バカとナイトと有頂天   作:俊海

27 / 32
長らくお待たせしました。

前置きですが、根本が好きな人は、この作品をここで読むのをやめることをお勧めします。
はっきり言って、原作以上に酷い性格になっていますので。

これも私の文才のなさが引き起こした問題なので、本当に申し訳ございません。

覚悟は出来ましたか?
それではどうぞ。


第十九話 バカとナイトと非想非非想天

「くっ!こんなところで笠松君が援軍に来るなんて!」

 

「ヒャッヒャッヒャッ、俺が前に出てこねえ訳ねえだろうが。俺はブロントも超えるメイン盾なんだぜ?盾が前に出なくてどうするよ?」

 

「言い方が汚いのに、言ってる内容がマトモすぎる!?」

 

 

今までに出会った人たちの中で、上位にランクインするくらいは常識人だ。

 

 

「そんなことより明久!笠松の点数はどのくらいじゃ!?」

 

「笠松君の点数?それは――」

 

 

 

 

 

『 Fクラス 吉井明久         Bクラス 十六夜咲夜

                 VS

  Fクラス 木下秀吉        Bクラス 笠松ノブオ

 

 

 

 

 

 

                

 

         93点             212点 

  現代国語          VS     

        87点            427点

                             』

 

 

 

 

 

…………うん。

 

 

 

「この状況に即した、ぴったりのゲームのフレーズがあるよ」

 

「……なんなのじゃ?それは?」

 

「……『どうあがいても絶望』」

 

 

お前のようなBクラス生徒がいるか。

 

 

「こうなったらなんとしてでも士郎と須川君に助けを――」

 

「水橋パルスィ、衛宮士郎に勝負を挑むわ」

 

「同じく射命丸文、須川亮に勝負を挑みます!」

 

 

あっちも来るのか!?

士郎と須川君はもともと東風谷さんと戦ってて、そこに二人が加わると流石にこっちにリソースは回せない。

つまりは僕らだけで十六夜さんと笠松君を相手しなくちゃいけないから……

あ、これ詰んだ。

 

 

「どうだ?このフィールドだとブロントは勝負できねえし、他の奴らもダウンしてるはずだ。じっくり料理させてもらうぜ!」

 

「汚いなさすが忍者きたない!」

 

「汚いは褒め言葉だ。これで安全に吉井を倒せるぜ。お前が落ちたら戦力は大幅に減るからなぁ!」

 

 

このままだとどうやっても僕は戦死してしまう。

けど、援軍は頼むことはできない。

こっちが疲弊している時を狙って、一気に突破する作戦か。

 

 

「こんな作戦を考えられるのに、どうして君はあんなことをしたんだ!?」

 

「はー?なんのことだかさっぱりだぜ」

 

 

だからこそ、気になってしまう。

こんなに見事に僕たちをハメられるなら、どうして無意味にあんなことをしたのか。

僕の質問にも、せせら笑ってとぼける笠松君に立て続けて言う。

 

 

「協定を結んでいるあいだに、僕達の教室を荒らすなんて酷い真似をしたんだ!」

 

 

無駄にヘイトを稼ぐだけなのに、どうしてあんなことを!

 

 

「…………あ?教室を荒らした?…………俺らが?」

 

「そうだよ!教室が空の間に、机だの文房具だの使えないようにしたじゃないか!」

 

「……………………あー、何だよ、そんなことぐれえでかっかすんなっての。たかが古臭いちゃぶ台を叩き割ったり、文房具隠しただけだろうがよ」

 

「最初からそのつもりで協定を結んだの?なんてゲスイ野郎なんだ!」

 

「今は試召戦争だぜ?勝つためには手段は選ばないのがお前らじゃねえのかよ?」

 

「畜生正論だ!」

 

 

前の戦争で、須川君がおおっぴらにそんなことを叫んでいた気がする。

そこを言われたら何も言えない。

 

 

「いやでも器物破損とか、そういうのでさぁ……」

 

「ところで、放送室を乗っ取って無断で放送したり、逃げ場がないからって窓から女生徒を巻き込んでダイビングした奴らがいるみたいだが、その辺どう思う?」

 

「うん!学生だし、教室なんかだとそれくらいははっちゃけるよね!」

 

 

くそっ、これで勝ったと思うなよ!

 

 

「さーて、時間稼ぎもここまでだ。テメーらがこの世界で幕を下ろす時間だぜ!」

 

「そう簡単にやられてたまるか!少しでも時間を稼ぐ!」

 

 

たとえ負けるにしても、一矢くらいは報いてやる。

頑張れば200点くらいは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんた、調子ぶっこきすぎてた結果よ?剣技『気炎万丈の剣』!」

 

「チッ……テメエ……!」

 

 

突然の乱入者からの攻撃に、僕への攻撃を止め、笠松君はバックステップした。

今の声、どこかで聞いたような……

 

 

「天にして大地を制し、地にして要を除き、人の緋色の心を映し出せ」

 

 

僕の召喚獣の前に、別の召喚獣が立ちはだかる。

手にはバールのようなものを持ち、青い髪の召喚獣。

……え、嘘でしょ?

 

 

「Bクラスとの戦いで、私は集合時間に遅れてしまったんだけど、ちょうどわきはじめたみたいでなんとか耐えているみたいだった。私はFクラスにいたので急いだところがアワレにも明久がくずれそうになっているっぽいのがLS会話で叫んでいた。どうやら点数がたよりないらしく「はやくきて~はやくきて~」と泣き叫んでいるFクラスメンバーのために私はとんずらを使って普通ならまだ付かない時間できょうきょ参戦すると「もうついたのか!」「はやい!」「きた!盾きた!」「メイン盾きた!」「これで勝つる!」と大歓迎状態だった」

 

「天子?え?なんで参戦してるの?」

 

 

ブロントさんと同じように、無駄に長いセリフを喋りながら参上したのは、比那名居天子だった。

にしても、なんだって試召戦争に?

 

 

「あら忘れたのかしら?私もFクラスに入ったって言ったじゃない」

 

「でもこんなに早く?」

 

「そりゃそうよ。こんなに楽しそうなことに、私を混ぜないなんて心が醜いわ」

 

 

た、楽しそうって……こっちは死に物狂いなんだけど……

 

 

「比那名居のやつ、Fクラスにいたのか……コイツはまずいな……」

 

「あれ?忍者じゃん。やっほー、元気にしてる?」

 

「てめえが来たせいで元気じゃなくなったわ!なんでお前みたいなのがFクラスにいんだよ!?」

 

 

笠松君が言うな。

 

 

「さてと、どうも危ないところだったみたいね。でもこの私が来たからには安心しなさい!」

 

「えー……なんかどことなく不安なんだけど……」

 

「なんというか、残念な雰囲気が……」

 

「ふふん、そう言ってられるのも今のうちよ。私の点数を見て腰を抜かさないことね!」

 

 

とは言ってもなぁ、ブロントさんでも国語の成績良くないのに、似たような境遇の天子が成績がいいとは……

 

 

 

 

 

『 Fクラス 吉井明久         Bクラス 十六夜咲夜

  Fクラス 比那名居天子    VS

  Fクラス 木下秀吉         Bクラス 笠松ノブオ

 

 

 

 

 

 

                

 

         93点              212点 

  現代国語  402点        VS     

         87点             427点

                             』

 

 

 

 

 

 

「なんだこのインフレぇ!」

 

「どうよ、今謝れば許すわよ。私は心が広大だからね」

 

「いや本当に申し訳ないけど、なんでこんなに点数高いの!?Aクラスの人でもここまで高くないよ!?」

 

 

それを言い出したら、Bクラスであるはずなのに、軽々と400点越えしている笠松君も相当なバグキャラだけど。

 

 

「一応それなりの教育は受けてきたのよ。まっ、腐ってもお嬢様ですから」

 

「自分で自分のことをお嬢様なんて言う人初めて見たよ……」

 

「あー……実際そいつ結構なお嬢だぜ?いろいろあって親元からは離れて暮らしてるがよ」

 

 

笠松君も知ってたのか。

ブロントさん経由だろうか。

 

 

「比那名居が居るとなると、ちっとばかし厳しいな……」

 

「あら、忍者にしては弱気な発言ね?あなた、ブロントさんに勝つんじゃなかったの?」

 

「厳しいっつーだけで、別に負けはしねーよ。ただケリをつけんのに時間がかかるのが問題だ」

 

 

そういえば、もう少しで休戦の時間だ。

僕達だけならすぐに倒せると思われてたんだろうか。

 

 

「しょうがねーな、ここは一旦引くか。勝てもしねえのに点数を無駄に減らすのは効率的じゃねえ」

 

「……いやいや、敵前逃亡は戦死扱いになるはずだよ?」

 

 

勝負を挑まれて、逃げ出すと問答無用で補習室送りだったはず。

ついに血迷ったか?

 

 

「そうはさせないわよ!今の私には腕輪があるんだから!」

 

 

言われてみれば、デフォルメされた天子の召喚獣は、左腕に腕輪をつけている。

確か400点以上取った人の召喚獣は、点数を消費する代わりに腕輪に対応した特殊能力が使用可能になるんだっけ。

 

 

「偶然にも乱戦状態じゃないの。これで一網打尽よ!」

 

「チッ!こうなったら……」

 

「遅い!『全人類の緋想天』!」

 

 

左腕から強烈な発光が起こったと思った瞬間、真っ赤な光線がBクラスの生徒に襲いかかる。

……なんというえげつない攻撃だ。

天子の言うとおり、敵が密集してるところにこれをやると、蹂躙に近い何かがある。

煙が上がってしまってよく見えないけど、あれでは無事には済まないだろう。

 

 

「さーて、パッと見で12人くらいいたから、相手の戦力はがた落ちね。これでFクラスの勝利も同然よ!」

 

「あはは……なんとも心強い……」

 

「おいこら比那名居とかいう新参者!テメーのせいで危うく死にかけたじゃねーか!攻撃するならするって言えよこのバカ野郎!」

 

 

ギリギリで天子の攻撃をかわした須川君が天子に食ってかかる。

……まああんな攻撃をいきなりされたらと思うと、怖くなるのもわかる。

 

 

「あんた頭悪いわね、私は女だから『野郎』じゃなくて『女郎』よ。見なさい見事なカウンターで返したわ」

 

「んなことはどうでもいいわ!何味方を巻き添えに攻撃してんだって言ってんだよ!」

 

「『一発だけなら誤射です』という名台詞を知らないのかしら?そんなに怒ることないでしょ、あんまり気にするとハゲるわよ?」

 

「どんだけトリガーハッピーなんだよテメーは!士郎の召喚獣を見てみろよ!テメーの攻撃にぶち当たっちまってんだよ!あいつの召喚獣満身創痍じゃねーか!どんだけあいつは運がねーんだよ!生まれたてのバンビみたいな足取りになってんだぞあいつの召喚獣!」

 

「だ……大丈夫だ……ところで須川、別にあの川を渡ってしまっても構わないだろ?」

 

「何の川が見えてるんだお前!?いいか、絶対に渡るなよ!絶対だからな!フリじゃねえからな!?」

 

 

士郎……なんて運がないんだ……。

 

 

「とりあえず、一旦帰ろうか。そろそろ停戦時間だし、報告とかもしないと……」

 

「!明久!後ろじゃ!」

 

「なっ……うわっ!?」

 

 

秀吉に言われるがまま、後ろを振り返ると、目の前にスリケンが飛来してきた。

反応が間に合ったおかげで、打ち落とすことができたけど、一体どこから……

 

 

「あー……クソっ……もう少しで戦死させられたのによぉ……」

 

「笠松君!?なんで生きて……!?」

 

「忍者だけじゃないわよ!」

 

「ぬおっ!?」

 

 

と、今度は横からナイフが飛んでくる。

このナイフは……

 

 

「十六夜さんまで!?天子の攻撃じゃ倒しきれなかったって言うの!?」

 

「あら?その天子の攻撃で戦死した生徒はうちにはいないわよ?」

 

「はぁっ!?」

 

 

天子の攻撃で発生した煙幕が徐々に晴れてきて、相手の状況がはっきりわかる。

確かに十六夜さんの言うとおり、Bクラスの召喚獣は、一人たりとも減っていない。

 

 

「天子の攻撃が見掛け倒しってことは……」

 

「そんなわけないでしょうが!あんた私の腕輪を馬鹿にする気!?そんならもう死ね!」

 

「だよね……じゃあなんで……」

 

 

そこまで考えて、召喚獣の点数が目に入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

『 Fクラス 吉井明久         Bクラス 十六夜咲夜

  Fクラス 比那名居天子    VS

  Fクラス 木下秀吉         Bクラス 笠松ノブオ

 

 

 

 

 

 

                

 

         93点              212点 

  現代国語  302点        VS     

         87点             67点

                             』

 

 

 

 

 

「……あれ?天子と笠松君の点数が減ってる?」

 

「そりゃあ私は減るわよ。腕輪の効果は点数を消費して発動するんだし」

 

 

それでも100点を消費して、あの攻撃はコストパフォーマンスがすごい。

だとすると笠松君のは……

 

 

「腕輪、じゃな。おそらく笠松の腕輪の効果で、生徒全員をかばったんじゃろう」

 

「バレるのはえーな……まっそういうこった。この能力を使うにはとんでもねえ出費が必要だがな……ゴホッ……。あいてが100点しか使ってねえのに、こっちは400点近く減らされるし……それだけじゃねえが」

 

「はー!?あんた何いきなり私の攻撃を防いでるわけ!?汚いわねさすが忍者きたないわ!こっちの攻撃で即死の瞬殺が出来ると思ったのに、人の狩りを邪魔しないでくだふぁい!」

 

 

即死の瞬殺ってことは、あの攻撃、400点以上のダメージなんだ。

それが12人分だから、大体5000点のダメージを、400点で抑えたってこと?

……腕輪の性能ってブッ壊れてる。

 

 

「ひゃーっはっはっはっはっは!俺のことを汚いって言うんならこう言い返してやるぜ!汚いは褒めk「忍者さーーーーーん!」ごふっ!」

 

 

……またか。

 

 

「さすがですね忍者さん!自らの点数を削ってでも仲間を守るその姿!まさにその姿はメイン盾ったらありゃしませんよ!でも……こうやって助けていただいた以上、なにか恩返ししなくちゃいけませんよね?ここは、忍者さんが守ってくださった私の体ということで……」

 

「あ・ん・た・はーーーー!忍者が困ってるでしょうが!そもそも戦争中なのに何いちゃこらしてんのよっ!少しは自重することを覚えたらどうなの!?いいかげんにしなさいよこのビッチ!」

 

「残念でしたー、私は彼氏いない歴=年齢ですから未経験ですー。……本当に悲しくなってきたんで泣いていいですか?」

 

「泣いてもいいけど、そこでさりげなく忍者の胸元に移動しない。泣くならそこの隅っこで泣きなさい」

 

「……本当に私に対して辛辣ですねーパルスィさんは」

 

「理由なんて聞かなくてもわかるでしょ?」

 

「そりゃまーそうですけどー……」

 

「大体、あんたが過度に挑発してくるのが悪いんでしょうが!何よその積極性、積極的すぎて妬ましいわ!」

 

「いつまでも漫才やってんじゃねえよ……さっさと撤退するぞ……ウグッ……」

 

「パルスィ、文、そこまでにしておきなさい。迅速に行動するのよ」

 

 

いつまでもしゃべり続ける二人を遮って、射命丸さんの突進がダメージになっているのか、お腹を押さえる笠松君と、十六夜さんが撤退の準備をし始めた。

 

 

「逃げたら戦死扱いになるよ!?それでいいの!?」

 

「吉井、いいことを教えてやろうか?」

 

「なんのこと?」

 

「何事にも例外はあるんだよ!例えば俺みたいになあ!」

 

 

すると、笠松君の召喚獣が光りだした。

……すごく嫌な予感がする。

 

 

「み・じ・ん・がくれの術!」

 

 

ドゴォォーーン!

 

 

耳に突き刺さるような、爆発音と共に、その場にいた召喚獣はクラスを問わず消えていた。

いや、これは召喚フィールドをリセットしたって言った方が正しいだろう。

 

 

「おのれ微塵がくれ・ジツだと!?あの技はカラテを極めたものしかできない禁・ジツのはず!」

 

「……それより、爆発音と共に召喚獣だけじゃなくて、Bクラス生徒全員が消えていることのほうが驚きだと思うんだがのう」

 

 

しかしおかしいな、腕輪の能力はそれぞれ一つずつしかないはずなのに、どうして違うジツが使えるんだろう。

……もしもこれで腕輪の能力が『忍術をすべて使える』とかだったら禁止制限待ったなしじゃない?

 

 

「まっ、とりあえずこれで帰れるんだし、一旦引き上げましょう。これからのことも聞かなくちゃいけないんだし」

 

「そうしようか。……士郎、大丈夫?」

 

「危なかった……あと3点しか残ってなかったし、もう少し続いていたらと思うと……」

 

 

士郎に七難八苦を与えたのはどこの馬鹿だ。

どれだけ神様は士郎が嫌いなんだろう。

 

 

「よし、皆お疲れ!今日の戦争はここまでだから、しっかり休みを取ろう!ずっと気を張り詰めていたら体の毒だからね!」

 

『おう!』

 

「……しかし、本当に明久は人を纏めるのがうまいのう」

 

 

うーん、秀吉の言うこともごもっともだけど、何となく僕はこうやって集団を扇動するのが得意な気がする。

集団……粛清……異端審問……FFF……うっ、頭が……

 

 

「おいおい、どうした明久?頭なんか抱えて」

 

「ああ、須川君か……ねえ須川君?」

 

「どうした?」

 

「もしも、Fクラスの中で、彼女持ちとか出来たら、君ならどうする?」

 

「んー……まずは挨拶代わりに一発殴って、ダチを呼んで全員で祝福ってところだな、彼女出来てんだからそれくらいはいいだろ?」

 

「うん、それを聞いてすごく安心した」

 

 

その言葉が、僕の頭痛を取り去ってくれたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに?Bクラスの根本とCクラス代表の小山が付き合ってるだと?」

 

「…………(コクリ)」

 

 

休戦時間になり、撤退した僕たちを待ち受けていたのは、衝撃の真実だった。

根本君と小山さんが付き合っているという事実。

なんということだ……そんなことだと、僕達の今までの常識がぶち壊されてしまう!

 

 

「なんで根本君に彼女なんかいるのさ!?」

 

「同意見じゃ……あれほど悪評が広まっている根本と付き合う剛の者がいるとは……」

 

「なんて悪趣味な女なんだ!きっと性格が歪んでいるに違いない!」

 

「あれだな、あまりにもブサイクで根本以外貰い手がいなかったんだろうぜ」

 

「しかし、俺の記憶では結構美人だったはずだ。慎二やランサーも同じように言ってたしな」

 

「お前それ絶対根本に弱みとか握られてんだろ。なんか他人に知られたらやばいぐらいの情報握られてるとしか思えねえよ。おーいおまわりさーん、この学校に脅迫犯がいまーす!」

 

「なんて卑劣な野郎なんだ根本は!いや、もはや外道といってもいいくらいだ!」

 

「崖下に落ちた俺達だが、人の道より落ちたつもりは毛頭ない!根本の野郎、男の風上にも置けんな!」

 

「汚いなさすが根本きたない、これで俺は根本が嫌いになったな。あまりにも汚すぎるでしょう?もうBクラスのリーダーは忍者でいいんじゃないかな?まあ一般論でね?」

 

「お前らそこじゃねえよ!」

 

 

何を言っているんだろう雄二は。

根本君に彼女がいたなんて、もはや世紀の大発見といっても良いくらいだろうに。

 

 

「この情報で分かったことは、高確率でBクラスとCクラスは裏で手を組んでるってことだ。おそらく、Cクラスが漁夫の利を狙っているように見せたのは、Cクラスと協定を結ぼうとした時、規約違反だと言って不意打ちをかませに来る算段だったに違いない」

 

 

そういうことか。

でも僕たちはCクラスと協定を結ぶ必要もなくなったし、その作戦は残念ながら不発になったわけだ。

 

 

「ということは、Cクラスとの協定は……」

 

「そうだな、BクラスとCクラスが協力し合ってるんだ――」

 

 

これはもう、絶対にCクラスと関わっちゃいけないよね。

下手したら二対一になるわけだし――

 

 

「――これから、Cクラスのところに『協定を結びに行く』ぞ」

 

『えっ』

 

 

……ふぅー……どうやら僕は幻聴を聞いたらしい。

何故か知らないけど、雄二以外の皆が同じ言葉を聞いてたけど、幻聴だ。

やれやれ、戦争続きで僕たちは疲弊しきっていたようだ。

これは早く家に帰って休息をとらなくっちゃ。

 

 

「おい、聞いてたか明久。お前も俺と一緒に来るんだ。あとは……お前とお前と……」

 

「ちょっと待って雄二!正気なの!?」

 

「頭がおかしくなって死ぬ前にいい加減お前のバカみたいにヒットした頭を冷やせ。不意だまされたら色々致命的な致命傷になって試召戦争がゲームオーバーになる。このままでは俺達の寿命がストレスでマッハなんだが……」

 

「いいや?俺は正気だ。俺の作戦は、こういう状況にならないと使いにくいからな。よし、じゃあ説明してやろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表はどこにいる?」

 

「私だけど、何か用かしら?」

 

 

うわぁ……もう下校時間なのに、Cクラスの教室にまだかなりの生徒が残ってる。

これはもう、完全に雄二の予想通りだろう。

 

 

「Fクラス代表としてクラス間交渉に来た。時間はあるか?」

 

「クラス間交渉?ふぅん……」

 

 

あっ……なんとなく分かった。

どうして小山さんが根本君と付き合ってるか。

小山さんと根本君って似てるんだ、なんか汚そうなところが。

いやらしい笑みを浮かべている、小山さんを見て、そう確信した。

 

 

「そうだ、不可侵条約を結びたい」

 

「不可侵条約ねえ……。どうしようかしらね、根本クン?」

 

 

小山さんは教室の後ろを振り返り、そこにいた人たちに声をかけた。

……やっぱり予想通りにいたか、Bクラスの伏兵が。

 

 

「当然却下。だって必要ないだろ?」

 

「まあそういうこった。よくもまあこんな作戦に乗ってくれたなぁお前ら」

 

「……根本だと?どうしてお前がこんな所にいやがる?」

 

 

奥から笠松君達を引き連れて現れた、根本恭二。

笠松君がいるのは予想していたけど、なんで根本君まで?

 

 

「酷いじゃないかFクラスの皆さん。協定を破るなんて。試召戦争に関する行為を一切禁止したよな?」

 

「ん……まあその通りだな。確かに俺達は協定違反を犯した。その事実だけは揺るがない」

 

「ほほう、潔いじゃないか。だったらこれはお互い様だよな?」

 

「全くもってお互い様だ。というわけで出てこい野郎ども!」

 

 

雄二が号令をかけると、教室の外からFクラス生徒が一気にCクラス内に流れ込む。

その数は、少数しかいないBクラスの生徒だったら拮抗できるほどのものだ。

 

 

「んな狡い考えなんか分かってんだよ。何の準備もなしにこんなことをすると思ってんのか?しっかしまあ、どうして根本までこんなところに来てんだ?……こっちからも攻撃できる距離に近づいてくれるとは、相当サービス精神旺盛と見える」

 

「んなっ!?……クソッ!」

 

「……だーから『お前は教室で引っ込んでろ』って言ったんじゃねーか。総大将が前線に出んのは間違ってるつってんのに……」

 

「うるさい黙れ!まあこれで策は終わりじゃない!それがある限り、お前らは俺に攻撃なんか出来やしないのさ!」

 

「…………それを考えたのは、俺だけどな」

 

 

どのクラスにも、苦労人っていうのはいるんだなぁ……。

笠松君……どんまい。

 

 

「さーて、お前ら、協定の内容を覚えているか?」

 

「そんなもの『四時までに決着がつかなかったら戦況はそのままにして、翌日の午前九時に持ち越しにする。ただしその間試召戦争に関わる一切の行為を禁止する。この協定が破られた場合、破った側のクラスは試召戦争をその場で挑まれても拒否せずに受け入れなければならない』ってのと……」

 

「そうだ。よく覚えているじゃないか。つまり、こういうこともできるんだよぉぉ!」

 

「はっ?一体何を……」

 

 

その条文で、何か出来ること?

この場でBクラスにできることなんて、僕達に宣戦布告することしか――

 

 

「それじゃあ、協定違反に乗っ取って『CクラスはFクラスに宣戦布告』をするわ!」

 

「えっ…………えっ!?」

 

 

今まで何も発言しなかった小山さんが、いきなり信じられないことを言い放つ。

 

 

「いやいやいやいや何を言っているんだい小山さん。この協定は、FクラスとBクラスの間に執り行われたものなんだから、Cクラスにそんな権限なんて――」

 

「協定内容は『破った側のクラスは試召戦争をその場で挑まれても拒否せずに受け入れなければならない』って書いてあるんでしょう?どこにも『Bクラスに挑まれても』なんて書かれてないわよ?」

 

「ちょっとわずかに言い方が誤用だっただけで揚げ足取りかよ……お前らそれでいいのか?」

 

「はっはっはっは!いいんだよ何を使おうが勝てればな!」

 

 

つまりは、たった今から僕達は、BクラスとCクラスを同時に相手をしなければいけないってこと?

なんだよその無理ゲー。

しかも逃げようにも、BクラスとCクラスの生徒が廊下にまでいるせいで、突破するのは難しいだろうし。

これってあれだね。『お前はもう完全に包囲されてる。大人しく投降しなさい』ってやつに近いよ。

 

 

「よーし……お前らのやり方はよくわかった。最後にもう一回だけ聞こう。本当にそんなことをしていいんだな?『Fクラスは協定を破ったから、Bクラス以外からでも宣戦布告されるのは、ルール上問題ないし、正しいことだ』と認めちまっていいんだな?」

 

「はっ!命乞いか?捨て台詞か?負け犬の遠吠えにしか聞こえないがなぁ?」

 

「おい、待て根本!一旦落ち着け!」

 

「邪魔すんじゃねえよ笠松!今俺は最高の気分なんだ!そこに水を差すんじゃねえ!」

 

「早く答えろ。お前らはそれでいいんだな?」

 

「ああ!いいに決まってんだろうが!なんにも問題ないんだからよ!」

 

 

勝ちを確信して、余裕たっぷりにこっちを見下す視線を根本君はよこしてくる。

対して、我らがFクラス代表、坂本雄二の表情は――

 

 

「そうかそうか。そいつはどうもありがとよ。わざわざ『俺達の行動の正しさ』を保証してくれてな」

 

 

……なんともまあ、すごく嬉しそうな顔になっていた。

まるで悪戯が成功した、悪ガキみたいに、純粋で悪意にまみれた笑顔に。

 

 

「あぁ……?何言ってんだ?」

 

「答えはそろそろやってくるぜ。それじゃあ答え合わせといこうじゃあないか」

 

 

言い終わると同時に、まるで見計らったかのように、Cクラスの教室がガラリと開かれた。

そして教室の中に飛び込んできたのは――――

 

 

 

 

 

 

 

「うはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwおkwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

 

僕達と先に戦争していた、内藤君だった。

 

 

「な、内藤だと!?なんで乗り込んできやがった!?」

 

「なんだかんだとwwwww聞かれたらwwwww答えてあげるがwwwww世の情けwwwww」

 

「その前口上古いんだよ!今別のになってっから!」

 

「うそーんwwwwwポケモンのアニメwwwww最後に見たのwwwwwだいぶ前だからwwwww分からにゃいwwwww」

 

「私が代わりに説明しましょう」

 

 

多分、話が無駄に脱線しまくるだろう内藤君を差し置いて、一緒に飛び込んできた魂魄さんが説明し始める。

 

 

「協定違反に乗っ取って『DクラスはFクラスに宣戦布告』を申し込みます!」

 

「はぁっ!?お前らはFクラスに負けたんじゃ……」

 

「和平交渉で終わったので、規約には何の問題はありませんよー。……何というか、昨日の敵は今日の友ってやつですか?」

 

 

頭を掻きながら、おかしなものを笑うように美鈴さんがそれに続く。

 

 

「おいちょっと待て、お前らはFクラスに勝負を挑んだんだろ?どうしてそれで共闘になるんだ?」

 

「俺様達wwwwwFクラスと戦うwwwwwでもwwwwwそのためにはwwwwwBクラスCクラスが邪魔になるwwwww二つのクラスwwwww気にしながら戦うのwwwww無理wwwwwサポシwwwww」

 

「何と言うことでしょうかー。Fクラスと戦うのにBクラスとCクラスが横槍を入れてくるなんてー。これはもうBとCを斬らなくてはいけませんねー。いやー本当に残念ですねー」

 

「ふざけんな!そんな道理が通るわけ――」

 

「通るさ」

 

 

魂魄さんと内藤君が若干棒読みで――内藤君に関して言えば、笑い声が邪魔で分かりにくいけど――説明すると、根本君が食ってかかる。

が……だめ!

現実……これが現実……!

 

 

「お前が認めたんだ。『Fクラスは協定を破ったから、Bクラス以外からでも宣戦布告されるのは、ルール上問題ないし、正しいことだ』ってな」

 

「ら、ランサーまで……!」

 

「それで、なんか知らないがFクラスは多くの敵に狙われてるみたいだからな、邪魔者を排除してから本命を殴るのは戦術的に間違っちゃいない。よって、俺達がこの戦争中に、BクラスとCクラスの連中を攻撃してもおかしくないってこった」

 

 

なんというか、ランサーがそこにいるだけでとんでもなく頼もしい。

味方になると、すごく頼りになる。

ランサーの言葉に追従して、ブロントさんが止めを指す。

 

 

「地位と権力にしがみついた結果がこれ一足早く言うべきだったな?お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」

 

「はっ……ハッタリだ!そいつらが適当に抜かしてるだけだ!DクラスがFクラスの味方になる理由なんてないんだからな!」

 

「そうか――」

 

 

苦し紛れに反論する根本君だが、それを予想していたのか、雄二はゆるりと指を教室の外に向ける。

 

 

「あいつらを見ても、同じことが言えるか?」

 

「あいつらって……?」

 

 

指の先をたどって、根本君は廊下に視線をやる。

そこにあった光景は……

 

 

『楽しい……楽しい話をしよう。今までの鬱憤を晴らす時がやってきちまったぜこのやろう!ああなんと楽しい話だ!BクラスだのCクラスだのという格上の相手をサンドバッグにするとはなんとも贅沢な話じゃねえか!』

 

『うにゅー!!なんだかよく分からないけど、こいつら全員ぶっ飛ばしちゃっていいんだよね!?身も心もフュージョンさせまくっちゃっていいんだよね!?いっそのことあたり一面焼き野原にしちゃってもいいんだよね!』

 

『いいじゃねーか、そいつは面白そうだ!面白そうでワクワクしてきちまった!なんだこの楽しみにしていたゲームの発売日の前夜みたいな興奮と高揚が入り混じったようなこの気持ち!流石に気分が高揚しますってかぁ!?この感情に俺はなんという名前をつけたらいい!?つーかどうして俺は霊烏路と一緒に鬱陶しい野郎共をぶん殴ってんだ!?』

 

『そーいうことは後においておこっ?とにかく今は、周りにいるのを皆なぎ払えばいいんだよ!私達で敵をやっつけちゃえば、私達のクラスは嬉しい!私達もやりたい放題出来て楽しい!BクラスとCクラスは負けが増えて悲しい!OK?』

 

『OK!(ズドン)そいつはなんともわかりやすい話だ!一石二鳥どころか一石三鳥たぁラッキーな話ってもんだぜ!あー前から気に食わなかったんだ!BクラスだのCクラスだの偉そうにしてて、暴れたくて暴れたくて仕方ねえのに周りがひどすぎるもんだからストッパーになって!でも今は周りは全員敵だァァァ!!ぶっ飛ばしてやりたくなるぜ!よしぶっ飛ばそう!俺の中でそう決めた!ぶっ飛ばそう!派手にやろう!』

 

『お、お前ら!FクラスとDクラスだろうが!なんで何も考えず突っ込んでこれる!?ナメてんのかお前ら!?』

 

『別に舐めてないもん!考えるのが苦手だから考えたところで意味ないし、だったらその分戦争に全力全開になればいいって気づいたんだ!どう須川!?私って賢いでしょ!?褒めて褒めてー!』

 

『ああ!無い頭の割に考えたじゃねえか!褒めてやろう!全身全霊を持って褒めてやろう!しかもその考えが及ばない中で、この召喚フィールドを化学にしたのは満点花丸MVPだ!これならお前も全力を出せる!ついでに俺も危険が減る!おいおいどうしちまったんだ!少しのことで二つも三つも得をしてしまってんじゃねーか!今日はハッピーデイか!?俺は運を使い果たしちまったか!?なんてことだ!悲しい、悲しい話だ!でもそれ以上に刹那的に言えば楽しい!楽しすぎる話だ!』

 

『悲しくなんてないよ!今日が楽しければ明日はもっと楽しくなるのさ!いやむしろ、今日の幸せに負けないように明日はもっと幸せになろうと考えれば、明日の活力、やる気が出てくる瞬間なんだよ!その明日を迎えるためにも、何も考えず、目の前の敵を殲滅しよう!ひゃっはー!まったく戦場は地獄だぜー!あーゆーれでぃ!?ひあーうぃごー!れっつぱーりぃ!!』

 

『おお……目から鱗とはこのことだ!そうだそうだ!その通りだ!そうやって人間は悲しみの中で希望を見つけ、進歩していくんだって忘れてたぜ!なんつー清々しい気分だ!最高にハイッてやつだ!よーし何か誓いを立てちまおう!この記念日に誓いを立てよう!そういえば『目から鱗』は聖書の言葉だったはずだ!聖書に習って信仰しよう!信じよう!元々後先考えられるように俺の脳はできちゃいねえ!俺の脳にできることは、俺ならばCクラスだろうとBクラスだろうとぶっ飛ばすことは出来ると絶対的に信じることだけだ!信じるものは救われる!アーメン!ハレルヤ!オーマイゴッド!』

 

『『さあ!馬鹿騒ぎの時間だ!!』』

 

『なんだよもうこいつらァァァァァァァ!!!!』

 

 

…………なんともまあ楽しそうに、たった二人――実は後ろに何人か援軍はいるけど、ほとんど二人で倒しているから間違いじゃない――で暴れまわってるね。

あそこだけ別のゲームしてない?無双ゲームみたいな。

 

 

「――さて、あの光景を見ても、Dクラスはお前らの味方だと断言できるか?」

 

「……うぐっ……こうなったら!この場でお前を倒す!お前ら!坂本を倒せ!」

 

 

破れかぶれに指示を出す根本君。

その命令を受けて、すごく嫌そうにしながらも雄二に攻撃をしようとする。

が――

 

 

「遠藤先生、Fクラスのブロントが試獣召喚する」

 

「あっ!しまった!」

 

 

相手に有利になるフィールドで戦うことはない。

攻撃されるのはわかってるんだから、こちらも先生を呼んでおいた。

これでこの場は英語で勝負することになる。

となると……

 

 

「英語なら、私だって本場よ!比那名居天子も召喚するわ!」

 

「へっへっへーん!私も英語なら得意系の話があるんだぜ。霧雨魔理沙も召喚するぜ!」

 

 

そう、英語が得意な人間が意外と多いんだよね、うちのクラス。

これで点数は……

 

 

 

 

 

 

 

 

『 Fクラス ブロント・ペンドラゴン        

  Fクラス 霧雨魔理沙        VS     Bクラス・Cクラス×14人

  Fクラス 比那名居天子           

 

 

 

 

 

 

                

 

        429点              

   英語  282点         VS      平均 147点  

       436点             

                              』

 

 

 

 

 

 

 

うわぁ……

 

 

「ひるむな!数で押しつぶせ!」

 

「っ!やめろ根本!比那名居の腕輪は範囲攻撃だぞ!」

 

「だったら拡散して攻撃しろ!全方位攻撃なんて馬鹿げた能力があるはずがない!」

 

「懸念事項はそれだけじゃねえんだよ!ブロントの野郎も腕輪をつけてんだぞ!?あの腕輪の能力が分からんまま勝負すんのは危険すぎるっつーの!」

 

「だったらこの攻撃で調べるまでだ!どんなに腕輪が強かろうと、こんなだけの人数がいたら相打ちくらいには持っていける!」

 

「アホかお前は!無駄に戦力を減らすのは愚策どころか策じゃねえ!ここは休戦だ!俺達は条文に書いてる条件は満たしてる!『この条件で戦争を挑んだクラスは、どのタイミングであっても試召戦争を中断する権利を持つ』ってのが!」

 

「ふざけるな!ここまでコケにされておめおめと引き下がれるか!だいたいそれだとFクラスとは避けられても、Dクラスと戦う羽目になるだろうが!」

 

「BクラスもCクラスも休戦したら、Fクラスに対して宣戦布告した以上、DクラスはFクラスしか攻撃できねーからあいつらも休戦に応じるに決まってんだろ!」

 

「黙れ!お前ら突撃だ!これは代表命令だ!」

 

「……チッ、このバカが……」

 

 

笠松君の忠告を受け入れず、突撃を命じる根本君。

……なんというか、策士策に溺れるってこんな感じなんだろうな。

 

 

「……根本、お前は馬鹿すぐる。お前には心を広くすることが必要不可欠。忍者の意見を聞かない浅はかさは愚かしい。あと一分までに謝れば許す……早くすろ!」

 

「知るかよそんなの!すぐに補習室に叩き込んでやる!」

 

「……バカが移るもういいからバカは黙ってろ。あまりにも文章力が結核しているバカは見たことない。そのあまりのバカさに寒気すら感じる始末。Bクラスはもうだめかな中心人物でヌードメーカーが不在では持つわけもない。このBクラスは早くも終了ですね」

 

「馬鹿にするのもいいかげんにしろよ!絶対に戦死させてやる!」

 

 

ブロントさんの挑発に、根本君が完全に切れた。

でも、多分もう一人の怒りの方がすごいだろう。

なんせ、あの時並に怒ってるんだから。

 

 

「……大概にしろよカスが、お前は一級廃人の俺の足元にも及ばない貧弱一般人。その一般人が一級廃人の俺に対してナメタ言葉を使うことで――」

 

 

その怒りに呼応するように、今まで使わなかった、ブロントさんの召喚獣の腕輪が光る。

 

 

「――俺の怒りが有頂天になtt「休戦だ!こっちは休戦を申し出る!」

 

 

そして、誰かの一言で急速にしぼんでいった。

今確か、休戦するって……。

 

 

「笠松……お前何勝手に休戦にしてるんだ!?俺に断りなく休戦するとはどういうことだ!?」

 

「……生憎だが、休戦を申し出るときは『この条件で戦争を挑んだクラス』であって、『クラス代表』じゃないんでな、俺の判断で休戦にした」

 

「そういうのはクラス代表が宣言するものだろうが!少しできるからって調子に乗ってんじゃねえぞ!」

 

「それを言うなら、この協定を結んだのはお前じゃなくて俺だ。俺が結んだ以上、俺がその権利を行使させてもらう」

 

「屁理屈を言うな!完全に越権行為だろうが!」

 

「つーかお前に任せてると不安で仕方ねえんだよ。こんな時ぐらい少しは好きにやらせろよ。この無能」

 

「こ、の……!」

 

 

バキッ!

 

 

「あ……ぐっ……!」

 

『忍者!』

 

『忍者さん!』

 

 

怒りのままに、振り抜かれた根本の拳は、笠松君――いや、忍者の顔を捉えた。

それを避けようともせず、まともに食らったもんだから、軽くふらついてる。

あまりの事態に、ブロントさん達が駆け寄ろうとするけど……

 

 

「寄ってくんじゃねえよ……これは俺達の問題だ……!」

 

「忍者……お前……っ」

 

「はあっ!はあっ!……クソッ!お前のせいだ!お前が悪いんだ!」

 

「……確かにお前の言うとおり、俺の勝手な行動だ。俺が悪かった。だからどうにかこれで収めてくれねえか」

 

「……ふんっ、まあいいさ。そいつでチャラにしてやるよ。まだこっちには切り札があるんだからな!」

 

 

忍者に悪態をつく根本に、頭を下げる忍者。

その姿にようやく満足したらしく、そう言い捨てると、再び休戦状態になった教室を、ただひとり逃げるように後にした。

 

 

「…………よし、お前ら、休戦だ。今日はとっとと帰って寝ろ。明日からは実質、B・Cクラス VS D・Fクラスになるんだからな」

 

「ちょ、ちょっと忍者!あんた怪我は!?」

 

「屁でもねえよ、こんなの。じゃあな水橋」

 

「ほっとけるか!ちょっとこっち来なさい忍者!」

 

「……素が出てんぞ。射命丸」

 

「怪我の治療くらい、直ぐにしたほうがいいでしょ?薬は持ってるから一旦教室に戻りましょう?」

 

「……本当にマーガトロイドはお優しいこって」

 

「ほら、服が汚れてるわ。少しでも綺麗にしないといろいろ疑われるわよ」

 

「あー……変に勘ぐられると効率的じゃねえな。悪いが頼む」

 

「無茶すんじゃねえよ!おら!肩貸すから捕まれ!」

 

「んなもんいらねえって……殴られたの一発だけだぞ俺」

 

「お前に万が一があったらどうする?明日の戦争に勝てなくなるだろうが!つーかそれ以前に俺が泣くわ!」

 

「平気だってのに……あーあー、分かったから!無理やりすんな!」

 

 

何でも無いように教室から出ていこうとする忍者を確保するBクラスの生徒達。

……あれじゃあ、忍者は逃げられないね。

 

 

「……忍者、お前「それ以上言うな」

 

 

出ていこうとする忍者に声をかけるブロントさん。

でも、忍者が拒否した。

 

 

「まだ戦争は終わってないんだ。それまでは敵を心配するようなことをすんじゃねえ。むしろ弱みに漬け込め。弱点を探れ。おい、そこの内藤も、俺のことは気にすんな。アホみてえにゲラゲラ笑ってろ」

 

「…………うはwwwwwおkwwwww忍者の頼みだもんねwwwww俺様らしくしてるよwwwww気を使わせてwwwwwサーセンwwwww」

 

 

珍しく、心配そうに忍者を見ていた内藤くんだけど、忍者に言われて、すぐにいつもの笑顔に戻った。

でも、どことなくぎこちない気がするのは、僕の気のせいじゃないだろう。

 

 

「……本当に、昔から変わらないな。忍者は。汚いなさすが忍者きたない」

 

「汚いは褒め言葉だ」

 

 

それだけ言い残すと、忍者達は、自分達の教室に戻っていった。

……忍者のことは心配だけど、今は戦争中だ。

忍者も言ってたんだし、今は戦争のことに集中しよう。

 

 

……でも、あんな行動をとる忍者が、教室を荒らしたりするかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっくっくっ…………ザマァwwwww。……ブロントの野郎ども、引っかかりやがったぜ」

 

「何あんた?殴られて気が触れた?」

 

「全くあいつらは甘いでござるなぁwwwww俺が殴られるのを邪魔すりゃあよかったのによwwwwwそうすりゃあ根本の怒りはFクラスに向いて、戦争続行してたのにな。そんであいつらがそのまま戦えば勝てるのに、ドブに捨てやがったwwwwwやっぱりナイトより忍者でござる^^」

 

「はいはい、あんたが気づいてないわけ無いでしょ?休戦扱いするって書いたのはFクラスなんだから、休戦にしたほうが有利になる、何かしらの作戦が向こうにあるってことぐらい」

 

「それでも、あの場は戦争続行の方がFクラスに有利だったろうがwwwwwいやー少し騙すだけで負けをひっくり返せる、これだから卑怯な手段はやめられねえwwwww根本を挑発して、タゲをこっちに向けるだけの簡単な作業ですwwwwwナイトさんタゲ管理して下さいますか^^;」

 

「微塵がくれがあるのに?」

 

「…………」

 

「あれ、強制的にフィールドをリセットできるんでしょ?つまりはあんたにとって、あの場では続行してようがしてなかろうが、どっちにしろ同じことじゃない」

 

「………勘のいいやつは嫌いだ」

 

「何年あんたと一緒にいると思ってるのよ。あんたの考えてることくらいお見通しよ。どうせ根本を挑発したのも、無駄にBクラスの連中を捨て駒扱いするあいつが許せなかっただけなんじゃない?」

 

「……勝ったと思うなよ、水橋」

 

「もう勝負ついてるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つっても、根本のやつ、教室荒らしとかすんなよ……。それに、切り札ってのが嫌な予感しかしねえ……」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。