後の試召戦争も勝つ確率が高くなるんだぜ?これだって皆のためなんだ。その際に美鈴さんといい感じになっても役得ってだけで損することなんてないじゃねえか』

 

(そ、それもそうだけど……)

 

『大体、美鈴さんは純粋にお前を強くしてあげようと思ってるだけなんだ。中学生の妄想みたいな感じにゃならねえよ。俺だってそういう事態になるのはよくねえと思うし、綺麗な女の子と親密になりたいなんて男なら誰でもそう思うはずだ。お前だけじゃないんだぞ?いいじゃないか美少女と仲良くやるくらいは』

 

(それでも、美鈴さんの純粋な気持ちを踏みにじるみたいで……)

 

『じゃあ普通に稽古したらどうだ?それでお前が耐えられそうになってきたら稽古をやめさせてもらうって感じにしたら問題ねえ。なんでも試しにやってみろよ。お前はそうやって進んできただろ』

 

(それなら……いいかも……)

 

 

……っは!?

いけないいけない!もう少しで堕ちるところだった。

でもこのままだと僕の戦況は不利だ。こうなったら僕の中の天使に頼るしか!

 

 

『ダメだよ僕!悪魔の言うことなんか聞いちゃいけない!』

 

 

おお!意外とすんなり出てきてくれた!

 

 

『君みたいな不細工が美鈴さんみたいな美少女と一緒なんてそれだけで犯罪だよ!どうせ犯罪になるんだったら真面目に稽古できるわけがないんだし、最初っからそういう目的で美鈴さんに取っ組みかかったらいいんだよ!人間のクズの代名詞みたいな君が外見だけ装っても無駄だよ!そうやって真面目にするふりをしているうちに相手に拒否されたらどうするの!?それくらいなら親しくなってる今のうちに手込めにしてしまえば!!』

 

『(お前は一体何を言ってんだーーーーーーーっっ!!!!!)』

 

『ゲブゥっ!?』

 

 

まさかの僕と、僕の中の悪魔のセリフが被るという事態に陥った。

その時仲良く僕の中の天使にクロスボンバーを食らわせているのもおかしいはずの光景なのに、そのあと、僕と僕の中の悪魔が互いにサムズアップしているのを幻視してしまった。

っていうか、僕の中の天使が外道にも程がある。

 

 

『あのバカはほっといて、チャレンジ精神で稽古つけてもらおうぜ。お前が襲いかかっても、美鈴さんには勝てねえんだし、暴走したときは止めてくれるさ』

 

(それもそうだね。僕だって強くなりたいっていうのは嘘じゃないわけだし、美鈴さんと仲良くなれるなら普通に嬉しいし)

 

『それくらいでいいんだよ。向こうから誘ってくれてるんだ、断る方が悪いんじゃね?』

 

(それ言えてるかも。どうせだから、いつか美鈴さんを超えるくらいには強くなりたいなぁ。僕だって男だし)

 

『なんだなんだ?それで、今度は美鈴さんを勝負で負かして『僕のものになれ。敗者は勝者に従うものだろ?』とか言っちゃうわけ?とんだ外道だな、お前』

 

(そんなこと言ってないだろ!僕はただ純粋に!)

 

『分かってるよ。お前とは生まれてからの付き合いなんだ、お前の言わんとしてることだってわかるさ』

 

(それならいいんだけど……)

 

『じゃああとは返事するだけだな』

 

(よし、僕も強くなるぞ!)

 

『騙されたらダメだ僕!そんな遠回りしなくても直接……!!』

 

『(お前は黙ってろ!!!)』

 

 

僕の中の天使はろくなことを言わないな。

悪魔の方が的確なことを言うなんて、世も末だ。

 

 

「それなら試しにやってみようかな。今度お邪魔するよ。あ、それと下宿先の人は何も言わないの?女だらけのところに男なんて……」

 

「あの人なら気にしそうにないと思いますよ?それどころか明久さんを歓迎する可能性の方が高いです」

 

「随分おおらかな人だね」

 

「いい人ですよ。まぁ、ちょっと見た目に驚くかもしれないですけど」

 

 

見た目に驚くって……容姿が残念な人なんだろうか。

 

 

「あ、ちゃんと美形ですよ。そういうのじゃない驚きですから」

 

 

ますますわからない。

美形なら問題ないとおもうけど。

 

 

「……あれ?え、ちょっと?あ、へ?な、ななななななななな何でーーー!!!???」

 

「え?どうしたの美鈴さん?」

 

 

突如悲鳴を上げた美鈴さん。

何かあったんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

『Fクラス 吉井明久  VS  Dクラス 紅美鈴

 

  化学  108点   VS 18点  』

 

 

 

……え、なんで?

 

 

 

 

 

 

「明久!いつまで戦ってるんだ!早くこっちに来い!!」

 

「え?士郎っ!?なんでこんなところに!?」

 

「相手の数が増えてきてるんだ!一人相手に手こずってる場合じゃない!!」

 

 

そう言うと、士郎は弓を引き絞り美鈴さんの召喚獣へと矢を放った。

 

 

 

 

 

 

 

『Fクラス 衛宮士郎  VS  Dクラス 紅美鈴

 

  化学  214点   VS 0点  』

 

 

 

 

 

なんだか……せこい……

 

 

「美鈴さん……気づかなかったの?」

 

「今までずっと明久さんと喋ってたのに、気づくわけないじゃないですか……」

 

「そこはほら、武道を修めると殺気が読めるとか、心眼で視界に入ってなくても察知できるとかさ」

 

「現実でそんなことできないですよ!最初の明久さんの攻撃の時、普通にフェイントに引っかかってますし……」

 

 

そういえばそうだった。

武術に精通しているのに簡単につられてたし、魂魄さんがいなかったらあの時点で勝負ついてたもんね。

 

 

「うう……なんだかやりきれない感じです……妖夢さんもこんな気持ちだったんでしょうか……」

 

「僕が言うのもアレだけど、多分それ以上の虚無感だったと思うよ」

 

 

なんだかんだで美鈴さんは僕とまともな勝負をしていたわけだし、魂魄さんは勝負にすらなってなかったし。

それより、あの悲壮感は並大抵の勝負では起こらないと思う。

 

 

「まあ敗北は敗北、明久さんの健闘を祈ってますよ」

 

「僕が勝ったら、そっちのほうが不都合じゃないの?」

 

「武人としての礼儀です。勝負した相手には敬意を払うのが常識ですよ」

 

「そっか、じゃあ頑張るよ」

 

「はい!それではまた後ほどお会いしましょう!」

 

 

何かが引っかかるような気がしたけど、美鈴さんとの別れを惜しんでいる暇はない。

士郎が言うには、相手が本気でこっちに攻め込んできてるってことなんだし。

 

 

「相手の数はどれくらい?」

 

「Dクラスは19人、こっちは9人だ。何人かは補給に行っててしばらく帰って来れないからこの人数で耐えるしかない」

 

「最初は何人いたんだっけ?」

 

「27:18。減ってる数自体は互角だが、その分人数比が広がってきてる」

 

「ほかに報告は?」

 

「ブロントさんが放送してからというもの、霊夢と魔理沙の姿が見えない。あと、須川の現在地が不明だ」

 

「何やってるのその二人!?」

 

 

士気が上がった、とは言っても地力の差が出てきてるせいかブロントさんやいつの間にかいなくなっていた霊夢と魔理沙が抜けている穴が大きいのか、徐々に僕たちの戦力が削られてきてるみたいだ。

……須川君は今はむしろ不明であるほうがいいんじゃないかな。

 

 

「ブロントさんがいなくなって前衛部隊の指揮が取れなくなったのかな。後衛部隊は士郎だからいいけど、二人も穴があるんじゃ厳しいね」

 

 

主戦力が三人もいなくなるときつい。

だから、士郎は僕に手伝ってもらおうとしてるのか。

 

 

「じゃあ、残ってる前衛部隊の指揮は僕が取る。士郎達は後ろからの援護を頼むよ」

 

「了解!」

 

 

即座に僕は、仲間達の前に躍り出る。

数が少ない以上、Fクラスの中でとは言え高得点の僕は戦闘に参加したほうがいい。

なんとか援軍が来るか、ブロントさんが戻ってくるまで持ちこたえないと。

 

 

「今から僕が指揮するから、ここは突破されないように頑張ろう!」

 

「ここを破られると戦況が一気に厳しくなる!俺たちも前衛の応援をするぞ!」

 

「「「きた!隊長きた!」」」」

 

「「「メイン隊長きた!」」」

 

「「「これで勝つる!」」」

 

 

思いっきりブロントさんの言語が感染してるーーーーー!!!???

ブロントさんの喋り方はどれだけ影響力があるんだ!?

で、でも、士気が上がるのはいいことだ。

あともう少し、ここを防衛できれば僕たちが勝てる!!

 

 

「ほっほー?これはこれは、吉井明久君じゃないですか?」

 

「そっちには文月のブラウニーまでいらっしゃる。コイツは豪華だなぁ?」

 

 

……?Dクラスの生徒の様子が変だ。

なんであんなにねちっこい絡み方をしてくるんだ?

……そういえばあの二人、僕達が宣戦布告しに行った時ブロントさんに殴りかかってた九人の中にいたような。

あ、残りの七人もその後ろにいる。

 

 

「何?一体何が言いたいのさ?」

 

「そうやって、油断させるつもりなのか?生憎だけど俺達はそこまで強くないから油断なんかしてやらないぞ」

 

「やれやれ、お二人は真面目だねぇ。そんな真面目なやつらが……」

 

「まさか、女誑しだったなんて、Fクラスのみんなには悲劇じゃねえか」

 

 

……はぁ?女誑し?

僕のどこが女誑しだって言うんだよ?

士郎のことならともかく、僕がそんな風に言われる筋合いはないよ。

 

 

「なんでさ!明久ならともかく、なんで俺まで女誑しになるんだよ!?」

 

「えっ!?それを士郎が言うの!?その言葉そのまま僕が士郎に言いたいことなんだけど!?」

 

「いーや、俺だって明久には言われたくないぞ。俺みたいな無個性な人間よりも明久の方が人気があるだろ」

 

 

……士郎が無個性?

一回士郎のステータスを考えてみよう。

本来の成績は、Bクラスに入ってもおかしくないほど優等生だ。

かと言って、体力がないわけじゃなく、むしろ弓道の成績からして運動神経だっていい。

さっき食べたお弁当からして料理は得意そうだし、雑用を任されるほど手先は器用。

見た目だって、すごくカッコイイとまではいかないにしても、いきなり嫌悪感を出してしまうような顔立ちはしていない。

性格に関して言えば、聖人レベルでお人好しすぎると有名。

 

学業良し、運動良し、家事良し、外見良し、性格良し。

……なんだこのチートキャラ。

スペックチートの士郎が無個性な人間だったら、一体この世の男性の何割が個性的な人間だというんだろう。

 

 

「ところで士郎、成績優秀で運動部でトップの成績、ありとあらゆる技術と嫌味を感じさせない外見を持っていて、いろんな人のために働く人間のことをどう思う?」

 

「何言ってんだ。そんな完璧超人いるわけないだろ」

 

「ねえちょっと一回グーで殴っていい?できることなら顔面に一発」

 

「……俺って明久に恨まれるようなことしたか?」

 

 

恨んでない、恨んでないけどここまで鈍感だとイライラしてくる。

いや、僕だってことあるごとに鈍感鈍感言われてきてるけど、士郎ほどじゃないと思いたい。

 

 

「そういうことはどうでもいいんだよ!おいFクラスのテメーら!こんな女にモテるような男たちを許しておけんのか!?」

 

 

二人で話し合ってると、Dクラスの生徒が僕たち以外の9人の生徒たちに呼びかける。

それを聞いて、彼らが何やらざわめき始めた。

……あれ?もしかしてちょっとヤバイ?

 

 

「いい加減にしろ!俺がモテるとか変な言いがかりをつけるんじゃねぇ!!」

 

「おい、衛宮。お前の家にはなーんかやたら女の同居人が多いよな?まさかあいつら全員家族だなんて言うつもりはねえだろ?」

 

「それと俺がどうこうってのはどう関係があるんだ!?」

 

「士郎、それ完全に自爆だから。普通の男子生徒の家に家族でもない女性が住んでるって、もうそれだけで非リア充からしたら妬みの対象だから」

 

「……マジで?」

 

「マジで」

 

 

本当に士郎は、負け組の気持ちがわからないんだなぁ。

どうしてそれをあっさり肯定しちゃうのさ。

 

 

「吉井も、さっきうちのクラスの女子とやたら仲良さそうだったじゃねえか?しかも今度会う約束までしやがって、ヘタレそうな見た目の割にやることやってんじゃねえかよ」

 

「……僕のログには何もないな」

 

「……明久、めちゃくちゃ目が泳いでる。なんかどうやったらそんな動きができるのか分からないくらい泳ぎまくってる。それもう完全に自白してるのと同じだぞ」

 

 

士郎にまで気づかれるとは、僕はどうも嘘の付けない性格らしい。

 

 

「どうだFクラスの諸君。もしもその二人を裏切り、俺たちに味方するのならお前らの合コンをセッティングしてやるのを考えてやってもいいぞ?」

 

「ご、合コンだと!?」

 

「なんて提案をしやがるんだ!!」

 

 

僕と士郎は同時に驚愕した。

モテない男子生徒にとって、合コンとはもはや神格化された儀式のようなもの。

合コンに参加することは、非リア充からリア充へと進化を遂げるのに必要なプロセスと言っても過言じゃない。

似たようなものに、『クリスマスを女子と過ごす』とか『バレンタインでチョコをもらう』などがある。

そんな大層な餌を吊り下げられて、ただでさえ女性に飢えているFクラスの連中がそんな魅力に抗えるわけがない!

さすがの士郎も、合コンというものがどれほどの魔力を放つものなのかは理解しているようだ。

 

しかも、不本意なことに僕たちは今女にだらしないダメ男のレッテルを貼られている。

Fクラスの人間にとって、僕たちはもはや怨敵に等しい存在。

僕達と共闘する理由が、もはや希薄。

残されているのは、ただただ同じクラスの生徒だということ。

そんなことじゃあ――

 

 

「のりこめー^^」

 

「「「「おー^^」」」」

 

「「「「わぁい^^」」」」

 

「「ですよねー」」

 

 

男子生徒は、バカな生き物なのは他でもない自分たちで身にしみて理解している。

あっという間に僕たちの仲間が、あちら側の集団の後ろ側に移動してしまった。

うん分かってた。多分僕でもそうするから、彼らは恨まない。というより、それで行かないとか男じゃない。

本当に恨むべきは、このDクラスの生徒だってことは分かってる。

それでも、なんだかやるせない。

 

 

「……士郎、28対2だけど生きて帰れるかな?」

 

「……一人で14人も倒せってか?」

 

「無理ゲーにも程があるね」

 

 

さっきは自分たちのことをまとも枠に入れてたけど、どうもその認識は間違ってたみたいだ。

これ完全に不憫枠だ。最後の最後に突き落とされる不憫枠だ。

 

 

「こうなったら仕方ない。なんとか時間稼ぎのためにも足止めしよう。……ここからが本当の地獄だよ」

 

「まあしょうがないな。ところで明久、時間を稼ぐのはいいんだけど、別にあいつらを倒してもいいんだろ?」

 

「……その震えてる足が武者震いによるものだったら、どれだけ心強い言葉だったか」

 

 

僕だって怖いんだ。士郎が怖がったって不思議じゃない。

なんせ今の向こう側にいるFクラスの連中は、僕たちへの嫉妬による負の感情と合コンへの欲求による正の感情で動かされている。

アメとムチ状態の男子生徒がどれだけ恐ろしいものなのか、そんなの計り知れないんだから。

 

 

「さっきはよくも俺達に喧嘩を売りやがったな!」

 

「できればあの妖怪首長に仕返ししたかったが、お前らで鬱憤を晴らしてやる!!」

 

「うわ、こいつらちっちぇ!」

 

「八つ当たりするなんて、ガキかお前ら!」

 

 

あまりにも下らない理由過ぎて、ツッコまずにはいられなかった。

そもそもがそっちの売ってきた喧嘩だというのに、それにほとんど関係なかった僕たちをストレスのはけ口にするとかこいつら腐ってやがる。

これにはいくら温厚な士郎でも結構本気で怒ってるようで、Dクラスの生徒を罵倒した。

 

 

「は、知るかよ!どんな手を使っても勝てばよかろうなのだァァァ!!」

 

「味方と思ってた奴らになぶり殺しにされる気分はどうだ?ざまあみやがれ!」

 

「クソッ!ここまでか!だったら一人でも多くの相手を倒すまでだ!」

 

「……ああ、最後まで付き合うぞ、明久」

 

 

なんとも卑劣な作戦だ。

でも、諦めるわけにはいかない。

なにせ、時間稼ぎをしろって雄二に頼まれたんだから。

そうやって信頼されている以上、それに応えないなんて男が廃る。

なるべくFクラスの生徒は狙わず、Dクラスの生徒を打倒して!――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャッハーーーーー!!!!!隙だらけだぜェェェェェェェ!!!!」

 

「引っ掛かったなカスがァァァァ!!」

 

「ハラワタをぶちまけろ!!!!」

 

「いつからテメエらの仲間になったと錯覚してやがったんだ!?」

 

「トラトラトラ!われ奇襲に成功せり!!」

 

「このマヌケがァァァァァァ!!」

 

「その首おいてけェェェェェェェ!!!」

 

「Dクラスの汚物は消毒だァァァァァァ!!!」

 

「野郎、ぶっ殺してやらァァァァァ!!!」

 

 

――――え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Fクラス生徒×9  VS  Dクラス生徒×9

 

        62点    VS 0点

        71点    VS 0点     

        42点    VS 0点        

        57点    VS 0点        

  化学    70点    VS 0点        

        48点    VS 0点        

        52点    VS 0点        

        44点    VS 0点        

        68点    VS 0点        』

 

 

 

 

 

――――え?

 

 

 

 

「なっ!?て、テメエら!!裏切りやがったな!?」

 

「はっ!!裏切るとは人聞きの悪い。元々俺達はFクラスだぜ?『のりこめー』って言っただけで、味方になるとは一言も言ってねーだろーが!」

 

「そんな奴らを自分たちの後ろに配置するなんて、お前ら俺たちより馬鹿じゃねえのか?」

 

 

い、いや完全に君達Dクラスに寝返ってたよね?

僕が言うのもアレだけど、どっからどう見ても向こう側についたとしか思えなかったんだけど?

 

 

「合コンがどうなってもいいっていうのか!?」

 

「はー?お前ら『考えてやる』って言ってただけで、確実に執り行うなんて言ってなかったですしおすし?」

 

「つーか、お前らがそんな合コンできるほど人間的な魅力が備わってるように見えねえんだよ」

 

 

な、なんだと!?みんなはそんなに相手のことを観察してたのか!?

僕も正直思ったけど、こいつらDクラス最低すぎるって思ったけど!

女旱のFクラスのみんなが、そんな正常な判断能力を持っているとは思わなかったよ。

 

 

「お前ら、俺達を舐めすぎだ!んなことしてまで俺達は女にモテたかねえよ!ってか、そんなヤツに彼女ができるわけないだろうが!」

 

「すぐに人を裏切るような奴に恋人ができないなんてことぐらい、バカな俺たちでも知ってるっつーの!」

 

「合コンできたとしても、そのあとクラスで居心地が悪くなるのはまっぴらゴメンだしな」

 

 

なんという正論だ。

だがなんでだろう、彼らがそういうことを言うのに凄い違和感があるんだけど。

なんか、もっとこう、後先考えずに女の子に近づこうとするみたいな……

 

 

「そもそも俺たち負けたら、姫路さんとか可愛そうだよな」

 

「ああ、病気持ちだもんな」

 

「ほかにも女子三人いるし、これ以上設備下げられると俺達までやばいんだよ」

 

 

女の子に対する欲望が良い方向に向かってる。

なるほど、そういう欲望が正しい道に進むと紳士的になるわけか。

……これが間違った方向に行った時のことを考えると恐ろしい。

 

 

「お前ら!!それでいいのか!?そいつらは女にモテるんだぞ!?妬ましいと思わないのか!!」

 

「「「「「「「「「めちゃくちゃ羨ましいに決まってんだろ!!!!!!!!!言わせんな恥ずかしい!!!!!!!!!」」」」」」」」」

 

「だったらそいつらは敵だろうが!なんで仲間割れしないんだ!!」

 

「えー、だって吉井や衛宮がモテてるからって俺達には関係ないし」

 

「羨ましいけど、だからって僻んで仲間割れしたら余計に女にひかれそうだし」

 

「正直、女との付き合い妨害して恋人関係になるの遅らせるより、とっととくっつけた方がコイツらが別の女の子とのフラグ立てないで済むし」

 

「「「「「「「「「それなら早く誰かと付き合ってもらったほうが俺たち得じゃね?」」」」」」」」」

 

 

……ごめん皆、僕君たちがそこまで頭が回るとは思わなかったよ。

そして、もしも僕だったらその考えに僕がたどり着けなくて、普通にDクラスに寝返ってただろうってことが尚の事恥ずかしい。

 

 

「……とはいったものの、せっかくの仲間が幸せになるんだ。俺達が邪魔するわけにも行かんだろ」

 

「俺達はたしかに非リア充だけど、誰かがリア充になろうとしてんの邪魔するくらいなら自分を磨けってブロントさんも言ってたし」

 

「崖っぷちどころか崖下にいる俺たちにできることは、ただただ崖を登っていく男を見守るのみだ。突き落とす権利なんかないものと知れ」

 

 

やだ……かっこいい……

こんなになってまで、自分の矜持を捨てないなんて精神力が強すぎる。

 

 

「あー、でもやっぱり吉井と衛宮ムカつくからあとで制裁な」

 

「せ、制裁!?」

 

「お、お前ら……何をする気だ?」

 

「絞首にするか?」

 

「斬首とかは?」

 

「銃殺なんかもありじゃね?」

 

「釜茹でってどうだろう」

 

「溺死ってのも手だな」

 

「電気なら手っ取り早いぞ」

 

「火炙りも候補で」

 

「生き埋めは時間がかかるか」

 

 

発想が物騒すぎる!!?

どれ選んでも僕たち死んじゃう!!

返せ!さっきの僕の感動を返せ!!

 

 

「ってのはかわいそうだからデコピン一発で」

 

「「「「「「「「それだ!」」」」」」」」

 

「なんか一気に軽くなった!?」

 

「その鬼畜なラインナップは何だったんだ!?」

 

 

そっちのほうがありがたいけど。

けれどこれで――

 

 

「僕たちを含めると11対10か。形勢逆転ってやつかな?」

 

「こうなったら俺と明久で一気に敵陣まで乗り込むべきだな」

 

「それなら俺達はこいつらの相手をすればいいってわけか。道は開けてやる、突破しろ」

 

 

言い切るやいなや、不意打ちをかました生徒たちは残りの十人に戦闘を挑み始めた。

あまりにも頼もしすぎるその背中は、僕達への信頼を語っているようだった。

 

 

「とっとと行け隊長共!失敗したらさっきのフルコースまじでやるからな!?」

 

「代わりに勝てたらデコピンを免除する権利をやろう!」

 

「俺たちの屍を越えていけ!!」

 

 

これで僕と士郎は完全にフリーになった。今が攻めどきだ。

 

 

「皆……ありがとう!!いくよ士郎!」

 

「任せろ!」

 

 

隙を見て僕らはDクラスの教室へと駆け出していく。

ここまで相手にしたら壊滅的になってるんだ。そろそろ本隊が動き出してもおかしくないはず。

その動き出したところでDクラス代表の平賀君を討ち取れば、この戦争に勝利できる。

 

 

「ところで明久!」

 

「何の用!?」

 

「俺達二人でDクラスの本隊を倒せるのか!?」

 

「本隊を全滅させるのは無理だけど、どさくさに紛れて代表に挑めれば勝機はある!」

 

「上手くいかなかったら!?」

 

「神風アタックで周りのみんなを道連れに、何人でもいいから削り落とす!」

 

「了解!」

 

 

それにもし失敗したとしても、僕達ならDクラスの近衛兵達と勝負しても三人は討ち取ることができる。

あわせて六人の戦力を削ることができれば、Fクラスの本隊だけで攻め落とすのは簡単だ。

ここからが正念場。気合を入れるぞ!

 

 

「Fクラス中堅部隊隊長、吉井明久。貴公らの相手を務めさせてもらう!」

 

「同じくFクラス先行後衛部隊隊長、衛宮士郎。お前たちの相手になる!」

 

「なっ!?もうアイツ等やられちまったのか!?クソッ!Fクラス本隊が動き出すのが早すぎる!!」

 

 

僕たちが攻め込んできたことで、平賀君の顔が驚愕に染まった。

元々が学力で劣るFクラスとの勝負、まさか自分たちの部隊が負けるとは予想できていないようで、僕達が本隊を動かし始めたと勘違いしている。

この勘違いが僕達にとって有利に働くのかどうか。

 

 

「こうなったらこっちも本隊を動かす!半分は廊下にいるFクラス代表の坂本雄二を獲りに行け!他の奴はこの二人を始末しろ!」

 

『おおー!!』

 

 

よし、ラッキー!!

向こうからこの場の戦力を削ってくれるなんて、ありがたいことこの上ない。

今の廊下なんかには雄二達は来てないし、交戦している場所もこの教室から離れてる。

相手の半分の兵力は、間違いに気づいて戻ってくるまで時間がある。

この間に決着をつけられれば!

 

 

「相手はたったの二人だ!一気に攻め落とせ!!」

 

「かかってこい!」

 

『試獣召喚!!』

 

 

今ここにいるのは現国の竹内先生と古典の向井先生。

幸いにも社会の先生がいないから、僕でもなんとか戦える。

国語の点数は確か100点前後、これなら!

 

 

 

『Fクラス 吉井明久  VS  Dクラス 玉野美紀

 

  古典  102点   VS 96点  』

 

 

『Fクラス 衛宮士郎  VS  Dクラス 笹塚圭吾

 

  現国  135点   VS 91点  』

 

 

うっ……士郎の点数がちょっと低い……

幸い遠距離武器だから攻撃される前に倒せれば問題ないけど、これじゃあちょっと厳しいか?

士郎って現国苦手だったんだなぁ。

まだ相手もこっちの点数に気づいてないし、こうなったらちょっとずるいけどあの作戦を使うしか!

 

 

「ああっ!校庭で霧島さんのスカートが捲れているっ!!」

 

「……明久、いくらなんでもそんな手に引っかかるなんて……」

 

 

Dクラスの背後の窓ガラスを指差して叫ぶ。

こんなの士郎が何か小さい声で呟いてくるぐらいお粗末な作戦だ。

そんなことは自覚してるよ。

 

 

『なにぃっ!?』

 

「なんで引っかかる!?」

 

 

でも引っかかるんだよね、こんな作戦で。

そうやって思わず士郎がツッコミを入れたくなるほど、統率の採れた動きでDクラスの皆の首が動いた。

凄い。さすがは才色兼備で有名な霧島翔子さん。Dクラスの男子はおろか、女子までもが振り返っている。

霧島さんってとんでもなく人気があるんだな。皆が『僕達がいる場所からじゃ、霧島さんどころか校庭すら見えない』なんてことに気づかないくらいには。

 

とか考えながらも僕は次の行動に出る。

皆の注意が逸れた一瞬を利用して、目の前の相手にさっき美鈴さんにしたように思いっきり剣を投げつける。

それを見て、士郎はどこか納得いかないような顔をしながらも同じようにDクラスの召喚獣に矢を連続で放った。

 

 

『Fクラス 吉井明久  VS  Dクラス 玉野美紀

 

  古典  102点   VS 0点  』

 

 

『Fクラス 衛宮士郎  VS  Dクラス 笹塚圭吾

 

  現国  135点   VS 0点  』

 

 

っしゃ!討ち取ったり!

点数消費せずに二人も戦死させられた。

しかも全員があっちを見てたからこっちの点数が見えてなかったみたいだし、効果は抜群だ。

まだまだ近衛兵はいるけど、なんとかこのまま少しでも貢献しないと。

 

 

「卑怯なことしやがって!でもまだ近衛兵はたくさんいるんだ!このまま物量で押し切ってやる!」

 

「それはどうかな?やってみなくちゃ分からないでしょ?」

 

「……今のが卑怯って言える程の作戦なのか?」

 

 

士郎が呆れながらツッコむけど、僕たちが不利なのは変わらない。

やっぱり一瞬気をそらすだけじゃ、平賀君には届かないか。

すぐに平賀君への道を塞いでしまい、そしてまた新たな近衛兵が勝負を仕掛けてくる。

これじゃいつまで経っても勝負すらできない。

できることなら近衛兵を数秒引き付けるようなことができればいいのに……

 

 

「Dクラス中野健太が――」

 

「おおっと、そうはいかないぜ!Fクラス霧雨魔理沙が勝負を受ける!」

 

「そっちは私ね。Fクラス博麗霊夢が現国で勝負を申し込むわ」

 

 

目にも止まらぬ俊敏さで、目の前に金色と黒色の髪がなびいた。

二人は僕達とDクラスの生徒のあいだに割り込むと、それを遮るように仁王立ちした。

――いつの間にこんな所へ!?

 

 

「ちっ!近衛兵はまだいる!前からがダメなら後ろから挑め!」

 

「わかった!Dクラス――」

 

「後ろのガードを固めた明久達に隙はなかった。お前らはナイトの防御力の高さをあまり舐めないほうがいい」

 

「ブロントさん!?」

 

 

背後からの攻撃にとっさに現れたブロントさんにも驚いていると、魔理沙が説明してくれた。

 

 

「雄二から『どうせ明久のことだし先走ってDクラスに乗り込むから、その時になったら援護してやってくれ』って言われたもんでな。さっきまで教室の陰に隠れてたんだ」

 

「その話を聞いたのはブロントさんが放送を流す時だけどね。それで私たちが二人でブロントさんに伝えたら一緒にやるって言うもんだから、三人で固まってたのよ」

 

「雄二……そこまで見通してたの?」

 

 

あいつは僕の行動なんか予測しきってたってことか。

……どこまで頭が回るのさ、雄二って。

でもこれで、敵将への道は完全に開けた!

 

 

「Fクラス吉井明久!Dクラスの平賀君に現国勝負を申し込む!」

 

「させるか!Dクラス「お前の相手は俺だ!」

 

 

無理やり介入しようとしてくるDクラスの生徒に、士郎が後ろから割り込んだ。

これでようやく、誰にも邪魔されることなく平賀君に勝負を挑めた。

さぁ、長かった戦いもこれで終わりだ!

 

 

「チッ!俺がやるしかねえのか……だが、近衛兵がいなくてもFクラスの奴なんかに負けるか!」

 

「あまり僕を舐めないでよ?」

 

「はっ!どうせ点数低いくせに強がるな。衛宮ならともかくお前じゃ俺を倒すのは無理だ」

 

 

やれやれ、目の前に近衛兵を配備してたせいか、(僕が言った嘘とは言え)霧島さんのスカートに目を取られてたせいか、本当に僕の点数が見えなかったみたいだね。

点数が見えてたら、僕を侮ることもなかったのに。

 

 

「「試獣召喚!!」」

 

 

 

 

『Fクラス 吉井明久  VS  Dクラス 平賀源二

 

現代国語  106点  VS 129点  』

 

 

「なんだって!?なんでFクラスでそんなに高い点数が!?」

 

「バカだってバカなりに成長してるのさ!」

 

「……くっ!それでもまだ俺より点数が低い!この勝負は俺の勝ちだ!」

 

 

普通の生徒ならそう思うだろう。

でも僕は普通の生徒じゃない。

とんでもなくバカな生徒だ。それはもう学校から特別視されるほどにね。

 

 

「はっはっは!バカをなめるな!」

 

「あ、当たらない?全然攻撃が当たらないだと!?」

 

 

平賀君の攻撃を余裕を持って躱し続ける。

そう、僕がバカ――観察処分者が故の利点。

この操作技術だけは誰にも負けない。あの武術の達人、美鈴さんからのお墨付きだ!

どれだけ相手の点数が高くても、どれだけ僕の点数が低くても――

 

 

「当たらなければどうということはない!」

 

「しまっ!?」

 

 

タイミングを合わせ、攻撃する敵の足をすくう。

豪快に転がる平賀君の分身。

今がチャンスだ!これで決める!

 

 

「須川君の敵!覚悟しろ!!」

 

「え?それ俺関係な「問答無用!!」

 

 

倒れた平賀君の召喚獣の心臓に狙いを定めて一気に切り裂く。

急所をやられた召喚獣はそのまま身動きせずに消えていった。

 

 

『Fクラス 吉井明久  VS  Dクラス 平賀源二

 

現代国語  106点  VS 0点  』

 

 

この戦いに決着がついた。

 

 

「Dクラス代表!平賀源二!討ち取ったりーーーー!!!」

 

 

そして僕は高らかに勝利宣言をした。

 

 

 

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